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群馬県消費生活条例

更新日:2021年11月26日 印刷ページ表示

群馬県消費生活条例(平成18年条例第11号)

目次

 第一章 総則(第一条-第八条の二)

 第二章 安全の確保、取引の適正化等

 第一節 安全の確保(第九条・第十条)

 第二節 規格、表示等の適正化(第十一条-第十五条)

 第三節 不当な取引方法の禁止等(第十六条・第十七条)

 第四節 生活関連物資に関する施策(第十八条-第二十一条)

 第三章 消費生活に関する教育の推進、情報提供等(第二十二条-第二十五条)

 第四章 消費者苦情の処理等(第二十六条-第二十八条)

 第五章 知事への申出(第二十九条)

 第六章 立入調査、公表等(第三十条・第三十一条)

 第七章 群馬県消費生活問題審議会及び群馬県消費者苦情処理委員会(第三十二条-第三十七条)

 第八章 雑則(第三十八条-第四十条)

 附則

 第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差に鑑み、県民の消費生活における利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及び その自立の支援その他の基本理念を定め、県及び事業者の責務等を明らかにするとともに、県が実施する消費生活に関する総合的な施策(以下「消費者施策」という。)について必要な事項を定めることにより、県民の消費生活の安定及び向上を図ることを目的とする。

(基本理念)

第二条 消費者施策の推進は、県民の消費生活における基本的な需要が満たされること、県民の健全な生活環境が確保されること及び消費者の権利として認められている次の事項を尊重することを基本として行われなければならない。

一 消費者の安全が確保されること。

二 消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保されること。

三 消費者に対し必要な情報が提供されること。

四 消費者に対し教育の機会が提供されること。

五 消費者の意見が消費者施策に反映されること。

六 消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されること。

2 消費者施策の推進は、消費者が自らの消費生活の安定及び向上のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。

3 消費者の自立の支援に当たっては、消費者の安全の確保等に関して事業者による適正な事業活動の確保が図られるとともに、消費者の年齢その他の特性に配慮されなければならない。

4 消費者施策の推進は、高度情報通信社会の進展への的確な対応及び環境の保全に配慮して行われなければならない。

(県の責務)

第三条 県は、この条例の目的を達成するため、経済社会の発展に即応して消費者施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第四条 事業者は、消費者に供給する商品及び役務について、次に掲げる責務を有する。

一 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。

二 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること。

三 消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること。

四 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理すること。

五 県が実施する消費者施策に協力すること。

六 事業活動を通して知り得た消費者に関する個人情報を適正に取り扱うこと。

2 事業者は、消費者に供給する商品及び役務に関し環境の保全に配慮するとともに、当該商品及び役務について品質等を向上させ、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。

(事業者団体の役割)

第五条 事業者団体は、事業者の自主的な取組を尊重しつつ、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理体制の整備、事業者自らがその事業活動に関し遵守すべき基準の作成支援その他の消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努めるものとする。

(消費者の役割)

第六条 消費者は、自ら進んで消費生活に関して、必要な知識を修得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めるものとする。

2 消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めるものとする。

(消費者団体の役割)

第七条 消費者団体は、次に掲げる活動その他の県民の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとする。

一 消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明

二 消費者に対する啓発及び教育

三 消費者の被害の防止及び救済のための活動

(県、事業者、消費者等の連携)

第八条 県、事業者、事業者団体、消費者及び消費者団体は、相互に連携を図りながら協力することにより、それぞれの責務又は役割を果たすよう努めるものとする。

(基本計画)

第八条の二 知事は、消費者施策の計画的な推進を図るため、消費者施策の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 消費者施策についての基本的な方針

二 消費者施策に関し、計画的に講ずべき施策

三 前二号に掲げるもののほか、消費者施策の計画的な推進を図るために必要な事項

3 知事は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、群馬県消費生活問題審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本計画の変更について準用する。

 第二章 安全の確保、取引の適正化等

 第一節 安全の確保

(安全の確保)

第九条 事業者は、県民の消費生活における安全を確保するため、その供給する商品及び役務が県民の生命、身体及び財産の安全を害し、又は害するおそれがあるときは、供給の中止及び回収、情報の提供その他の必要な措置を講じなければならない。

(安全確保の指導及び勧告)

第十条 知事は、県民の消費生活において、事業者が供給する商品及び役務が県民の生命、身体及び財産の安全を害し、又は害するおそれがあると認めるときは、法令に特別の定めがある場合を除き、当該事業者に対してその安全を確保するために必要な措置を講ずるよう指導し、又は勧告することができる。

 第二節 規格、表示等の適正化

(規格の適正化)

第十一条 事業者は、商品又は役務について品質その他の内容の向上及び県民の消費生活の合理化に寄与するため、その供給する商品及び役務について、適正な規格を定めるよう努めなければならない。

(広告その他の表示の適正化)

第十二条 事業者は、消費者が商品の購入若しくは使用又は役務の利用に際し、その選択等を誤ることがないようにするため、その供給する商品及び役務について、品質その他の内容及び価格に関する広告その他の表示を適正に行うよう努めなければならない。

(計量の適正化)

第十三条 事業者は、消費者との間の取引に際し、消費者が計量につき不利益を被ることがないようにするため、その供給する商品及び役務について、適正な計量の実施に努めなければならない。

(包装の適正化)

第十四条 事業者は、消費者が商品について誤認することがないようにするため、その供給する商品について必要以上に過大な包装を行わないよう努めなければならない。

(適正化の指導)

第十五条 知事は、法令に特別の定めがある場合を除き、事業者が第十一条から前条までに規定する規格、広告その他の表示、計量及び包装の適正化を推進するよう必要な指導に努めるものとする。

 第三節 不当な取引方法の禁止等

(不当な取引方法)

第十六条 知事は、消費者の取引の安全を図るため、事業者が消費者の知識、能力又は経験の不足に乗じて消費者を取引に誘引し、又は消費者に取引を強制することにより消費者にその供給する商品又は役務の選択を誤らせるような取引方法を不当な取引方法として規則で定めるものとする。

2 知事は、前項の不当な取引方法を定めようとするときは、群馬県消費生活問題審議会の意見を聴くものとする。これを変更し、又は廃止しようとするときも同様とする。

(不当な取引方法の禁止)

第十七条 事業者は、消費者に商品又は役務を供給する場合においては、前条の規定により定められた不当な取引方法を用いてはならない。

2 知事は、事業者が前条の規定により定められた不当な取引方法を用いているか否かを判断する場合において、当該事業者が不実のことを告げる行為(以下「不実告知行為」という。)をしたか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該事業者に対し、期間を定めて、当該告げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、次項及び第二十三条の規定の適用については、当該事業者は不実告知行為をしたものとみなす。

3 知事は、事業者が前条の規定により定められた不当な取引方法を用いていると認めるときは、当該事業者に対し、当該不当な取引方法の改善を指導し、又は勧告することができる。

 第四節 生活関連物資に関する施策

(価格の動向等の調査)

第十八条 知事は、県民の消費生活との関連が高い物資(以下「生活関連物資」という。)について、必要に応じて、その価格の動向、需給の状況及び流通の実態を調査するものとする。

(供給等の協力の要請)

第十九条 知事は、県民に対する生活関連物資の円滑な供給を確保するために必要があると認めるときは、当該生活関連物資の生産、輸入又は販売を行う事業者に対して当該生活関連物資の供給又は供給のあっせんをするよう協力を求めるものとする。

(特定生活関連物資の指定等)

第二十条 知事は、法令に特別の定めがある場合を除き、生活関連物資の価格が異常に上昇し、又は上昇するおそれがある場合において、当該生活関連物資の買占め又は売惜しみが行われ、又は行われるおそれがあると認めるときは、当該生活関連物資を特に価格の安定及び円滑な供給の確保を図る必要がある物資(以下「特定生活関連物資」という。)として指定することができる。

2 知事は、前項に規定する事態が消滅したと認められる場合には、同項の規定による指定を解除するものとする。

(特定生活関連物資の売渡しの勧告)

第二十一条 知事は、特定生活関連物資の生産、輸入又は販売を行う事業者が買占め又は売惜しみにより当該特定生活関連物資を多量に保有していると認めるときは、当該事業者に対し、売渡しをすべき期間及び数量を定めて、適正な価格で売渡しをすべきことを勧告することができる。

 第三章 消費生活に関する教育の推進、情報提供等

(啓発活動及び教育の推進)

第二十二条 知事は、消費者の自立を支援するため、消費生活に関する知識の普及及び情報の提供等消費者に対する啓発活動を推進するとともに、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとする。

(情報の提供)

第二十三条 知事は、事業者が第九条又は第十七条第一項の規定に違反する行為を行っている場合において、県民に被害が生じ、又は生じるおそれがあり、その発生又は拡大を防止するために緊急の必要があると認めるときは、違反行為の内容、事業者の氏名又は名称及び住所その他の必要な情報を県民に提供するものとする。

(試験、検査の実施等)

第二十四条 知事は、県民の消費生活の安定及び向上を図るため、商品及び役務の試験、検査等を行うとともに、必要に応じて、その結果を公表する等必要な措置を講ずるものとする。

(意見等の反映)

第二十五条 知事は、消費者施策の策定及び実施に資するため、必要があると認めるときは、消費者等から、消費生活に関する意見及び要望を聴くものとする。

 第四章 消費者苦情の処理等

(消費者苦情の処理)

第二十六条 知事は、事業者が供給する商品及び役務に関する消費者の苦情(以下「消費者苦情」という。)の申出があったときは、速やかにその内容を調査し、当該消費者苦情が適切に処理されるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 知事は、消費者苦情を処理するため必要があると認めるときは、事業者その他の関係者に対し、資料の提出又は説明を求めることができる。

3 知事は、消費者苦情を処理するため必要があると認めるときは、群馬県消費者苦情処理委員会のあっせん又は調停に付することができる。

(訴訟の費用の貸付け)

第二十七条 知事は、消費者苦情に関し、消費者が事業者を相手として提起する訴訟で、次の各号に掲げる要件のすべてを満たすものであると認めるときは、当該消費者に対し、当該訴訟の費用に充てる資金(以下「資金」という。)を貸し付けることができる。

一 同一の被害を受けた消費者が規則で定める人数以上存在すること。

二 一件当たりの被害額が規則で定める額以下であること。

三 前条第三項のあっせん又は調停によって解決されなかったものであること。

四 県内に住所を有している者が多数共同して提起する訴訟であること。

2 前項に定めるもののほか、資金の貸付けの限度額、貸付けの条件その他貸付けに関し必要な事項は、規則で定める。

3 知事は、第一項の規定による資金の貸付けに当たっては、群馬県消費者苦情処理委員会の意見を聴かなければならない。

(貸付金の返還等)

第二十八条 前条の規定により資金の貸付けを受けた者は、その訴訟が終了したときは、規則で定める日までに貸付けを受けた資金の全額を返還しなければならない。

2 知事は、前項の規定にかかわらず、特に必要があると認めるときは、群馬県消費者苦情処理委員会の意見を聴き、貸し付けた資金の一部の返還を免除することができる。

 第五章 知事への申出

(知事への申出)

第二十九条 県民は、この条例の規定に違反する事業者の活動が行われることにより、消費者の権利が害され、又は害されるおそれがあると認めるときは、知事に対して、その旨を申し出て、適当な措置を講ずるよう求めることができる。

2 知事は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この条例に基づく適当な措置を講ずるものとする。

 第六章 立入調査、公表等

(立入調査等)

第三十条 知事は、第十条、第十七条第三項、第二十条、第二十一条及び前条第二項の規定の施行に必要な限度において、事業者に対し、その業務に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、事業者の事務所、工場、事業場、店舗若しくは倉庫に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を調査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により職員が立入調査又は質問をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入調査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(公表)

第三十一条 知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、その旨を公表することができる。

一 第十条、第十七条第三項及び第二十一条の規定による勧告に正当な理由なく従わなかったとき。

二 第二十六条第二項の規定による資料の提出又は説明を正当な理由なく拒んだとき。

三 前条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は立入調査を拒み、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、その公表の理由を当該事業者に通知し、当該事業者が意見を述べる機会を与えなければならない。

 第七章 群馬県消費生活問題審議会及び群馬県消費者苦情処理委員会

(審議会の設置)

第三十二条 知事の諮問に応じ、消費者施策の基本的事項その他施策の実施に係る重要な事項を調査審議するため、群馬県消費生活問題審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(組織等)

第三十三条 審議会は、委員二十人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから、知事が任命する。

一 学識経験のある者

二 県議会の議員

三 消費者

四 事業者

五 関係行政機関の職員

3 委員の任期は、二年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 前三項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(委員会の設置)

第三十四条 第二十六条第三項の規定により消費者苦情に関するあっせん又は調停を行い、及び第二十七条に規定する資金の貸付けに関する事項を調査審議するため、群馬県消費者苦情処理委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(組織等)

第三十五条 委員会は、委員八人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから、知事が任命する。

一 学識経験のある者

二 消費者

三 事業者

(意見の聴取等)

第三十六条 委員会は、必要があると認めるときは、当事者、関係人等に対し、その出席を求めて説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

(準用)

第三十七条 第三十三条第三項及び第四項の規定は、委員会について準用する。

 第八章 雑則

(小規模事業者への配慮)

第三十八条 知事は、消費者施策の実施に当たり特に必要があると認めるときは、小規模事業者(商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(平成五年法律第五十一号)第二条に規定する小規模事業者をいう。)に対し、技術的な援助及び資金の融資を行うことができる。

(他の地方公共団体の長等との協力)

第三十九条 知事は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、他の地方公共団体又は国の関係行政機関の長の協力を求め、又はこれらの者から協力を求められたときは、その求めに応ずるよう努めるものとする。

(規則への委任)

第四十条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

 附則

(施行期日)

1 この条例は、平成十八年七月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に改正前の群馬県民の消費生活の安定及び向上に関する条例(以下「改正前の条例」という。)第二十三条の規定により置かれた群馬県消費生活問題審議会(以下「旧審議会」という。)は、改正後の群馬県消費生活条例(以下「改正後の条例」という。)第三十二条の規定により置く群馬県消費生活問題審議会(以下「新審議会」という。)となり、同一性をもって存続するものとする。

3 この条例の施行の際現に旧審議会の委員である者は、この条例の施行の日に、改正後の条例第三十三条第二項の規定により新審議会の委員に任命されたものとみなし、その任期は、平成十九年六月十五日までとする。

4 改正前の条例第十一条の二第二項の規定により旧審議会の意見を聴いたときは、改正後の条例の適用については、改正後の条例第十六条第二項の規定により新審議会の意見を聴いたものとみなす。

5 改正後の条例第十七条第二項の規定は、この条例の施行前に用いた取引方法については、適用しない。

 附則(平成二十五年十月十八日条例第五十八号)

 この条例は、公布の日から施行する。