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観光振興対策特別委員会(平成25年6月10日)
1.開催日時
平成25年6月10日(月曜日)10時02分~13時51分
2.開催場所
401委員会室
3.出席委員
委員長:南波和憲、副委員長:星野寛
委員:腰塚誠、委員:塚越紀一、委員:塚原仁、委員:新井雅博、委員:舘野英一、委員:岸善一郎、委員:大手治之、委員:酒井宏明、委員:高田勝浩、委員:金子渡
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)外国人観光客の観光実績等について
腰塚委員
円安の影響もあって日本に来る外国人観光客が増加しているが、群馬県への観光客の入り込み状況はどうか。
黒澤観光物産課長
本県の観光客入込客数は、最新のデータは昨年8月3日発表の平成23年度版であるが、観光入込客数は、5,881万人(前年度比1.7%減)、観光消費額は1,853億円(前年度比3.2%減)である。
外国人に関する直近の状況であるが、観光庁から全国の状況について92万人という数字が出されているが、群馬県分は承知していない。2012年の外国人観光客の入込状況は、56,230人泊。うち台湾からが、22,670人泊、中国が6,500人泊、韓国が4,920人泊、米国が3,840人泊、香港が6,020人泊となっている。
腰塚委員
群馬に泊まって遊んで東京で買い物をするのではなく、高崎周辺の量販店などに免税店を設けるなどして、外国人観光客が本県内で金を落とす仕組みが必要と思うがどうか。
黒澤観光物産課長
ヤマダ電機では、免税コーナーを設けている。外国人観光客について、旅に物語性を持たせたり、東京のマスコミが知らない地元ならでは情報を提供するなどして、再訪や滞在をしてもらい購買の向上につなげていきたいと考えている。
塚原委員
日本人の宿泊客数は全国で16位であるのに対して、外国人は31位である。この結果についてどのように総括をしているか。
黒澤観光物産課長
表示板・案内板、観光地における外国語対応などについて、群馬県では取組が不十分だったと感じている。現在、「外国人観光客受入マニュアル」などを作成し、取り組んでいるところである。
塚原委員
はばたけ群馬観光プランにおけるアンケートでは、半数の事業者が外国人観光客の受け入れが必要としながらも、実際は8割で取組が進んでいないと回答している。この状況をどう考え、どう取り組むか。
黒澤観光物産課長
国内旅行の増加がそれほど期待できない状況であり、外国人観光客の受入れが必要だとは考えているが、国内観光客の受入れに頼る現状から変われないということがあるものと思われる。県としても、外国人観光客の受入れは重要な施策と考えているので、受入れ体制の整備を図っていく。
塚越委員
国はビジットジャパンキャンペーンを行ったり観光庁を作ったりしてきた。本県は、茨城空港、栃木の那須・日光、ちょっと足を伸ばせば新潟もあり、立地にも恵まれているなど、可能性は無限大である。そのような認識をもって観光振興に取り組むことが県の利益につながると思うがどうか。また、「はばたけ群馬観光プラン2013-2015」では、宿泊者数については、875万人を928万人に、外国人宿泊者数については、49,000人を100,000人にするという目標が掲げられているが、東南アジアの国々が発展している状況を考えれば、決して無理な目標ではないと思う。このような目標はどのように設定したか。
黒澤観光物産課長
国内観光旅行が右肩下がりであり、外国人観光客の受入れは重要な課題である。外国人観光客の受入れについて、体制整備をはじめとする取り組みを続ける。特にリピーター率の高い、東アジア地域をメインターゲットに宣伝活動等を行っていく。また、外国人宿泊客10万人泊というプランの目標設定は、東アジアからの来日状況等のプラス要素を加味して設定した。
塚越委員
観光は裾野が広いということに対する認識はどうか。
安藤観光局長
観光は裾野が広い産業であり、本県の雇用機会の増大、産業振興の上からも、重要であるとの認識のもと、取り組んでいく必要があると考えている。
(2)世界遺産関連の観光について
腰塚委員
世界遺産関係について、訪問者が面白いと思うような仕掛けが必要だと思うがどうか。
黒澤観光物産課長
世界遺産関連の観光については、ググっとぐんま観光宣伝推進協議会の中に、市町村や関係団体を構成員とした「世界遺産等観光推進部会」を設置しており、相談窓口も当課で担当している。各市町村では、仕掛けを含めた取組を行っているので、要望をよく把握してしっかり対応していきたい。
腰塚委員
要望を聞くのは大事だが、待っていては間に合わなくなることもある。思い切った考え方で取り組んでほしいがどうか。
安藤観光局長
早急に支援をしないと間に合わなくなる、というケースもあり得るので、市町村としっかり情報を共有して進めていきたい。
舘野委員
富岡製糸場について、保存のための世界遺産ということもあり全体的に地味な印象を受ける。もう少し地元産品の商品化や、おみやげの開発などを行った方が、魅力が高まり、リピーターも増えると思うがどうか。
黒澤観光物産課長
リピーターを確保するためには、仕掛けづくりが必要だと考えている。世界遺産候補構成市町だけの取組にまかせるのでなく、周辺の魅力と組み合わせて、リピートにつながるしくみにつなげていけるよう、地元市町村と連携しながら、取組の支援を行っていきたい。
大手委員
富岡製糸場のガイドについて、外国人向けのものにはどのように取り組んでいるか。
松浦世界遺産推進課長
富岡市では、英語の解説員の養成に既に取り組んでおり、また、ipod touch(アイポッド・タッチ)を利用した多言語(日、英、仏、中、韓)解説の機材の貸出しを行っている。
酒井委員
東京などの首都圏からの誘客について、「富岡製糸場と絹産業遺産群」や「日本絹の里」を巡るツアーを組んでもらうなど、旅行エージェントとの連携を考えているか。
黒澤観光物産課長課長
ググっとぐんま観光キャンペーンの取組の中で、旅行エージェントなどへ営業強化の一つとしての観光説明会を実施するが、素材提供などを通じて紹介していきたい。
金子委員
「富岡製糸場と絹産業遺産群」を見た後、広域で観光するためにはどのようなルートやモデルがあるのか、西部県民局を中心として考えていくことで連携が進むと思うがどうか。
黒澤観光物産課長
富岡製糸場と絹産業遺産群を核として更なる観光誘客を図るため、部会を立ち上げた。今後、一層の各機関や地域機関との連携を図っていきたい。
(3)海外ぐんまサポーターズについて
塚原委員
海外展開を行う際に、海外ぐんまサポーターズに協力をいただいているということであるが、現在の活動状況はどうか。
向田国際戦略課長
海外ぐんまサポーターズは、現在、上海、シンガポール、台湾の3地域の群馬県人会等に委嘱しており、現地の経済情勢の情報提供、講演会の講師、現地観光展での本県PR等に協力いただいている。
塚原委員
今後、韓国や香港など新たな地域で、海外ぐんまサポーターズの設置は検討しているか。
向田国際戦略課長
群馬県人会等何らかの組織がある地域については海外ぐんまサポーターズの設置も検討することとし、それ以外の地域では現地のキーマンを通じた観光PR等を進めることとしている。
(4)ぐんまのいいとこ伝え隊について
塚原委員
ぐんまのいいとこ伝え隊について、活動状況と成果はどうなっているのか。
向田国際戦略課長
ぐんまのいいとこ伝え隊は、外国人留学生を活用して本県の魅力を海外にPRすることを目的に平成24年度から開始し、県内観光地の体験ツアーを6回実施したほか、ブログ等の情報発信を82回行った。平成25年度は、外国人留学生の人数を増やして情報発信力を高めるとともに、最終的には本県のPRに関する提言をまとめてもらう予定である。
塚原委員
今年も新規で募集をかけているが、募集人数はどうなっているか。
向田国際戦略課長
ひとつのバスでツアーに行くので20名くらいがいいだろうと、昨年は留学生10名、日本人10名で募集をした。しかし、情報発信に力を入れるため、今年度は、留学生15名、日本人5名で募集をした。留学生3人に日本人一人で5つのグループを作り、情報発信や県内観光、国際化施策に対する提言をしてもらうことを考えている。
(5)ぐんまの観光に対するイメージについて
舘野委員
これからはスポーツや文化も観光の大きな目的となってくると思うが、これからの群馬県の大きな「売り」について、どのように考えるか。
高橋産業経済部長
群馬県には温泉、多様な自然、標高差3,000メートルの地形などがあり、首都圏からわずか100キロメートルの位置に、非常に多様な魅力を持っている。また、先日も渋川で貴重な遺跡が発見されたように、歴史文化遺産にも恵まれている。そのほか、これまでDCやキャンペーンで取り組んできたとおり、さまざまな「体験」も提供できる環境である。「売り」としては、草津温泉など非常に有名なスポットもあるが、群馬県全体として「見て、聞いて、触って、体験して」いただくことを売り出して、お客様に喜んで帰っていただけるようにしたい。
(6)グリーンツーリズムについて
舘野委員
グリーン・ツーリズムについて、都市と農村の交流に取り組んでいる内容や受入体制はどうか。
女屋農村整備課次長
取り組みとしては、市民農園、田植え・稲刈り等農作業への参加、学校教育における農作業体験、農産物の直売、伝統行事への参加、農産物を加工した郷土料理などを提供するもので、都市と農村の交流を図るため県内各地で受け入れている。
舘野委員
ヨーロッパでは、バーベキューやスポーツなどをやりながら楽しむクラインガルテンが主流であるし、他県でも取り入れているところが多い。グリーン・ツーリズムにおいて長期的な滞在が可能となるような取組についてはどうか。
女屋農村整備課次長
農産物直売所での買い物、観光農園でのもぎとり等を契機とし、地域で加工した食材の提供など地域資源の掘り起こしを行い、長期的な滞在に繋がるよう今後も市町村と連携を図っていきたい。
(7)渡良瀬遊水地の観光振興について
舘野委員
昨年、渡良瀬遊水地はラムサール条約に登録された。これまでも毎年100万人の観光客があったが、登録後は2~3割の増加が見込まれている。今後、県としての観光振興の取組についての考えはどうか。
黒澤観光物産課長
地元市町村と連携しながら、回遊できてお金が落ちるような取り組みを支援していきたい。
(8)仏光山について
岸委員
水沢に台湾仏光寺の別院の建設が計画されているが、昨年12月、知事トップセールス時の台湾の仏光山訪問の状況はどうか。
安藤観光局長
仏光山への訪問は、ショッピングモールやレストランを併設する観光施設としての状況を視察した。仏光山は、台湾でも多くの観光客を集めており、別院がどのような施設になるのかは承知していないが、同じような施設ができるとすれば、多くの観光客が訪れることを期待できる。
岸委員
最近、台湾から関係者が来県したが、その時の状況はどうだったか。
安藤観光局長
来県された星雲大師は観光に対して理解のある方で、地元の要望に添ったものにしていきたいとのことだった。別院が建設されれば、多くの観光客が訪れることが期待されるので、地元が取り組む受入体制整備について支援を行う。
(9)富岡製糸場と上信電鉄との連携について
大手委員
富岡製糸場へは車以外の来客者も想定されるが、鉄道利用者の集客に向けて、上信電鉄との連携についてはどうなっているのか。
松岡都市計画課次長
上州富岡駅利用者が、駅から富岡製糸場まで安全に到達し、まちなかを回遊したり散策しやすくなるような歩行者動線について、県と富岡市そして上信電鉄と連携して整備を行っている。また、駅前広場整備や駅舎の改築についても進めており、新たな駅舎には、交流スペース、インフォメーションスペースなどの新たな交流機能・情報発信機能も付加して、富岡製糸場への玄関口として整備を図る予定である。
大手委員
乗用車やバス用の駐車場の整備はされているが、鉄道利用者への対応がどのようになっているか伺いたい。
関口交通政策課次長
上信電鉄では、高崎駅-上州富岡駅間の往復乗車券と富岡製糸場の見学料がセットになった割引乗車券を販売し、観光客の利用促進を図っている。また、富岡製糸場だけではなく広く沿線を観光していただきたいと考えており、上信電鉄、県及び沿線市町村が連携して各駅のトイレ整備を進めている。平成25年度は、5駅のトイレについて水洗化を行う予定である。
(10)富岡製糸場と教育関係との連携について
大手委員
小中学生に富岡製糸場について勉強してもらうための教育関係との連携について現状どうなっているか。
松浦世界遺産推進課長
富岡市では、富岡製糸場を市内の小中学校の生徒に見学してもらうプログラムを行っていると聞いている。富岡市以外の市町においても、授業で資産見学などに取り組んでいる。
(11)世界遺産登録に向けた取り組みについて
大手委員
オリンピック招致で行っているような、応援バッジなどを作成し、気運を高めるということもあると思うがどうか。
高橋産業経済部長
知事も登録には力を入れている、提案の趣旨にそって検討したい。
酒井委員
登録に向けて、絹産業の関連資産のある近隣自治体との連携については、どのように取り組んでいるか。
松浦世界遺産推進課長
先月、横浜シルク博物館と日本絹の里が連携して企画展を行ったが、当課職員も世界遺産伝道師と参加してPR活動を行った。また、関連資産のある近隣自治体と連携したバスツアーなども企画している。
新井委員
来月か再来月にはイコモスの審査員が来るということであるが、イコモスの現地調査に対してはどのような体制・対応を考えているか。
松浦世界遺産推進課長
今夏8月末から10月までの間に行われるイコモスの現地調査については、万全の体制で対応できるよう、文化庁と協議をしながら、資料の作成や説明するコース設定などの準備を行っているところである。また、地域の方々が取り組んでいる推進活動などについては、調査員に対し紹介をしていきたいと考えている。
(12)富岡製糸場周辺のバス路線について
酒井委員
富岡製糸場へのアクセスという観点から、周辺のバス路線を充実させるべきと考えるがどうか。特に、磯部温泉と富岡製糸場を結ぶバス路線を走らせてはどうか。常設が難しいのであれば、週末に走らせるなどの工夫をしてはどうか。
関口交通政策課次長
富岡製糸場への路線バスについては、富岡市の乗合タクシーを上州富岡駅から利用できる。温泉地と観光地を結ぶ路線バスも検討すべき課題であるが、需要が見込める路線については、バス事業者が独自に運行している。交通政策課では、県民の日常生活のためのバス路線を確保することに取り組んでおり、その中で、観光目的に利用できるものについて利用していただいている状況である。
(13)富岡製糸場の耐震化について
酒井委員
富岡製糸場について耐震化の取組について、主な建物の耐震診断の状況と今後計画どうか。
松浦世界遺産推進課長
富岡製糸場の主な建物については、平成22年度までに耐震診断を行っており、震度5弱程度までなら耐えられるだろうとの調査結果が出ている。また、最も見学者が多い東繭倉庫については、耐震力を増す工事を実施済みで、震度6弱程度まで耐えられるようになっている。
酒井委員
耐震対策に係る費用負担はどのようになっているか。
松浦世界遺産推進課長
耐震対策については、国の重要文化財に対する事業として実施しており、その負担割合は、国50%、県25%、市25%となっている。
(14)富岡製糸場と絹産業遺産群について
新井委員
富岡製糸場を世界遺産にするためのストーリーにおいて大切な他の3つの遺産に対しても、行動や思いを傾注していくことが必要である。富岡製糸場以外の構成資産に対する取組について、どのように考えているか。
松浦世界遺産推進課長
「富岡製糸場と絹産業遺産群」は製糸場だけでなく、他の3資産と一体となって、その価値があると考えているので、市町や民間団体と協力しながら、様々な取り組みの支援を行っている。富岡製糸場については、先行して推進活動に取り組んできた経緯もあるので、整備などが進んでいるが、他の資産についても最大限支援をしていきたい。
依田道路管理課長
富岡製糸場周辺については、富岡市と協調して整備を行っている。また、荒船風穴は、牧場から降りる道路について、今までは正式な道路でなかったが、最近、下仁田町の道路になったので、町と協議しながらアクセス道の整備を検討していきたい。
(15)ググっとぐんま観光キャンペーンについて
酒井委員
これまでは夏の間行われてきたが、今回は、なぜ10月~12月の秋にキャンペーンを実施することとなったのか。
黒澤観光物産課長
地元の観光事業者等にアンケートを取ったところ、秋の期間への実施要望が一番多かったため、平成25年度は秋に実施することとした。
酒井委員
重点方針として、世界遺産関連のPRと近県との連携が上げられているが、この近県との連携というのは具体的にどのようなことか。
黒澤観光物産課長
一般的な観光客は、県域にこだわらない。富岡製糸場と絹産業遺産群の構成資産を見ると、例えば、田島弥平旧宅は、利根川を超えており、深谷市側にあり、渋沢栄一記念館がある。このようなところと連携することがより魅力を高めるのではないかと考えている。
酒井委員
今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」は群馬も関係がある。富岡製糸場と絹産業遺産群のPRとともに、大河ドラマに関連させた取組が重点的に行う必要があると思うがどうか。
黒澤観光物産課長
新島襄ゆかりの地である安中市とも協力しながら、県としてもPRなどで支援していきたいと考えている。
金子委員
群馬県は面積が広く、地域によって観光の売り出し方、打ち出し方が異なるのでエリアに分けているというのは分かるが、エージョントは、例えば榛名エリアというとらえ方をしている。県が設定しているエリアを超えた連携をしっかりしないと、富岡製糸場の後みんな軽井沢に行ってしまうという事態になるのではないかと心配している。エリアを越えた連携について、どのような取り組みを行っているか。
黒澤観光物産課長
ググっとぐんま観光キャンペーンの実施主体である推進協議会には、県民局単位の地域部会のほか、全市町村や県民局を対象とした会議を設けており、情報共有を行っている。地域間の連携は、非常に重要と考えており、その中で取り組みを検討して実施していきたい。