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令和8年度群馬県社会教育委員会議定例会 開催結果について
1 日時
令和8年8月25日(火曜日)13時30分~15時30分
2 場所
群馬県庁29階 292会議室
3 出席者
社会教育委員 10名
県教育委員会 8名
4 議事及び意見
(1)催事補助金に係る報告について
【A委員】
議事(2)「催事補助金に係る報告」について、事務局から説明をお願いする。
【事務局報告】
配付資料3に基づき報告する。今期、社会教育関係団体3団体より催事補助金の交付要望があった。本件はいずれも年度当初からの交付手続きが不可避であり、4~5月の交付が必要であった一方、本会定例会の開催前であったため、会議の場で事前に意見を聴取することが困難な状況であった。そのため、議長とも協議の上、前任期の委員の皆様に対して電子メールによる書面での事前意見聴取を実施した。その結果、全委員より特段の異議やご意見はなかったため、その結果を議長へ報告し、必要な意見聴取手続きを経たものとして、交付事務を先行して進めた。本日はその経緯と実施内容に関する事後報告となる。よろしくお願いする。
【A委員】
ただいまの事務局からの説明について、ご質問やご意見はあるか。本補助金については、説明の通り、憲法第89条に基づき慎重な審議が要求されるものである。そのため、前任期の委員の皆様にも丁寧な書面協議を重ねて進めてきた。ご発言があればお願いする。
【B委員】
今回の報告内容のうち、例えば高校PTA連合会の大会等はすでに期日を過ぎて終了していると考えるが、本件はすでに執行されたものに対する「事後報告」という理解でよいか。
【A委員】
ご指摘の通り、委員の任期の切り替わり時期と、実際の事業実施・補助金交付の手続き時期にズレがあるため、事前には前任期の委員にお諮りし、現任期の委員に対しては事後の経過報告という形式をとっている。他にご質問等はあるか。
【委員】
異議なし
【A委員】
ご意見・ご質問はないようなので、本催事補助金の交付報告については、全員の賛同をもって承認とする。感謝申し上げる。
(2)令和8年度の協議テーマ及び協議の方向性について
【A委員】
本日のメイン議題である議事「令和8年度の協議テーマ及び協議の方向性について」に入る。本会議におけるテーマ設定や議論の進め方は、委員自身で主体的に検討していくこととなっている。まずはイメージを共有するため、前任期までの協議の経過や、今期事務局から提案されているテーマ案について、事務局より説明をお願いする。
【事務局説明】
配付資料4「議論のまとめに至る経緯について」及び資料5「今期の協議テーマ(案)の提案」、補足資料(1)に基づき説明する。
群馬県社会教育委員会議では、令和5年度から令和7年度(前任期)までの約3年間にわたり、「誰一人取り残さない社会の実現に向けたこれからの生涯学習支援」を共通テーマに、年3回程度の会議において、子どもたち、高齢者、障害者、外国人等の多様な学びや居場所づくりについて協議を重ねてきた。その集大成として、本年3月に「議論のまとめ」を発行し、全ての県立学校や市町村教育委員会等へ広く配布・活用を促している。今期のスタートにあたり、前任期の3年間の蓄積や最終の臨時会での議論を土台とした上で、事務局より新たな協議テーマ案として、「地域の暮らしの実情(や課題)を眺めた時の公民館の役割」を提案する。これは、少子高齢化や地域コミュニティの希薄化が進む中、公民館を単なる行政主導の「事業(講座等)を行う場所(事業論)」や「建物を管理する施設(施設論)」として捉えるのではなく、多様な住民が自ら考え、語り合い、新たなつながりをつくり出す「地域の交流・活動拠点(居場所)」として、本来の価値や役割を捉え直そうとする提案である。補足資料(1)には、中教審が指摘する「地域のつながり直し」や「地域の縁側」としての機能強化、さらに先進事例として、第78回優良公民館表彰を受けた長野県塩尻市中央公民館の「ゆる活」や「公民館でおひるごはん」などの取組を整理している。今期も、委員それぞれの専門や実践を持ち寄りながら、2年間で深めてまいりたいと考える。まずはこのテーマ案の妥当性や、必要とされる視点について忌憚のないご意見をお願いする。
【A委員】
前任期では、委員が事例を持ち寄り、現場に根差した形で議論を進めてきた。今回も、事例や問題意識を共有しながら議論を進めたい。資料5には、「つながり」「交流しながらの課題解決」「活動の拠点」などのキーワードがあり、欄外には、事業論や施設論ではなく、場づくりや環境づくりといった視点も示されている。最近感じている課題や実践事例など、どこからでも結構なので、御意見をお願いしたい。
【C委員】
キッズバレーでは、行政と協働しながら地域の中に多様な居場所をつくる取組を進めてきた。当初は公民館がその拠点になることを期待していたが、なかなか連携が進まず、最終的には自分たちの事務所であるコワーキングスペースを「公民館化」する形で、多様な人が利用しやすい場づくりに取り組んでいる。また現在は、高齢者が前向きに楽しめる地域づくりと仕事の創出をテーマとした事業に取り組んでいる。公民館とも連携しながら準備を進めており、11月頃の本格始動を目指している。これまで取り組んできた冥途喫茶も、高齢者に生きがいや地域での役割を持ってもらうことを目的として始めたものである。国内外から注目を集め、海外メディアの取材も受けたが、背景には世界的な高齢化の中で、高齢者がいかに生き生きと活躍できるかという共通の課題があると感じている。さらに、居場所については、必ずしも新たな施設を整備することだけが重要なのではないと考えている。本屋や喫茶店、商店街の店舗など、地域にはすでにさまざまな「場所」が存在する。大切なのは、その場所を居心地が良く、人がつながれる空間として機能させる視点である。つまり、ハードとしての居場所を増やすだけでなく、今ある場所に居場所としての機能を持たせていくことも重要である。そのような考え方のもと、「良い場所(よい・いばしょ)」を地域の中に増やしていく取組も進めていきたいと考えている。
【A委員】
コワーキングスペースを「公民館化」するという発想は非常に面白い。また、「冥途喫茶」は非常に有名であり、全国や国外の国営放送などからも取材や視察が来ていると聞いた。人と繋がりたいという繋がりを求めるニーズは確実に存在するが、それを支える日常的な場が足りないということの裏返しでもあると考える。
【D委員】
NPO法人「じゃんけんぽん」にて、地域の多世代交流カフェ「近隣大家族」を運営している。ここでは高齢者の見守り配食サービスと、子ども食堂(中学生以下250円、一般600円)を組み合わせた居場所づくりを実践しており、他の高齢者等の利用者が子どもたちを緩やかに見守る仕組みをとっている。
夏休み期間中には、子どもたちが来て宿題をし、ランチを食べ、午後は近くの児童館等を利用する「宿題カフェ」を運営しており、保護者から非常に高い評価を得ている。過去に近くの公民館とこの仕組みを試験的に共同実施した際、保護者から「安全上の理由から一度帰宅させずに、学校から直接公民館へ寄れる仕組みがほしい」という要望をいただいた。現在は通学途中の事故保証の観点から一度帰宅するよう学校指導がなされているが、学校・公民館・保護者が認識を一致させ、公民館側の総合補償などで保険課題をクリアできれば、放課後の子どものセーフティネットとして非常に有効な居場所になると感じており、こうした仕組み上の改善が今後の公民館連携で望まれるのではないか。
【A委員】
学校から公民館への直行と保険の保証課題は、まさに場づくりの「運営方法」や「他主体・学校との連携」における具体的な論点である。
【E委員】
今お話にあった放課後の子どもの居場所について、前橋市で実施されている「地域寺子屋」の取り組みが参考になると考える。前橋市では市内の全中学校区を対象に、生徒が放課後そのまま制服や荷物を持ったまま、学校の帰り道にある最寄りの公民館に立ち寄って学び、自習や質問ができる場を提供している。多い地域では20名ほどの生徒が利用しており、家庭で学習しづらい環境にある子どもたちの貴重な学習ニーズ・居場所ニーズに応えている。また、同公民館では高齢者向けに「デジタルよろず相談」を無料で定期開催しており、スマホの使い方などを中心に多くの相談を受けている。さらに、高齢者の方々がピンシャン体操や健康麻雀などを通じて人と関わり合い、認知症予防に努めたいという高い意欲も日々実感している。さらに災害が多発する現在、公民館が有事の避難所拠点・防災拠点となる機能は極めて重要であり、多面的な役割を常に意識する必要がある。
【F委員】
昨日、地元の行政センターでの会議に出席し、中学生の公民館利用について話をしてきたばかりであった。私の地域では、公民館が学校からかなり離れた場所に位置しているため、日常的に生徒が気軽に立ち寄るという利用方法が非常に難しいという物理的な課題を抱えている。センターの職員も、交流拠点として中学生にどんどん利用してほしいが、どのような仕掛けやアイデアがあるのか模索されている段階であった。先ほど事務局説明のあった補足資料の「古いバイアス」という点に関して、現場の職員や当事者にその意図がなくとも、普段から誰もがフラットに利用できる場というよりは、特別な日に特別なイベントを開催して世代交流を促進する、という従来の事業主義の形に縛られている部分が多いと感じた。日常のふとした利用をいかに可能にするか、という視点はまだ議論や工夫の余地があると考える。
【A委員】
非常に重要な指摘である。普段のふとした利用、すなわち「日常の延長としての場づくり」が求められている。
【G委員】
学校と公民館との関わりは、以前に比べると少なくなっているものの、保護者会や会議などで公民館を利用する機会は現在もある。また、コロナ禍以前は公民館のイベントに保護者や生徒が参加することも多かったが、近年はそのような機会が減少しているのが現状である。
一方で、地域の活性化を考える上では、地域の人々が集まり、対話できる場の存在が重要であるという認識を、市とも共有している。特に本校は地域で唯一の高校であり、地域とのつながりを担う役割も大きいと感じている。生徒たちからも、駅前などに気軽に集まれる場所や学習できる場所があったらよいという声がある。そのため、駅前の建物を活用しながら、子どもたちが安心して過ごせる場づくりについて地域とともに検討しているところである。本日の議論を聞いていて、そのような場の一つとして公民館がさらに活用されれば、地域の交流やつながりを生み出す上で大きな役割を果たせるのではないかと感じた。
【A委員】
高校生自らが駅前にフリースペースを作り出している事例は、まさに「公民館的な機能」の創出を若者が主体的に行っている好例である。長野県などでは、「公民館する」というように、公民館が動詞として使われることがある。建物ではなく、皆でつくる場を公民館と捉える文化がそこにはある。先ほどのC委員の話にもつながるが、どこにでも、公民館的な場所になり得る可能性がある。
【H委員】
私は社会教育委員のほか、家庭教育支援や学校運営協議会、ボランティア活動などにも関わっている。その中で現在取り組んでいるのが、地域の居場所づくりである。私たちはこれを「庭」と呼び、誰もが気軽に立ち寄れる場を目指して活動している。ただし、限られた人数で運営しているため、毎日開設することは難しく、定期的な開催にとどまっている。村には公民館がないため、まずは公民館のような機能を持ち、誰もが集まれる場所をつくろうという思いから始めた取組である。今年の夏休み期間には「冷やし中華」ではなく「冷やし中学校」と名付け、熱中症対策も兼ねて部屋を冷やし、誰でも来て宿題をしたりお祭りのポスター制作をしたりできる場を設けた。冷房の効いた空間を開放し、宿題やポスター制作などを地域の人と一緒に行うことで、子どもたちが安心して過ごせる場づくりを進めている。また、地域の祭りへの参加や運営についても、大学生など若い世代と連携しながら取り組んでいる。地域では意見が固定化しがちな面もあるため、外部の若い世代の意見を取り入れながら、より魅力的で開かれた居場所づくりを目指して活動している。まさに現在、地域の中でどのように場をつくり、人と人をつないでいくかを実践しているところである。
【I委員】
ガールスカウトにおいても会員の高齢化が進んでおり、「高齢になったので役割を終えた」と考えて退会してしまう方が増えている。しかし、長年にわたり少女たちの育成に携わってきた方々が活動から離れてしまうことは大変もったいないと感じている。もちろん、子どもたちを直接支えるためには若い指導者も必要であるが、一方でこれまで培われてきた経験や思いを次の世代に伝えていただくことも重要である。そのため、高齢の会員にも役割を持ってもらい、お茶会の開催やものづくり、野菜づくりなどを通じて子どもたちと関わる機会を設けている。高齢者が生き生きと活動し、やりがいを持てる環境づくりは非常に大切だと考えており、近年は特に力を入れているところである。また、地域活動においては世代を超えた関わりが重要であると感じている。私たちは公民館や青少年会館などを利用して活動しているが、子どもから高齢者までが自然に交流できる機会が増えれば、地域はさらに活性化するのではないかと思う。現在は、子どもたちの中にも家庭環境や経済状況による格差が見られ、保護者の事情によって活動への参加が難しいケースもある。そのため、地域に密着した公民館が身近な居場所として機能することは大きな意味を持つ。実際にガールスカウトでも、日頃お世話になっている公民館で花壇整備などの活動を行い、公民館職員や地域の方々と一緒に取り組む機会がある。こうした世代を超えた交流の機会が公民館に増えることで、子どもたちにとってもより身近で親しみやすい場所になり、利用しやすくなるのではないかと考えている。
【A委員】
高齢者のベテランの技術や想いを、役割や出番として取り組む場の創出は極めて重要である。これはD委員の宿題カフェで「お年寄りが子どもを緩やかに見守る」という話や、やりすぎずに当事者が楽しむという発想とも重なり合う。
【B委員】
私の住む市では、現在は「公民館」という名称ではなく、「地域づくりセンター」という名称で運営されている。名称変更から5年ほど経つが、その以前は公民館と呼ばれていた。私は当時、地域協議会に参加しており、その議論にも関わっていた。名称変更の背景には、「公民館」という言葉がやや古い印象を与えるという認識があり、より地域に開かれた拠点を目指したいという考えがあった。その際には、昔の寺子屋のように、多様な人が集い学び合える場をイメージしていたと聞いている。現在は、中高生サミットで市内の中高生にも積極的に参加してもらい、「藤岡市をどのようなまちにしていきたいか」といったテーマについて話し合う機会も設けられている。若い世代の意見を地域づくりに生かそうという取組である。また、各地域では週末を中心にさまざまな講座や体験活動が開催されており、地域住民が気軽に参加できる機会が設けられている。そうした活動を通じて、それまで面識のなかった人同士が知り合い、新たなつながりが生まれている様子も見られる。このような場は、単に事業を実施するだけでなく、人と人との交流を生み出し、地域の仲間づくりやネットワーク形成につながる重要な役割を果たしていると感じている。一方で、利用者・市民としての視点から申し上げると、例えば週末に会議で大きな部屋を借りたい場合など、平日の限られた時間帯に直接窓口へ出向いて申請書を提出しなければならないといった、手続き上の煩雑さが残っている現状がある。仕事をしている現役世代が「ちょっと使おう」と思った際に、こうした手続きの不便さが利用を躊躇させる要因になっているため、オンライン申請の導入など、利用手続きの簡素化・アクセスのしやすさを向上させることも、これからの公民館運営には必要であると感じている。
【E委員】
もう一つの視点として、外国人の存在がある。前橋市国際交流協会が主催し、公民館を使って外国籍住民に日本語を教えている。ベトナム、フィリピン、インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、アメリカなどの人々が、地域でうまく暮らすために日本語を本当に熱心に勉強している。また、私の地域では、秋元公の歴史祭りを開催しており、武者行列に市長や教育長、そして子どもたちも侍の格好をして参加している。こうしたイベントも、多世代や多様な人々が閉じこもらずに繋がる拠点になっている。
【J委員】
公民館の利用者は、どうしても高齢者が中心となる傾向がある。一方で、若い世代については、市内の駅前や市役所庁舎内に設けられている学習スペースが高校生を中心に多く利用されており、特に試験前には満席になることも少なくない。そのため、利用できなかった生徒が公民館のフリースペースを活用するケースも見られる。また、学校に近い公民館では、放課後に子どもたちが立ち寄り、勉強をしたり本を読んだりしながら、保護者の迎えを待つ場所として利用されている。特別に事業として仕掛けたものではないが、結果として公民館が子どもたちの居場所の一つとして機能している面もある。一方、高齢者はサークル活動や趣味の講座、読書などを通じて公民館を利用しており、それぞれの目的に応じて活動しているのが現状である。また、公民館職員としては、世代間交流を重要なテーマの一つと考えている。そのため、各種イベントや事業を実施する際には、中学生や高校生にボランティアとして協力してもらうこともある。さらに、高校生が部活動などで培った知識や技術を生かし、講師として参加する機会を設けるなど、若い世代が地域で活躍できる場づくりにも取り組んでいる。
【A委員】
J委員から「仕掛けずとも自然と日常の居場所になっている」という極めて興味深い実態が報告された。職員側としても、世代交流事業において、中高生にボランティアとして手伝ってもらい、高校生に部活の知恵を生かした講師になってもらって交流事業に取り組んでいるとのことであった。このように、「事業ベースの展開」と「日常の環境づくり(居場所)」という2つの方向性が見えてきた。ここで、今期の協議テーマを深めるにあたり、全体をどのように整理し収束させていくべきか、さらにご意見を求めたい。
【D委員】
私はもともと高齢者介護を入口として活動しており、高齢者の役割づくりは非常に重要なテーマであると考えている。私たちが運営する居場所は誰でも利用できる地域の拠点であり、単なる交流の場ではなく、緩やかな見守りを通した介護予防の役割も担っている。ちょっとした困り事を気軽に話せることで、課題が深刻化する前に支援につなげることができる。その点で、居場所は高齢者だけでなく、子どもや子育て世代、障害のある方、外国人の方など、地域で暮らすすべての人にとって重要な存在である。また、地域活動は支援される側だけでなく、支える側にも大きな意義がある。例えば配食サービスでは、一人暮らしの高齢者に弁当を届けているが、配達を担うのは元気な高齢者のボランティアである。最年長は89歳であり、利用者より年上の方が活動していることもある。こうした役割を持ち続けることが生きがいや健康づくりにつながり、健康寿命の延伸にも寄与していると感じている。また、高齢者と子どもが関わることで世代間交流が生まれ、双方に良い効果がある。さらに、防災の視点も重要である。群馬県は比較的災害が少ないため、防災意識が高まりにくい面があるように思う。そのため、学校や公民館、地域の居場所づくりに関わる人々が連携し、防災訓練を交流の機会として実施できるとよいのではないかと考えている。顔の見える関係ができれば、災害時に「声をかけるべき人」が自然と分かるようになり、地域の見守りや支え合いにつながる。防災は訓練だけで成り立つものではなく、日頃からの交流やつながりがあってこそ機能するものである。地域の居場所づくりは、そのようなセーフティネットを築く基盤になると考えている。
【A委員】
東日本大震災後の復興支援では、学校の先生が地域の人を知らないため、避難所運営をすべて抱え込み、倒れてしまった事例があった。普段からのつながりが、災害時にも重要である。
【I委員】
防災と地域づくりについての話があったが、それを聞いてガールスカウトの事例を思い出した。日本連盟で紹介されていた取組の中に、中学生や高校生のガールスカウトが主体となり、公民館を拠点として避難訓練を企画・運営し、地域住民を巻き込んで防災訓練を実施した事例があった。このような取組は、幅広い世代が参加しやすく、地域の人々を巻き込むきっかけとしても有効であると考える。また、先ほども意見があったように、防災は今後の公民館の役割としても重要なテーマの一つになり得る。その意味でも、防災訓練を地域交流の機会として位置付け、公民館が中心となって実施していくことは意義が大きく、各地域でも取り組みやすい活動ではないかと考える。
【A委員】
「相談」に行くとなるとハードルが高く感じられることが多い。深刻な問題があるわけではないものの、「少し話を聞いてほしい」「ちょっと相談したい」といった思いを抱えている人は少なくない。そのような小さな悩みや不安を、日常的な交流の中で自然に話せる場が重要なのではないかと感じた。本日事務局から提供いただいた参考資料の中に、塩尻市中央公民館の事例として「一品持ち寄りの公民館でお昼ご飯」という取組が紹介されている。このような食を通じた交流の場は各地の公民館にも見られ、朝食会や昼食会などとして実施されている。こうした取組は、単に食事をすることが目的ではない。食事を共にすることで会話が生まれ、人とのつながりができ、普段は口にしにくいことも自然と話せるようになる。その結果、小さな困り事や不安を早い段階で共有できる場として機能しているのではないかと思う。生きづらさや孤立が広がりつつある社会の中で、深刻な課題になる前に「少し聞いてほしい」と思えることを気軽に話せる環境をどのように作るかは、今回の議論においても重要な視点であると考える。
【C委員】
生涯学習をやってきた現場の立場から申し上げると、正直、どこを向いて議論を深めればいいのかが少し分かりづらいと感じている。キッズバレイでは子どもには「ユースセンター」、高齢者には「冥途喫茶」、中年世代には「ネオ婦人会」という新しい形の婦人会を運営している。それぞれ共感できるテーマや属性、環境があってこそ居心地の良さが生まれる。しかし、これらを「公民館」という一つのテーマでまとめようとすると、「誰を主語にして)」という部分がぼやけてしまい、話が対象ごとに散漫になってしまう。子どもの話をすれば子どもの問題になり、高齢者の話をすれば高齢者の問題になる。また、外国人やLGBTQなど、多様なテーマや対象が存在する。そのため、議論をどこに向かわせればよいのか迷う部分がある。本日の議論を聞きながら、さまざまな考えが広がる一方で、最終的にどのような方向性を目指すのかがまだ十分には見えていないというのが率直な感想である。
【A委員】
非常に重要な問いかけである。本日の事務局資料5にも、「事業論や施設論ではなく」という趣旨の記載があった。先ほどから議論されている防災や外国人との共生といったテーマについても、それ自体の取組が行われていないわけではない。むしろ論点は個別のテーマそのものではなく、公民館の役割をどのように捉えるかにあるのではないかと感じている。皆さんの議論を聞いていて、公民館という行政設置施設としての「公民館」と、公民館的な機能や役割を持つ「場」とを分けて考える必要があるように思った。つまり、公民館を社会の中にどのように広げていくのか、また、地域のさまざまな場所にどのような「公民館的な場」をつくっていくのかという視点である。そのように整理すると、議論の方向性も見えやすくなるのではないかと思う。もちろん今日は自由に意見を広げる場であるが、公民館そのものを論じるのか、それとも公民館的な機能や役割を論じるのかによって、整理の仕方は大きく変わってくる。実際、公民館という施設がなくても、公民館的な機能を持つ場は地域のさまざまな場所につくることができる。その意味では、公民館を施設として捉えるのではなく、人が集い、学び、つながる場をどのようにつくるかという観点で考えることが重要ではないかと思う。また、防災や外国人との共生、相談会といった個別の取組についても、それらは目的ではなく手段として位置付けられるものである。こうした事業を通じて人が集い、つながり、地域の居場所や関係性を築いていくことが、本来目指すべき姿ではないかと感じた。そのような視点で本日の議論を聞きながら考えていたところである。他の委員の皆様からも、全体を通してご意見をいただければと思う。
【D委員】
私たちの活動は高齢者支援から始まったが、高齢者の課題は本人だけを見ていても解決できない。家族や子ども、地域全体へと課題がつながっているため、結果として対象は地域全体へ広がっていった。そのため、高齢者や子どもといった個別の属性ではなく、地域で暮らすすべての人を主役として考える視点が重要であると思う。また、地域の中で人々に共通するテーマを見つけることも大切である。私たちは高齢者の孤立を防ぐために居場所づくりを行っているが、居場所を開いているだけでは足を運ばない人もいる。例えば男性は、単にお茶を飲みに行くよりも、将棋や麻雀など「参加する理由」がある方が集まりやすい傾向がある。その意味で、防災は多くの人が共通して関心を持ちやすいテーマであり、人が集まるきっかけになり得る。防災を入口に交流が生まれれば、「少し困っていること」や「誰かに聞いてほしいこと」が自然な雑談の中で共有されるようになる。そして、「それなら自分が力になれるかもしれない」という気付きが生まれれば、地域の支え合いや新たな役割づくりにもつながっていく。また、人を子どもや高齢者といった属性ごとに分けて考え過ぎるのではなく、地域の中で一人の人の成長や暮らしを連続的に捉えることも大切である。地域をどのような姿にしていきたいのかを考えることが、結果として子どもたちの育ちや地域の未来にもつながるのではないかと考えている。
【A委員】
今の話を聞いていて重要だと感じたのは、雑談の中からさまざまなものが生まれてくるという点である。防災の話になるかもしれないし、外国人との共生といったテーマにつながるかもしれない。しかし、何が生まれるかは事前には分からない。だからこそ重要なのは、特定のテーマそのものではなく、そうした雑談や何気ない交流が自然に生まれる場の存在であると思う。現在は、そのような場自体が不足していることが大きな課題ではないだろうか。公民館や地域の居場所には、人と人がつながり、対話が生まれるプラットフォームとしての役割が求められているのではないかと感じている。そこから地域課題への気付きや新たな活動が生まれる可能性があると考えられる。
【C委員】
私は、ネーミングは非常に重要であると考えている。先ほどの「冷やし中学校」のような名称は、思わず行ってみたくなる魅力がある。何をする場所なのか何となく想像はできるものの、実際に行ってみなければ分からない部分があり、それが関心を引く要素になっている。私たちが始めた「冥途喫茶」も同様である。行政ではなかなか付けにくい名称かもしれないが、あえて人の興味を引くネーミングを選んだ。そこには、自分たちの意図を前面に出し過ぎないという考えもあった。「地域を元気にしたい」「みんなに幸せになってほしい」といった目的を正面から掲げても、人によっては参加しにくさを感じることがある。しかし、まずは楽しそうだと思って足を運んでもらい、その中で新たな人との出会いや気付きが生まれればよいのではないかと考えている。実際に、ネーミングや見せ方、デザインを工夫するようになってから、人の出入りや参加者層は大きく変化した。当初想定していた対象だけでなく、さまざまな人が関わるようになったことを実感している。
【A委員】
活動者として「面白さ・楽しさ」を前面に出したい一方で、本委員会の報告書は行政機関(公民館や行政)へ提出する公文書としての性格を持っている。行政に「自分たちの問題だ」と自分事として受け止めてもらうための配慮も必要である。そのうえで、ネーミングやデザインも含めて、どのような場をつくり、どのような機能を持たせるかということ自体が、場づくりの重要な要素であると思う。そのため、今後の議論では、防災や多文化共生、冥途喫茶のような特色ある取組も含め、さまざまな事例を持ち寄りながら、それぞれがどのような役割や機能を果たしているのかを整理していくことが重要ではないかと感じている。そうした事例の積み重ねが、これからの公民館や地域の居場所のあり方を考える上で有益な参考になるのではないかと思う。
【E委員】
もう一つの重要な視点として、「安全・安心な地域づくり」が地域社会の絶対的な基本であり土台であることを強調したい。これは高齢者、子ども、外国人、障害者すべてに共通する。現在、空き巣や高齢者を狙った悪質勧誘、詐欺などの防犯上の課題が多発しており、私は防犯の活動も行っているが、地域の「こんにちは」という何気ない日常の挨拶や、不審者情報の日常的な共有があるだけで、犯罪が入り込みにくい街になる。誰もが閉じこもらずに、普段から顔の見えるつながりをもっておくこと自体が、最大の安全保障になる。
【A委員】
おっしゃる通りである。防犯・防災という重要な土台を、いかに人々が肩の力を抜いて「楽しく参画できる切り口」としてデザインできるかが、社会教育における知恵でありポイントであると感じる。
【C委員】
まさにその通りだと考える。川崎市で行われた受刑者をテーマにした映画「プリズムサークル」の上映会や、静岡の少年刑務所の事例を伺う機会があり、深く感じたことがある。非行に走ったり、特殊詐欺などの犯罪に巻き込まれてしまったりする子どもたちの多くは、家庭や地域に「自分の話を否定せずに聞いてくれる大人」や「自分を大切にしてくれる居場所」が本当になかった背景がある。だから繁華街へと自分の居場所を求めて流れていってしまう。
悪いものを排除・撲滅する防犯ではなく、コミュニティや公民館という身近な単位の中で、子どもたちが「お前何困ってんだ?」と声をかけてくれる地域の大人と出会い、1人でも2人でも安心して居られる場所を作ること。それこそが犯罪や非行を防ぐ最も根本的な防犯になるはずである。
【事務局】
皆様、本当に多様なバックグラウンドから、いきなりのテーマ提示にも関わらず、極めて活発で本質的なご意見をいただき感謝申し上げる。地域の実情や課題に、多角的な議論が展開された。これらは一見バラバラの論点のようでありながら、「地域の暮らしを支え、楽しく参画できる場としての公民館的なものの役割」という一つの大きな方向性に収束しつつあると感じる。本日いただいた論点を事務局で一端整理し、次回に向けて議長、副議長ともご相談させていただきながら、具体的な構成等を進めてまいりたい。
【A委員】
最後に、他にご発言や付け足し等はあるか。
【H委員】
私の地域は人口約2,800人の小さな村であり、小学校も中学校も1つずつしかなかった。現在は統合されて義務教育学校となっている。その学校では10年以上前から「地域の子どもは地域の宝」というスローガンを掲げており、その考え方のもとで育った子どもたちが、今は親の世代となっている。そのため、子どもを地域全体で育てるという意識が自然と根付いているように感じる。大きな自治体の取組や豊富な人材には羨ましさもあるが、小さな村だからこそできる子育てや地域づくりもあるのではないかと思う。一方で、何をするにも人手不足が課題であり、多くの担い手がいる地域を羨ましく感じることも多い。そのようなことを考えながら、日々地域づくりに取り組んでいる。
【A委員】
他県のある地域でも、「地域全体で子どもを育てる」という意識がごく自然なものとして根付いている事例が紹介された。そこでは学校だけでなく地域全体で子どもたちを見守り、大人たちが子どもの名前を覚えているほどの関係性が築かれている。こうした姿は、地域がこれまで積み重ねてきた歴史や文化の中で形成されてきたものであり、地域ぐるみの子育てが日常的な営みとして定着していることがうかがえる。その上で、今回の議論は公民館という施設そのものを対象とするものではなく、「公民館的な場」を地域の中にどのようにつくっていくかという視点で進められた。そこでは大きく4つの論点が示された。
1つ目は、公民館的な場そのもののあり方である。名称や制度上の位置付けにこだわるのではなく、人々が集い、学び、交流できる場が地域の中でどのようにつくられているのか、その実態や可能性を幅広く捉えていく必要があるという視点である。2つ目は、場の運営のあり方である。宿題カフェのような取組や、公民館とNPOとの連携などが例として挙げられた。誰が担い、どのような主体と協働しながら場を運営していくのかという実践的な視点であり、地域の多様な主体が関わる仕組みづくりが重要な論点として示された。3つ目は、人が集いたくなる場のデザインである。議論の中では「つながり」「出番」「役割」「相談」といった言葉が繰り返し挙げられた。単に場所を用意するだけではなく、人が参加する理由や役割を持ち、誰かとつながりながら安心して関われる環境をどうつくるかが重要であるという認識が共有された。4つ目は、地域課題を入口とした場づくりである。防災や防犯、外国人との共生などの課題が例示されたが、それらを目的として議論するというよりは、地域課題への対応を契機として人が集まり、結果として地域のつながりや学びの場が生まれるという捉え方である。
以上から、今回の議論では、公民館という施設の枠を超え、人々のつながりを生み出す「公民館的な場」を地域の中にどのように形成していくかという観点から、場そのもののあり方、運営の仕組み、人が関わり続けるための場のデザイン、地域課題を契機としたつながりづくり、という4つの論点が共有されたと言える。地域づくりの中心には、施設ではなく、人と人との関係性をいかに育むかという視点があることが改めて確認された。本日のこのまとめの方向性について、委員の皆様の同意をいただけるか。
【委員】
全委員賛同。
【A委員】
次回の会議に向けて、本日の議論及び自身の現場での課題、地域での事例等を整理し、お寄せいただきたい。以上をもって本日のすべての議事を終了する。非常に熱心かつ有意義な議論をいただき、誠に感謝申し上げる。
以上で議事を終了し、進行を事務局に戻す。







