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人口減少対策に関する提言(平成27年3月9日)
日本の人口は、明治に入ってから急激に増加し2008年まで増加していたが、少子化の影響等により、その後減少に転じている。また、医療技術の進歩や、生活環境の向上により寿命が延び、高齢化が進むことにより、若年層が少なく高齢層が多い少子高齢化も同時に進行している。
少子化対策には政府も1994年に「エンゼルプラン」を打ち出しており、主に保育サービスの増加とワークライフバランスの向上を図ってきたが、その後20年間の出生率の回復や人口減少のストップには至ってない。
一方、高齢化対策も世代間相互扶助を前提とした年金制度や国民皆保険制度等の社会保障制度等を正規雇用で働き盛りの年代が多い時代に当時の人口の年齢構成を基に構築しており、将来的に制度の維持が困難になることが予想されている。
本県においては2004年に人口が203万人を超えてピークを迎え、日本全体より早い時期から人口減少に転じている。今後も人口減少が続き、高齢化率はより上昇すると予測されており、経済活動が縮小し群馬県全体の活力低下が懸念されている。人口減少対策をより一層強化して実施していかなければ、人口減少に歯止めをかけることはできない。
これまでも県においては、各部局で様々な取組を実施してきたが、今まで以上に効果的な人口減少対策を部局横断的に進めるため、平成26年度に「群馬の未来創生本部」を設置し、全庁的な議論を進めるとともに、市町村との意見交換も実施し、国に対する緊急提言を行ったところである。
このような状況において、県議会においても人口減少対策特別委員会を設置し、人口減少に歯止めをかけるための様々な議論を行ってきたところであるので、次の事項に留意され、「群馬の未来創生本部」が今後推進する施策が、より実効性のある人口減少対策となるよう、強く要望するものである。
- 早期に、群馬県として必要な人口の数値目標を掲げ、目標に向かって施策の推進を行うこと。
- なぜ人口減少対策が必要なのかを念頭に、県民の幸福が最大になるような理念を持った施策の推進に努めること。
- 群馬の未来創生本部に係る新組織はこれまでの各施策の全庁的な総点検を、スピード感をもって進めること。
- 県民のコンセンサスを形成し、積極的に民間団体との連携を行うように努めること。
- 市町村関係団体の意見を十分に聞き、連携を密にし、過疎化や少子高齢化など地域の実態を踏まえた施策を進めること。
- 国の指示や他自治体の状況を待つのではなく、群馬県独自の積極的な施策を実施すること。あわせて、他自治体等の参考になる事例については、積極的に検討し取り入れること。
- 国の地方創生関連予算を積極的に活用すること。
- 東京から近い本県の地理的優位性から、定住促進のみならず、都市部と地方部に生活拠点を持つ二地域居住の促進をはじめとした交流人口の増加についても、地域の活力の維持のために積極的に取り組むこと。
- 県内企業及び学校関係者と連携し、県内高等学校、大学卒業者の県内就職率を高めると同時に、県外進学者の県内就職率を高めること。
- 今後策定する「地方版総合戦略」、「地方人口ビジョン」については、施策を進めて行く中で、定期的に評価、見直しを行うこと。
以上、提言する。
平成27年3月9日
群馬県議会人口減少対策特別委員会
群馬県知事 大澤 正明 様