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群馬県における観光振興施策の推進に関する提言(平成26年12月15日)
本県議会においては、昨年度設置された観光振興対策特別委員会において、議論が重ねられた結果、「群馬よいとこ観光振興条例」が同委員会から発議され、全会一致をもって可決、制定されたところであり、基本理念として、地域における主体的な取組みの尊重やオール群馬での取組み、本県の魅力を再認識し、観光資源としての有効活用を図ること、観光振興が地域活性化や雇用増大等に寄与するものであることなどを掲げ、本県観光振興のための様々な具体的施策の展開が期待されている。
こうした中にあって、かねてから県を挙げて推進してきた「富岡製糸場と絹産業遺産群」が、6月に世界遺産登録、さらには、12月10日付けで、富岡製糸場(繰糸所、東置繭所、西置繭所の3棟)が国宝に指定されたところであり、この貴重な文化遺産をいかに有効活用して、本県の活性化につなげていくかということが求められている。
ついては、県当局におかれては次の事項に留意され、今後とも、群馬よいとこ観光振興条例の趣旨を踏まえた観光振興施策に積極的に取り組まれるよう強く要望するものである。
- 「群馬よいとこ観光振興条例」について、一般県民まで浸透するよう、より踏み込んだ周知を図ること。
- 世界遺産や観光地がお互い連携した観光ルートづくり、及びそれらのPRに積極的に取り組むこと。
- 「富岡製糸場と絹産業遺産群」をはじめとする養蚕・製糸・織物などの産業や、絹文化の継承・支援に取り組むこと。
- 県内全域での絹関連資産の積極的な発掘、活用、支援を行い、県全体の観光振興に活かせるよう取り組むこと。
- 世界遺産センターを早期に設置すること。
- 「富岡製糸場と絹産業遺産群」の公開範囲の拡大に向けた支援や、本県の特徴である養蚕、製糸、織物業における、明治期からの女性の活躍に焦点を当てた展示も積極的に検討すること。
- 産業遺産は解説が重要であることから、情報収集・PRに努めるとともに、熟度の高いガイドの育成、支援に取り組むこと。
- 埼玉、長野の両県に存在する「富岡製糸場と絹産業遺産群」に関連する観光資源、関係市町村との連携、協力を行いつつ、周遊観光に取り組むこと。
- 次世代を担う子どもたちに、本県の世界遺産や東国文化を知ってもらうための事業を推進すること。
- 外国人観光客の受け入れ促進のため、観光に携わる者の意識改革や態勢整備に関し支援を行うこと。また、留学生の積極的活用や海外に向けた情報発信等の取組みを強化すること。
- 国内外からの観光客の受入環境整備として、観光地での公衆無線LAN、ICTを活用したホテル等の予約・決済システム、観光アプリの拡充等の整備促進・導入支援を行うこと。また、これら観光ICTを担う人材育成に努めること。
- 県内観光地へのアクセス向上のため、鉄道やバス、タクシー等の公共交通を含めた交通網の整備拡充や、それぞれの連携推進に努めること。
- 日本の誇れる文化として「トイレ」におけるおもてなし環境を整えるため、ワンランク上のビジタートイレを推進すること。
- 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催にあたり、キャンプ地誘致等の群馬に来県してもらえるような仕掛けを積極的に検討すること。
- 火山の噴火等災害時における観光客への情報発信等の対応も視野に入れた、「観光立県ぐんま」を推進すること。
以上、提言する。
平成26年12月15日
群馬県議会観光・世界遺産に関する特別委員会
群馬県知事 大澤 正明 様