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社会基盤づくり特別委員会(平成25年6月10日)
1.開催日時
平成25年6月10日 10時01分~16時09分
2.開催場所
402委員会室
3.出席委員
委員長:中沢丈一、副委員長:萩原渉
委員:橋爪洋介、委員:伊藤祐司、委員:茂木英子、委員:井田泉、委員:須藤和臣、委員:後藤克己、委員:井下泰伸、委員:桂川孝子、委員:藥丸潔、委員:小川晶
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)北陸新幹線の延伸による経済効果について
橋爪委員
北陸新幹線の延伸による大きな経済効果を、群馬県はどのように活かしていくのか。
鬼形企業誘致推進室長
本県としては独自の経済効果は把握していないが、観光やビジネスで首都圏と北陸地方の人の動きが活発になり、本県への観光客も想定されるところである。企業誘致の観点からは、北陸には機械金属系の企業が多いため、重点営業地域と位置付けて、名古屋事務所と連携しながら営業活動を展開する予定である。
(2)企業の県外出身者との意見交換について
橋爪委員
企業の支店長クラスの方々は県外出身者が多いので、こうした人たちの外部目線を知恵として与えてもらうため、懇談会を設けてはどうか。
鬼形企業誘致推進室長
県外出身者の活用については、産業経済部では平成19年度に行政事務所と連携し、立地企業の工場長を集めて「立地企業懇談会」を開催した。これ以外にも、通常の企業訪問の中で工場長や管理部長などの責任者と接する機会が多くある。こうした方々にお集まりいただき御提言をいただくことは、大変意義深いものと考えており、今後、前向きに検討したい。
(3)公共交通について
橋爪委員
多くの人が車社会に依存している中で、今後どのように公共交通を活用していくのか。
笹森県土整備部長
現在のバス路線と鉄道の利便性をもう少し向上させることが必要で、これ以上路線数が減ると交通弱者の足の確保を社会的に負担しなければならなくなる。そういう観点から、今あるものを減らさないことが大事であるし、そこに客が乗れるようなまちづくりも必要で、これには20年から30年かかると考えられるが、着実に施策展開していくことが大切である。
伊藤委員
現在のデマンド交通は中山間地域が中心となっているが、郊外型の住宅団地でも高齢化による交通弱者や買い物難民が出てきていることから、都市部への導入も検討してはどうか。
樋口交通政策課長
都市部の住宅団地への導入については、利用数が多くなると小型車両のため、車両と人員を増やさなければならず、かえって経費がかさむ。また、バスやタクシーなど既存の公共交通との兼ね合いなどの課題がある。まずは運行主体の市町村が、その地域の需要や公共交通の状況等を踏まえ、導入を考えていくべきものと考えている。県では、市町村担当者との勉強会などを通して、市町村を支援していきたい。
井下委員
JRの利用客が減っている一方で、車の利用者が増えている。高齢化が進んで車を利用しづらくなったときに、どういうまちづくりをするべきか考えていかなければならないが、特にJR両毛線の前橋、新前橋駅間の複線化によって期待できることは何か。
樋口交通政策課長
北陸新幹線の金沢延伸や東北縦貫線の開通により、高崎駅の拠点性は向上するが、県としては、高崎市と前橋市が一体となって発展していくことが望ましいと考えている。そのためには、首都圏主要都市と前橋との連携強化が重要であり、その延長線上にJR両毛線の複線化があると考えている。
井下委員
複線化が困難な点は何か。
樋口交通政策課長
平成9年11月の県、前橋市、高崎市、伊勢崎市、JRとの「両毛線の活性化確認書」の中では、「今後の輸送需要の動向を勘案してJRが取り決めを定める」としているが、当時から現在まで新前橋駅及び前橋駅の利用者は横ばい状態であり、複線化の実現に至っていない。これまで県は、沿線自治体と協力してJR両毛線の利用促進に向け、新駅設置等に取り組んできたが、利用者は思うように増えておらず、このような大規模事業への投資にJRは慎重である。
井下委員
複線化の費用を試算して、今この時点で、議論の根幹となるものを作るべきではないか。
樋口交通政策課長
JRからは「100億円を超える投資」という発言があったが、詳細な設計をしたものではない。これから10年、20年後を見据えた中で事業費の積算は必要と考えるが、JRの想定する利用状況に届いていないのが現状である。
須藤(和)委員
伊勢崎駅における東武伊勢崎線とJR両毛線の高架化が進んでいるが、相互乗り入れについては、技術的に可能か、コストはどの位か、国の補助制度はどうなっているのか。
中島都市計画課長
相互乗り入れになった場合、2つの独立した高架を結ぶことは技術的には可能と判断しているが、詳細な構造はJRと東武の協議が必要となるので「確実にできる」ということにはならない。費用については、相互乗り入れになった場合の両社の運行システム、電気・通信関係にどのような影響があるのか県では判らないため、把握していない。国の補助制度については、現時点では適用できるものがない。
須藤(和)委員
公共交通は素晴らしいものなので、いいものを作れば、顧客が帰ってくる可能性は十分ある。東毛と前橋、高崎を公共交通でうまく接続することが当委員会の思いであると思うが、部長の所見はどうか。
笹森県土整備部長
鉄道側は顧客が増えないと動きにくいと思うが、社会実験等を通じて潜在顧客が把握できれば動いてくれるのではないか。先にインフラを作るのか、潜在顧客を調査の上でやるのか、どちらのやり方もある。我々としては、より県民に納得いただける施策ができればと思う。
藥丸委員
今後、県としてどのように公共交通の利用者を増やそうと考えているのか。
樋口交通政策課長
公共交通を維持していくことが課題である。バスについては、平成23年度から市町村担当者と勉強会を開催し、バス利用を増やす取り組みを検討している。鉄道については、昨年度、鉄道事業者や市町村を含めた「群馬県鉄道網活性化連絡協議会」を設置し、駅の利便性向上を主眼において利用者確保の検討をしている。
(4)バックアップ機能誘致について
橋爪委員
バックアップ機能誘致については、総合政策室と産業政策課企業誘致推進室とが連携して取り組んでいると認識しているがどうか。
加藤総合政策室長
バックアップ機能誘致については、総合政策室で全体の企画立案、行政機能のバックアップ誘致を行っており、産業政策課企業誘致推進室で民間企業の誘致を行っている。
須藤(和)委員
国土強靱化基本法案が国会に提出されたが、これが制定された折りには、本県としてどう対応するかシミュレーションし、本県をアピールする準備が必要だと思うがどうか。
加藤総合政策室長
平成23年11月にバックアップ機能誘致協議会を設立し、それを核に官民協働で誘致活動を行い、本県の優位性をPRしているところである。政府の最終方針ではないが、中央防災会議のワーキンググループが「大規模災害時の業務継続は東京圏内で行うことを基本とし、東京圏外は各省庁の地方支分部局が集積する札幌や大阪などを代替拠点とすべき」とする方向性を打ち出している。よって、直ちに誘致に結びつけるには難しい状況だが、法案が提出されたことから、引き続き誘致活動を進めてまいりたい。
小川委員
企業のバックアップ誘致に可能性があると考えているが、現状、群馬県の企業へのアプローチ状況はどうか。
鬼形企業誘致推進室長
今年度の誘致活動方針では、自然災害が少ないなどの本県の優位性を売りに、将来性が期待される分野や、バックアップ部門を対象に誘致活動を行っている。現在の引き合い企業は約30社で、食品や化学関係が多いが、今後、総合物流関係なども伸びてくると思われる。
(5)コンベンション施設について
伊藤委員
県民アンケート調査では、公園・広場といった意見が多く、コンベンション機能は少数だったが、何故、コンベンション施設に決まったのか。
中田コンベンション施設整備室長
県民アンケートだけではなく、「高崎競馬場跡地利活用有識者検討委員会」における議論や機能導入可能性調査の結果も踏まえて、コンベンション施設を整備する方針を決めたものである。
伊藤委員
全国アンケート調査において、大規模の展示会を開く展示会開催企業は、「魅力あり」と言っている企業はゼロ、「魅力なし」が5件という内容である。これで大きな展示会が成功するのか。
中田コンベンション施設整備室長
「可能性あり」が2件ある。首都圏での展示会開催を念頭にしている展示会開催企業であっても、高崎において可能性があるという回答があったことは、力強く思っている。
伊藤委員
コンベンション施設の必要性のトップに挙げている大規模展示会で、「可能性あり」の会社がたった2社であり、そこに賭けて280億を投資する考えは甘くないか。
中田コンベンション施設整備室長
BtoB(Business to Business:企業間取引)の展示会も念頭においているが、地方の施設を調査した結果では、地方の施設は、一般消費者向けのBtoC(Business to Consumer:一般消費者向け取引)のイベントを開催し黒字となっている施設も多かったことから、BtoCの需要も取り込みながら黒字経営を目指していきたい。
伊藤委員
朱鷺メッセは人口80万人の政令指定都市にあり、空港やホテルが隣接する好条件だが、昨年度の利用者数は66万人だった。群馬県で107万人の利用者数は過大ではないか。
中田コンベンション施設整備室長
朱鷺メッセのある新潟市は政令指定都市で新潟港や空港もあるが、新幹線や高速道路などの高速交通網といった点では高崎市の方が交通環境は良いと考えている。また、熊本県のグランメッセ熊本では年約90万人の来場者があり、過大とは考えていない。
伊藤委員
整備費だけでなく、修繕などの維持管理費や減価償却費を事前に試算し、議論の俎上に載せるべきである。ざっくりとした試算であれば、不可能ではないのではないか。
笹森県土整備部長
公共事業の事業評価の際には、建設費に加えて維持管理費も試算することもあり、不可能ではないと考えている。
井田委員
コンベンション施設は多額の税金を投入して作るのだから、費用対効果などがしっかり担保されなければならない。整備に対する意気込みを伺いたい。
笹森県土整備部長
これからの県の発展のため必要な施設と理解している。今後の設置や運営にかなりの努力がいるとは思うが、努力次第で相当の経済的効果を県にもたらすと考えている。設置後、どのように使いこなしていくかが肝心で、決まれば社会基盤整備においても支援していきたい。
中田コンベンション施設整備室長
大きな投資だが、この施設によって経済効果が見込める。これからの県が発展していくために必要な施設と考えており、黒字運営を目指していきたい。
井田委員
上毛学舎の様に県の負担がない手法もある。少しでもリスクを減らす手法を研究すべきではないか。
中田コンベンション施設整備室長
上毛学舎の手法は研究している。そのような手法も含めて、どういう手法でやることでメリットが得られるのか検討している。
井田委員
近接地に高崎市の都市集客施設も予定されているが、県のコンベンション施設との関係はどうなっているか。
中田コンベンション施設整備室長
高崎市の都市集客施設は、音楽ホールを中心とする文化芸術センターとして整備されるものである。県のコンベンション施設は、ロックコンサート等もできるが展示施設と会議施設を主体とするコンベンション施設として整備するものである。
井田委員
集客や誘致など営業戦略が絶対に必要になってくるが、どのように考えているか。
中田コンベンション施設整備室長
コンベンション施設はいかに運営するかにかかっている。施設管理者だけでなく、県も営業活動を行うことになる。また、コンベンションビューローのような組織も必要であり、県も含めて複数のチャンネルで誘致活動を行う必要がある。
後藤委員
コンベンション施設の議論が始まった際は、大規模展示施設、国際会議場、メインホールなどがコンセプトだったが、今の計画ではコンサート機能が前面に出ている。施設のコンセプトがずれてきているのではないか。
中田コンベンション施設整備室長
コンベンション施設は、主としてBtoBの展示会・見本市の誘致を考えている。しかし地方の施設の調査を行ったところ、コンサート、式典、試験などBtoCのイベントの需要があることがわかり、BtoBの需要を想定しつつ、BtoCのイベントもできるよう多目的に使用できる機能も備えるものである。
後藤委員
先日、施設規模が似ている「さいたまスーパーアリーナ」を視察したが、展示会の利用は苦戦していた。基本計画において展示施設の利用者を87万2千人と見込んでいるが、展示会などBtoBの利用割合をどの位と算出しているのか。
中田コンベンション施設整備室長
87万2千人の展示施設の利用者の内訳は算出していない。
後藤委員
一般質問において企画部長から「需要調査としては十分である」という答弁があったが、107万人が来場する根拠として、さらに補足するような裏付けを県民に示すべきではないか。
中田コンベンション施設整備室長
今回の需要調査は、展示会や会議などを主催する側の需要を調べているものである。107万人が来るかどうかは、人が多く集まるイベントを開催できるかということであり、需要調査イコール来場者ではないことを理解いただきたい。需要調査としては十分であったと考えている。
桂川委員
PFIで実施するとしても、管理運営などの全体的コストも試算しないと検討できないと思うが、いつ頃までに試算を含めたものを示すのか。
中田コンベンション施設整備室長
今年度中を目途に事業手法を検討した上で、年度末又は来年度当初にはお示ししたい。
桂川委員
事業手法はどのように決めるのか。
中田コンベンション施設整備室長
知事も含めて全庁的に検討して決定する。
桂川委員
現在、JRA(日本中央競馬会)とNRS((株)日本レーシングサービス)の場外馬券発売所があるが、ここはどうなるのか。
中田コンベンション施設整備室長
JRAは存続するか撤退するか検討しており、NRSは存続の方向で検討している。
桂川委員
現在、高崎競馬場跡地は地域の人も利用している。コンベンション施設は地元住民が交流できるような役割を考えているか。
中田コンベンション施設整備室長
地元からそのような要望が出ているのは承知しており、どのような形で協力できるか、今後検討して参りたい。
小川委員
県のコンベンション誘致の窓口はどこか。
鬼形企業誘致推進室長
今年度から観光物産課に窓口を一本化し、各部から情報を取りながら対応している。
小川委員
県内にはグリーンドーム前橋や県民会館等の既存施設があるが、これらの施設では不十分と考えているのか。
中田コンベンション施設整備室長
大規模な展示施設ではないため、このような展示会ができる施設が必要であり、新たな需要に応えていく施設として整備するものである。
(6)買い物弱者支援の現状について
茂木委員
買い物弱者支援に関する県内の取組状況や県の対策はどうか。
金井商政課長
県内における買い物弱者支援は、(1)身近な場所にお店を作る、(2)商品を届ける、(3)買い物に出やすくする等の方法により、商店街等の商工団体やNPO法人、自治体等により様々な取組がなされている。県では平成23年度から支援に取り組んでおり、24年度は「買い物弱者支援商業モデル事業」を創設し、前橋市など4件の取組を支援した。また、昨年8月には、買い物弱者問題に関するシンポジウムを開催し、160名を超える参加者があった。25年度はさらに、買い物弱者支援に取り組む関係者が一堂に会する交流会を開催予定である。
茂木委員
支援には3つのタイプがあるということで、それぞれ取組件数を把握していれば伺いたい。
金井商政課長
県内の買い物弱者支援に関する取組状況については、関係各課、市町村、商工関係団体等への聞き取りや新聞情報等により把握に努めている。現在のところ、店舗設置13件、宅配・買い物代行25件、移動販売14件、買い物送迎8件を把握している。
(7)地震対策に係る県の市町村支援について
茂木委員
昨年度、県が実施した地震被害想定調査結果について、市町村とどのように情報を共有しているのか。
入内島危機管理室長
地震被害想定調査については、調査段階から市町村から各種データを提供していただき、連携して取り組んできたところであり、調査結果は作成後、市町村へフィードバックし、市町村の地震対策に活用していただいている。
茂木委員
地震対策の機運が高まっている今こそ、減災対策を積極的に進めるべきと考えるが、DIG(災害図上訓練)とHUG(避難所運営ゲーム)の今年度のスケジュールはどうか。
入内島危機管理室長
3年間でそれぞれ35地域で実施を計画しているが、今年度はDIGを5地域、HUGを10地域で実施予定である。
(8)「ぐんま“まちづくり”ビジョン」について
井田委員
玉村町では人口減少の状況下において、いかに人口を増やし、企業を誘致するか考えていると思うが、市街化調整区域や優良農地ではなかなか開発ができない。町として開発したい、地権者として協力したい、という声が出た時には、県は協力できるのか。
中島都市計画課長
市街化調整区域の市街化区域編入については、5年に一度実施する都市計画の見直しの中で実施している。現在、玉村町では、開発が確実になった段階で随時編入する案件の手続きを進めている。また、「ビジョン」では、沿道開発については“まち”全体を見渡して、ほかに不都合が出ないように考えて進めるように掲げている。ただし、工業団地については、雇用の確保等の観点から、インターチェンジ周辺や幹線道路沿線には計画的に企業誘致を図ることは必要であると考えている。
井田委員
線引きをしたところとしないところでは、開発の仕方が違ってくる。線引きをした市町村としていない市町村についてどう思うか。
中島都市計画課長
線引きを実施した市町村は、土地利用計画がきちんとしていて、ある程度の規模の企業誘致ができるスペースが残っていたり、良好な市街地が形成されているなど、町全体を見れば、線引きをしていた方が町の発展に資していると考えている。
井下委員
「ビジョン」のアクションプログラムにおける国の役割がよく見えないが、どうか。
中島都市計画課長
アクションプログラムに盛り込まれた事業等は、国の交付金等を活用する。
井下委員
「ビジョン」における県と市の役割分担について、県がまちなかに手を出さないということでは課題解決につながらないのではないか。
中島都市計画課長
「まちなかは市町村、県は広域連携」となっているが、当然、まちなかの事業についても県は支援する。県と市と民間の役割分担をした上で、必要な事業について、県の既存の制度等を活用して支援していきたいと考えている。
後藤委員
公共交通だけを取り上げても問題解決は難しいと思っていたところ、「ビジョン」の中で県土整備部がこれまでの施策の調和を取る決意を示したことは評価したい。薄く広がってしまった人口を“まち”に近づけていくために、県として今後どのような施策を考えていくのか。
中島都市計画課長
「今後の公共交通をどうするのか、市町村に考えてもらいたい」ということを含めて、「ビジョン」を策定したところである。今後「ビジョン」の取組方針を踏まえて市町村が策定する「アクションプログラム」の中で、具体的な事業について議論されると考えている。鉄道関係の事例として、現在、東武伊勢崎線川俣駅、JR吾妻線万座鹿沢口駅、上信電鉄上州富岡駅について、駅舎又は駅前広場を市町村との役割分担のもと整備しており、交通結節点としての強化を図り、まとまりをつくる核にしていこうと考えている。
桂川委員
「ビジョン」は地域のまとまりを作るために10年、20年後を見据えた計画だと思うが、まとまりができるまでの期間、まちづくりをどのように進めていくのか。また、市町村がアクションプログラムを策定する中で、まちづくりをどのように考えていくべきか。
中島都市計画課長
群馬県は低密度の市街地が拡散しているので、今ある集積を減らさない施策を講じることが一つある。モデル市町村によるアクションプログラム策定は、まだ現状の課題を整理したところであり、今後、課題解決のための施策を考えることになるので、県も支援しながら一緒に解決方策を検討していきたい。
桂川委員
「ビジョン」の中で「まとまりを公共交通でつなぐ」とあるが、まとまりと公共交通の関係について、現状と将来で場所の違いなどはあるのか。
中島都市計画課長
まちのまとまりをどこにするかということは、アクションプログラムの作業(課題)の一つになっているので、まとまりをどこにして、どのように結ぶかも市町村と一緒に検討していきたい。
藥丸委員
全市町村のアクションプログラムが出揃った段階で、県が各市町村間の調整をやっていくのか。
中島都市計画課長
「ビジョン」にもあるとおり、県は広域調整をすることになっており、アクションプログラム策定中に市町村間の調整が必要になれば、その都度広域調整を行う形で考えている。
萩原副委員長
県としては、アクションプログラムの内容を最終的に「区域マスタープラン」に反映していくことになると思うが、「区域マスタープラン」をどのように策定するのか。
中島都市計画課長
都市計画法において、「区域マスタープラン」は群馬県が定めることとなっている。今回は、県内を大きく4地域(県央、東毛、利根・沼田、吾妻)に分けて、策定を進める予定である。まちづくりのあり方、土地利用のあり方、道路のあり方等について、20年先を見通した10年の計画として方向性を記載していきたい。
萩原副委員長
広域圏のゾーニングや「区域マスタープラン」は、アクションプログラムを反映して定められると思うが、4つのモデル市町村と残りの31市町村では、データ収集など中身が変わってしまうと思われるが、その辺のひずみは大丈夫か。
中島都市計画課長
基本的にはアクションプログラムができていることが好ましいが、「ビジョン」の考えを踏まえて策定するので、大きくかけ離れることはない。
萩原副委員長
主体の市町村が知らないうちにできあがるより、一緒に作っていくべきである。特にまちづくりは住民が参加しないと意味がないので、丁寧に進めて欲しい。市町村に対する支援策は、人的支援なのか、財政的支援なのか。
中島都市計画課長
まず、アクションプログラム策定支援については、県の職員も一緒になって進めており、都市計画課のほか、交通政策課、建築住宅課の職員が一緒になって課題整理等進めている。また、県の持っているデータの提供等も行っている。今後の事業展開については、県・市町村・民間で役割分担をし、既存の制度を活用しながら最大限に支援していきたい。
萩原副委員長
スプロール化の進展(市街地の無秩序な拡散)は都市計画で色々やっても止めることはできなかった。これは、政治と行政の責任である。これまでの流れ、また今後どのようにすればよいか、部長に伺いたい。
笹森県土整備部長
このようなまち(低密度で拡散したまち)になった現実を認めるべきである。コスト面で郊外の開発が望まれて、今の形になっているのが現実だと思う。商業と住宅の郊外型立地の展開はそろそろ諦める必要があるのではないか。県としては、広域調整の中で総合調整を行い、諦めてもらうことも必要であり、市町村の理解を得ることが大切である。法律は常に後追いであったと思うが、これからは未来を見据えて政策間の調整をしようとしている。本委員会ができたこともよいことであり、議論が深まることを期待している。
(9)防災・安全交付金について
藥丸委員
国は防災・減災に力を入れており、防災・安全交付金が創設されたが、本県にはどれくらい配分されているか。
倉嶋建設企画課長
防災・安全交付金は、平成24年度の国の補正予算から創設され、その予算額は平成24年度補正予算で約5,500億円、平成25年度当初予算で約1兆500億円、合計で約1兆6,000億円となっている。本県への市町村を含めた配分額は、平成24年度補正予算で約72億円、平成25年度当初予算で約162億円、合計で約234億円となっている。
藥丸委員
今後増えることはあるのか。現在の額で確定か。
倉嶋建設企画課長
平成25年度の当初予算が内示されたところであり、増えるかは補正予算による。
(10)まちなか居住について
萩原副委員長
まちなか居住の推進に関する施策展開について、現状と今後はどうなっているか。
佐藤建築住宅課長
県は、平成8年度から再開発事業等において県費補助をしている。平成17年度から補助制度を見直し、住宅供給であることを補助要件としている。これまでの住宅供給実績は、高崎市1,016戸、前橋市75戸、太田市58戸及び草津町26戸の合計1,175戸である。
萩原副委員長
前橋市のまちなかで学生の居住を進める事業が行われているが、どのようなものか。
金井商政課長
商店街活性化コンペ事業の提案で、「LLP構想会議」の検討により、学生のまちなか居住を後押しする企画が採択されている。