本文
人口減少対策特別委員会(平成26年10月2日)
1.開催日時
平成26年10月2日(木曜日)10時00分開始 14時37分終了
2.開催場所
301委員会室
3.出席議員
委員長:久保田順一郎、副委員長:新井雅博
委員:中村紀雄、委員:腰塚 誠、委員:角倉邦良、委員:あべともよ、委員:水野俊雄、委員:桂川孝子、委員:酒井宏明、委員:安孫子哲、委員:高橋 正
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)「群馬の未来創生本部」について
中村委員
「群馬の未来創生本部」は、本部長が知事となっているが、実質的な司令塔になって色々と大変な問題を切り開いていくという姿勢が見えないが、どうか。
塚越企画課長
本部の体制は、資料により説明したとおりである。本部の指令のもとに幹事会で動くが、企画部が事務を担当しているので、本部と連動しながら各部局に幹事会を通じて、しっかりと本部の方針を伝えて、動いてもらうという形で事務局がスピード感と方向感をもってやっていく必要があると考えている。
中村委員
県の担当者が危機感をもち、市町村との連携することが必要となる。また、時間的余裕がない中で、メリハリをつける必要があるが、他県ではうまくいっているところもあるので、それらを参考にして、積極的に取り入れるべきだと思うが、どうか。
塚越企画課長
委員ご指摘のとおりで、時間がない。施策を総点検して再構築していかなければならないので、色々な知恵をお借りして、いいものは取り入れていきたい。大事なのはとにかく市町村と連携して、我々も現場に出向くこと。県内にもいい例があるので、しっかりと吸収して政策に活かしていきたいと思っている。積極的に動いていきたい。
角倉委員
知事も本会議で答弁していたが、群馬の未来創生本部について、「新しい発想」で対処していくということだが、「新しい発想」について、本会議では示されなかった。現段階で「新しい発想」とは担当部課としてどのように考えているのか。
塚越企画課長
従来の発想にこだわらないで、前例踏襲を打破して考える必要があると考えている。自分たちの目線だけではなく、市町村などの現場や、女性の声を聴いて、目的をどのように達成していくのかという視点からゼロベースで考え、これまでの施策で足りなかった点なども含め、総点検していきたい。
角倉委員
知事の決意は強い危機感の表れと認識したが、従来型の拡大基調ではなく縮小も辞さず、地域が質を高め、人口減少社会を財政的にも政治的にも乗り越えていく、これこそが新しい発想ではないかと思うが、どうか。
塚越企画課長
人口が大きく減る中でコンパクトにならざるを得ない部分もある。現実に、部分的にはそういった対応を迫られる地域には、安心な生活をどの様に維持していくかという対応をする部分もある。ただ、一方で全体縮小をよしとするものではなく、人を呼びこむことは非常に大事だと思う。両面をあわせて考えていく必要があると思っている。
角倉委員
創生本部を進めていく中で、民間、県民の参画というのをどのように取り入れていこうと考えているのか。
塚越企画課長
まさに、国民の意識改革から始まって、国と地方の総力を挙げてと国も言っているが、国民全体が取り組んでいかなければいけない問題だと考えている。そういった意味では、行政だけでやれる問題ではない。
角倉委員
先ほどの答弁は、創生本部の方向性を県民の方とともに作っていく、県民の方にも企画立案に参画するように進めていくという方向性か。
塚越企画課長
その点については、今後検討していきたいと考えているが、色々な場面で民間の方のご意見を伺いたいと考えている。
角倉委員
創生本部を県民運動として高めていかないと、達成できない問題だと思う。単に民間人を入れるのではなく、群馬県の社会のあり方を変えていく県民運動というところまで結実しないと、実績を作れないだろう。再度、県民の参画について聞くが、どうか。
塚越企画課長
国民全体がいかに危機意識を持ってどう取り組むのかというのが大事な問題だと思う。ことあるごとにできるだけ民間の意見を聞き、行動する際にはご協力をいただきながら、一緒にやっていくということを繰り返して、皆さんの方向性がひとつになっていけば良いと思う。
角倉委員
若者を含めて県外への流出原因がどういうことなのか、原因がわからずに対策はできないが、現段階で県外への流出が進んでいる原因をどう捉えているか。
五十嵐地域政策課長
若者層が東京に流出する原因は何かということだが、第一義的に人が移動するときの原因というのは、進学や就職が契機になると言われているので、地元ではなく東京等への大学への進学、それから有力な職場を求めての東京方面への就職というのを契機として東京への転出というのが底辺にあると考えている。さらに大都会と地方との格差というのがあるので、どうしても相対的に所得が高くて雇用情勢が良いところに、人口は集まってしまうという問題もあるかもしれない。それからもう一つ、本県の地理的な要因もあると考えられる。東京から100キロメートル圏内ということで、出て行くことに対しての抵抗感が少ないことも、流出の流れを助長している部分もあると考えられる。さらに、産業面でいうとグローバリゼーションの影響もあると考えている。こういった様々な条件が重なって流出が続いている状況にあると考えている。
角倉委員
是非とも教育のあり方についても、未来創生本部の中の重要なテーマのとして、人口流出の観点の中で検討していただきたいと思うが、どうか。
本多生活文化スポーツ部長
人口減少対策について、当部は主に少子化対策をやっている部署であるが、生きていく上で何を大事とするかは、教育に根ざしていると思っている。具体的には、若者のライフデザイン応援事業として高校生のライフデザイン講座等の事業を実施している。そういうところも踏まえて教育の問題についても、創生本部の中でしっかりと議論していきたい。
角倉委員
教育のありようというのは、根本的な問題と直結すると思う。是非とも、この問題についても、未来創生本部の重要なテーマにしていただくように要望したい。
あべ委員
本委員会の設置及び活動と、今回の県の本部の設置にはどういう関連があるのか。
塚越企画課長
本委員会を設置し、熱心に議論して、ご意見をいただいていることについて、重く受け止めており、そういったことを踏まえて、本部の設置に至ったという経緯である。
あべ委員
議会で人口減少対策特別委員会を設置して議論していることも、本部を作ったことに当然考慮されているという理解でよいか。これから、委員会でも色々な議論をしていくが、どのように本部で反映していくのか。
塚越企画課長
本日の議論も含めて、委員の皆様、議会の方からいただいたご意見を踏まえ、本部でも共通認識を持って、議論を深めていく。
あべ委員
未来創生本部の第一回会議では県議会の議論に関して何か話があったのか。
塚越企画課長
短時間の会議であったので、細かな状況については触れていないが、これまでの審議状況については本部員も既に十分承知している。
あべ委員
私も、前回の委員会の中で、これまでの施策について、一つ一つ確認をして、進めていた方がいいということを、発言した。今回、そういったことを本部で行うということなので、非常に期待しているところである。これは、いつ頃までに実施して、どのように点検していく予定なのか。
塚越企画課長
現在、点検作業の細かな部分を検討しているところである。来年度の予算編成に向けて実施していかなければならないとは思っているので、スピード感を持ってやっていきたい。
あべ委員
来年度の予算編成に向けて、ある程度スピード感を持って、点検していくということか。
塚越企画課長
基本的には、そういったスピード感でやっていく必要があると考えている。
あべ委員
来年度の予算に反映できるようにやっていくということは、時間がかなり限られている。先程の議論でも出たように、何年も前から少子化について議論されている。先進自治体の事例を調べて欲しいという意見もあったが、研究結果とか文献だとかいろんな事例というのも、膨大にあるわけなので、時間のない中で検討を行うには、それらを活用していく必要があると思う。
桂川委員
群馬の未来創生本部での議論が今後始まり、結果を受けて「群馬県次世代育成支援行動計画」が策定されると思うが、そういう手順でいいか。大変時間が短くなってしまうが、意見を反映しなければどういうものができるのか分からないと考えるが、どうか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
今日示してあるものは、これまで少子化対策推進本部の幹事会、県民会議等で議論してきたものである。創生本部との調整は、今後考えたい。
桂川委員
せっかく部局横断型の群馬の未来創生本部が作られ、群馬ならではの少子化対策とか色々な施策を考えていくと言っているにも関わらず、これから今後の27年から31年の5年の計画の中に、群馬の未来創生本部で話し合われたことを反映しないことはないと思い、再度確認した。
五十嵐少子化対策・青少年課長
群馬の未来創生本部の中で、家族形成というワーキンググループもできているので、このワーキンググループの方でも、新たな発想ということで、現時点で示していない部分についてもよく議論していきたいと考えている。
桂川委員
新しい強調点、そして要らないものは削って、必要なものは増やしていこうという議論が群馬の未来創生本部の中で行われて、それを受けて施策の体系が膨らんだり、絞ったりという手直しが行われると思うので、作ったあとでまた変わることが無いようにしてもらいたい。
酒井委員
今回の本部設置は、国の「まち・ひと・しごと創生本部」が背景にあると思うが、国の事業にただ乗っかるだけでなく、しっかりと新しい発想で取り組んで欲しい。国は中山間地域を切り捨ててきたが、群馬県は中山間地域を抱える地域なので、過疎地の視点に立った取組も求められていると思う。どんな視点で、どういった方向性で、今後どのように本部の議論を進めていくのか。
塚越企画課長
本県には、都市部や中山間地域などの様々な地域があり、群馬県が元気になるには、それぞれ元気にならなければならない。中山間地域は中山間地が持っている良さ、資源を活かして、しっかりと取り組んでいかなければならない。県としてもできる限り、新しい発想を加えながら取り組んでいきたいと思う。県全体がバランスを取りながらしっかりと対策を採っていきたい。
酒井委員
平成の大合併の結果、合併した周辺部で人口が減少しているが、大半を占める人口3万人未満の地域は、大都市の水源、新鮮な野菜、穀物、清浄な空気の供給等大事な役割を持っている。国は、中枢都市だけを見ていけばいいという方向に向かっているが、それではダメだと思う。市町村合併や、大規模開発によって、地方が衰退してきたというこれまでの政治の責任、教訓をしっかりと踏まえることが大事だと思うがどうか。
塚越企画課長
県全体が元気にならないといけないので、市町村をしっかりと応援していきたい。また、国に対してもしっかりと要望してまいりたい。
酒井委員
地方で頑張っている上野村とか、様々な取組で小さくても輝く自治体を励ましていく施策こそが求められている。それこそが、人口流出防止のダム効果があると思う。少子化対策に関する県民意識調査の高校生へのアンケートをみて、驚いた点がある。将来の生活に関して感じていることで、「就職できるかどうか」について、「とても不安」「どちらかというと不安」を合わせると78.9パーセントと8割近い。近年の子どもの貧困を象徴していると思う。それとあわせて、「親の介護はどうなるのか」というのが意外と多くて両方合わせて59.8パーセント、約6割となっており、結構大変である。こういう結果をどのように受け止めているか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
今回、初めて高校生を対象にしてアンケートを行った。将来の生活に関しての項目については、就職ができるかどうかについて、不安を持っている割合が、大変高い。これから結婚を考える時に、大きな問題であると認識している。
酒井委員
高校生が就職できるかどうかに不安を感じている。働くようになっても、正社員になれるかどうかというのが不安だということだと思う。意識としては群馬に帰って来たいが、仕事がないから帰って来られないという状況だと思う。これらのギャップについて、どう考え、どう解消していこうと考えているか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
「将来、群馬で暮らしたいか」という設問に対して、86パーセントの高校生が「将来、群馬で暮らしたい」と回答している結果は、群馬県がふるさととして非常にいい所だと、一度は都会に出ても帰って来て暮らしたいと、群馬県を評価していると捉えている。群馬で暮らしたいという願いを実現できるように、次期行動計画において、若者就職支援や若者にとって魅力ある地域づくりに関する施策に取り組んでいきたい。
酒井委員
次期行動計画について、本部で議論がされると思うが、夢や希望を持てるような群馬県にするための施策を積極的に出す必要があると思う。群馬県ならではの農村回帰という現象も出てきているという状況なので、農村、中山間地域にも魅力があると、今、林業に携わる女性も増えているということなので、そういうところへの支援も本格的にやっていく必要があると考える。是非お願いしたい。
安孫子委員
石破大臣からは独自の知恵を求められている中で、「群馬の未来創生本部」を設置して、今後、国に対してどのような連携を図っていくのか。
塚越企画課長
知事からも、新しい発想で検討し、地方から国に提案していくという意気込みで臨むよう指示されている。職員一人ひとりが、もう一度考え直して、民間の力をお借りするところはお借りして、財源なり人なりを生み出し、新しいところに振り向けていき、新しい提案を国に対してしていくというところを、再度、肝に銘じて取り組んでいきたい。
新井副委員長
群馬の未来創生本部の取組姿勢として、(1)地方創生関連予算との関係で、一刻も早く、提案・要望すべきものがないか確認すること、(2)施策総点検に当たっては、市町村や関係団体などの声を聴くこと、(3)日本創成会議に消滅可能性が高いとされた市町村を切り捨てることなく、35市町村に向き合うことが必要と思うがどうか。
塚越企画課長
議員ご指摘の3つの点は大事な視点である。まずは担当だけではなく、課長もできる限り現場に行って話を聞こうという方向で考えており、そういう動きの中で、施策を見直し、提言につなげていきたい。
新井副委員長
上野村は全域が山だが、1,300人の住民が生活している。色々な施策をやるには財源抜きでは語れない、是非、企画課長に見て来てもらいたいと思うがどうか。
塚越企画課長
努力して先進的な取組をしている地域など、いろいろな地域を見たいと思う。まずは、県庁から遠い山間部から出向いていきたい。
(2)移民政策について
腰塚委員
移民という考えもある。移民について各部でできることを考えて、未来創生本部で取りまとめることも、群馬ならではの新しい発想になるだろうし、考える中で問題が出てきたら国に提言して実現できるようにする必要があると考えるが、どうか。
塚越企画課長
移民の問題は、デリケートな部分があり現時点では難しいと考えている。国がどうするのか、国家的な問題であり、国の動きを見ていく必要があると思っている。我々ができることは、出て行った人や群馬に魅力を感じている人を、いかに群馬県に呼び込むのか、そういったことに知恵を絞っていきたい。新しい発想と言っているが、従来の発想を超えるような発想を考える必要があると思っている。危機感をもって新たな取組が必要だという考えで、総力を挙げてしっかりと取り組んでいきたい。
腰塚委員
移民について、デリケートな問題ということだが、思い切った発想、群馬ならではの発想というのであれば、移民の受け入れというのもひとつの方法として考えるべきだと考えるが、どうか。
本多生活文化スポーツ部長
移民受け入れは国家レベルで行う大きな政策と考えている。また、別の課題として国内では若者が就職できないという問題もある。その辺の兼ね合いも含めて、真剣に検討すべき課題と思うが、考えてもいなかった提案なので、今後研究していきたい。
腰塚委員
人口減少対策でアメリカが成功しているのは、移民を受け入れているからなので、参考にすべきだと思う。日本に来て働きたいという人もたくさんいるので、そういう人の中でレベルの高い人は、国や県で積極的に受け入れるように、ハードルを下げて受け入れる等、窓口になることも必要ではないか。
本多生活文化スポーツ部長
いろいろな視点から考えるのは大事であるが、外国の人が日本に入って来るのは国の制度であることは委員のご承知のことと思う。群馬県が新たな発想で提言していくということも大事だと思うが、大変難しい課題だと思っている。じっくり研究、検討していきたい。
(3)ワーキンググループの役割について
角倉委員
人口流出の関係の中で若年女性の雇用創出ワーキンググループが設置させることになっているようだが、このワーキンググループを作るということは、若年女性の雇用創出が未来創生本部の当面の柱になるということの決意の表れだと思う。ワーキンググループの役割はどのようなものか。
福田女性・若者就職支援主監
若年女性の雇用創出ワーキンググループは、「群馬に住み続けたくなる」というカテゴリーで、県内定住・県外流出防止の視点を切り口に、新しい施策を立案することになっている。若い女性が、県内にとどまり、一旦県外に出たとしても、また戻って来やすくするには、新たな雇用の創出が求められている。
(4)空き家対策について
角倉委員
過疎地域での空き家対策の問題について、若者を過疎地域に引っ張って来るには、空き家対策は極めて重要だと思うがどうか。
五十嵐地域政策課長
過疎地域には、たくさんの古民家なり空き家がある。そうした空き家をうまく活用して、移住定住対策として使っていくことが、これからの社会増の取組として大きな意味があると思っている。県としては、情報発信の部分であるとか、全体の窓口としての相談業務の部分を充実し、受け入れる側の市町村と連携を図りながら、都会の若い人達を地域に送り込めるように対応していきたい。
(5)若年女性の意識調査について
あべ委員
若い女性の意識調査についても実施するとあるが、これはいつ頃実施して、いつまでに、施策に活かしていくのか。
塚越企画課長
具体的には、補正予算の議決を経てからスタートとなる。当初予算への反映については、原課が色々な議論をする段階には間に合わないと思うが、施策を作りさらに内容を練り上げていく過程で提供できるのではないかと考えている。また、今年度に取り込めない部分であっても来年度以降にしっかり取り組んでいきたい。
あべ委員
若い女性への意識調査については、来年度の予算編成には間に合わないかもしれないが、その後に活かしていくということか。アンケートを行うにしても、施策の点検を行うにしても、何を知りたいのか、どういうことを目的とするのかが、明確でないと、使えないと思う。
塚越企画課長
今回のアンケートでは、群馬県にどうしたら戻ってくるのか、なぜ群馬にとどまりたいのかという思いをつかみ、移住やUターン、流出防止につなげたい。また、できるだけフランクな女性の気持ちを掴めるように、アンケートだけではなくワークショップのようなものをやって、声を拾っていきたい。
(6)人口減少社会について
あべ委員
次世代育成支援行動計画によると、少子高齢化の進行は将来の地域社会の活力や地域経済活動に深刻な影響を与えるとのことであるが、問題点はどこか。
社会経済の活力だとか、地域の活力だとか経済に対する影響等を無くすために、人口減少を止めようということなのか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
次期計画の目標だが、今の大きな問題は、群馬県でも国でも人口が急激に減っている、ことだと考えている。この計画は5年間の計画であるが、その中で大きな問題は少子化に対して、今できることをやるが、今やっても結果が出るのが25年後とかになるので、短期の部分と長期の部分をしっかり施策の中にも取り入れながら、やっていきたいと考えている。
あべ委員
人口減少のスピードが速いことと、人口の構成がアンバランスになっていくことが問題だということで、そういう現象があるとは思う。急激に減っていることと、アンバランスになることにより、社会の活力が失われていくことが問題なのか、それともそれ以外の別の問題があるのか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
ひとつは、経済の活力が失われること、大きな問題としては社会保障の問題があると思う。高齢者の人口は、今後30年間増え続けていくことが分かっているので、そこをどう対応していくのかが非常に大きな問題である。また、群馬県の人口を、少子化対策とは違う部分から検証していかなければならないと考えている。
あべ委員
結局のところ、人口減少の問題をどこに置くか、解決したい課題は何かというのをはっきりする必要があると思う。適正な人口という話があったが、人口減少を止めると言った場合、止めて維持するのか、さらに増やしていくのかということがあると思うが、さらに増やしていくというよりも、ある程度の段階で維持していくということを目標に置きたいのか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
現在、国で50年後に人口規模を1億人として、その後それを維持していくという目標を立てている、国がそういう考え方であり、群馬県もやはり維持していくという形になると考えている。
(7)県外への人口流出について
あべ委員
県外への流出原因として、進学や就職、地理的な要因で東京への流出に抵抗がない、グローバリゼーションということが挙げられていたが、この根拠は何か。アンケートの結果か、研究結果か。
五十嵐地域政策課長
一般的な文献を参考に整理をしたものである。
あべ委員
全体の施策を検証する時に、未来創生本部で、この施策により何人ぐらいの人が群馬県にとどまってくれるのか、あるいはどのくらい子どもの数が増えるのか、そういう細かい点検をやっていただけるか。
塚越企画課長
今までの施策が誰に対して効果的であったのか、誰に対して全く何もしていなかったのかということも総点検の際の大事な視点だと思う。今回の点検の中では、この施策はどういった効果が具体的にあったのか、というのを考えながら、点検していきたいと考えている。
(8)県外調査について
水野委員
質問の一点目だが、今年の委員会では少し早めに県外調査をしようということで、この特別委員会でも県外調査に行ってきた。とりわけ私は、静岡県の視察が印象深かった。参加した方の代表として、部長の感想はどうか。
本多生活文化スポーツ部長
特に、静岡県は同じ県庁ということで興味深く色々な取組を聞かせていただいた。未来創生本部にしても、皆が一体となって一緒にそこを目指していくことが、とても大切だと委員の皆様も思っていらっしゃるし、執行部側も感じているので、しっかりやっていこうという感想を抱いた。
水野委員
群馬県で必要なのはライフスタイルを提示していくことかなと思っている。地方ならではの良いところ、こういう生活ができるという生活スタイルそのものを、もっともっと発信していかなければいけないと思うが、どうか。
五十嵐地域政策課長
当課では過疎対策の一環として、特に移住、定住の取組を行っている。群馬でどのような生活ができるのか、都会にはない田舎暮らしのよさをしっかり提示することで群馬県を選んでいただけるよう、効果の上がる提案をしっかり検討していきたい。
(9)キャリア教育について
水野委員
群馬の未来創生本部が設置されたことを受け、教育委員会としては具体的にどのような姿勢で臨むのか。
遠藤高校教育課次長
本部の基本方針に、安心戦略というものがある。それに相当するものが高校改革の推進、特にその中での高校の再編整備ということになる。少子化の社会に対して、どう対応していくか、どう教育システムを構築していくか、というようなことに該当すると思う。その他に、多産政策というか、子どもをなるべく産んでもらう、家庭形成のような教育も必要だということで、本部の戦略を受け止めているところである。
水野委員
中学生とか小学生の段階で、地域と接点をもち、キャリア教育を意識してやっていくが本当に子どもたちの生き方に直結すると思うので、もう一歩広く、多くの方がそういった授業に参加できるように、特定の学校で工夫してやっているというのではなく、広く進めていただきたいと要望する。
(10)高等学校でのIターン、Uターン事業について
水野委員
県外に出て行った方々が、いずれ群馬に戻ってきていただけるような仕掛けが必要で、Iターン、Uターンの事業に高校教育課もしくは高等学校の現場の方々が、しっかりと携わっていただく必要があると、以前の本会議でも指摘した。その際は、教育長から前向きな答弁があった。その後の取組はどうか。
遠藤高校教育課次長
前回委員からご提案いただき、課の中でも検討した。どのようなスキームになるかは検討中であるが、いずれにしてもUターン、Iターンを促す取組については、高校教育の中でできることがあれば、積極的に協力してまいりたい。
水野委員
労働政策という観点からは具体的にはどのように検討しているのか。
福田女性・若者就職支援主監
労働政策の観点からは、まず昨年発足させた「Gターン倶楽部」というのがあるが、首都圏・県内の大学75校で構成しているGターン倶楽部において、県内の企業の情報とか、就職のイベント情報とか、合同企業説明会とか、面接会とかの情報提供等を行うなどして、県内の学生の支援を行っている。
水野委員
今の状況はわかっている。Gターン倶楽部はどちらかというと、大学を経由して東京・首都圏にある大学を仲介して、群馬県出身者に情報を流し込む話だが、そうではなく群馬を離れる前に、情報をきちんと発信できるようにネットワークをつなげておく仕掛けを作るべきだと思うが、どうか。
福田女性・若者就職支援主監
学生へのアプローチの方法や、経費等を勘案しながら、実際にはジョブカフェを活用した方法を採って行きたいと考えている。今後の検討だが、高校卒業時に学生及びその保護者に対してジョブカフェのメールアドレスが入った物を渡して、メールマガジンへの登録を促して、登録の際に卒業年次等を登録してもらい、それにあわせて短大生は短大生向け、大学生は大学生向けの情報を適時流していけるような方法を考えていきたい。
水野委員
親に対してアプローチすることも大切だろうし、色々やり方はあると思う。ただ、問題なのはやはりタイムラグである。大学を出た方々やそれぞれのキャリアの中で一旦キャリアを中断して、学校を辞めて、もう一度次のステップを考える方が、故郷で具体的などんな情報があるのかを、取りやすくするのも必要なことだと思う。
(11)女性の再就職支援について
水野委員
再就職という観点だと、ジョブカフェ・マザーズがあるが、そういったところを基点にしていただきたいと思う。その上で、お願いしたいのが、女性が再就職する際に、もう一回社会に出るということについての気持ちの整理という部分で、インターンシップを活用する、そんなママインターンシップというのも中にはあるようだ。これには企業の協力が必要なので、企業の開拓も進めていくべきだと考えるが、どうか。
福田女性・若者就職支援主監
ジョブカフェ・マザーズにおいて、現在、求人開拓を行っているが、並行してインターンシップ受入企業の開拓も可能であり、来年度に向けて検討していきたい。
(12)子どもの貧困対策について
水野委員
子どもの貧困対策ということで、これまでも学習支援と言い続けてきたが、その後の検討の状況をあわせて伺いたい。
川原健康福祉課長
委員ご指摘のとおり、8月29日に子どもの貧困対策に関する大綱が示されが、生活保護世帯の進学率あるいは就職率など25項目の指標を示し、それが改善することを目的に6つの柱が提言されている。県としても今後国の方から、詳細な事業内容が示されるであろうと考えており、健康福祉部だけではなくて、教育委員会をはじめ、庁内関係部局と連携してしっかり取り組んでいきたいと考えている。特に、貧困の連鎖を断ち切るためには教育支援が重要であることから、今回の大綱においては、教育支援を「学校を拠点に子どもの学力の向上を目指して進めること」としており、来年度の概算要求にもスクールソーシャルワーカーの増員を盛り込んでいるところである。また、生活困窮者自立支援法においても学習支援への取組が示されており、引きこもりや不登校という事案が多いことから、訪問型の学習意欲を高めるような取組を保護者の学習への理解の促進も含めて実施していきたいと、来年度に向けて検討しているところである。
水野委員
スクールソーシャルワーカーについては、実施は教育委員会になると思うが、国が概算要求をしているということなので、群馬県として、スクールソーシャルワーカーをしっかりと配置していただきたいと考える。これについての取組はどうか。
野村義務教育課長
スクールソーシャルワーカーについては、今年度から中部、西部、東部教育事務所にそれぞれ1名ずつスクールソーシャルワーカーを配置し、活用を図っているところである。今後、さらに増員を目指していきたい。
(13)県民アンケートの結果について
桂川委員
県民アンケートの結果について、大変多くの示唆を含んでいると思った。こうやって見ると、ライフデザインを早めに描いておくことが非常に大切なことだと思う。その意味で、今回説明いただいた資料の中でもライフデザインについて高校生の授業で行っているということだが、中身と展開はどのように進めていくのか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
高校生のライフデザイン講座については、大学生がピアサポーターとなり、高校生とともにグループ学習を行うことにより、高校生に自身のライフデザインについて考えてもらうものである。現在、前橋国際大学とNPOに委託し、9月から伊勢崎商業高校、前橋東高校、吉井高校で実施している。また、地元の企業訪問も行い、働く現場でのワークライフバランスについて考えるきっかけとしている。
桂川委員
静岡県は様々な事業を通して、雰囲気とか共通認識を作っている。群馬もスローガンを作っていくべきではないかと思っている。スローガンを考えていただいて、命を紡ぎ、命を繋いでいってほしいと思うが、どうか。
本多生活文化スポーツ部長
先ほど、水野委員のところでも答弁したが、静岡県も意識の浸透ということで、「子育ては尊い仕事」というわかりやすい言葉をスローガンにしている。以前は群馬県でも「子どもを育てるなら群馬県」という言葉が、結構浸透していた。何か、県民の心をキャッチするスローガンが、本当に大事だと思う。「命を紡ぎ、命を繋ぐ群馬」もひとつの案として、どういう言葉がいいか、検討していきたい。
(14)中学生の赤ちゃんふれあい事業について
桂川委員
市町村で実施した、中学生の赤ちゃんふれあい体験事業について、新聞に大きく載っていて、評価を受けている。群馬県もこの事業をやっていくるということだが、この事業ではどのような感触があって、今後どのように進めたいと考えているのか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
中学生の赤ちゃんふれあい体験事業については、市町村との連携を図りながら、今年度の交付金により取り組んでいる事業である。内容は、保健師さんが中学生に赤ちゃんとの接し方などを指導したあとに、親子と中学生が遊んだりしながら、中学生がお母さんや赤ちゃんとコミュニケーションを取りながら進めていった。母親からは、「最近は近所に子どもがいないので、お互い良い経験になる」など好意的な意見や感想をいただいており、今後も市町村と連携して事業を進めていきたい。
桂川委員
一見地味かもしれないが、すごく大事な物を中学生のお子さんにも、育てているお母さんたちにも与えたと思うし、とても良い経験になったと思う。こういったものを少しずつ広げていって、命の大切さもそこから学ぶだろうし、自分が大事にされたということも感じると思う。自分もいつか親になっていくということも、どこかに種がまかれると思うので、こういった事業も市町村と協力しながら育てていっていただきたいと思う。
(15)空き家対策について
酒井委員
空き家対策について、角倉委員からも発言があったが、空き家対策は色々な面があると思う。こういう所を借りられれば群馬に来たいとか、中心市街地に住みたいと考える人もいると思う。この対策をもっと強めていく必要があると思うが、各県の状況なども参考にしながら、是非空き家対策を進めていただきたいと思うが、現状はどうか。
石山建築住宅課住宅政策室長
県でも、朽ち果てる前に使える空き家を積極的に活用していこうと、不動産関係の団体、市町村、住宅供給公社と連携して、平成24年から「群馬県空き家活用・住みかえ支援協議会」を設立し、有効に空き家を使って頂こうという制度をつくり、市町村とともに進めているところである。市町村に対しては、空き家対策が色々な部署にまたがって相談窓口がない状態なので、空き家問題に対する勉強会を行い、相談員の養成を目的に、昨年も2回ほど講習会を行った。
酒井委員
空き家が景観の悪化や不審者が忍び込んだりして治安上良くない、ゴミが不法投棄されて、やぶ蚊が発生したり、倒壊の危険、不審火の恐れ等、色々な影響を与えている。県として市町村や直接県民に、解体費用やリフォームをして活用することに対して助成をしていく必要があると思うが、どうか。
石山建築住宅課住宅政策室長
協議会には国の団体が入ってそこで紹介することによって、後ろ盾があって、貸し手に対しても借り手に対してもある程度保証があるという紹介の仕方により市町村をバックアップしている。金銭的な支援はすぐにできない部分もあるので、できるところから支援をしていくという形で進めている。
酒井委員
助成金という形で1年以内に更地にしたら助成金を出すとか、若い人がそこに住めるような空き家を低料金で貸し出すとかという支援策も必要だと思う。もっと踏み込んだ支援策をお願いしたい。
石山建築住宅課住宅政策室長
繰り返しになってしまうが、個々の住宅に対する支援は難しい。ただ、建築住宅課では喫緊の課題である木造住宅の耐震化について、助成を始めたところである。これは市町村が支援する場合に、県も上限を設けて支援するという制度である。
空き家に関しては、まずは一元的に色々な形の相談窓口という部分で進めているところである。
(16)労働政策について
酒井委員
労働政策の件で、少子化対策の問題で、長時間労働、働き方というのも大きな問題だと思う。長時間労働が心身に影響を与えるということがネックになっていると思うので、アプローチの仕方があると思うが、どうか。
石川労働政策課長
若者の雇用が安定し、結婚や出産などの将来設計を描くためには、違法な時間外労働等を改善し、働きやすい雇用環境をつくることが必要であると考えており、現在、群馬労働局と連携し、周知広報を進めているところである。ノー残業ウィークに関しては、長時間労働の改善に向け、国において11月に「過労死等防止啓発月間」が実施されるところであり、県としても国と連携して企業や県民に周知してまいりたい。
酒井委員
「過労死等防止啓発月間」ということで、効果が上がるように県としても推進してもらいたいし、是非条例化を図っていただきたい。また、働き方がドンドン崩されている、労働法制が改悪されてきている、今度の臨時国会でも、労働者派遣法の改悪案、残業代ゼロ法案というのが提出されようとしている。こういった改悪は許さないという断固たる姿勢が求められていると思う。県として労働者を守る立場で声を上げていただきたいと思う。この労働者派遣法の改悪に対する県の認識を伺いたい。
石川労働政策課長
労働者派遣法改正案については、労働者個人単位の3年制限と事業所単位の3年制限を設けるなど、前回廃案となったものとほぼ同様の内容で、今回の臨時国会に提出されたと聞いている。労働関係の法律は、その改正について、学識経験者・使用者・労働者の代表によって構成される国の労働政策審議会において検討されるもので、今後の国会での動向を注視してまいりたい。
酒井委員
この問題では労働組合の違いを超えて反対の世論が高まっている。ブラック企業などの長時間労働を規制していくと流れに逆行していくような改悪はやめるように県として明確な意思表示をしていただきたい。
(17)子どもの医療費の無料化について
酒井委員
群馬の良さの一つに子どもの医療の無料化がある。これは本当に画期的なことで知事もこれをずっと進めていくということで、評価できるところであり、もっとPRして欲しいと考える。この制度は、全国から視察団がきているということであり、この効果は本当にあると思う。この制度は人口減少対策に対して、どのような役割を果たしていると考えるか。
相澤国保援護課長
子ども医療費無料化は、子どもの健康増進と子育て世帯の経済的負担の軽減を図ることを目的として実施しているものであるが、本県の魅力ある施策の一つと考えており、多くの人に移り住んでもらう狙いもある。今後さらにPRをしていきたい。
酒井委員
この制度は、保護者や地域の人達にも喜ばれていると思う。是非、対象を高校卒業までに広げていただきたい。実際に要望も寄せられている。この制度は市町村と折半し40億円でやっていると聞いている。さらに、8億円ほどの予算を上乗せすることで、高校卒業まで拡大することができると聞いており、今後、拡大して欲しいと考えるがどうか。
相澤国保援護課長
子どもの医療費の無料化については、財政的な負担を伴っていることから、今後の検討課題としたい。
(18)虐待の独自支援策について
安孫子委員
虐待死という観点から一般質問を行ったが、虐待について、独自の施策をこれから作るべきだと思う。児童相談所の話は十分なので、独自の施策としてどういうものがあるか。
吉田子育て支援課長
根本的に虐待を少なくしていくためには、対症療法だけではなく、ご両親が安心して、産み育てられる社会づくりをしなければならいと思う。また、子どもが生まれる前、そして生まれた時、出産後に、市町村の保健師、それぞれの病院も対応しているが、それを一貫してつなげていくという、厚生労働省のモデル事業「妊娠・出産包括支援モデル事業」の取組を各市町村の保健センターでしっかりとやっていくということで、相当程度危険な因子は防げると考えている。
安孫子委員
新たな施策、独自の施策というのは、例えば取り組める、取り組めないは別として、打ち出すべきだと思う。新たな政策を打ち上げるのが、今回、石破大臣が求めているところだと思う。
(19)未婚化について
安孫子委員
未婚化について、独自の取組を行うのか、施策はどうか。
五十嵐少子化対策・青少年課長
群馬独自の施策というところでは、この制度ができた時点では自治体が結婚支援を事業化している例は少なく、県としては先進的な取組だったと考えている。今年度については、先ほどの少子化対策の交付金の中でご紹介したとおり、スキルアップセミナーという事業を、交付金を活用して、実施予定である。これは、これまでの二つのプロジェクトの成果を見直して、成婚率を高めることが課題であると考えているので、新たな結婚支援ということで、結婚・婚活に臨むにあたって、まずは参加者の方に対して、結婚への考え方だとか異性とのコミュニケーションの取り方、あるいは身だしなみなど、婚活に自信を持って参加して、成婚率を高めるという、取組を行う予定である。
安孫子委員
出会いの場を提供は群馬県がやるのではなく、民間の方にお願いして、民間の新たな情報を持って常日頃活動している方々に、委託するのもいいのではないかと思う。前回も提案したが、県内のブライダルを扱っている方にヒアリングを行って、利益のためではなく、業界にも影響のあることなので、子どもたちも少なくなるし、結婚していない人たちに結婚の喜びを教えようと、これを生活文化スポーツ部が一生懸命やっても、行政の人間と民間のブライダル業者では大きく違うので、是非民間の力を入れるべきだと思う。