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我が家に待望の女の赤ちゃんが誕生したのは今から九年前。産声が小さかったのが少し気に なったぐらいで、身長、体重共に、標準でした。
まさか、その二ヶ月後に、「ダウン症児」と告知されるとは、夢にも思いませんでした。
「ダウン症児」と告知される前から、もしかすると「ダウン症」かなという不安な気持ちはありました。
実際、遺伝科の先生から「ダウン症」と言われた時は、とても立ち直れないだろうと思うくらい、大ショックでした。
でも、あやすと笑い、母乳をおいしそうに飲む娘の姿に励まされ、主人と二人で協力して育てていけば、必ず道は開かれると信じて、今日まで育ててきました。
この九年間を振り返りますと、心ない言葉を投げ付けられて、傷つけられ落ち込み、怒りがこみ上げたこともありました。
でもその反対に、あたたかい励ましの言葉をかけてくださる人や、そっと手を差し伸べて下さった人もいました。
そして何よりも、娘は、毎日を精一杯明るく生きることで私達を元気づけ、たとえ障害があったとしても、人として精一杯生きる命の尊さに変わりはないということを教えてくれました。
また、私達が理想としている、「人から愛される子」に育ってくれました。
成長は本当にゆっくりだけど、確実に伸びているなあという一面を発見した時の喜びは、一生忘れることはありません。
これからも、そんな喜びを、娘は私達にプレゼントしてくれることでしょう。
ダウン症児だってふつうの子です。周りの大人達が、一人の子供として娘と接してくれる事を期待したいです。
娘と生活して気づかされる事、学ぶ事はたくさんあり、やっと今少しずつ、ダウン症児が授かって良かったと、思えるようになってきました。
※このお話は、特定非営利活動法人 日本ダウン症ネットワーク(JDSN)が制作した「みんな大すき」(かもがわ出版)という本から著者の了解を得て一部抜粋したものです。