本文
令和6年度病害虫発生予察情報 第5号(8月予報)
令和6年度 病害虫発生予察情報第5号(8月予報)(PDF:336KB)
予報の概要
作物名 |
病害虫名 |
対象地域名 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|---|---|
イネ |
いもち病(穂いもち) |
早期・早植栽培地帯 |
並 |
|
いもち病(葉・穂いもち) |
普通期栽培地帯 |
並 |
||
紋枯病 |
早期・早植栽培地帯 |
やや多い |
||
普通期栽培地帯 |
やや多い |
|||
縞葉枯病 |
感受性品種栽培地帯 |
並 |
||
イチモンジセセリ第2世代幼虫(イネツトムシ) |
普通期栽培地帯 |
並 |
||
ツマグロヨコバイ |
栽培地帯全域 |
並 |
||
セジロウンカ |
栽培地帯全域 |
並 |
||
斑点米カメムシ類 |
早期・早植栽培地帯 |
やや多い |
||
普通期栽培地帯 |
やや多い |
|||
フタオビコヤガ |
栽培地帯全域 |
並 |
||
ごま葉枯病 |
栽培地帯全域 |
並 |
||
白葉枯病 |
栽培地帯全域 |
並 |
||
ダイズ |
フタスジヒメハムシ |
栽培地帯全域 |
並 |
|
ダイズ・野菜類・花き類 |
ハスモンヨトウ |
栽培地帯全域 |
並 |
|
果樹類全般 |
カメムシ類 (チャバネアオカメムシ) |
栽培地帯全域 |
多い |
|
ハダニ類 |
栽培地帯全域 |
やや多い |
||
リンゴ |
斑点落葉病 |
栽培地帯全域 |
並 |
|
炭疽病 |
栽培地帯全域 |
並 |
||
スモモヒメシンクイ |
栽培地帯全域 |
並 |
||
キンモンホソガ |
栽培地帯全域 |
並 |
||
ハマキムシ類 |
栽培地帯全域 |
並 |
||
ナシ |
黒星病 |
栽培地帯全域 |
並 |
|
ナシヒメシンクイ |
栽培地帯全域 |
並 |
||
野菜類・花き類 |
オオタバコガ |
栽培地帯全域 |
多い |
|
夏秋トマト |
アザミウマ類 |
中山間地帯 |
やや多い |
|
キャベツ |
コナガ |
高冷地栽培地帯 |
並 |
|
夏秋ナス |
ハダニ類 |
栽培地帯全域 |
並 |
|
アザミウマ類 |
栽培地帯全域 |
並 |
||
ネギ |
軟腐病 |
栽培地帯全域 |
並 |
|
シロイチモジヨトウ |
栽培地帯全域 |
やや多い |
||
ネギアザミウマ |
栽培地帯全域 |
並 |
||
レタス |
腐敗病 |
山間高冷地帯 |
並 |
|
軟腐病 |
山間高冷地帯 |
やや多い |
(発生時期の空欄は連続発生)
主な病害虫の発生予報
1)イネ
作物名 |
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|---|
いもち病(穂いもち) |
早期・早植栽培地帯 |
並 |
|
いもち病 (葉・穂いもち) |
普通期栽培地帯 |
並 |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並であるが、東部地域の一部ではやや多い。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。
2 防除上注意すべき事項
- 前年多発したほ場やイネの葉色の濃い場所、水口など発生しやすい箇所をよく観察し、早期発見に努める。
- 発生を認めたら、ただちに薬剤散布を行う。
- 補植用等の取り置き苗は発生源になりやすいので速やかに処分する。
- 東部地域で、発生がやや多くなっているほ場もあるので注意する。
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
早期・早植栽培地帯 |
やや多い |
|
普通期栽培地帯 |
やや多い |
1 予報の根拠
- 前年の発生量は平年よりやや多かった。
- 現在までの発生量は平年並。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。
2 防除上注意すべき事項
- 薬剤防除は幼穂形成期~出穂期に行う。粉剤・乳剤等を散布する際は、落水して株元の病斑に薬剤が到達するようにする。
- 昨年発生が多かったほ場では、前年のイネで形成された菌核がほ場にとどまり次作の伝染源となり発生しやすい条件となるため注意する。
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
早期・早植栽培地帯 |
やや多い |
|
普通期栽培地帯 |
やや多い |
1 予報の根拠
- 7月6半旬の斑点米カメムシ類定点すくいとり調査の結果、主要斑点米カメムシであるホソハリカメムシ、クモヘリカメムシは、水田内、畦畔又は休耕地内(以下「畦畔等」)ともに平年並であった(令和6年8月発表予定 発生予察情報)。
- 県東部地域では、昨年までほとんど確認されなかったイネカメムシの発生が確認されている。(令和6年7月19日発表病害虫情報 第4号 イネカメムシ)。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。
2 防除上注意すべき事項
- 畦畔等の穂が出たイネ科雑草に生息していることが多いため、雑草管理に注意が必要である(コラム参考)。
- イネカメムシは水稲の出穂前から水田に侵入し、出穂直後から穂を加害する。そのため、防除適期が他の斑点米カメムシ類と異なるので注意する。そのため、防除適期は他の斑点米カメムシ類と異なるので注意する。望ましい防除方法は次のとおりである。
イネカメムシ :「出穂始め~出穂期」と「出穂期8日後」の2回防除
その他の斑点米カメムシ類:「穂揃期」と「その1週間後~10日後」の2回防除。
コラム<イネ> 斑点米カメムシ類対策 ~出穂期前後の雑草管理について~
斑点米カメムシ類はイネ科雑草の種をエサに生息・繁殖しています。被害を防ぐためには、イネの出穂期の前後各3週間程度の期間、畦畔等に穂が出たイネ科雑草が無いことが重要です。
- 除草適期
イネ科雑草の除草はイネの出穂2~3週間前に行い、さらにイネ科雑草の穂が出ていないことを確認した上で出穂期頃にもう一度除草すると効果的です。
- 注意点
畦畔等の穂が出たイネ科雑草をイネの出穂期以降に除草すると、斑点米カメムシ類を水田内に追い込み、被害を大きくする場合がありますので注意しましょう。
2)果樹類全般
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 |
多い |
1 予報の根拠
- 1月に実施した越冬量調査では、本年の越冬量は平年より多い。
- 県内7地点に設置したフェロモントラップへの対平年比総誘殺数は、6月が平年の2~26倍であったが、7月1~5半旬は4~28倍であり、全地点で6月を上回っている。
- リンゴやナシの一部の園において果実への被害が確認されている。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。
2 防除上注意すべき事項
- 果樹カメムシ類の飛来状況は園によって差があるので、園内をこまめに見回り早期発見に努め、飛来を認めたら早急に防除を行う。特に、夜間の最低気温が高くなると飛来する可能性が高くなるので特に注意する。
- 7月に飛来の少なかった地域でも、ヒノキ林で増殖した第1世代が8月以降に飛来する可能性があるので注意する。
- カメムシ類は夜行性であるため、活動の鈍い早朝に薬剤散布を行うと効果的である。
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 |
やや多い |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並だが、一部では平年よりやや多い。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、降水量は多い確率40%であるが、平均気温は高い確率80%であり、ハダニ類が発生しやすい高温の気象が続く見込みである。
2 防除上注意すべき事項
- ハダニ類は非常に繁殖能力が高く、高密度になると防除が困難になるので、早期発見に努める。
- 薬剤散布は丁寧に行う。特にほ場の周縁部など薬液のかかりにくい部分に対しては、手散布等を行う。また、雑草に寄生するハダニは草刈り後は樹上に移動するため、草刈り後の1~2日以内の薬剤散布が効果的である。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
3)野菜類・花き類
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 |
多い |
1 予報の根拠
- 県内のフェロモントラップ調査では、7地点中6地点において、4月~7月の誘殺数は平年より多くなっている。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。
2 防除上注意すべき事項
- 幼虫は生長点付近の茎葉・蕾・花・幼果に食入する。組織内に入り込まれてからでは防除が困難になるため、ほ場をよく見回り、幼虫は見つけしだい捕殺する。薬剤防除を行う場合は、発生初期に実施する。
- 施設開口部は防虫ネットで被覆し、成虫の侵入を防ぐ。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
4)夏秋トマト
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
中山間地帯 |
やや多い |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年よりやや多い。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。
2 防除上注意すべき事項
- ほ場をよく観察し、発生を認めた場合は早期防除に努める。
- 多くの植物に寄生するため、ほ場及び周辺の雑草は除去する。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。また、花の内部へ寄生するため、薬剤散布は丁寧に行う。
5)ネギ
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 |
やや多い |
1 予報の根拠
- 県内のフェロモントラップ調査の誘殺数は2地点とも平年並で推移している。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。気温の高い傾向が予報されているため、今後、発生量が増加する恐れがある。
2 防除上注意すべき事項
- ほ場をよく観察し、早期発見に努め、卵塊や若齢幼虫の集団を見つけたら、速やかに取り除き、ほ場外で処分する。
- 中老齢幼虫では薬剤感受性は低下し、葉の内部に潜り込むと効果が低下するので、薬剤による防除は若齢期に行う。
- 気温が高いと世代間が短縮し、防除時期が例年と異なる可能性や発生回数、発生量、被害が多くなる可能性がある。
- 本種の発生量は近年増加傾向にあるため、ほ場をよく観察し、防除適期を逃さないよう注意する。
- 雑草にも寄生するので、ほ場周辺の雑草を除去する。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
6)レタス
発生地域 |
発生時期 |
発生量 |
---|---|---|
山間高冷地帯 |
やや多い |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並であるが、一部でやや多い。
- 向こう1か月の気象予報(8月1日発表)によると、気温は高い見込みで、平均気温は高い確率80%、降水量は多い確率40%、日照時間は多い確率40%である。
2 防除上注意すべき事項
- 降雨によってはね上がった土等により菌が感染する。降雨中または降雨後の気温が上昇した場合、曇雨天が長引き、その後気温が上昇する場合、発生しやすくなる。
- 発病後の防除効果は低いので、予防的な防除を重点に行う。
- 特に、1.のような発生しやすい気象が予報されている場合、防除を確実に実施する。
- 雨水がたまりやすいほ場は排水溝を掘り、ほ場の排水に努める。
- 被害残さは感染源となるため、被害株はすみやかに抜き取り、ほ場の外に持ち出し適切に処分する。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
その他の病害虫の発生予報
作物名 |
病害虫名 |
発生時期 |
発生量 |
特記事項 |
---|---|---|---|---|
イネ |
縞葉枯病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。7月6半旬のすくい取り調査ではヒメトビウンカは平年並。ヒメトビウンカ越冬世代幼虫のイネ縞葉枯ウイルス保毒虫率は平年より低い。 |
|
イチモンジセセリ第2世代幼虫(イネツトムシ) |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
||
ツマグロヨコバイ |
並 |
7月6半旬のすくい取り調査では平年並。 |
||
セジロウンカ |
並 |
7月6半旬のすくい取り調査では平年並。8月に飛来のピークを迎えるので注意が必要である。 |
||
フタオビコヤガ |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
||
ごま葉枯病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
||
白葉枯病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
||
ダイズ |
フタスジヒメハムシ |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
|
ダイズ野菜類花き類 |
ハスモンヨトウ |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
|
リンゴ |
斑点落葉病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。高温多湿条件で発生しやすく、連続した雨などの短期間の気象条件で急増することがあるので注意する。 |
|
炭疽病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。高温多湿条件で発生しやすく、特に果実の濡れ時間が長いと感染しやすいので注意する。 |
||
スモモヒメシンクイ |
並 |
フェロモントラップ調査による誘殺数は平年並。重点防除時期は、リンゴ園への飛来が多くなる7月下旬~9月上旬である。 |
||
キンモンホソガ |
並 |
フェロモントラップ調査による誘殺数は平年並。 |
||
ハマキムシ類 |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
||
ナシ |
黒星病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
|
ナシヒメシンクイ |
並 |
現在までの発生量は平年並。フェロモントラップ調査による誘殺数は一部の地点でやや多い。 |
||
キャベツ |
コナガ |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
|
夏秋ナス |
ハダニ類 |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
|
アザミウマ類 |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
||
ネギ |
軟腐病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。高温多湿条件で発生が助長されるので注意し、予防的防除に努める。 |
|
ネギアザミウマ |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |
||
レタス |
腐敗病 |
並 |
現在までの発生量は平年並。 |