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猫との生活
猫は犬のように社会的集団をつくらないので、猫の社会に明確な順位はありません。集団のリーダーに従うということがないため、しつけをすることは難しい動物です。しかし、都市生活の中では、猫を勝手気ままに生活させるわけにはいきません。飼い主は猫を管理する必要があります。まず始めに、猫の行動の特性を理解しましょう。
1 猫の行動範囲
2 猫の飼い方
(1)子猫を迎える日
(2)子猫の育て方
(3)猫の手入れとしつけ
3 猫とのコミュニケーション
4 健康管理
(1)食事
(2)伝染病とワクチン
(3)ノミ退治
(4)猫に対するタバコの影響に注意しましょう
1 猫の行動範囲
猫の行動範囲には、ホームエリアとハンティングエリアがあります。ホームエリアは集合住宅では部屋とべランダだけですが、戸建ではこれに庭も含まれます。これは、犬のように外部の犬の侵入を絶対に許さないという厳密なものではありません。
猫は、ほかの猫が庭やベランダへ侵入してもある程度寛大で、ときには部屋の中へ侵入も許すことがあります。猫は犬のように追跡型の狩りをするのではなく、物陰に隠れて獲物を狙う、待ち伏せ型で、ハンティングエリアはあまり広くなく、共有するのが普通です。ハンティングエリアを使うときはマーキングをして自分の存在を示します。後から来た猫は新しいマーキングがあれば、そこにすでに猫がいるということを知って、出直します。このように、猫は明確な順位よりも優先権が尊重されることが多いようです。
猫は基本的に単独行動で群れをつくりませんが、環境によっては、メス猫を中心とした群れをつくり、2~3頭のメス猫が共同保育することがあります。オス猫もその集団に所属しますが、オス猫はメス猫より行動範囲が広く、隣接するメス猫の集団にも容易に入り込んでいきます。また、オス猫は発情期になるとメス猫を求めて、かなり広い範囲を行動します。
猫のなかには、家の中だけで食べ物をもらっている内猫と、外で食事を与えられ家に入れてもらえない外猫がいます。内猫と外猫では行動範囲が違いますが、本来、猫はどこに住んでも自分の安心できるなわばりがあれば暮らしていけます。部屋の中だけで暮らしている猫の場合は、猫の行動範囲が制限されると,心配されがちですが、猫が快適に暮らしていける環境を飼い主がつくってあげさえすれば問題はありません。
2 猫の飼い方
(1)子猫を迎える日
最初に動物病院で健康診断を
子猫を我が家に迎えるとき、最初に、伝染病にかかっていないか調べることが大切です。なかには致命的な慢性的病気を起こすウィルスがあります。見ためは元気でも、決して特殊なウィルスでなくても、すでに感染している子猫がたくさんいます。新しい子猫がきたら、まず近くの動物病院でウィルスチェックを受けましょう。
はじめてのペット
子猫が来た場合(猫や犬のいない家庭に)
子猫が来る日は家中が少し落ち着かず、新しい家族の―員をだれもが期待をして待っていることでしょう。寝る場所、食事、食器、トイレなどを準備して子猫との楽しい生活を夢みているはずです。
しかし、子猫にとっては、どうでしょうか。新たに家族の一員となる子猫は期待どころか、知らない場所にいく不安な気持ちでいっぱいです。定住生活を送る猫は場所の移動による環境の変化をあまり好みません。子猫が来た日は子猫に気のすむまで家の中を調べさせ、危険な場所でもなく、危険な動物がいないことを確認させてあげてください。人間中心の考えではなく、子猫は自分にとって安全かどうかをチェックするのですから、子猫自身に調べさせてあげましょう。意外かもしれませんが、子猫にとって人間の子供は大敵になる場合があります。猫は成長しても1日の3分の2は寝ています。子猫はたくさんの睡眠が必要で、1日中子供につきあう体カはありません。最初の日はただ見守るだけにしましょう。
すでに猫がいる家庭に子猫が来た場合
新しい猫が来ると前からいる猫が家を出てしまうことがあります。新しい猫には少しかわいそうですが、前からいる猫をかわいがってあげましょぅ。猫は家の中でも犬のようにはっきりした順位をつくりませんが、優先権ははっきりしています。前からいる猫の優先権を尊重して、新しい猫が前からいる猫につきまとうようなら軽く叱りましょう。
(2)子猫の育て方
子猫は最初の1週間はただ母猫の母乳を飲むだけの生活です。2週目になると目が開き、耳が聞こえるようになり、次の行動への準備が整います。3週目になるとまっすぐ歩くようになり、すみかから動くことができるようになります。母猫は子猫が危険な場所へ行った場合やすみかの場所が危険だと思えば、子猫の首をくわえ安全な場所へ運びます。
離乳が始まる3週目頃から、「社会化」と呼ばれる子猫にとって大切な時期が始まります。この時期、周囲の人が積極的に子猫と接触しないと人とのよい関係が生まれません。同じ人だけではなく、子供から老人までいろいろな人と接触することが大切です。子猫の社会の広がりは、最初は母猫、次にいっしょに生まれた兄弟、そしていっしょに暮らす飼い主とその家族、家庭の中のほかの犬や猫、近所の人や動物というように広がり、その中で子猫の社会性が広がり築かれます。とくに集合住宅では飼い主や家族以外、人と接触する機会が少ないので、子猫の社会性を身につけるためにも家族以外の人に子猫を見に来てもらうとよいでしょう。
子猫の遊び
子猫の遊びは本来持っている狩りの性質を活かした遊びが多いようです。成長とともに遊びは少なくなりますが、部屋の中だけで暮らす猫は生涯遊びを続けることが多いようです。外へ出るという行動は食物の確保と異性への出会いが目的ですから、食事が与えられ去勢・避妊手術を受けていれば外へ出る理由はほとんど消えてしまいます。それでも狩りの行動だけは消えることがありません。飼い主と遊ぶという疑似の狩り体験を通して、ストレスを発散させてあげましょう。そうすることによって、猫はそれが普通のことだと思い,集合住宅の中だけでも育てていくことができるようになります。
取っ組み合い
いわゆる格闘の練習です。猫はランクをつけることにそれほどこだわりませんが、子猫の中のカ関係を取っ組みあいを通して決めていきます。飼い主が遊び相手をして、いつも負けてあげると子猫が勘違いをして人より強いと思い込んでしまうことがあります。気をつけましょう。母猫がいれば母猫を相手に戦いますが、母猫は気に入らないと噛んだり追い払ったりします。子猫に遊びのタイミングを教えましょう。
ボール遊び
ボールや丸めた紙は、猫にとって獲物の代わりです。飼い主が遊び相手になりボールの動きに緩急をつけてやると、子猫は、最初じっと見て確認してから、待ち伏せてジャンプし押え込む、狩りの疑似体験をするようになります。
紙遊び
丸めた紙を押さえたり前足の間で転がしたりするのはネズミを獲る行動、前足で引っかけて後ろへ放るのは魚を獲る行動だといわれています。軽い紙を相手に自分で弾いて飛ばしそれを追いかけたりして―人遊びをします。
(3)猫の手入れとしつけ
トイレとしつけ
猫はもともと決まった場所で排泄する習性があるので、トイレのしつけは比較的簡単です。部屋の中にトイレを準備するとすぐに覚えます。子猫のときは、浅いプラスチックのトレ―を代用し、大きくなれは市販の猫用トイレを使うと便利です。オス猫にはメス猫より大きいトイレが必要です(オス猫に小さなトイレを与えると周囲を汚してしまいます)。また、周囲の人々に迷惑をかけないために、外に自由に出ている猫であっても、家の中にトイレをつくり外でさせないようにするのが大切です。いつもきれいなトイレなら外より家の中を選びます。
猫用トイレは、新聞紙を裂いて用いたり、市販のトイレ用砂を入れます。新聞紙はコストの面で安上がりですが、匂いが消えず、すぐに汚れて猫が嫌がることがあります。トイレ用の砂はコストはかかりますが、消臭効果が大きいので、清潔好きな猫の満足度が大きいようです。トイレ用砂には可燃性のものや、水洗トイレに流せるタイプなどがあります。
トイレは、猫1頭に2つが標準です。2頭の猫にはトイレを3つ準備しましょう。
また、フードつきのトイレの方が匂いも少なく、まわりも汚しません。猫はちょっとした環境の変化やストレスで、人間にとって困った問題を起こします。トイレはいつも清潔にし、出入り口をさけて部屋の隅など、猫が安心できる静かな場所に置くようにしましょう。
グルーミング
猫にとってグルーミング(毛の手入れ)は大切なことです。飼い主からグルーミングしてもらうことも大好きです。猫が自分自身でするグルーミングをセルフグルーミングといい、毛並みを整えることのほかに、体からの分泌物、フェロモンや脂肪酸などを毛につけるという意味もあります。
年老いた猫や病気の猫はセルフグルーミングをあまりしません。セルフグルーミングをしない猫はどこかに異常があると思った方がよいでしょう。
グルーミングのもう一つの役割は、ストレスの発散です。猫が何かに失敗すると、照れかくしのように突然グルーミングを始めたり、強いストレスが加わると過度のグルーミングをするようになります。必要以上にグルーミングをするときは、要注意です。
グルーミングで舐めた毛は、口から体の中に入り、普通は便の中に排泄されますが、胃の中で丸く固まり吐き出されることがあります。嘔吐の激しい場合は、体の水分やミネラルのバランスを失い病気になってしまうことがあります。また、便の中にあまり毛が多いと便秘の原因にもなります。気をつけましょう。
長毛の猫、老猫、病気の猫、過度のグルーミングを行う猫には、飼い主がグルーミングをしてあげましょう。長毛種には、櫛なども使って毎日するとよいでしょう。
グルーミングの場所はベランダや廊下は避けてください。猫の毛は大変軽くすぐ部屋の外へ飛んでしまいます。隣近所に対する配慮が必要です。
爪とぎ
猫の行動のなかで、いっしょに暮らす人間にとって困る行動がいくつかあります。
その代表が爪とぎです。猫の爪はいつもは鞘の中に隠れて、獲物に飛びつくときやケンカのときに爪を出します。猫は犬のように、歩いて適当な長さが調節されるということはありません。爪とぎをして古いものを落としていきます。また、爪とぎはマーキングの一種であり、足の裏から出る分泌物の匂いをつけ、なわ張りをしるします。
爪とぎは自然な猫の行動なので、止めさせることはできません。柱や家具に代わる爪とぎ器をつくるか、市販のスクラッチボードを使い、少しでも傷にならないよう防ぎましょう。爪とぎをされては困る場所には、ガムテープやビ二―ル系などの滑る素材を貼るのも効果的です。爪を切るのも一つの対処方法です。専用爪切りを使うと爪が割れにくく便利です。
3 猫とのコミュ二ケーション
ボディランゲージ
猫は人間のように言葉を使って話をすることができません。しかし、鳴き声やしぐさで猫の気持ちを理解することはできます。猫と楽しくコミュニケーションするために、どんな気持ちでどのようなしぐさをするのか覚えておくとよいでしょう。
機嫌を表すしっぽ
大きくゆっくり振っていれば、その猫はご機嫌。逆に素早く振るのは緊張している証拠だといわれます。
遊びの誘い
横向きにごろりと寝転ぶのは、遊びの誘いのポーズ。子猫の頃は、人間の足、母猫のしっぽなど、遊び相手になるものなら何でも遊びたがります。動かぬ小石や、自分のしっぽでさえも、おもちゃにしてしまいます。長い草や、毛糸など、手触りのよいものが特に好きなようです。
リラックスのポーズ
ゆっくりと伸びをするのは、体の緊張をほぐしたり、リラックスしたいときに見られます。
体をすりよせおねだり
人間の足に顔から脇腹をこすりつけるのは、ごはんをおねだりしているとき。また、自分の匂いを人にしみつけて、"自分の物"として主張する「マーキング」の意味もあります。
緊張しての仰向けは徹底抗戦の構え
仰向けになって大事なお腹を見せるのは徹底抗戦の構え。爪と牙を使っていつでも攻撃できることを示します。たとえ飼い主に対してこのようなしぐさをしたとしても、決して油断できません。お腹を触ろうとしたとたんに噛みつかれることも珍しくないからです。
じっとして牽制しあう
ハンティングエリアで顔見知りの猫と出会ったら、どちらかが行ってしまうまで、じっと待っていることが多いようです。お互い近づきすぎないように牽制しあい、目線はあわせないようにしてやり過ごします。
ケンカの態勢
はじめて会う猫とは、お互いに鼻先やおしりの匂いを嗅ぎあおうとします。ときには、相手に嗅がせようとせず、ケンカになることがあります。優位に立つ猫は、落ち着いた様子で体の毛も寝たままですが、自分が劣勢だと感じている猫は、背中を弓なりに丸め、毛を逆立てて威嚇します。
ハンタ―の本能
猫は生まれながらの狩猟本能を持っています。ネズミやゴキブリなど、捕まえた獲物になかなかとどめをささずに、よくもて遊んでいることがあります。これは獲物を追いかけ捕らえる衝動を発散させているのです。
4 健康管理
(1)食事
―般的に、日本人は欧米人と比較するとより多くの魚を食べています。そのため、日本では猫も魚好きだと信じられているようです。ほかの国ではどうでしょうか。内陸と海沿いの差はありますが、欧米では猫は肉を好んで食べ、日本の猫ほど魚は食べないようです。また、野性化した猫はウサギやネズミなど、近くにいる動物性食物を確保して主食にしています。日本では漁港でこぼれ落ちた魚を目当てに多くの猫が暮らしています。このように猫は肉食動物でありながら、食べ物に対して適応力のある動物なのです。
猫に必要な栄養素はタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどです。とくに、動物性タンパク質や脂肪を多く必要としています。魚だけ肉だけの食事では栄養が偏ってしまい、猫の健康のためにバランスのとれた食事を与えることが大切です。
便利で安心して与える事ができるキャットフード
多くの飼い主が猫にキャットフードを与えています。キャットフードもいろいろな種類があります。「総合栄養食」という表示のあるものは、猫に必要な栄養素がバランスよく配合され、猫の好みにあわせて選び、安心して与えることができます。その種類は水分の量で大きく分類することができます。
ドライタイプ
水分の含有量が10%以下で、加圧押出し成型によりカリカリになった粒状のフード。栄養のバランスがよく、適度な硬さは歯のためにもよく、比較的保存に適しています。必ず新鮮な水を十分に与えるようにしましょう。
ウェットタイプ
水分が75%以上含まれているもので、缶詰やアルミトレイに入って販売されています。魚や肉などの素材の食感や風味を生かし、栄養バランスがよく、また嗜好性が高く、種類も豊富です。猫の好みにあわせて選ぶことができます。
食事の与え方
離乳後キャットフードを与えはじめますが、子猫はまだ胃が小さいので、少量でも栄養価の高い食事を1日に数回に分けて与える配慮が必要です。生後1~2か月は1日に4回程度、生後6か月くらいまでは、1日3回程度、それ以降は1日に2回程度を目安に与えます。
1日の必要カロリーは子猫・成猫・老猫などそのライフステージによって違います。
獣医師やペットショップの販売員に相談してみるとよいでしょう。
(2)伝染病とワクチン
猫がかかりやすい病気のなかで、とくに注意したい6つの伝染病があります。
そのうちパルボウイルスによる伝染性腸炎、伝染性呼吸器疾患のカリシウイルスによる猫カリシウイルス感染症、へルペスウイルスによる猫ウイルス性鼻気管炎の3種類は、急性で、感染していれば短い潜伏期で症状が現れます。子猫の場合や合併症にならなければ治療によって治癒します。
コロナウィルスによる伝染性腹膜炎、猫白血病ウィルス感染症、猫エイズは、症状が現れず長くウィルスを持っているキャリア状態がつづき、症状がでると治りにくく、伝染性腹膜炎や猫白血病ウィルス感染症の場合は助からないことが多いようです。
ワクチンの種類
急性伝染病の3種混合ワクチンと猫白血病ウィルス感染症のワクチンとの2種類があります。3種混合ワクチンは伝染性腸炎を起こすパルボウイルスと伝染性呼吸器疾患、すなわち風邪を起こすカリシウイルス、へルペスウイルスのワクチンが含まれています。
ワクチン接種の時期
子猫の場合、どのワクチンも生後2か月になる前に1回目を、それから1か月後に2回目を接種し、その後は1年毎に追加接種するのがすすめられています。
伝染性呼吸器疾患は、人間の風邪と同じように冬が流行期です。ワクチンの効果から考えると流行期前の秋に―度接種することが望ましいでしょう。
猫白血病ウィルス感染症は、子猫が感染するとかなりの確率で発病します。子猫をウィルスウイルスから守るためには、前からいる猫のチェックをし、安全ならいっしょにしても安心です。もし、キャリアなら隔離しましょう。
繁殖する場合は、生まれた子猫に母猫から免疫が受け継がれるように、母猫の交配前もしくは妊娠中にワクチン接種するとよいでしょう。拾ってきた子猫は健康状態に問題がなければ、早い段階でワクチンを接種しましょう。子猫を人に譲る場合は、ワクチンを接種してから渡しましょう。
予防接種を受ける際の注意
体が弱っていると接種後に体調を崩してしまうこともあるので、接種前に猫の健康状態をきちんとチェックしましょう。また、接種後は激しい運動などは控えさせ、体調に変化があるようなら獣医師に相談しましょう。
子猫を産ませるときの注意
定期的に血液検査で感染状況をチェックすることをおすすめします。子猫を産ませるときには、必ず血液検査をしましょう。
母猫がウィルスを持っているキャリアの場合は、症状がでないので見落としてしまうことがあります。キャリアの母猫には子供を産ませてはいけません。もちろん、交配相手のオス猫がウィルスを持っていないことを確認することは必須条件です。なぜなら、子猫への感染は母猫の母乳や唾液の中のウィルスから起こるからです。
ウィルスから猫を守る
猫をウィルスから守るには、ウィルスが蔓延しているような危ない場所へ近づかなければ、ほとんど感染しません。都会では、誰かが食べ物を与え養っている外猫がたくさんいます。食器はみな共有で、伝染病の温床となっています。捨て猫などは、ここでウィルスに感染する場合があります。
ウィルスに感染しないように猫を守っていくためには、外に出さないこととワクチンの予防接種が重要です。
捨て猫などを拾ったり、予防接種を受けていない子猫を譲ってもらった場合は、新しく来た猫がウィルスを持っている可能牲があります。すでに猫を飼っていて、すぐにいっしょにしてしまうと感染の可能性があります。しばらく新しい猫はケ―ジに入れて様子を見てください。その間に動物病院で検査を受け、安全が確認されたらいっしょにしましょう。この方法であれば、新しい猫がすでにいる猫と少しずつ馴れ、前からいる猫の家出を防げます。
(3)ノミ退治
猫と暮らす上で悩まされることの一つにノミがあげられます。動物のノミの中でも猫ノミが―番元気で、犬のノミのほとんどが猫ノミだといわれています。ただし、人には刺すだけですみつくことはありません。
ノミ退治は床の掃除から
猫にすみついて成虫として過ごすのはノミ全体の5%に過ぎず、残りの95%は猫ではなくカーペットなどの中にすみついています。ノミの卵は、キラキラ光るけし粒のように小さく、粘着カがなく、猫の毛の間で産み落とされてもすぐに床に落ちてしまいます。床に落ちた卵はふ化して毛の少ない毛虫のような幼虫になり、カーペットなどの床の暗いところへ隠れ、サナギに成長してひっそりと生活します。そこへ猫や人が近づくと、その足の振動でサナギの殻が開き、ノミが生まれます。ノミを退治するには、床をいつも清潔にすることが―番です。
ノミ退治の薬と方法
ノミの薬は、新しい方法が次々に開発されています。最新情報はそのつど確認してください。ノミの成虫には殺虫薬が使われますが、首輪やスポットタイプの薬剤に関しては獣医師によく相談して使用しましょう。
首輪
首輪の中に薬品を含ませたもので、動物病院で扱われているものと、―般で販売されている医薬部外品があります。動物病院で扱う劇薬指定のタイプは取り扱いを慎重にしなければなりません。
スポットタイプ
猫が自分で舐めることのできない首の後ろに液体の薬をつけ、殺虫するタイプです。最近では低毒性の有機リン以外のものも発売され、効果をあげています。扱いには注意して、複数猫を飼っている場合はお互いに舐めあわないようにしてください。
スプレー
猫の体につけるものと、床用があります。
猫用は、殺虫するタイプとノミの発育を阻害するタイプがあります。最近では、速効性がありかつ2~3か月効果のある副作用の少ないスプレ―も販売されています。たくさんの猫がいる家庭ではもっとも効果があがるようです。
フォ―ム
ム―スタイプのもので泡を体につけ、殺虫します。
内服薬
1か月に1回飲ませる内服薬。ノミの幼虫の成長を阻害するもので、成長したノミには効果がありません。副作用はほとんどなく、効果がでてくるまでには多少時間がかかります。
注射
ノミの幼虫の成長を阻害する猫用注射があります。6か月に1回、年2回注射することで予防ができます。
手でつぶす
古典的な方法ですが、つぶした際にノミの内臓とともに卵が周囲に飛び散り、ノミやサナダ虫を猫にうつす原因になるので、やめましょう。
(4)猫などのペットに対するタバコの影響に注意しましょう
タバコの副流煙は人だけでなく一緒に暮らすペットの健康にも悪影響を与える可能性があります。受動喫煙の害に気をつけてください。
- 参考:環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」<外部リンク>