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産経土木常任委員会(県土整備部関係・平成25年度分)平成25年3月8日
1.開催日時
平成25年3月8日 10時00分~16時46分
2.開催場所
301委員会室
3.出席委員
委員長:須藤和臣、副委員長:桂川孝子
委員:南波和憲、委員:岩井均、委員:織田沢俊幸、委員:岩上憲司、委員:伊藤祐司、委員:角倉邦良、委員:あべともよ、委員:清水真人
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)群馬県汚水処理計画の見直しについて
岩井委員
平成29年度での汚水処理人口普及率の目標値が達成できない理由は何か。
前橋下水環境課長
市町村は財政事情の悪化により汚水関係事業費の確保が難しくなっている。また、下水道などの整備地域が人口の少ない非効率な郊外へ移っており、普及率が上がらない。
岩井委員
汚水処理人口普及率ステップアッププランの成果はどうか。
前橋下水環境課長
プラン未実施の場合、汚水処理人口普及率は年0.9パーセントだが、実施した場合は0.6パーセント上積みされ、年1.5パーセントの伸びとなっており、一定の効果が認められる。
岩井委員
汚水処理人口普及率の目標値を「平成29年度末90.0パーセント」から「平成34年度末91.7パーセント」に変更したのはなぜか。
前橋下水環境課長
群馬県汚水処理促進協議会等において、関係市町村と現計画値の維持について度重なる協議を行ったが、各市町村からは市町村長判断の上、計画値を下げたいと強く要望された。
岩井委員
新目標値を達成するために、どのような普及率向上対策をとるのか。
前橋下水環境課長
下水道、農業集落排水の予定区域のうち、整備完了までに永い時間を要する区域や、人口密度の低い非効率な区域を合併処理浄化槽へ計画変更する「ベストミックス」を推進する。また、集合処理区において隣接する処理区と統合し、コスト縮減を図りたい。
伊藤委員
見直しする区域がまだ小規模だと思うがどうか。
前橋下水環境課長
現行の汚水処理計画は各種の汚水処理施設を適正に配置する計画となっているため大規模な見直しにはならない。集合処理と浄化槽のベストミックスの推進については、今後も市町村に働きかけていきたい。
あべ委員
平成20年度から23年度までに下水道等に投資したそれぞれの事業費と普及率を聞きたい。
前橋下水環境課長
その間の事業費は、下水道事業は433億3千万円で普及率の伸びは3.9パーセント、農業集落排水事業は112億2千万円で0.4パーセントの伸び、合併処理浄化槽事業は134億9千万円で1.7パーセントの伸びとなっている。
あべ委員
今回の見直しで、下水道等と浄化槽のベストミックスを進めていく上で、集合処理が非効率であるかどうかをどのように判断して、市町村に働きかけていくのか。
前橋下水環境課長
経済的な判断以外に、事業の特性に応じて配置計画を決めることも判断材料になると考えている。
(2)花と緑のクリーン大作戦について
岩井委員
新年度の花と緑のクリーン大作戦が実施されることは非常にありがたいが、事務事業見直し委員会の判定結果は「要改善」であったものが、県の判断で「廃止」となった経緯を伺いたい。
中島都市計画課長
県としては、委員会の判定結果を踏まえて、「これまでの見直し経緯、時代や環境の変化、県の果たすべき役割、事業の優先順位」など様々な視点から総合的に検討し、県が当初の事業目的とした「自分たちの地域は自分で守っていくという考え方を広めていく」といった役割は果たされたと判断した結果、「廃止」という結論に達した。
岩井委員
これほど多くの県民が参加する県事業は他にない。委員会の委員も「廃止までは考えていなかった」と言っており、それが県の判断で「廃止」となったのはたいへん残念である。今後、県議会や市町村とも話をしながら再検討してほしいが、今後の方針をもう一度伺いたい。
中島都市計画課長
周知期間が充分でないので、経過措置として平成25年度も実施することとした。今後、関係団体に通知すると共に、廃止に向けて関係団体に丁寧に周知していきたい。
岩井委員
県民参加型の事業は県としても重要であり、残すべきである。来年度、再来年度に向けての考えはどうか。
笹森県土整備部長
ボランティア精神を定着させるという目的で実施してきた事業だが、今回の震災後の対応でも分かるように、県民にボランティア精神が定着してきていると感じた。そのようなことからも本事業の目的は達成していると認識している。廃止にあたっては、平成25年度の実施の中で、参加団体の話も聞くなどしてまいりたい。
岩上委員
各団体の責任者が地域住民に参加を呼びかけやすい状況を創っていくための資金として、この奨励金は非常に有効に使われていた。そういった視点で是非、再検討してほしいがどうか。
中島都市計画課長
地域の絆を高める効果があるというのは、参加団体からも伺っている。14年間事業を実施してきて、地域の絆もかなり強くなったと判断し、今回、事業の役割は果たされたと考え、総合的に判断して事業廃止とした。
岩上委員
参加団体の作業実績を見ると、合計で除草が約500万平米、道路側溝の清掃が約1,100キロメートル、植栽が約30万平米だが、これを公共事業で実施した場合、どれだけの費用がかかるか。
中島都市計画課長
具体的に積算していないので不明だが、公共事業で行った場合は、1団体当たり2万円の奨励金では実施できないと思う。
岩上委員
単純に試算すると、約500万平米の草刈りだけでも刈りっぱなしで約1億5千万円になる。それを考えれば、除草、植栽、側溝清掃を約4千万円で実施できるこの事業の費用対効果は極めて高く、誰が考えても続けるべきと思うがどうか。
中島都市計画課長
指摘のとおり、通常の公共事業で実施すれば多額の費用がかかると思われるが、この奨励金の目的は、ボランティア意識や自らの地域は自らで守るという意識の醸成であり、それらを踏まえて総合的に判断したということである。
(3)公共交通について
織田沢委員
高齢化社会における公共交通確保のために、県もバス路線への支援を行っているが、バスの乗客数などの推移について教えてほしい。
中山交通政策課長
バスの利用者数は、昭和42年の1億5,261万人が平成23年には824万とピーク時の5.4パーセント、車両数は昭和43年の1,224両が平成23年には531両とピーク時の43.4パーセントになっている。車両1台当たりの乗客数はピーク時の13パーセント、県民一人当たり一年間の乗車回数は95回から4回になっている。
織田沢委員
群馬は車社会なので公共交通を利用しない習慣が身についてしまっているが、バスの振興策、公共交通を利用してもらう方策は、どんなことを考えているか。
中山交通政策課長
今年度「生活交通導入実証検証事業」により、桐生市のデマンド交通導入と下仁田町のスクールバス活用の取組を支援し、成果が得られたことから、来年度は「市町村乗合バス改善適正化促進事業」により、地域にあった見直しを行う市町村を支援する。また、小学生を対象に「バスの乗り方教室」を今年度は2回開催したが、来年度は回数を増やし行う。
織田沢委員
バスの利便性向上のため、一定期間、予算を集中的に投入すべきと考えるがどうか。
中山交通政策課長
県予算も厳しい中、持続的、安定的に、住民の移動手段を確保することが大切であり、デマンド交通導入などのような地域の実情や機運の上昇をふまえ、対応を考えていきたい。
笹森県土整備部長
どういう形で住民の移動手段を安定的に確保していくか、市町村とも議論をしていく中で対応を考えていきたい。
伊藤委員
総合交通政策の中で行われる意見交換会とは、どのようなものか。
中山交通政策課長
昨年度から現在まで市町村職員との「交通政策勉強会」を10回開催したほか、バス事業者との意見交換会を実施し、バスのあり方について検討を行っている。
伊藤委員
今年度、2カ所で行った「生活交通導入実証検証事業」を来年度はもっと増やせないか。
中山交通政策課長
今年度モデル事業として2カ所で実施した。来年度はデマンド交通等へ転換し、試験運行を行う場合、これを支援する「市町村乗合バス改善適正化促進事業」を予算化したが、見直しを行う地域は2カ所程度と考えている。
伊藤委員
これまでデマンド交通の導入は中山間地域が中心だったが、都市部の団地でも高齢化が進んでおり、こちらへの導入も研究してほしいがどうか。
中山交通政策課長
都市部のデマンド交通導入については、今後、市町村といろいろ議論する中で検討していきたい。
桂川副委員長
公共交通網を維持するためには、日常的・恒常的な利用者が大事である。例えば通学にバスを使用している高校生が、部活の朝練に間に合うバスがない、期末試験時にお昼に帰れるバスがない、といった不便を強いられている。もっと利用しやすくする工夫が必要ではないか。
中山交通政策課長
県では、高校新入学者を対象に、通学時の公共交通機関利用促進を促すリーフレット「エコ通学のススメ」を約2万部作成した。また、バス需要の見込める高校を10校選定し、バス事業者とも連携してバスの時刻表を作成配布し、バスの利用促進を図ることとしている。今回の結果を踏まえ、次年度以降については、議論してまいりたい。
(4)大型補正の経済効果について
岩上委員
国の大型補正による公共事業をどのように景気対策につなげていくのか。
笹森県土整備部長
公共事業には、資金が経済全体に循環するフロー効果があるほか、良い点として、できたものが長年にわたり効果を発揮する。例えば、道路の開通が工業団地等の開発に繋がり、雇用を生み出すという経済効果がある。今回の補正予算は大型となったが、現在の建設業界は急激な受注増に対応できない状況にあることから、技術者不足を補うための発注の平準化や、発注ロットの大型化などにより対応したい。中小の企業に対する対策としては、発注数及び予算を増やすことにより対応したい。
岩上委員
公共事業を景気対策として実施するために、工事にかかる経費を低減させ利益率を上げることが大事である。受発注者間の業務の無駄を無くし合理化を進める意識を、監督員や検査員に持ってほしいと思うがどうか。
笹森県土整備部長
従来より書類の簡素化や電子納品システムの導入を進め、受注者の負担を軽減してきている。発注ロットの大型化は、発注者、受注者双方の負担を軽減する効果もある。検査員については、複数の検査員で同じ検査箇所に出向き、検査することにより、効率的な検査をする工夫等を行っているが、工事量が増加する新年度も適切な対応が図れるよう指導していきたい。
角倉委員
景気対策の効果が隅々まで行き渡るよう、B・C規模工事の予算配分の拡大を考える必要があると思うがどうか。
倉嶋建設企画課長
今回の15ヶ月予算についても、県土整備プランに基づく効果的・効率的な配分を行っている。その範囲内で大規模工事と中小規模の工事についてもバランスを図っている。ゼロ県債は対前年比1.3倍の約22億円の小規模工事を確保している。補正予算も小規模工事の確保に努め、約11億円確保した。平成25年予算では用地の確保やその調査費が増加するため、工事費の減少も想定しているが、今後発注計画を策定していく中で、工事費の確保に努めてまいりたい。
角倉委員
B・C規模工事の予算枠を増やすため、県単独費で調整できないのか。
倉嶋建設企画課長
まさにそのとおりのことを、今回のゼロ県債で行っている。県単独費で予定していた大規模工事を補正予算の中に取り込み、ゼロ県債は小規模工事を積極的に予算化している。
(5)県営住宅の維持管理について
岩上委員
県営住宅の維持管理に関する当初予算が毎年下がっている。本来、毎年上がっていくべきものではないか。。
佐藤住宅政策室長
県営住宅の維持管理は、県営住宅長寿命化計画を定め、計画的に必要な修繕・改善を実施している。また、県営住宅維持管理と社会資本総合整備を足した予算の規模で必要な事業費は確保されている。
笹森県土整備部長
県営住宅維持管理の予算だけでなく、国の予算で対応するなど、長寿命化計画に沿って適切に維持管理を行っていきたい。
(6)優良工事表彰について
岩上委員
優良工事表彰の受賞結果は、その後どのように活かされているのか。
近藤契約検査課長
優良工事の表彰実績は、入札参加企業を選定する際の等級格付け及び総合評価落札方式の加点項目として活用している。また、総合評価落札方式では、表彰実績を更に高く評価する「技術力重視タイプ」を今年1月より試行し、優良な企業が受注しやすい環境を整えている。
(7)東武鉄道に関する施策について
岩上委員
先の委員会調査で東武鉄道県内路線の厳しい現状を再認識したが、東武伊勢崎線の充実を図っていく具体策を伺いたい。
中山交通政策課長
県では本年度、東武鉄道をはじめとする鉄道事業者や県内市町村との検討の場として「群馬県鉄道網活性化連絡協議会」を設置し議論を重ねている。こうした議論が功を奏した一つの表れとして、本年3月16日の東武鉄道のダイヤ改正では、(1)りょうもう号の増発、(2)特急スペーシアの下り始発の板倉東洋大前駅停車、(3)太田伊勢崎間の朝7時台の増便等、利便性向上を図った内容となっている。
岩上委員
県として、東武伊勢崎線をいずれはこうしたい、という目標はあるか。
中山交通政策課長
いずれにしても、お客を増やすことによってこそ次の展開が見えてくると考えている。また、中小私鉄が次の一手を打つためには、赤字体質を脱却し、経営体力をつけることが何より必要である。
(8)「ぐんま"まちづくり"ビジョン」アクションプログラムの策定について
清水委員
「ぐんま"まちづくり"ビジョン」が策定され、市町村がアクションプログラムを策定していくとのことだが、現在の状況はどうか。
中島都市計画課長
「ビジョン」を踏まえて、市町村がまちづくりの方向性や必要な各種施策を盛り込んだ「アクションプログラム」の策定を始めている。今年度から取り組むモデル市町村を募集し、12月末に4市を選定し、まちづくりの現状と課題の抽出を始めた。
清水委員
県内35市町村ある中でモデル市町村が4市ということだが、町や村が入っていないのはなぜか。
中島都市計画課長
モデル市町村を募集し、4市(前橋市、高崎市、桐生市、みどり市)から応募があった。新年度になれば策定に取り組みたいという意向の市町村もあるので、今後市町村に説明をしながら、更に取組を広げていきたい。
(9)中古住宅の浄化槽について
清水委員
中古住宅の単独浄化槽は、1~2年空き家になり使われないでいると、機能が低下してしまうと聞いた。中古住宅販売の際は合併処理浄化槽へ更新する働きかけが大事だと思うがどうか。
片山下水環境課調整主監
浄化槽協会、リフォーム協会などにパンフレットを配布し、働きかけを行っている。
(10)第29号議案「群馬県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例」について
伊藤委員
太陽光発電設備等設置に伴う占用料の金額は、どういう積算をしたのか。
依田道路管理課長
国から示された基準を準用している。
(11)土砂災害警戒区域の指定について
伊藤委員
土砂災害警戒区域の指定状況はどうなっているか。
中村砂防課長
本県では、平成25年2月末時点で、22市町村において5,574箇所を指定している。土砂災害が発生する恐れのある7,635箇所に対して、73パーセントの指定が完了している。
伊藤委員
どのような区域を指定しているのか。
中村砂防課長
土砂災害防止法に基づいて外形基準が決められており、それによって指定している。
伊藤委員
指定にあたっては、地域で特色のある過去の災害データを考慮すべきと考えるがいかがか。
中村砂防課長
指定の際の外形基準は、過去の災害データも考慮に入れて決められている。過去に実際に災害のあった箇所で、この外形基準に当てはまらないものについては、地域の防災マップで住民に危険箇所であることを知らせるなどの方法により対応したいと考えている。
伊藤委員
巨大地滑りの崩落跡地は区域指定に入っていないが、危険な場所であり、検討が必要ではないか。
中村砂防課長
土砂災害防止法による区域指定は、深層崩壊など大規模な土砂崩落については対象としていない。
(12)県営ダムの堆砂について
伊藤委員
堆砂が深刻なダムが幾つもあると思うが、状況はどうか。
荒井河川課長
桐生川ダムや四万川ダムでは、堆砂量がほぼ計画に沿って推移してきているが、平成22年のデータで霧積ダムは、堆砂率125パーセント、道平川ダムは139パーセントである。しかし、堆砂率が100パーセントを超えたからといって、貯水池が全て埋まってしまうということではない。
伊藤委員
堆砂が進んでいるダムでは、どのように対処してくのか。
荒井河川課長
各ダムの堆砂状況を見ながら排除していく。霧積ダムでは、平成24年度の補正予算で貯水池上流に貯砂ダムを計画している。
伊藤委員
ダム管理に占める堆砂対策費用は、今後どのように増えていくのか。
荒井河川課長
将来の堆砂の状況はわからないが、実施にあたっては、近傍での堆砂土処分地の確保、砂利採取による再利用などにより効率的な対応となるよう、検討し実施していきたい。
(13)吾妻川上流の新たな中和対策について
伊藤委員
利根川・江戸川河川整備計画(原案)にある「新たな中和対策」とはどのような内容か。
荒井河川課長
関東地方整備局からは、現段階で具体的な内容を示せる状況にないが、プラント方式による中和処理方式の実現性が確認できたことを踏まえて記載したと聞いている。
伊藤委員
プラント方式とは、具体的にはどのようなことか。
荒井河川課長
国のホームページによれば、プラントを設置し、川の水をプラント内に取り込んで中和する方法である。
伊藤委員
プラント方式で処理すると、残滓は出ないのか。
荒井河川課長
ダム方式よりプラント方式のほうが効率的とされている。
伊藤委員
例えプラント方式に変更しても残滓は出続けるのであり、中和事業の継続は難しいのではないか。
荒井河川課長
これまでも品木ダム上流に生成物を処理しており、今後も処理していくものと考える
(14)八ッ場ダムの工期延期について
伊藤委員
工期について、県はこれまで基本計画通りとしてきたが、対応が変化したと捉えていいか。
清野特定ダム対策課長
今、八ッ場ダムの工期は平成27年度と基本計画に定められているが、国からはまだ工期延期、基本計画変更という話はないので、その対応が変わっているとは我々は承知していない。
伊藤委員
足並みをそろえて工期延期に反対してきた他県の動向はどうか。
清野特定ダム対策課長
まだ、国からも正式に話がないので、他の県からの情報もない。
伊藤委員
着工から7年ぐらいかかると国会で前田元大臣が答弁している。今年度着工しても完成は2022年以降になると思うが、そういう認識なのか。
清野特定ダム対策課長
7年というのは、ダムの検証で入札公告から試験湛水の終了までにかかるとされた87ヶ月のことと思うが、検証の工期は工期短縮やコスト縮減など期待的要素は含んでいないという前提なので、我々としては今後さまざまな努力で工期短縮されるものと考えている。
伊藤委員
鉄道の付替が終わらないとダム本体工事は始められないと思うが、鉄道の付替工事はいつ完成するのか。
清野特定ダム対策課長
JR吾妻線については、平成24年12月末現在、全延長10.4キロメートルの全区間で着工しており、そのうち9.3キロメートル、約90パーセントで軌道が完成していると国から聞いている。このような進捗から、川原湯温泉駅が完成する平成26年春には概ね完了するのではないかと理解している。
(15)八ッ場ダムの事業費増額について
伊藤委員
八ッ場ダムの検証では、工事中断による増額が55.3億円、コスト縮減による減額が21.7億円、追加的な地滑り対策・代替地の費用の増額が149.3億円で、都合約180億円の増額になる。事業費増額による負担増について、群馬県はじめ6都県は拒絶しているが、その姿勢に変わりはないか。
清野特定ダム対策課長
約180億円のうち、検証に要した費用約55億円については、国に責任を持って負担してもらいたいと考えている。地滑り・代替地の費用については必要な安全対策を行い、その他の工事で積極的にコスト縮減を行い、計画どおりの事業費に収めてもらいたいと考えている。
伊藤委員
コスト縮減といっても、事業費の増額が生じない程の大幅な縮減ができるのか。
清野特定ダム対策課長
国は最大限のコスト縮減と工期短縮に努めるとしており、特に工期の短縮も相当のコスト縮減につながることから、必要な縮減に対応しうると考える。
伊藤委員
コスト縮減ばかり要求していると、一方で安全対策が値切られる等のリスクは起きないか。
清野特定ダム対策課長
安全対策をおろそかにすることは許されるものではなく、しっかりやっていただきたいと従来から申している。
伊藤委員
八ッ場ダムの事業費が増額すると、完成時期を含めて基本計画を変更しなければならないが、いつ頃までがリミットとみているか。
清野特定ダム対策課長
事業費はともかくとして、今の基本計画の完成工期は平成27年度なので、平成27年度までに必要な手続きに入るべきと考えている。
(16)平成25年度県土整備部当初予算について
あべ委員
平成25年度当初予算における県土整備部の狙いは何か。
笹森県土整備部長
「はばたけ群馬・県土整備プラン」は、群馬県が今後10年間、社会基盤整備や維持管理をどのように進めていくか詳細に計画したものである。平成25年度当初予算編成にあたっては、計画にリストアップされている各土木事務所ごとの事業から、重要性と緊急性を考慮し、優先度の高い事業を計上している。
あべ委員
群馬県の弱点や強みは何か。
笹森県土整備部長
7つの交通軸として幹線道路整備を進めているが、通過交通を処理する道路が不足しており前倒しで整備を進めるべきである。また、河川整備計画に基づく事業を10年間で整備完了させるなど、完成期日を明示した事例は他県にはない。
あべ委員
維持管理・修繕などの予算が減っているが、今後の見通しについてどのように考えているのか。
笹森県土整備部長
維持管理・更新費は、何もしなければ増え続けるが、7つの長寿命化計画を策定し、これを実施することによりコストが低減できると考えている。
あべ委員
「ぐんま“まちづくり”ビジョン」の方向性は、平成25年度予算にどう反映されたか。
笹森県土整備部長
まちづくりについては、基本的には、地域住民と市町村が、自らの地域のまちづくりについて議論して進めていくものと考えている。まちづくりビジョンは、そうした議論の基礎的な情報などを提示し、事実の認識を共有し、将来的に懸念される事象も併せて提示した。平成25年度予算は、そうした議論を進めるための予算を組ませていただいた。
あべ委員
市町村の長寿命化計画の策定を県が後押しするために、具体的にどのように取り組むのか。
倉嶋建設企画課長
市町村の橋梁長寿命化修繕計画の策定は、平成25年度で完了する予定である。市町村が実施する点検や補修にあたり、県としてどのような支援が必要なのかを確認している状況である。
(17)観光振興とまちづくりのための交通環境整備について
あべ委員
昨年2月の県議会産経土木常任委員会で、「公共交通環境の整備」について要望書が提出されたが、どのように対応したか。
中山交通政策課長
公共交通と観光面から交通をどう活かしていくか検討している。このため、交通関係者では、JR、東武鉄道などの事業者との「群馬県鉄道網活性化連絡協議会」を設置し、検討を行っている。また、関係課による庁内組織を立ち上げ、二次交通の問題について議論しているが、まだ議論の緒についたところである。
あべ委員
県土整備プランでは、公共交通の利用者は現状維持という目標なっている。前のプランから後退している印象を受けるがどうか。
中山交通政策課長
人口減少社会となっている現状を考えると、現状維持はプラスの目標と捉えている。
笹森県土整備部長
これからの公共交通を考える場合、2つの側面が必要である。現在の鉄道網を維持していく側面については、交通政策課長が答弁したとおりである。もう一つは、将来のまちづくりの中での公共交通のあり方であるが、まちづくりを考える主体は市町村であり、今後、市町村が策定するアクションプログラムと連携しながら検討してまいりたい。
(18)「はばたけ群馬・県土整備プラン」の見直しについて
あべ委員
現行の県土整備プランの実施について、これまでにどの位の費用を投資したのか。
倉嶋建設企画課長
平成20年度から平成23年度末までの4年間の実績として約1,970億円である。
あべ委員
現行プランにはさまざまな指標があるが、各指標にかかった費用はどれくらいか。
倉嶋建設企画課長
例えば緊急輸送路内橋梁の耐震化率は10億1,300万円かかって、輸送路上の126橋を全て終了した
あべ委員
新しいプランの計画期間の中で、達成に必要と見込まれる費用はどれくらいか。
倉嶋建設企画課長
例えば、プラン17ページの「(3)雇用維持や経済の活性化に貢献します」の費用算出に当っては、平成24年度当初予算が平成34年度までの10年間維持されたと仮定して、雇用と経済波及効果の見込みについて算出している。全体の予算額については単年度予算であり、毎年予算編成して、議会の承認を経て決定していることから、その中でお諮りしたいと考える。
(19)公共工事の労務単価について
角倉委員
公共事業に携わる労働者の賃金を上げる必要があると思うが、労務単価を県独自に決められないか。
倉嶋建設企画課長
公共工事の積算に用いる労務単価は、国が実施する「公共事業労務費調査」の結果から示された都道府県別の労務単価を、本県が採用して決定しているものである。公共事業は効果的・効率的に実施することが前提であり、設計に用いる労務単価は「公共事業労務費調査」の公表値を使用することが適切と考えている。
角倉委員
景気対策を考えると県の独自判断で労務単価を上げる必要があると思うがどうか。
倉嶋建設企画課長
県内経済の活性化、雇用の拡大に力を入れなければならないが、その手法としては公共事業を適正に実施することが大前提であり、受注者は適正な賃金を支払える範囲で受注しているため、設計に使用する労務単価は公共性・公平性のある単価でなければならないと考えている。そのため、国が統一して調査・決定している労務単価を使用することが適切と考えている。
(20)県内私鉄3社の駅舎等の改修について
角倉委員
県内私鉄3社の駅舎等の改修について、今後の方向性や見通しについて伺いたい。
中山交通政策課長
ステーション整備事業(県単補助)として、平成25年度は上信電鉄沿線の駅・駅周辺整備を実施していく予定であり、1億5百万円の事業費を今議会に要求している。具体的には、平成25年度から27年度までの3ヵ年計画で必要な整備を行うこととして、初年度となる平成25年度は沿線7駅における最低限の利便設備となる水洗トイレの整備等を中心に行うこととした。
(21)八ッ場ダムの上湯原代替地について
角倉委員
八ッ場ダム関連で、上湯原代替地の安全性について未だに地元住民に説明がないようだが、状況はどうなっているのか。
清野特定ダム対策課長
国からは「法令に沿った適正な代替地を提供するという考え方で適切に対処し、具体的な施工内容が決まった時点で地元住民に説明する。」と聞いている。県としては、住民の安全に係わることなので万全の対策を講じるよう、国に強く要望していきたい。
(22)国道299号神ヶ原(かがはら)地内のバイパス計画について
角倉委員
バイパス整備と現道拡幅とどちらが可能性があるか、もう一度比較検証できないか。
古橋道路整備課長
神ヶ原地内のバイパス計画は昭和47年度から事業を行ってきたが、用地買収が難航したため、平成12年度に事業を中断している。現道拡幅による道路改良は、現道沿線の谷間の土地に41家屋が密集していることから、移転先を含めて全戸の協力を得ることは非常に困難と認識している。
角倉委員
地元住民の合意が得られれば、現道拡幅工事の可能性もあるということで良いか。
古橋道路整備課長
ここまで事業が進んでおり、反対している方を説得するバイパス計画の方が事業が進捗すると考えている。
(23)市町村施設の長寿命化支援について
桂川副委員長
市町村の長寿命化計画策定に関する支援策はどのように考えているか。
倉嶋建設企画課長
市町村は、橋梁長寿命化補修計画策定後も定期点検や点検結果の管理、補修工の実施など、今後、技術力を要する業務が増えるため、県としてもその部分を支援したいと考えている。
(24)技術職員について
桂川副委員長
技術職員のコミュニケーション能力や技術力の維持・向上策について伺いたい。
倉嶋建設企画課長
コミュニケーション能力を含めて技術力だと捉えている。職員の技術力の向上には、現場経験の蓄積と研修等の受講による専門知識の習得の2つの要素が必要だと考えている。現場経験の蓄積については、一定の年齢まで地域機関での勤務を多くし、道路や河川、砂防など幅広く現場経験を積ませている。また、平成19年度に「土木技術者の技術力向上プログラム」を策定し、年齢・職域に応じた21項目の研修を義務化し、専門知識の習得に努めている。
桂川副委員長
県土整備プラン策定には大きな労力が費やされたと思うが、今後はその力が現場経験を積んだり、後輩の指導に使われていくようになるのか。
笹森県土整備部長
事業箇所図や長寿命化計画の策定にあたり、県内の改善を要する箇所はリストアップしている。今後、どのように補修や改良を行っていくのか検討したうえで、事業が行われる事になるが、各事業を現場の職員が担当することにより、継続的な現場経験や幅広い事業の経験が技術力の向上につながっていくと考えている。
(25)椎坂トンネルの開通イベントについて
桂川副委員長
今年11月に開通予定である椎坂トンネルの開通イベントは、どのように考えているか。
笹森県土整備部長
限られた予算の中で一定のイベントは行いたいと考えているが、かなり無理をして雪の降る前に開通させるので、冬の観光シーズンにどのように利用していくのか、地元の方々に今から真剣に考えていただきたい。