本文
平成十五年三月十七日公布
群馬県条例第十五号
改正 平成二一年三月二七日条例第二六号
目次
第二節 人にやさしい福祉のまちづくりに関する施策の推進(第十条-第二十条)
第三節 公共輸送車両等、公共工作物及び住宅の整備(第三十三条-第三十五条)
第四節 案内の充実等及び介助等の措置(第三十六条・第三十七条)
(目的)
第一条 この条例は、人にやさしい福祉のまちづくりに関し、県、県民及び事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、これに関する施策を総合的に推進することにより、高齢者、障害者等を始めだれもがいきいきと心豊かに日常生活を営み、又は社会活動を行うことができる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 高齢者、障害者等 高齢者、障害者、傷病者、幼児、妊産婦、外国人その他日常生活又は社会活動において行動上の制限その他の制限を受ける者をいう。
二 生活関連施設 医療施設、物品販売業を営む店舗、宿泊施設、福祉施設、遊技施設、教育文化施設、道路、公園その他の多数の者が利用する施設でだれもが安全かつ快適に利用できるよう整備することが必要なものとして規則で定めるものをいう。
三 特定生活関連施設 生活関連施設のうちだれもが安全かつ快適に利用できるよう整備することが特に必要なものとして規則で定めるものをいう。
四 公共輸送車両等 鉄道の車両、自動車その他の旅客の用に供する車両等で規則で定めるものをいう。
五 公共工作物 信号機、公衆電話所その他の公共の用に供する工作物で規則で定めるものをいう。
六 施設等 生活関連施設、公共輸送車両等、公共工作物及び住宅をいう。
(県の責務)
第三条 県は、県民及び事業者と協力し、人にやさしい福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ効果的に実施する責務を有する。
2 県は、その設置し、又は管理する施設等について、だれもが安全かつ快適に利用できるよう必要な措置を講ずるものとする。
3 県は、その提供するサービス及び情報について、だれもがこれを円滑に受け入れられるよう努めるものとする。
(県民の役割及び責務)
第四条 県民は、人にやさしい福祉のまちづくりについて理解を深めるとともに、介助を必要とする高齢者、障害者等に対し、親切に対応すること並びに家庭及び地域において思いやりのある心をはぐくむことその他人にやさしい福祉のまちづくりに関する活動に取り組むよう努めるものとする。
2 県民は、県が実施する人にやさしい福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 県民は、高齢者、障害者等に配慮して整備された生活関連施設、公共輸送車両等若しくは公共工作物又は提供された物品若しくはサービスについて高齢者、障害者等による利用を妨げないようにしなければならない。
(事業者の責務)
第五条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、人にやさしい福祉のまちづくりのため、その所有し、又は管理する施設等及び提供するサービス又は情報について、必要な措置を講ずるとともに、県が実施する人にやさしい福祉のまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(県、県民及び事業者の連携)
第六条 県、県民及び事業者は、相互に連携し、人にやさしい福祉のまちづくりの推進に努めるものとする。
(基本方針の策定)
第七条 知事は、次に掲げる事項を基本として、人にやさしい福祉のまちづくりに関する施策を総合的に推進するための基本方針を策定するものとする。
一 だれもがいきいきと心豊かに日常生活を営み、又は社会活動を行うに当たり、これらを困難にする障壁を取り除き、又は障壁を設けないようにするための施策を推進するとともに、人にやさしい福祉のまちづくりに関し、県民及び事業者が行う活動を支援すること。
二 県民及び事業者が、人にやさしい福祉のまちづくりに関し、理解を深め、県の施策に協力して自主的に取り組むよう意識の高揚を図ること。
三 だれもが自立した日常生活又は社会活動を目指し、地域において支え合いながら共に暮らすことができる地域社会づくりを推進すること。
四 だれもが安全かつ快適に利用できるよう、県が設置し、又は管理する施設等の整備を図るとともに、事業者が設置し、又は管理する施設等の整備を促進すること。
2 知事は、前項に規定する基本方針を策定し、又は変更したときは、これらを公表するものとする。
(県民意見の反映)
第八条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関する施策を実施するときは、広く県民の意見を聴き、当該意見を反映させるよう努めるものとする。
(会議の設置)
第九条 県は、第七条第一項に規定する基本方針その他の人にやさしい福祉のまちづくりに関する重要事項を決定するときは、県民の意見を反映させるため、高齢者、障害者等、事業者、学識経験者等で構成する会議を設置し、意見を聴くものとする。
(安全の確保)
第十条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関し、安全な日常生活又は社会活動が確保されるよう防犯、防災及び交通の安全に関する施策の推進に努めるものとする。
(啓発活動)
第十一条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関し、県民及び事業者の理解を深め、これらの者の自主的な取組を促進するため、啓発活動に努めるものとする。
(情報の提供等)
第十二条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関する情報を収集するとともに、県民及び事業者に対し、適切な情報の提供に努めるものとする。
2 県は、だれもが日常生活又は社会活動に関する情報を円滑に受け入れられるようにし、又は意見を円滑に表示できる手段の確保に努めるものとする。
(教育の充実等)
第十三条 県は、児童等が人にやさしい福祉のまちづくりに関する理解を深め、思いやりのある心をはぐくむよう教育の充実に努めるものとする。
2 県は、県民及び事業者が人にやさしい福祉のまちづくりに関する理解を深めるとともに、これらの者が自主的な活動に取り組むことができるよう学習の機会の提供に努めるものとする。
(車いす使用者用駐車施設の適正利用の推進)
第十三条の二 県は、県民及び事業者と協力し、高齢者、障害者等のうち、車いすの使用者その他の歩行が困難な者が、これらの者のために設置された駐車施設(以下 「車いす使用者用駐車施設」という。)を円滑に利用することができるよう、利用基準の設定その他の必要な措置を講じ、車いす使用者用駐車施設の適正な利用の推進を図るものとする。
(ボランティア等との協働等)
第十四条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関し、ボランティア活動を行うもの、特定非営利活動法人、地域における諸団体等と協働し、地域の実情に応じた施策の推進に努めるものとする。
2 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関し、地域において住民が互いに支え合いながら行う高齢者、障害者等に対する介助、子育て支援等の活動を支援するための施策の推進に努めるものとする。
(人材の育成)
第十五条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関する専門的な知識及び技能を有する者の育成に努めるものとする。
(調査等の促進及び成果の普及)
第十六条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりを推進するため、施設等に係る調査、研究及び技術開発並びにサービス及び情報の提供に係る調査及び研究を促進するとともに、これらの成果の普及を図るよう努めるものとする。
(技術的援助)
第十七条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりに関する施策を推進するため、県民又は事業者に対する技術的援助に努めるものとする。
(財政上の措置)
第十八条 県は、県民又は事業者が人にやさしい福祉のまちづくりに関する活動を自主的に行うに当たり、必要があると認めるときは、予算の範囲内において助成その他の措置を講ずることができる。
(社会参加の促進)
第十九条 県は、人にやさしい福祉のまちづくりを推進するため、高齢者、障害者等が文化、スポーツ及びレクリエーションに関する活動並びに地域活動に参加することができるようその機会の提供に努めるものとする。
2 県は、人にやさしい福祉のまちづくりを推進するため、高齢者、障害者等がその意欲、能力及び適性に応じて就労の機会が確保され、又は自立した経済活動が営めるよう必要な施策の推進に努めるものとする。
(表彰)
第二十条 知事は、人にやさしい福祉のまちづくりの推進に著しい功績があると認めるものに対し、表彰を行うことができる。
(整備基準)
第二十一条 知事は、生活関連施設の構造及び設備に関し、だれもが安全かつ快適に利用できるよう必要な基準(以下「整備基準」という。)を定めるものとする。
2 整備基準は、出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場その他の規則で定めるものについて、生活関連施設の種類及び規模に応じ規則で定めるものとする。
(整備基準への適合)
第二十二条 生活関連施設の新築若しくは新設又は増築、改築、移転若しくは建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十四号に規定する大規模の修繕若しくは同条第十五号に規定する大規模の模様替(整備基準に係る部分を含むものに限る。以下「新築等」という。)をしようとする者(施設の用途を変更して生活関連施設としようとする者を含む。)は、当該生活関連施設を整備基準に適合させるよう努めなければならない。
2 生活関連施設を所有し、又は管理する者(以下「生活関連施設所有者等」という。)は、当該生活関連施設を整備基準に適合させるよう努めるものとする。
(維持保全)
第二十三条 生活関連施設所有者等は、当該生活関連施設について、整備基準に適合している部分の機能を維持するよう努めなければならない。
(適合証の交付等)
第二十四条 生活関連施設所有者等は、規則で定めるところにより、知事に対し当該生活関連施設が整備基準に適合していることを証する証票(以下「適合証」という。)の交付を申請することができる。
2 知事は、前項の規定による申請があった場合において、当該生活関連施設が整備基準に適合していると認められるときは、当該申請をした者に対し、適合証を交付するものとする。
3 知事は、適合証の交付を受けている者の同意を得て、当該適合証に係る生活関連施設が整備基準に適合していることを公表することができる。
4 知事は、第二項の規定により交付した適合証に係る生活関連施設が整備基準に適合しなくなったと認める場合は、当該生活関連施設の生活関連施設所有者等から当該適合証を返還させるものとする。
(新築等の届出)
第二十五条 特定生活関連施設の新築等をしようとする者(施設の用途を変更して特定生活関連施設としようとする者を含む。以下同じ。)は、あらかじめ、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。以下同じ。)をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。
(工事完了の届出)
第二十六条 前条第一項の規定による届出をした者は、当該届出に係る工事(同条第二項の届出の内容の変更があった場合は、当該変更に係る工事を含むすべての工事)が完了したときは、規則で定めるところにより速やかに知事に届け出なければならない。
(完了検査)
第二十七条 知事は、前条の規定による届出があったときは、当該届出に係る特定生活関連施設の整備基準への適合状況を検査するものとする。
(適合状況報告)
第二十八条 知事は、必要があると認めるときは、特定生活関連施設を所有し、又は管理する者(以下「特定生活関連施設所有者等」という。)に対し、当該特定生活関連施設の整備基準への適合状況について報告を求めることができる。
(指導及び助言)
第二十九条 知事は、第二十五条若しくは第二十六条の規定による届出の内容又は前条に規定する報告の内容が整備基準に適合しないと認めるときは、当該届出又は報告をした者に対し、必要な指導及び助言を行うことができる。
(勧告)
第三十条 知事は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
一 特定生活関連施設の新築等をしようとする者が第二十五条の規定による届出をしないとき。
二 特定生活関連施設について第二十五条による届出をした者が第二十六条の規定による届出をしないとき。
三 特定生活関連施設所有者等が第二十八条に規定する報告をしないとき。
四 前条の指導及び助言を受けた者が当該指導及び助言に従わず、かつ、その整備の内容が正当な理由なく整備基準に照らして著しく不十分であると認めるとき。
五 特定生活関連施設の新築等をしようとする者又は特定生活関連施設所有者等が第三十二条第一項の規定による検査を拒否したとき。
(公表)
第三十一条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、当該勧告の内容その他の規則で定める事項を公表することができる。
2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、その公表の理由を前条の規定による勧告を受けた者に通知し、その者が意見を述べ、及び有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
(立入検査)
第三十二条 知事は、特定生活関連施設の新築等をしようとする者又は特定生活関連施設所有者等に対し、前三条(第三十条第五号を除く。)の規定の施行に必要な限度において、その職員に検査のため特定生活関連施設又はその工事現場に立ち入り、当該特定生活関連施設の整備基準への適合状況について検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(公共輸送車両等の整備)
第三十三条 公共輸送車両等を所有し、又は管理する者は、当該公共輸送車両等について、だれもが安全かつ快適に利用できるようにするため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(公共工作物の整備)
第三十四条 公共工作物を設置し、又は管理する者は、当該公共工作物について、だれもが安全かつ円滑に利用できるようにするため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(住宅の整備)
第三十五条 県民は、その新築し、又は所有する住宅について、居住者が将来にわたり安全かつ快適に生活できるようにするため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 住宅を供給する事業者は、だれもが安全かつ快適に利用できるように配慮された住宅の供給に努めるものとする。
(案内の充実等)
第三十六条 生活関連施設又は公共輸送車両等(以下「生活関連施設等」という。)を所有し、又は管理する者は、当該生活関連施設等の案内について、だれもが当該生活関連施設等の利用の目的が達成できるようその充実に努めるとともに、当該生活関連施設等において、階段、昇降機及び便所等について、だれもがわかりやすい絵文字その他の表示の使用に努めるものとする。
(介助等の措置)
第三十七条 生活関連施設等を所有し、又は管理する者は、当該生活関連施設等を高齢者、障害者等が利用する場合にあっては、当該高齢者、障害者等に対する介助その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(国等に関する特例)
第三十八条 国及び地方公共団体その他規則で定める者(以下「国等」という。)が行う特定生活関連施設の整備については、第三章第二節の規定は、適用しない。
2 知事は、国等に対し、施設等の整備基準の適合状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
(市町村の条例との関係)
第三十九条 生活関連施設に関し、市町村の条例により、この条例の規定による整備と同等以上の整備が行われると知事が認めるときは、当該生活関連施設の整備については、規則で定めるところにより、第三章第一節及び第二節の規定の全部又は一部を適用しないことができる。
(委任)
第四十条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(施行期日)
1 この条例は、平成十五年四月一日から施行する。ただし、第三章、第三十八条及び第三十九条の規定は、平成十六年四月一日から施行する。
(経過措置)
2 第三章の規定の施行の際現に新築等の工事に着手している特定生活関連施設については、当該工事に係る第二十五条から第二十七条までの規定(これらの規定に係る指導及び助言並びに勧告を含む。)は、適用しない。
附則(平成二十一年三月二十七日条例第二十六号)
この条例は、平成二十一年四月一日から施行する。