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環境農林常任委員会(農政部関係・平成25年度)
1.開催日時
平成26年3月3日(月曜日)13時41分~16時17分
2.開催場所
403委員会室
3.出席委員
委員長:舘野英一、副委員長:安孫子哲
委員:関根圀男、委員:塚原仁、委員:狩野浩志、委員:茂木英子、委員:水野俊雄、委員:桂川孝子、委員:酒井宏明
4.欠席委員
委員:田所三千男
5.主な質疑
(1)青年就農給付金事業の補正について
塚原委員
大きな額で減額されているが、減額理由等についてはどうか。
澁谷技術支援課長
予算編成時には、就農相談の状況や市町村の要望額を基に積算しているが、給付条件を満たせない場合や給付期間が1年間に満たない受給者がいることから、当初に対して人数、金額とも7割弱となっている。全体的に見ると必要な方に必要な形で支給できていると考えている。
(2)畜産環境整備費の減額補正について
塚原委員
減額の原因と背景についてはどうか。
糸井畜産課長
大きな要因は脱臭装置の整備費補助に関し、前年度から要望があり調整を進めてきた農家があったが、豚価が下落し補填が行われたような状況があり、資金難のために導入を断念せざるを得なかったことによる。
(3)農業環境保全費の減額補正について
桂川委員
放射性物質安全対策事業の減額の内容はどうか。
吉野生産環境室長
農作物の放射性セシウムの吸収抑制のため、カリウム施用を行う事業であり、事業要望時に10市町村であったが、実施は2市村110ヘクタールにとどまった。安全検査の結果では、ほとんどが不検出または基準値を大きく下回っており、事業を実施しなかった地域でも問題はなかった。
(4)農地中間管理機構について
酒井委員
法律が施行されたが、農外企業が農業参入しやすくなるよう手当てされており、地域の農業者が阻害されるなどの問題があるのではないか。
小林構造政策室長
法律制定にあたって、農業者等による協議の場の設置、協議結果の公表などが盛り込まれた上に、機構の事業規程の認可基準などに地域との調和への配慮がなされている。さらに、国が示した機構の業務規程例には、すでに効率的な経営を行っている者への考慮など制度として規模の小さな農業者への配慮がなされている。
酒井委員
産業競争力会議の意見では、地域で頑張っている法人、認定農業者が排除される恐れがあるのではないか。中小農家の切り捨てにならないのか。
小林構造政策室長
機構は、農地利用配分計画案の作成を市町村へ委託することとなっており、市町村は地元の状況をよく理解している。さらに農業者等の情報が集積している農業委員会の意見を必要に応じて聞くこととなっており、決して地域の農業者に不利益を与えるものではなく、切り捨てではない。
酒井委員
規制改革会議の考えが反映されている農地中間管理機構制度には反対である。農地が宅地と同様に金儲けの手段とされてしまう懸念もあり、農地の集積は進まないのではないか。
茂木農政部長
今まで農地の集積は、あまり進まなかったが、安心できる公的な機関として機構が仲介してくれることによって農地集積が進むと考えている。
(5)大雪被害に対する支援策について
安孫子副委員長
倒壊した農業用ハウスを新設する場合の値段はいくらか。
澁谷技術支援課長
ガラスハウスは10アール当たり2,000万円を超える。立ち上がりが鉄骨で屋根がパイプのエコノミーハウスは1,000万円程度、パイプハウスは250~300万円である。
安孫子副委員長
被害を受けた農家から寄せられている意見はどうか。
澁谷技術支援課長
年配の方は辞めたいという声がある一方で、若い人は再建したいという声が多く、県外まで再建用のハウス資材を求めて意欲的に頑張っている。また、県が農業被害特別対策の骨子を出したことで、現場では営農再開に向けての意欲がより高まっていると聞いている。さらに、今回の被害を教訓にして、耐候性強化型ハウスや雪に強い単棟パイプハウスの導入、条件の良い立地への移転などを考えており、営農再開に向けた強力な支援を期待している声が大きい。
安孫子副委員長
被害を受けた農作物の処分はどのようにするのか。また、被害を受けた農作物の処分費は補助対象になるのか。
澁谷技術支援課長
ハウスの倒壊により収穫できずに処分する農作物は、農業系一般廃棄物として処分することになる。
小林構造政策室長
処分費については、現在、国において、検討中である。
安孫子副委員長
死亡畜等の処理費用はどこまでが補助対象となるのか。
糸井畜産課長
死亡畜等の処理については、化製場までの運搬費用と処理費用の支援を検討している。
安孫子副委員長
昨年は竜巻、今年は大雪と想定外の事態が続いており、自然対策への事前の指導や、事前にお金を計上しておくべきではないか。
茂木農政部長
今回の大雪は、事前に想定できなかった反省点はある。今回の災害を教訓として、現在の支援策の検討と併せて、県と市町村との役割分担などについて検討したい。
安孫子副委員長
被害を受けた農作物に対する支援はどうか。
澁谷技術支援課長
農災条例では、被害を受けた農作物の減収補償はできないが、樹草勢の回復や病害虫防除、次期作付けのための種苗費などを手当てし、生産回復に向けて支援していきたい。
関根委員
ハウスの構造によっても撤去費用は異なると思うが、どの程度か。
澁谷技術支援課長
パイプハウスの撤去費用は1平方メートル当たり600円、共済の基準価格では鉄骨ハウスが880円、ガラスハウスが1,200円である。しかし、実際には、基準単価の倍くらいの見積もりも出ており、鉄骨ハウスで10アール当たり150万円、ガラスハウスで300万円程度ではないか。
関根委員
高崎市の木部地区のトマト団地では、ガラスハウスのガラスが割れて、ハウス内のビニールシートに無数の穴が空き、トマトにも破片が刺さるなど、全壊に等しい状況だが、このような農家に対する支援策はどうか。
小林構造政策室長
取り片付け費用、修繕費用は対象となる。ガラスも修繕に必要な資材として対象になる。
関根委員
格納庫が倒壊して農業機械が全壊してしまい、米や麦を作る意欲をなくしている農家もあるが、農業機械についても補助対象になるのか。
小林構造政策室長
耐用年数内の農業機械であれば対象である。
関根委員
被害農家への種苗費補助はどのくらいか。
澁谷技術支援課長
農災条例は、市町村が被害農家を支援した場合にその経費の一部を補助するもので、種苗費補助は7割以上の被害がある場合に対象となる。補助単価については現在検討中であり、今後市町村に示していきたい。
関根委員
撤去費について、業者不足のため、親類等に頼んで自ら行っている農家もあるが、そのような場合も補助対象になるか。
小林構造政策室長
労賃に対する補助については、自分でやった分は対象外であった。
関根委員
今回の被害を受けて廃業したいといっている農家も多く、高齢者はよほど手厚い支援を行わないと相当やめる者が出て、野菜王国群馬を守れないのではないかと懸念している。高齢者に対する支援についてはどうか。
茂木農政部長
どこまでやれるかはわからないが、農業者が営農継続できるような支援策を検討していきたい。
狩野委員
「はばたけ!ぐんまの担い手」支援事業の対象として、解体撤去を自力で行った場合や、農業機械の買換え・修繕も追加してもらいたいがどうか。
茂木農政部長
国庫事業を優先とするが、多方面から検討したい。
狩野委員
国庫対象外の事業を県単独事業で対象とできないか。
宮崎農政課長
「はばたけ!ぐんまの担い手」支援事業では、国庫対象外の部分を拾うこととしており、国庫事業の状況を見て検討していきたい。
狩野委員
被災施設の廃資材を産業廃棄物ではなく一般廃棄物として処理できるよう、市町村と連携してもらいたいがどうか。また、35市町村が同一歩調で対応できるような検討はどうか。
茂木農政部長
市町村部課長会議を開催するなど連携を図っており、役割分担等、総合的に検討したい。
茂木委員
既に支払った経費については、補助対象とならないのか。
小林構造政策室長
現時点では補助対象とならないが、現在、国において検討中である。
茂木委員
融資による支払や、着工した事業についてはどうか。
小林構造政策室長
事前着工は対象と思われるが、詳細は国において検討中である。
茂木委員
意欲のある農家の対応に支援できないのは問題ではないか。
宮崎農政課長
大変問題だと思っており、それ以外にも、いろいろ課題が出てくると思っている。今回の災害は今までと違い、現在も事業について検討をしている状況であり、国に強く申し入れしたい。
茂木委員
資材が不足しており、産業経済部と連携して作れるところに働きかける必要があるのではないか。
宮崎農政課長
元々、消費税増税前で在庫が少ない上、専門の工場でないと、対応は難しい。JA等でも動いており、早期に確保できるよう協力して要請していきたい。
水野委員
今回の大雪が、仮に事前に予想できていたら、どのような指導ができたのか。
澁谷技術支援課長
暖房機の活用等の指導を行うことにより、若干被害が軽減できたとしても、農業被害は発生してしまったと思われる。
水野委員
運転資金や当面の支払いへの支援策はどうか。また、資金繰りに対しては、農業信用基金協会との連携による保証と据え置き期間の長い資金が必要と考えるが、どうか。
井上農業経済課長
今回JAが新たな資金を創設し、県と農業団体が半分ずつ利子補給し、5年間無利子で使え、資金使途を農業の維持・継続に必要な運転資金としており、大雪被害により入らなかった収入も対象としている。さらに、農業信用基金協会が保証料を下げ、JA負担となっているため農業者の負担はない。据え置き期間も2年間とし、期間は施設15年以内、運転資金7年以内としている。
桂川委員
全てを1年間で建て直すのは困難という農家の声があり、補助事業は複数年に渡って実施できないか。
小林構造政策室長
そのような声があるのは承知しており、国に対し要望を上げていきたい。
桂川委員
資材の入手が困難と聞いており、県として資材の入手についてどのような支援ができるか。
宮崎農政課長
県として直接働きかけることは難しいが、JA等と連携しながら可能な限り対応したい。
桂川委員
農機具の修繕については、耐用年数内であれば、補助対象になるということでよいか。
宮崎農政課長
前回は耐用年数を経過したもの、修繕によるものは対象外となっていた。今回はどのような状況かわからないが、情報収集をして、必要があれば国へ要請していきたい。
桂川委員
壊れた農機具格納庫の解体撤去については補助対象になるか。
小林構造政策室長
格納庫の解体にかかる経費についても、ハウスと同様に補助対象になる。
茂木農政部長
国の事業であり、その都度対象要件を指定するもので、県としては要請しており、国の支援が決まり次第、早急に県の支援を検討していきたい。
酒井委員
50パーセントでは十分とは言えず、もっと上乗せしてもらいたいがどうか。また、スピード感が大事だが、もっと早くできないか。
宮崎農政課長
国庫事業については、現行の30パーセントに県・市町村が上乗せして50パーセントの補助率を目指しており、現時点では、個人への資産に対する補助という側面等を踏まえてこの方針を示している。国では補助率の引き上げも検討しており、これらを踏まえ県としても検討した。スケジュール的には、急を要するものについては25年度補正で対応し、それ以外については新年度に予算化する方向で検討しており、基本となる国庫事業の方向性が出た時点で、速やかに予算案をお願いしたい。
酒井委員
今後の先行きに不安を覚えている農家もたくさんおり、末端の農家に情報が届くよう、もっと積極的に情報発信するべきと考えるがどうか。
宮崎農政課長
県の考え方については、先週末の市町村担当課長会議で示し、市町村を通じて伝達している。今後対策が固まったら、情報の周知徹底を図るための手段も検討する。
酒井委員
廃業も考えている農家もあるが、廃業するにしても当面の生活資金が必要である。現に困っている農家に対する生活支援もお願いしたいがどうか。
宮崎農政課長
農業経営をいかに継続していただくかという観点から支援の枠組みを考えざるを得ず、現状では、先ほど説明したある程度幅広く使えるような資金での対応等が考えられる。
澁谷技術支援課長
農家だけを生活保障するという考え方については、なかなか難しい。自然災害による農業被害を補償する制度として、農業共済制度があるが、今のところ園芸施設共済については、加入率が40パーセント余りに留まっている。また、任意共済として建物共済があり、これは農舎も再建価格まで補償されるほか、オプションで農業機械も加入することができる。農家の自然災害によるリスクを軽減していくためにも、農業共済組合と連携しながら、加入推進を図って参りたい。
(6)除雪への対応について
安孫子副委員長
道路の確保は重要であり、県保有の除雪車の整備配置等、県当局同士で連携してもらいたいがどうか。
茂木農政部長
孤立集落の発生や、除雪の早期要望があり、今回のことをよく検討し、課題・教訓として農政部の意見をつないで、県全体で検討していきたい。