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森林環境税導入に関する特別委員会(参考人招致)平成24年11月9日

1.開催日時

 平成24年11月9日(金曜日)10時00分~11時38分

2.開催場所

 403委員会室

3.出席委員

 委員長:関根圀男、副委員長:狩野浩志
 委員:織田沢俊幸、委員:井田泉、委員:笹川博義、委員:あべともよ、委員:後藤克己、委員:臂泰雄、委員:高田勝浩、委員:金井康夫、委員:清水真人、委員:藥丸潔

4.欠席委員

 なし

5.主な質疑

(1)森林環境税の導入について

質問:林政推進協議会から、再三にわたって森林環境税の導入要望がある。要望理由を現場の皆さんから聞かせて欲しい。

答弁:33県が独自の税を導入したことから群馬県に森林環境税の導入を求めてきた。林政推進協議会では、奥山から里山まで多様で健全な森林環境が保全されることを願っている。県民一人一人が、森林の厳しい現状について危機意識を共有し、森林の大切さや山村の果たしている役割を再認識するとともに、県民みんなで森林を支えるためにも森林環境税が必要と判断した。今、森林環境税が導入できなかったら、ずっと先送りされてしまうのではと懸念している。
 さらに、材価が低迷し採算のとれない状況では、森林所有者は再造林どころか生活もできない。また、このまま森林を放置すると災害が発生しかねない。森林整備をしなくてはならない。森林環境税が導入され有効に活用されるようになれば森林整備に力が入れられる。これ以上、森林を放置することは許されない。

(2)森林及び水環境の保全に係る県の原案に対する考えについて

質問:有識者会議の委員として、森林及び水環境の保全について、県の原案に対する考えを聞きたい。

答弁:森は、生命、水の源である。本来は国で取り組むべきであり、群馬県は取り組みが遅い。森が大事、地域特性から水も大事との考えで議論がスタートし、最終的にもそのようになった。税収や負担はわずかであるが、県民に森を守るというインセンティブを与えることが大きい。県民が痛みを持って森に注目すること、意識を醸成させるための問題と考えている。また森林環境税は受益者負担であってインフラ整備に充てるのは好ましくないと思っている。
 しかし、タイミングが悪すぎる。環境を良くすることに反対する者はいないが、経済の現状は、言われているよりもっと悪い。有識者会議では、税を導入すべき、導入すべきでないの真っ二つの議論から始まった。現場を見て、大方理解できて考えが変わってきた。「目的税でなければおかしい」、「一般財源に入ってしまうようでは言語道断である」、「あれもこれもについてはいかがなものか」も共通認識であった。森林整備の成果を直接見る機会のない人からも徴収するので、この人たちに配慮しなければならないことについても発言した。

(3)必要な事業について

質問:現場に携わる森林組合として、どのような事業が必要と考えているのか。

答弁:民有林11万ヘクタールのうち林業経営を目指す森林は8万2千ヘクタールであるが、その他の条件不利森林では道の入っていないようなところもある。伐採して、できるだけ出荷しようとしているが、道の入っていないところでは伐捨が必要で、そのためには森林環境税で補っていかなければならないと考えている。獣害も広がり、里山も荒廃し、住宅地市街地までクマやイノシシが出没している。このため人と鳥獣の緩衝帯が必要と思っている。ゲリラ豪雨も増加している。手入れ不足の森林では土石流が発生し生活を脅かしかねない。そのようなところでは、初期の段階での除伐、間伐の実施が急務である。
 県内では小規模な森林所有者が多く、少しくらい伐採しても採算が合わない。奥山の2万ヘクタールを5年間で整備するとしても、労働力が足りない。作業員を雇用するには、年間を通じた事業量の確保が必要である。それも10年~20年間を通じた事業量が必要である。

(4)森林環境税を水質浄化に使用することについて

質問:本県の汚水処理普及率は全国的に悪く、36位程度であるが、森林環境税を水質浄化に使用することに対してどのように考えるか。

答弁:玉村町は、計画では本下水道が100%であるが実際は進んでいない。伸びない理由は単独処理浄化槽が22万基あり、合併処理浄化槽に変えても、その後の下水につなぐときに再度、負担金が必要となる。それを考えると合併処理浄化槽に変える気持ちにならない。平成20年度の改正で見直されたが、次回でも大幅に見直すべきである。今回の税収では合併処理浄化槽の補助金に使うのは筋が違う。税収は合併処理浄化槽の普及啓発に使うことには賛成であるが、ハードには使うべきでない。県民理解に大いに活用していただきたい。

質問:玉村町等にある水質浄化センターの運営に使うことについてどう考えるか。

答弁:本来の下水処理事業の中で行うべきである。森林環境税は、教育目的やボランティアの育成に使っていただきたい。

(5)徴収方法について

質問:県民税均等割の超過課税方式が検討されているが、税の目的が分かりづらいというデメリットがある。法定外目的税であれば税の目的を明確化しやすい。県民税均等割の超過課税方式のメリットを教えて欲しい。

答弁:個人的見解であるが、理論的には森林環境税は目的税が良い。しかし論理的にできない場合がある。目的税にするとわずかな徴税のために莫大なコストがかかり、納め忘れる人も出てきて、公平な負担の概念が崩れる恐れがある。県民税均等割の超過課税方式は知らない間に払うこともあるため、県民に十分周知することが必要である。

質問:個人の県民税均等割は市町村が徴税することになるが、現場とすれば景気も悪化していて、市町村があたかも徴収しているような印象を与える恐れもある。県税として県が徴収することについて、どう考えるか。

答弁:複雑化しないで県民に理解してもらうことが重要である。目的税ではないので県民税均等割の超過課税方式で徴収し、基金で管理し、使用目的を明確化することで目的税化することが必要である。市町村によく説明する必要がある。

(6)水源保全機能の強化による水質への影響について

質問:下流域では都市計画の線引きの中で下水処理が行われている。調整区域では、農業集落排水で下水処理事業が進められているが、莫大なコストが必要となりネックとなっている。そこで森林環境税による水源保全機能の強化により、下流域の水質環境にどのような影響があると考えるか。

答弁:水の問題は量と質の2つあると考えるが、森林の水源保全機能の強化は、量に影響を与える。
 東毛地区の水質の問題は汚水処理計画が遅れていることに問題がある。質を高めるためには施設を整備することであり、早く個別処理区域を決めるべきである。

(7)税額について

質問:納税者の視点からみて、望ましい税額のあり方は、どのように考えるか。

答弁:消費税増税が予想され温暖化対策税も導入されるなど、家計負担が増している中でタイミング的には厳しい状況だ。緑の募金と同じように、500円から1,000円程度の金額の中で群馬の森林と水を守っていくためにみんなで負担するという目的をはっきりさせた上で支払ってもらうということであれば、700円という有識者会議の案は妥当な額と考える。

質問:税額については他県の状況を参考にして試算されているようであるが、税額が先に決まるのは、議論の順番が逆である。有識者会議として具体的な事業費の議論はどうであったか。

答弁:実は私もそういう主旨の質問をしたが、なかなか出てこなかった。何をターゲットにするのか、どこまでやるのかがはっきりしないと、成果や根拠が出てこない。根拠があって算出されたのであれば説得力があるが、物事はそう単純ではなかった。「水源県」として「水」イコール「森林」ということであれば、県民に対しても説得力があるのではないかという議論もしたが、この辺は立場が変わると考え方も異なるので難しかった。これまで議論してきた中で、専門的にこういう数字が出たということで納得するしかなかった。

(8)森林環境税の効果的な使用方法について

質問:有識者会議案では、ソフト面の事業が質・量ともに不足していると考える。森林環境の啓発・教育に携わる立場から、森林環境税の効果的な使用方法として何が考えられるか。

答弁:人づくりや森づくりには時間がかかり、普及啓発はすぐに効果は上がらない。森林環境税は、普及啓発などのソフト事業に力を入れてもらいたい。森林ボランティアといっても、ある程度の技術や安全知識を身に付けた上で森に入らないと、本人がケガをしたり、周りを傷つけたりしてしまう。技術的な講習制度など、一定の技能を身に付けた上で森に入ってもらうことを促進する事業にも充ててもらいたい。
 また、県民に森林環境税の「見える化」をするためには、県ホームページ等による広報のほか、森林の生育速度を考えると、次世代への啓発も重要と考える。教育委員会や学校との連携も必要だ。次世代への啓発をすることにより、自ずと親を通じて納税者に広がると考える。

(9)材価の安定について

質問:有識者会議で議論されたところでは、要整備森林11万ヘクタールのうち手が付けられない奥山の2万ヘクタールについて伐捨間伐を行うとのことだが、それで材価の安定に繋がるのか。路網が整備されている森林で事業を実施した方が材価が安定するのではないか。

答弁:奥山の整備では搬出コストが高いため材価の安定には繋がらない。森林の持続的な経営を行うことと奥山の整備を行うことは別であり、今の状況で両方を一緒にやることはとても無理である。

(10)環境教育について

質問:生態系への影響という観点から、子どもたちの環境教育に森林環境税を充てることについて、どう考えるか。

答弁:教育も森づくりも同じで、森林環境税を充当し、長期的な視点で子どもたちの環境教育に取り組んでいくことは必要である。

質問:県民に森林に対する関心を持ってもらう必要性についてどう考えるか。

答弁:以前、小学校高学年の児童が森林について、勉強に来たことがあるが、全員が木を伐ることは環境破壊だと思っていた。一から勉強してもらう必要があるということで現場で木を伐ることの大切さを教えた。税を使って環境教育を実施していただくことは大切なことである。

(11)成果の県民への説明について

質問:森林環境を整備しようとすれば本来この金額でも不足である。森林環境税の導入により今年はこのくらい取り組めたといった数値など目に見える成果や県民に説明できることは出てくるのか。

答弁:事業は計画に基づいて実施するため、数値的な成果などは十分見て分かると思う。

(12)森林経営について

質問:一般財源により経営をめざす森林については、森林環境税を使う必要はないか。

答弁:一般財源による森林整備は大変だが、どうにかコストダウンを図り、黒字を出そう、森林所有者に一円でも多く返そうと渋川県産材センターもつくり、努力している。一般財源で整備する森林については、大変だがどうにか経営が成り立つと考えている。奥山については、森林環境税により整備することにより、将来的に経営の成り立つ森林になればと考える。


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