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災害時のアレルギー疾患への備えと対応

更新日:2026年10月30日 印刷ページ表示

はじめに

災害時には、アレルギー疾患のある方は、普段使用している薬が手に入りにくくなったり、生活環境の変化や感染症、ストレスなどによって症状が悪化したりする可能性があります。

また、避難生活では、食事や生活環境の変化により、平常時と同じような管理が難しくなることもあります。災害時に必要な治療や支援を受けられるよう、日頃から備えを進めておきましょう。

1.なぜ災害への備えが必要なのか?

アレルギー疾患のある方は、災害時に次のような状況に直面する可能性があります。

  • 普段使用している薬が手に入りにくくなる
  • けがや急病などの対応が優先される
  • 住環境の変化によって症状が悪化する
  • 感染症によって症状が悪化する
  • 強いストレスによって症状が悪化する
  • 治療内容や服薬状況の記録が分からなくなる

災害時や避難生活では症状が悪化しやすいため、日頃から症状を良好にコントロールしておくことが大切です。また、症状が悪化した場合の対応について、あらかじめ主治医などに確認しておきましょう。

2.平常時から準備しておきましょう

普段の症状を良好に保ちましょう

災害時には医療機関の受診や薬の確保が難しくなる可能性があります。日頃から適切な治療を続け、症状を良好な状態に保つことが大切です。

また、普段使用している薬については、災害時にも服薬を継続できるよう、必要な備えについて医師や薬剤師に相談しておきましょう。

非常用持ち出し袋を準備しましょう

通常の防災用品に加え、次のものを準備しておきましょう。

  • マスク
  • お薬手帳のコピー
  • 緊急時のお願いカード
  • 普段使用している薬
  • 外用薬・頓服薬・吸入薬・スペーサーなど
  • アレルギー対応食
  • アレルギー用ミルク・哺乳瓶(必要な方)
  • 飲料水

非常用持ち出し袋の画像

3.家庭での備蓄を確認しましょう

  • 食物アレルギーのある方は十分な備蓄を

災害時には物流機能の停滞により、アレルギー対応食品や乳児用ミルク、離乳食などの特殊食品が入手しにくくなることがあります。

そのため、食物アレルギーのある方は、普段から少なくとも2週間分を目安に備蓄しておくことが推奨されています。

  • 水も忘れずに

飲料水や調理用水として、一般的に1人あたり1日3リットル程度の水が必要とされています。家族構成に応じて備蓄量を確認しておきましょう。

ローリングストックを活用しましょう

ローリングストックとは、普段使用する食品を少し多めに買い置きし、古いものから消費して、使った分を補充することで一定量の備蓄を維持する方法です。

常温保存できる食品やレトルト食品、缶詰などを活用しながら、無理なく備蓄を続けましょう。

食品を選ぶ際は、原因となる食物(アレルゲン)が含まれていないか、原材料表示やメーカーの情報を確認することが大切です。

ローリングストックの画像

4.避難所ではアレルギーがあることを伝えましょう

避難所では、必要な配慮を受けられるよう、自分や家族にアレルギー疾患があることを周囲に伝えましょう。食物アレルギーの場合は、「○○(マルマル)アレルギーがあります」と分かる表示カードなどを活用する方法もあります。

避難所で食事をするときは原材料や内容を確認しましょう

配給される食事や炊き出し、支援物資については、原因となる食物が含まれていないか確認しましょう。炊き出しなどの大量調理では、少量の混入を完全に防ぐことが難しい場合もあります。

また、避難所などでは、お子さんにお菓子や食事が配られたり、勧められたりすることがあります。食物アレルギーのあるお子さんについては、食べる前に必ず保護者が内容を確認するよう伝えておきましょう。

​5.主な疾患ごとの注意点

  • ​ぜん息(喘息)

チリやダニ、動物、煙、がれきによる粉じんなど、発作のきっかけとなるものをできるだけ避けましょう。マスクを着用するなどの対策を行い、症状が悪化した場合や薬が不足した場合には医療機関へ相談しましょう。また、普段処方されている予防薬は継続して使用することが重要です。

  • アトピー性皮膚炎

十分な入浴が難しい場合は、ぬるま湯で湿らせたタオルでやさしく拭き取り、皮膚を清潔に保ちましょう。市販のウェットティッシュや保湿剤が肌に合わないこともあるため、初めて使用する際は注意しましょう。

  • アレルギー性鼻炎・結膜炎、花粉症

ほこりや花粉、煙など、症状を悪化させる要因をできるだけ避けましょう。顔に合ったマスクを着用し、普段使用している薬も継続して使用することが大切です。

  • 食物アレルギー

原因となる食物の誤食を防ぐため、食品表示や提供される食事の内容を確認しましょう。また、周囲に食物アレルギーがあることを分かりやすく伝え、必要な配慮を受けられるようにしておくことも大切です。

6.関連資料

上記内容は、「災害におけるアレルギー疾患の対応<令和3年度厚生労働科学研究費補助金(免疫・アレルギー疾患政策研究事業)>」パンフレットに記載された内容を再構成しています。

また、日本小児アレルギー学会からも災害時の対応が記載されたパンフレットが発行されていますので、アレルギー疾患をもつこどもたちへの対応方法について知りたい方はご覧ください。

そのほかに、日本アレルギー学会が運営するアレルギーポータルには、アレルギーの一般的知識のほかに災害対応に役立つ資料がいくつか掲載されていますので、詳しく知りたい方はご覧ください。

専門医からのメッセージ

上武呼吸器科内科病院 病院長 群馬大学名誉教授 土橋 邦生 先生​

「今日から始めよう、災害への備え​」

わが国では、地震や台風、豪雨などによる災害が多く発生しており、毎年、多くの方が避難生活を余儀なくされています。

一方、アレルギー疾患は国民の2人に1人以上が抱える身近な病気です。災害時には、住環境の変化やストレス、薬の入手困難などにより、症状が悪化しやすくなります。

有事の際にお子さんやご自身を守るためには、平常時からの具体的な備えが欠かせません。

普段から、症状を良好に保ち、かかりつけ医と非常時の対応について相談し、必要な薬やお薬手帳、アレルギー対応食品などを準備しておきましょう。

避難生活では、周囲にアレルギーがあることを伝え、必要な配慮を求めることも大切です。

一人ひとりが正しい知識を持ち、お互いの状況を理解して、支え合うことが、誰もが安心して過ごせる災害時の生活につながります。

このホームページをきっかけに、ご自身やご家族の備えについて、今一度確認してみましょう。