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雪・風害への備え 農業用ハウス強化マニュアル
更新日:2019年8月9日
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ハウスを構造強化し、強風や大雪等によるハウスの倒壊や損傷を防止するため、既存ハウスの補強技術を集約したマニュアルを作成しました。風・雪害への強化対策にご活用ください。
雪・風害に対する農業用ハウス強化マニュアル(PDFファイル:1.42MB)
生産者自らができるパイプハウスの構造強化対策
筋交いの設置
強風によるハウスの変形抑制
- 地面へ差し込む角度が緩くなると強度が下がる。
- 筋交いの下端部が地面から20センチメートル以上差し込まれていないと効果が劣る。
- 筋交いをアーチパイプと固定する。
アーチパイプの建て方・らせん杭の設置
強風によるハウスの浮き上がり防止
- アーチパイプの差し込む角度・深さを揃えて、しっかりと埋め込む。
- らせん杭を1.8~2.7メートル間隔に設置すると、強度がさらに増す。
- 地耐力の弱い所は、沈下防止パイプの下に20センチメートルほどの溝を切って、「根がらみ」パイプを設置するとよい。
陸ばり等の設置
ハウス屋根部の沈み込みの抑制
- 陸ばり(タイバー)を全てのアーチパイプにつけた場合:風への耐力は約6%、雪への耐力は約43%アップ
- X鋼を全てのアーチパイプにつけた場合:風への耐力は約9%、雪への耐力は約65%アップ
【平成26年2月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針より引用】
番線等の設置
ハウス肩部の広がりを抑制
- 積雪荷重によるハウスの横への広がりを防ぐ。
- 番線の太さは3ミリメートル程度とする。
- 止め方の注意として、端末側にUボルトが掛かるように取り付ける。
- 補強間隔は狭い方が耐力は高まる。
- マーキングしておくと、ハウスの広がり状況を確認できる。
中柱の設置
ハウス屋根部の沈み込みの抑制
- 補強間隔は可能な限り短い方が耐力は高まる。
- 3メートル間隔に設置すると、耐力が25キログラム/平方メートル向上する。
【平成26年2月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針より引用】 - 事前準備と設置に若干手間がかかる。
- 地面と垂直方向には効果が高いが、水平方向にはやや劣るため、他の補強対策と組み合わせる。
妻面の方杖の設置
雪の重みによるハウス中央部からの引っ張りを抑制
強風によるハウスの歪みの防止
・妻面は出入口があるなど、構造上強度が劣るため、方杖をして補強する。
大型ハウス(エコノミー・角屋根)の構造強化対策
新設時の強化対策
- 柱等の種類と規格変更(予算の範囲で可能な限り)
(例1:C鋼からH鋼へ 例2:鋼材のサイズアップ) - 屋根根型では、4寸~5寸の屋根勾配をつける
- 沓石はベースコンクリート等で補強する
ハウス基礎の強化
柱の倒れこみや、根元からの折れを抑制
- 柱と基礎部の接続は、荷重を支える一番重要な部分。
- 沓石と柱はダブルナットやワシャーナットで止める。
- さび止め等を塗り、定期的なメンテナンスを実施する。
ブレースによるハウスの変形防止
棟方向のゆがみを抑制
- 連棟ハウスでは棟方向の柱間2~3スパンおきにダブルブレースを入れて強化する。
- 角屋根のハウスでは屋根にもブレースを設置することで、変形を防止する。
方杖による妻面の強化
雪の重みによるハウス中央部からの引っ張りを抑制
- 棟高が高くなるほど、風抵抗が強くなる。
- 奥行きが長くなるほどハウス中央部からの引っ張る力が強くなる。
陸ばりによる屋根部の強化
ハウス屋根部の沈み込みの抑制
- 合掌材に強固な陸ばりで、ハウス屋根部とその周辺を強化する。
- 陸ばりは、合掌材の中央部に入れる。
急な停電に備えて、予備電源の確保を確認しておきましょう!
ハウスの強化とあわせて、リスク軽減のために、園芸施設共済等に加入しましょう!