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観光振興対策特別委員会(平成25年12月11日)
1.開催日時
平成25年12月11日(水曜日)9時59分~14時38分
2.開催場所
401委員会室
3.出席委員
委員長:南波和憲、副委員長:星野寛
委員:腰塚誠、委員:塚越紀一、委員:塚原仁、委員:新井雅博、委員:舘野英一、委員:岸善一郎、委員:大手治之、委員:酒井宏明、委員:高田勝浩、委員:金子渡
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)富岡製糸場と絹産業遺産群の周辺整備等について
大手委員
富岡、藤岡、伊勢崎、下仁田の世界遺産構成市町の土産物の現状はどうか。
黒澤観光物産課長
世界遺産登録に向け特産品の開発に関してさまざまな活動があるが、一朝一夕に進むものではなく、これといった特産品まで結びつくには至っていない。観光物産課としては、地域の隠れた物産品を掘り起こす観点から、いろいろなバイヤーとのマッチングを試みているところである。
大手委員
何らかの支援をしていく必要があると思うがどうか。
黒澤観光物産課長
富岡市ではシルクブランド協議会以外でも、各業者がシルクを使った製品などを作っている。また、藤岡市では桑の実のジャムを、伊勢崎市でも絹に絡んだ人形を作ったりしているので、それらの販路拡大について支援をしていきたい。
大手委員
著名人とのコラボなど、物品販売に工夫が必要ではないか。
黒澤観光物産課長
物品販売や商品開発については、主に商政課や蚕糸園芸課、産業支援機構が、各事業者にコンサルタントを派遣し、著名人とのコラボを含めて、高付加価値化や顧客満足度向上等の各種アドバイスを行う事業に取り組んでいる。
大手委員
増加する富岡製糸場来訪者に対する安全対策についてどう考えているのか。
松岡都市計画課次長
市街地の交通渋滞や車両と歩行者の混在による安全性の低下が懸念されている。そこで、県では車両及び歩行者を安全に誘導するため、市との役割分担の下、富岡市と交通誘導計画を策定中である。
大手委員
乗用車を誘導する案内板についてどう考えているのか。
松岡都市計画課次長
富岡製糸場には多少遠回りとなるが、沿道に臨時駐車場のある走行ルートを計画している。計画が決まったら市と役割分担の上、看板設置等により的確な誘導を行いたいと考えている。
大手委員
カーナビが駐車場へ誘導するようになると、流れができると思うがどうか。
松浦世界遺産推進課長
カーナビの会社に無料駐車場へ誘導しないよう申し入れをしたことがある。誘導ルートの計画ができ、駐車場が動き始めれば、カーナビの製作会社に申し入れをすることはできると考えている。
大手委員
有事の際の誘導体制等、富岡製糸場内の防災対策については、どうなっているのか。
松浦世界遺産推進課長
富岡市は、平成18年度から「富岡製糸場消防計画」を策定しており、計画に基づき自衛消防隊の編成表を作成し職員に担当業務を割り当てるとともに、毎年計画を更新している。また、年に一度、通報訓練、避難誘導訓練、初期消火訓練を実施しているおり、職員に徹底が図られている。
大手委員
4資産周辺のトイレ整備の現状については、どうなっているのか。
松浦世界遺産推進課長
富岡製糸場は、乗用車の駐車場3ヶ所に設定している。また、文化庁と協議して、今後、製糸場内にバリアフリートイレを設置する予定である。田島弥平旧宅は、今年度、駐車場にあった簡易トイレを、観光物産課の千客万来事業を利用しきちんとしたものとする予定である。高山社跡は、今後、管理棟と併せてトイレ棟を建設する予定である。荒船風穴は、今年度拡大した駐車場に仮設トイレを設置している。また、下仁田町では神津牧場経由の観光ルートを検討しており、そちらの駐車場の整備状況に応じてトイレを整備していく予定と聞いている。
岸委員
田島弥平旧宅における案内標識などの設置はどうなっているのか。
松浦世界遺産推進課長
見学者を適切に誘導できるよう、市と協力して案内標識の設置について検討を進めている。また、田島弥平旧宅については、その景観と環境を維持しながら、かつ誘客に努めることを考えている。桑畑や眺望点を作るなど工夫をしていきたいと聞いている。
岸委員
田島弥平旧宅は個人所有であり、所有者が居住しているが、プライバシーに配慮した見学者対策はどうなっているのか。
松浦世界遺産推進課長
基本的には外観のみの見学と標示もしているが、時間と見学場所を定めて屋内も見学できるように田島氏の協力により市で計画している。
岸委員
田島弥平旧宅と高山社跡における見学ガイドの配置はどうなっているのか。
松浦世界遺産推進課長
県では解説指導員を昨年度から各資産に2名ずつ配置している。さらに、田島家については、近くに解説員が常駐するような場所をつくり、駐車場からそこを訪ね、解説を聞いたうえで現地を観る、必要があれば解説員が同行するという体制をとっている。
岸委員
荒船風穴は山の中であり、案内も大変だと思うがどのように対応しているのか。
松浦世界遺産推進課長
資産価値の説明と危険防止のため、下仁田町では日中、職員1名を配置しており、来年度も同様に考えているようである。
(2)「観光」に対する考え方について
塚越委員
地元の人が地元の良さを知り、観光客をもてなす意識を持つことが大事だと思うがどうか。
黒澤観光物産課長
地元の人が観光客を大切にすることは非常に大事である。「大したものがない」で終わってしまうか「大したものはないけど、自分ならばここを観る」、「あそこでこれを食べる」などと情報を付け加えることで観光客の満足度は上がるものと考えている。
群馬DCを契機におもてなしの機運が県内に広がったと認識しており、市町村や地域が行うおもてなし意識の向上に係る取組を引き続き支援していきたい。
塚越委員
観光はあれもこれも、ということではなく、何か柱になるものがないと県外に訴える力が弱くなってしまうと思うがどうか。
黒澤観光物産課長
群馬から遠い地域ほど、誘客には柱となる観光素材が重要になってくる。大阪と名古屋に事務所があるが、当該地では草津や尾瀬、吹割の滝などが人気である。柱となる素材があり、その周辺の観光地を周遊してもらうことが大切であり、こうした点をしっかり認識し、市町村や地元と連携して県外に向けた観光情報の発信に取り組んでいきたい。
(3)ググっとぐんま観光キャンペーンの状況について
塚原委員
ググっとぐんま観光キャンペーンの状況について、10月は二つの台風などの影響により対前年同期比100.6%ということだが、県としてはこれまでの状況をどのようにとらえているか。また、目標達成にむけたこれまでの取組状況はどうか。
黒澤観光物産課長
10月は台風や週末の天候不良の影響で入込客数が伸び悩んだ。中止になったイベントもあったが、隔年開催の中之条ビエンナーレが全体を牽引した。
キャンペーンについては、市町村や観光協会などと一体となって取り組んでいる中、主な仕掛けづくりとして、インターネットを活用した宿泊旅行の促進策に取り組んだ。「楽天トラベル」のサイト内に「群馬コーナー」を設け、キャンペーン期間中に、このコーナーから予約し、県内の旅館やホテルへ宿泊した方を対象に、抽選で2千人に2千円分の電子クーポンを提供するものである。
キャンペーン周知策としては、首都圏のJTBや近畿日本ツーリストなど大手旅行代理店を直接訪問して本県への誘客を依頼するとともに、JRの主要駅や高速道路のSA・PAで誘客キャラバンを実施した。
また、テレビ、ラジオ、雑誌などのメディアと十分連携して集中宣伝を行ったほか、主要宣伝物である情報誌「ググっとぐんま」や、「富岡製糸場と絹産業遺産群」を核として県内周遊観光を促す「ガイドブック」の配布、キャンペーンポスターの掲出、公式ホームページにおける情報発信など、あらゆる手段を活用して群馬への誘客に取り組んでいる。
塚原委員
10月の速報値発表後、目標値までは遠いということで、11月、12月に予定しているイベント等について地域と話し合っているのか。
黒澤観光物産課長
10月の速報値発表後、今後の対策会議のようなものは行っていないが、地域との連携を進めていきたい。
(4)観光拠点駅等のバリアフリー化とビジタートイレの整備について
塚原委員
観光客の誘客にあたり、施設利用者の多い駅や観光拠点駅のバリアフリー化の推進やビジタートイレの整備等、今年度の取組状況や整備状況はどうか。
黒澤観光物産課長
平成15年度から「ぐんまビジタートイレ認証制度事業」に取り組んでおり、平成 25年12月現在で143カ所のトイレを認証している。
今年度末にビジタートイレとしておおむね50~70カ所程度を追加認証する予定である。
関口交通政策課次長
国は「バリアフリー法」に基づく基本方針で、「平成32年度までに1日当たりの利用者数が3,000人以上である鉄道駅のバリアフリー化」を実施することを目標に定めている。
平成25年度は、新幹線の高崎駅と上毛高原駅に内方線付き点状ブロックを設置している。
塚原委員
国の基本方針の目標である3,000人以上の駅について、本県の整備状況はどうか。
関口交通政策課次長
本県には対象となる駅が18駅あるが、現在までに13駅で段差解消、誘導ブロックの設置、障害者対応型トイレの設置が完了している。残りの5駅を優先的に整備していく必要があると考えているが、3,000人未満の駅についても観光拠点又は地域の交通拠点となっている駅については、事業者及び市町村と連携して必要性等を総合的に勘案しながら検討していきたい。
塚原委員
和歌山県ではすべての公衆トイレを温水洗浄便座(ウォシュレット)にするとのことであるが、本県の考えはどうか。
黒澤観光物産課長
不特定多数の利用者がいる観光地のトイレでは、ウォシュレットは、跳ね返りが多く清掃が行き届かないなどメンテナンスが難しく不潔になりやすい。温水洗浄便座を整備していく市町村に対しては連携して支援していきたいと思うが、義務づけるというのは難しい状況である。
塚原委員
温水洗浄便座付きトイレは観光客にとどまらず、障害者や妊婦などにも歓迎されると思われる。清潔を保つためには地域の方との連携も必要であると思うが、おもてなしの一環として前向きに考えてもらいたいがどうか。
黒澤観光物産課長
すべてのビジタートイレにウォシュレットを義務づけるのは難しいと考えているが、整備しようとする市町村や地元に対しての支援は行っていきたい。
(5)グリーン・ツーリズムについて
金子委員
グリーン・ツーリズムについて、民間企業が行っているレンタル農園等の事業は、流入人口の増加にとどまらず、観光に結びつくと思うがどうか。
飯塚農村整備課長
企業が地域に入って、地域と外部のつながりをつくることは観光に有効である。また、グリーン・ツーリズムの観点から、外部の力を導入して農村地域の活性化を図ることは大変重要なことだと考えている。
金子委員
農村地域の活性化に役立つということで、国でも補助制度等を設けているが、規制等の問題があり進んでいないのが現状である。県としてこうした民間企業の事業をどう活動するのか。
飯塚農村整備課長
民間が行う事業に対するハード支援は難しいが、地域の農業者と協働で実施する場合には、支援の可能性がある。また、農村地域の活性化につながることもあるため、ソフト支援としては、県のホームページやパンフレットで紹介すること等が考えられる。
(6)メディア戦略について
新井委員
観光誘客にはメディア戦略が有効であり、徹底したメディア戦略を図り、群馬県に訪れる人口を増やすことが重要だと思う。積極的なメディア活用が観光振興の基本だと考えるが、現状の取り組みと今後の考え方はどうか。
黒澤観光物産課長
メディアの影響力は大きい。テレビで放送されると1週間は電話が鳴りっぱなしという話も聞く。
県は、ラジオについては、観光大使の井森美幸さんがMCを務めるTBSの番組に対して、スポンサーとなって、観光情報を発信している。テレビについては、群馬県観光物産国際協会にメディア戦略を委託し、旅番組を中心としてタイアップして放送してもらうという事業を行っている。
新井委員
メディアへの費用負担額はどのくらいか。
黒澤観光物産課長
ベロタクシーで温泉地を巡った番組は50万円の費用負担である。
費用負担額については、それぞれの番組、県の関わり方等で異なり、負担額は一定ではない。しかし、インセンティブとしての費用負担があったからこそ、群馬へのメディア誘致ができたと考えている。
(7)外国人観光客の受け入れ体制について
酒井委員
外国人観光客の受け入れ体制を整えるために、施設やホテルの従業員の語学力の向上や、モチベーションを高める活動が必要で、そのためには補助金なども必要と思う。語学力向上のための啓発等についてどのように取り組んでいるか。また今後の方針はどうか。
黒澤観光物産課長
外国人観光客の受入体制の整備は、重要であると考える。
外国人観光客の受入にあたってそれぞれが努力しているが、支援できることを支援していきたい。例えば、市町村等が行う、外国人観光客を受け入れる為のマナー講座等の取組に対して連携して取り組んでいきたい。
酒井委員
ホテルや旅館の館内標示に何カ国語を表示すべきかなど、外国人観光客受入れが進んでいるモデルケースを県が示すと良いと思うがどうか。
黒澤観光物産課長
県では、外国人観光客の受け入れのために、施設内の標記やマナー、指さし会話帳等を掲載した「外国人観光客受入マニュアル」を作成し、各施設に提供している。多くの外国人観光客を受け入れ、多言語対応を進めている地域もあるので、連携して他地域への普及も進めたい。
(8)富岡製糸場と絹産業遺産群の周知方法について
酒井委員
富岡製糸場と絹産業遺産群について若い人へのアプローチ、特に修学旅行の誘客についてどう考えているのか。
松浦世界遺産推進課長
東京から軽井沢を訪れる小学5、6年生の修学旅行をターゲットにして、資料を作成中であり、誘客を行いたいと考えている。
酒井委員
世界遺産登録は、若い人が近代の歴史について学ぶきっかけになる。観光というだけでなく教育の観点からの普及活動も重要であると思うがどうか。
松浦世界遺産推進課長
近代化遺産を含め、県内には若者の学習にとって有益なものがたくさんある。また、近代は群馬県自体が飛躍した時代でもあるので、教育関係部門とも連携しながら取り組んでいきたい。
(9)ぐんま山の日について
酒井委員
国において、8月11日を山の日として制定するようであるが、ぐんま山の日との関係をどのように捉えているのか。群馬県としては、今後この日を中心にイベント等を行うなど、どのように考えているか。
須藤尾瀬保全推進室長
平成22年の全国育樹祭を契機として、10月を「ぐんま山と森の月間」とし、各種イベントを実施しているところであるが、現在、国で制定が検討されている山の日は、8月であると聞いているので、県で秋に実施しているイベントのうち、8月に実施できるものがあるかどうか、環境森林部として検討していきたい。
(10)世界遺産の税負担について
高田委員
田島家は個人所有であるが、世界遺産登録になった場合の地方税の税負担の軽減について、何か考えているのか。
松浦世界遺産推進課長
国指定重要文化財の場合は、税に係る軽減措置があるが、田島家は国指定史跡である。
高田委員
史跡として維持していくための税負担は大変だという話を聞く。今後考えていくということはあるか。
松浦世界遺産推進課長
税的優遇については、今後、他の史跡の事例を参考に研究していきたい。
(11)観光情報の発信の仕方について
高田委員
観光情報誌を少しでも長い時間手元に滞在させる工夫が必要であると思うが、一方で、情報をどれだけ詰めこむかという考え方もある。紙媒体の作成についての考えはどうか。
黒澤観光物産課長
今回の観光情報誌の作成に当たっては、群馬の良さを伝えるために、はじめに、雪とスノーリゾートをしっかり紹介し、次に期間中の各イベントを紹介する手法をとった。
高田委員
紙にはどうしても限界がある。スマートフォン等のICT対応の状況はどうか。
黒澤観光物産課長
観光に行く事前調査は紙媒体が有効、出かけてからはスマートフォン等による情報提供が大切と考えている。