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狂犬病について
厚生労働省健康局結核感染症課の狂犬病についての情報
狂犬病の輸入感染症例について
平成18年11月16日フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について1例目<外部リンク>
平成18年11月22日フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について2例目<外部リンク>
令和2年5月22日フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について<外部リンク>
狂犬病に関する情報
狂犬病について<外部リンク>
狂犬病に関するQ&A<外部リンク>
関連情報
検疫所ホームページ<外部リンク>
国立感染症研究所<外部リンク>
世界保健機構(WHO)<外部リンク>
狂犬病とは?
狂犬病は、犬だけでなく、すべての温血動物(常に体温が一定の動物)に感染の可能性があり、発症した場合には現在のところ治療法が確立されていない感染症です。特に、ほ乳類は狂犬病に感受性が高いといわれ、海外では、犬やキツネ、アライグマ、コウモリなどの感染例が数多く報告されています。狂犬病を発症した犬はほとんどが狂暴になり、頻繁にいろいろなものに咬みつくようになります。さらに、発症した犬の唾液には狂犬病ウイルスが含まれているため、咬まれることで感染するのです。
ヒトは、狂犬病ウイルスに感染している犬に咬まれて感染することが多く、もし、狂犬病を発症すると治療法がないためほぼ100%死亡します。
動物の場合 | どうなるの? |
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感染する動物は? | ほとんどすべての温血動物(常に体温が一定の動物)に感染の可能性があります。 |
症状(イヌの場合)は? | 犬は、狂犬病に感染すると1~2週間の短期間で発病します。狂犬病の犬は、むやみに歩き回り、柱などの物体にかみついたり、地面を無意味に掘る、狼のような特徴的な遠吠えをするなどの異常行動をとります。また、流れるようにヨダレを流すようになります。(唾液の分泌の増加)。この時期の犬は攻撃的で、ちょっとした刺激でかみつきます。また、水を飲むとのどがけいれんし苦しむため、水を極端に怖れるようになります。やがて、足腰が立たなくなり、うつろに宙をながめるようになり、死亡します。 |
診断方法は? | 動物の死後、解剖して脳の中のウイルスを調べます。 |
治療方法は? | 発病した狂犬病動物には、有効な治療法がありません。 |
ヒトの場合 | どうなるの? |
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症状は? | 潜伏期間は9日から数年で通常は20から60日程度です。発病率は32~64%です。発病するかどうかはかまれた傷口の大きさや体内に入ったウイルス量などで大きくかわります。 症状は、発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状で始まり、かまれた部位の異常感覚があります。ついで、筋肉の緊張、幻覚、けいれん、嚥下困難などが起きます。液体を飲むとのどがけいれんを起こし、非常に苦しいため水を怖れるようになります(このため狂犬病を恐水病ともいいます)。犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、大量のヨダレをながし、昏睡、呼吸麻痺が起き死亡します。 |
診断方法は? | 皮膚、角膜、唾液などからウイルスを調べます。 |
治療方法は? | 狂犬病のおそれのある動物にかまれたら、すぐに傷を水でよく洗い、信頼できる病院でできるだけ早く傷の処置とワクチンを接種します。(暴露後接種)いったん発病したら治療法はなく、100%死亡します。 |
狂犬病は、昔の病気?
日本では、昭和32年を最後に発生がみられていないため、遠い昔の病気と思われる方もいるかもしれません。しかし、狂犬病の発生がないのは、世界でも日本やオーストラリアなど、ごくわずかです。それどころか、世界で毎年3万5千人~5万5千人の人が狂犬病で亡くなっています。
日本は「島国」であることから、感染症の侵入を防ぐためには好条件ではありますが、交通機関の発達や海外諸国との交流が盛んになり、世界との「距離」は縮まっています。同じ「島国」であるハワイでは、本土アメリカから来た貨物船に、狂犬病ウイルスを持ったコウモリが紛れ込んでいて、危うく狂犬病が上陸しそうになった事件がありました。この時は、ハワイの担当官が貨物船を封じ込めたお陰で事なきを得ました。また、狂犬病発生地域の外国船から検疫を受けずに乗組員が犬を上陸させたり、そのまま置き去りにしているケースも日本の港湾地区で確認されています。日本においても、狂犬病が発生する危険性は、決して「ゼロ」ではありません。
人にも狂犬病予防のワクチンは必要?
狂犬病が発生している国や地域に行く前に、また、そういった国や地域において犬に咬まれるなど、狂犬病に感染する機会があった場合には、狂犬病予防ワクチンを接種することが望ましいです。海外で、むやみに犬などの動物に手を出さないことが最も大切な予防策ですが、万が一、犬等に咬まれ、狂犬病ウイルスが体内に入っても、速やかにワクチンを接種することで発症を防ぐことができます。帰国時に必ず検疫所に相談してください。
野生動物に手を出さない | 日本では狂犬病が撲滅されて久しく、その危険を軽視しがちです。日本人旅行者は、犬や猫を見ると無防備に手を出し、なでたり、手から直接エサをあげたりします。しかし、狂犬病は世界のほとんどの大陸で見られ、毎年死亡者がでています。むやみに野犬や野良猫、野生動物に手を出さないようにしましょう。 |
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かまれる前のワクチン接種 (暴露前接種) |
旅行先で動物に積極的に近づく場合には、事前に狂犬病ワクチンを接種しましょう。4週間間隔で2回、6ヶ月後に1回接種します。 |
かまれた後の対応 | 水洗、傷口の治療、ワクチン接種、動物の調査 狂犬病を持っているおそれのある動物にかまれたら、まず充分に水洗いします。次に、できるだけ早くに病院で、傷口の治療を行い、狂犬病と破傷風のワクチンを接種します。すぐに接種するのが理想ですが、発病前なら効果があると考えられているので、忘れずに接種しましょう。 かんだ動物が飼い犬の場合には、犬が予防接種を受けているかを飼い主に問い合わせることも大切です。 |
もちろん、接種するワクチンは、犬に接種するものとは異なるヒト用のものですが、行く前に接種するものと、感染の危険性があった後に接種するワクチンは同じものです。
狂犬病ワクチンについて
すべての医療機関で常備しているものではないのと、狂犬病ワクチンが不足しているため接種を希望される方でも、国内で咬まれた方は下記の群馬県広域災害・救急医療情報サービスやForth予防接種機関データベースから医療機関に確認してください。なお、ワクチンは取り寄せとなりますので必ず予約をしてから医療機関を受診してください。
Forth予防接種機関データベース
予防接種実施機関検索について<外部リンク>
(公財)日本検疫衛生協会
狂犬病の人の予防接種は、(公財)日本検疫衛生協会で受けられます<外部リンク>
犬の登録と予防注射はなぜ必要?
登録の必要性
狂犬病が発生した場合には、発生地域で飼われている犬に対する一斉検診や、臨時の予防注射を実施するなどの措置がとられることがあります。そのためには、犬がどの地域にどのくらい飼われているかを常に把握しておく必要があります。発生してから対応するのではなく、通常措置として犬の登録をすることは、危機管理の意味で非常に重要なことです。
予防注射の必要性
万が一、狂犬病に感染した動物が日本に入ってきた場合にも、狂犬病予防注射によって犬の体内にできた「免疫」が狂犬病からあなたの犬を守ります。さらに、免疫を持つ犬の集団の中では、狂犬病はまん延せず、その地域の人たちへの安全にもつながるのです。
登録と予防注射の方法
生後91日以降の犬の飼い主は、登録と予防注射を受けさせなければなりません。
狂犬病予防法に基づく犬の登録頭数と予防注射頭数等について
都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等<外部リンク>
犬の登録頭数と予防注射頭数等の年次別推移<外部リンク>
努力しましょう
日本における予防注射頭数は、登録頭数に対しては70%以上ありますが、未登録頭数(室内飼育者や動物取扱業者、多頭飼育者など)を含めると残念ながら50%以下だと推定されています。
予防注射頭数が50%以下だということは、有効な予防する力(抗体価)を保持している犬は、はたしてどれぐらいいるのでしょうか。こんな状態の中に、狂犬病が侵入してきたとしたら…日本に、再び国内感染の狂犬病が発生する日があるかも知れません。そうならないためにも、行政や獣医師は、より多くの犬に接種するよう呼びかけているのです。皆さんの愛犬は、接種していますか?知り合いの愛犬はどうですか?接種していない愛犬が少しでも減るように努力しましょう。
警告
世界保健機構(WHO)は警告しています。「感染症の脅威に対して安全な国は世界に一つもない。」。狂犬病が国内で発生した場合の混乱は、狂牛病の比ではないはずです。
哺乳類共通の大敵、狂犬病!日本での蔓延は、断固阻止しましょう!!