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令和6年度第1回社会福祉審議会議事概要

更新日:2024年8月20日 印刷ページ表示

1 開催日時

 令和6年7月2日(火曜日)午前10時30分から正午

2 場所

 県庁29階 第1特別会議室

3 出席者

(1)委員

 江村恵子委員、大川美知子委員、大谷良成委員、片野彩香委員、川原武男委員長、田島護委員、田尻洋子委員、永井勇一郎委員、永田理香委員、星野久子委員、本間弘子委員(五十音順)

(2)事務局

 健康福祉部福祉局長ほか5名

4 議事

「孤独・孤立対策」に関する意見交換等について

 孤独・孤立対策推進法(以下、「法」という)が令和6年4月1日に施行されたことを受け、その概要及びポイント並びに群馬県におけるこれまでの取組とこれからの取組等について事務局から説明し、各委員による意見交換を行った。

主な発言内容

●委員

 本日の議題は、「孤独・孤立対策」に関する意見交換とのことだが、ちょうど1年前に開催された令和5年度第1回社会福祉審議会でも、皆様から本当に様々な御意見をいただいたところ。孤独・孤立問題については、定義があいまいな部分があって国からその定義も示されているが、孤独・孤立に陥っている方の把握がしづらい・対応が難しいといった中、各委員が御活躍されている分野で、各団体がしっかりと取り組んでいることをお聞かせいただいた。それらを今後どのように繋ぎ、連携させていくかということが大事であると思っている。

 先ほど、島田局長の挨拶にもあったように、この4月に法が施行され、群馬県でも取組を始めている。県社協でも県から事業の委託を受け、県と一緒に取り組みを進めているところ。

 本日はまず、これらの取組について事務局からの説明を受け、委員の皆様から様々な質問、意見、要望等をお聞きし、次の施策に繋げていければと考えている。

○事務局

 資料1「群馬県における孤独・孤立対策のこれまでとこれから」

 資料2「群馬県孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの取り組みについて」により説明

<説明の概要>

◆群馬県の取組

  • 令和6年4月に法の施行を受け、4月12日に市町村との情報交換会を開催。
  • 孤独・孤立対策を推進する基盤である「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」(以下、「PF」という)の設立準備会を4月22日に開催。
  • 5月16日には、本県のPFを設立。同日に設立記念シンポジウムを開催。
  • 情報発信及び「社会資源の見える化」を目的に、ポータルサイトを立ち上げ。

◆PF設置の目的

  • 孤独・孤立の問題は、人生のあらゆる場面で誰でも起こりうるものであり、決して個人の問題ではなく、社会全体で対応しなければいけない。
  • 令和5年に実施された孤独・孤立に関する全国調査によれば、20代から50代までの幅広い年代が孤独感を感じている。
  • 世帯の動向に関する将来推計によれば、2033年には1世帯あたり人数が2人を割り込み、2050年には全世帯の44.3%が単身世帯となる。特に単身の高齢者世帯が急増する見通しで、問題の深刻化が懸念される。
  • 孤独・孤立問題へのアプローチは、表面化してる問題への具体的な介入支援、繋がりを継続する支援、予防的支援の3段階が考えられる。既存の取組において、孤独・孤立対策の視点をもって、各団階に応じた重層的な支援が重要。
  • しかし、これらの支援は非常に幅広く、行政だけではとても対応できない。一方、各支援団体だけでも対応に限界がある。
  • このため、多様な主体が連携して問題に対応する必要があり、PFを設置した。

◆PFの推進体制

  • PFは群馬県が設置主体となり、県社協に運営を委託。
  • 構成員として監事団体が17いるほか、一般会員が48団体。より多くの団体に参加をいただきたい。

●委員

 最初に、先ほど設立総会の際に用いられた資料2で事務局から説明いただいたが、まず、国が地方公共団体の努力義務とした(1)PF及び(2)孤独・孤立対策地域協議会(以下、「地域協議体」という)について、県内の設置状況はどうか。

○事務局

  1. PFは、1市町村(甘楽町)で設置済みであるほか、2市町村(みどり市、上野村)が設置予定。
  2. 地域協議会は、現在設置されておらず、2市町村(みどり市、上野村)が設置予定。

●委員

 県単位で地域協議会を設置することは予定していない、ということでよいか。

○事務局

 御発言のとおり。

 地域協議会は、法では「地方公共団体」に対しての努力義務として規定されているが、内閣府による通知では、地域協議会で個別ケースを取扱うことが想定されている。このため、広域自治体である県として取り組むことは難しいと考えており、県での設置は予定していない。

●委員

 先月に報道提供されたとおり、国の重点計画も新たに策定されたところ。このような前提で、今後の取組や進め方、現在の県の取組について、御意見や御質問等をお聞かせいただきたい。

●委員

 孤独・孤立に関して、年末年始とゴールデンウィークに全国で実施された相談ダイヤルに、どちらも社会福祉士会として参加した。年末年始の方は何十時間か、ゴールデンウィークの方は3コマ程度参加したが、いずれも3時間で5件くらいの件数であった。

 ただ、やはり、相談にならないような相談というか、電話をしてきたけれども、本人も何が課題なのかもわからないようなお電話を、一生懸命ソーシャルワーカーとしてお話を受けとめて、解きほぐすといったことをしたが、しかし、それでもやりきれない方も結構いらっしゃったようで、そういった点が難しいところと言うか、孤独・孤立というキーワードに惹かれてて電話をかけてきたけれども、実際に自分の状況をどこまで伝え切るか、相談者個人個人でも見えない部分があるということが、実際に相談を受けた者から聞かれた。

 おそらくこの取組では、例えばPFの設立や、実際に孤独・孤立と向き合って支援をしていく枠組を作っていくってことと思うが、PFの役割として、参画者がPFにより繋がるといったことは見えてきたものの、実際に現場で支援をしている人たちの活動にどう繋がっていくのか、といったところの関連性が、ちょっとわからなかった。

 もう1点、孤独・孤立というと、物理的に1人ぼっちになるイメージかもしれないが、おそらく心の孤独・孤立というのは、きっかけは不条理だったり、その人のやるせなさだったり、それが、おそらく誰にも気づかれずに進んでいき、人権侵害になっていくということだと思う。その「不条理だな」という辺りで、こういった課題に対し、NPOなどが直にそういう課題に向き合っている。

 一例として、先日、共同募金会に申請された、外国籍の子を支援する取組を紹介したい。

 外国籍のお子さんは、言葉や文化の違いから知能指数のテストが低くなりがちであるが、それにより特別支援学級に振り分けられてしまい適切な教育が受けられないというような話がある。こういった子を支援するため、その子の母国語の知能指数テストのキットを購入し、テストをしてあげることをNPOが始めるという事例があった。

 おそらく、こういったことがなされなければ、その子たちは適切に教育が受けられないまま孤独・孤立してしまう方向に向かっていってしまうんだろうと話を聞きながら思ったのだが、このようにちょっとした不条理に気づき、それを改善しようと最前線で活動してる方が本当に多くいらっしゃる。そういった方々と、このPFがどのように繋がってくるのかというのは、ちょっとまだ見えないなと思った。

●委員

 社会福祉士会のソーシャルワーカーといった専門的の皆さんが、それぞれ仕事をしている中で支援に向き合っていただいてるが、それでも、どこまでが孤独・孤立で、という点でなかなか掴みづらいところがある。

 電話相談を実施するにしても、「何でも相談してください」といった形になるため、受け手側としては、色々な分野の知識等を備えていなければならない。そういった点が、孤独・孤立対策の一番難しいところでもあり、大切なところでもあるかと思う。

 先ほど、若い人でも孤立感を感じてる人が多いというデータがあったが、一見、若い人は、学校や職場など色々友人がいる中にあり、物理的には孤立している状態にはないが、それでも社会的に孤立しているということもあり得る。

 一方、例えば田舎などで、数百メートル先まで一軒家で物理的には孤立してるけど、定期的に野菜を交換したり、近所の人が訪ねてきたり、民生委員さんが訪ねてきたりと、社会的には孤立をしていないといったようなこともある。このように、なかなか外見では捉えにくい所があるのかと思う。

●委員

 資料2の6ページでは、孤独・孤立に対するアプローチが3段階に分かれているが、3段階目のアプローチ3は、「課題解決型の直接支援」ということで、この部分は、すなわちソーシャルワークそのものであると思う。また、アプローチ2では、アウトリーチと思われるところで「早期対応」などの記載があるが、ここではニーズをキャッチしていくことになると思われる。

 これから秋に向けて会員向けの研修会を開催されるとのことだが、ここで実施する研修会の教育目標が、群馬県における孤独・孤立支援を担う人材に求める力になると思うので、まずはその点を明らかにしていく必要があると思う。

 また、実際の支援はソーシャルワークということになるので、まずはニーズを明確化する際の視点としてアセスメントの視点があるが、——大学の授業などではBPSモデルと言っていて、「Bio-Psycho-Social」、つまり身体、心理、社会的な側面から、多面的にその方を捉えて、ニーズを明確化し、支援計画に繋げていって実践するという形で学生には授業をしているが——、特に社会的な側面にも配慮したアセスメントができるように、例えばアセスメントシートを開発するとか、事例に基づいてその使い方を習得するとか、実践的な方法論を学ぶような研修会があるといいのかなと思う。

 そのアセスメントに基づいて支援計画を立案し、実践が行われていく訳だが、それらを振り返る段階としてモニタリングがある。これも、支援計画に基づいて、振り返りを行っていくということになるため、そのベースになるアセスメントに力を入れていくことが、とても大切になると考える。

 現在、PFが形成されているが、まずは目線合わせをしていく必要があると思う。色々な分野の団体が繋がっていると思うが、支援の方法論の原理的なところは共通しているので、支援方法の標準化を行って支援の質というものを担保していく必要があると思う。

 また、群馬県社会福祉協議会(以下、「県社協」という)が実施主体となっているが、資料には「庶務」とある。庶務だけを行うのか、マネジメントまで行うのかといった、主体となっている団体に求められる役割を明確化する必要がある。また、会員に求められる支援に必要な力についても明らかにし、力量形成ができるよう研修会のプログラム検討ができるとよいと考える。

●委員

 県社協が事務局を担わせていただいている中で、当然マネジメントも含めてやっていかなければならないと考えている。

 社会福祉士会や県民生委員児童委員協議会にも会員としてPFに加入いただいたが、会員数は告知直後ということもあり、まだまだこれからといった状況。民間団体や企業の皆様に、分野を超えて参画いただくため、しっかりやっていきたいと考えている。

 アセスメントの話があったが、前回もお話ししたとおり、チェック・評価・分析という取組が必要なのかと考えている。

 1つ心配してるのは、PFを立ち上げ、ポータルサイトでいろいろ情報共有をしているが、それだけで終わってしまうという状況。県社協だけ、あるいか幹事団体だけが情報を載せるのでは意味が無いので、民間団体や企業、市町村など構成団体の色々な情報をどんどん載せ、情報を必要とする方に取捨選択していただけるような状況が必要と思っている。

 また、他の都道府県と同じように、PFを作って、ポータルサイトを作って・・・と、漫然とやっているだけではなかなか厳しいかなということで、群馬県の孤独・孤立対策として、何を中核に置いて、何をキーワードにしていくのか、ということを前面に出していく必要があるかと思う。

 評価については、しっかりとエビデンスに基づいた評価・検証していかなければならない。特に孤独・孤立対策については、取り組んでいてもいなくても、結果がわかりにくいところがある。先月策定された国の重点計画では、各省庁の施策が何ページにわたって載っているが、ほとんどが、今やっている事業を、分類しただけで、あまり目新しいものはなかった。ただ、そんな中でもしっかりと評価を実施しているという部分は見習うべきである。やはり群馬県においても、しっかりと評価基準を作って、進捗状況を把握していかないと、のんべんだらりとしてしまうのかなということを懸念しており、そういった点が課題かなと思っている。

●委員

 県内で8つ運営されている児童養護施設では、現在、高機能化・多機能化が求められているが、どの施設でも、自分たちには何ができるのか模索しているような状態である。ちょうど昨日開催された県の社会的養育推進会議でも、それぞれの施設が実践させていただいてる中で、色々なものが我々に求められているが、なかなか実現できていないなと感じた。

 昨年度から、児童養護施設等では卒園するお子さんをアフターケアとして支援する「自立支援担当職員」が置けるよう配置基準が改正された。今日お話を伺っていて、18歳を迎えたお子さんの多くが、卒園して社会へ出て行く中で、この「自立支援担当職員」によるアフターケアが、若者の孤独・孤立に対して、非常に重要な役割を持てるのではないかと改めて感じた。

 また、本日、この審議会で意見交換させて頂いたことを持ち帰り、自団体内で広めていく役割が私にはあると思うが、こういった情報が、なかなか得られにくいと感じている。県健康福祉部と生活こども部とでは、共通する部分も非常に多くあると思うが、県の直接の担当所属から具体的なお話が聞ける機会が少ないため、逆にそのような機会があれば、「我々に何ができるのか」ということを各法人さんで考えられるのではないかと思う。

 県内で、入所児童のアフターケアを実施してる「ヤングアシストいっぽ」という団体があるが、児童養護施設とも連携している。今年度から、太田の児童養護施設「東光虹の家」と高崎の児童養護施設「希望館」で、卒園した子供たちが集まれるサテライト式のカフェを開設した。こういった気軽に立ち寄れる場所が各地に点在すると、施設を卒園した子どもたちが気軽に行けるような居場所づくりができるのではと感じており、まだ数は少ないが、そういったところも増えてくることで、社会的養育を経験した子どもたちの孤独・孤立が防げるような気がする。

●委員

 孤独・孤立対策において、県庁内の横断的な連携体制というのは、もう実施されているということでよかったか。(事務局:はい。)そういった中で、縦割りの弊害は取り去っていかなければならないかと県の方でも考えていただけると思う。

 この孤独・孤立対策においては、県、市町村、また国もそうだが、役所が縦割りを取り払っていくことが1つ大きなポイントかと思う。また、民間においても、様々な分野からの参画が考えられるが、分野の垣根を無くしていくのが大きな取組ではないか。

 社会的養育関係では、なかなか社会的養育に関わるお子さんも家庭も、元々、孤独・孤立化しがちなきらいがある。まして、18歳で自立して社会に出るとなると、なかなかうまくいかない部分もあろうかという中で、先ほどの自立支援担当職員やケアリーバー支援など、色々な施策でこれから取り組みが進んでいくと思う。

 「ヤングアシストいっぽ」さんの話も出たが、やはり地域で色々な活動してるNPO等の団体がある。今回の国の重点計画の中でも、NPO支援というのが大きな柱の1つになっていたかと思うが、ぜひ今後、県としても積極的に孤独・孤立対策に取り組むNPOに色々な支援の手が届くと、取組の幅が広くなっていくのではないか。

●委員

 事務局の説明を受け、こういったPFの形式で情報が整理されたことはとてもいいことだと思うが、この情報に誰がどのタイミングでアクセスするのかという点に懸念がある。特に、助けを求めることができないたちの中には、こういった情報にたどり着けない方がとても多い印象がある。

 実親さんの家庭を見ていても、里親家庭を見ていても、「大変なんだけれども、どこに助けを求めていいかわからないし、どうしていいかわからない」という人たちがいる。そういった人たちにどうやってこの情報を伝えていくのかが課題ではないか。

 例えば、困っている方に対して「こんな仕組みがあるから、これを使ってください」と突然伝えたしても、すぐに利用しようとはならない。まずは、その方との関係を構築し、その中で「こういった情報があるのでぜひ使ってください」ということを受け入れてもらえるような関係づくりが、とても大切なのかなと思う。

 また、孤独・孤立ということに関し、個人的には、金銭的な余裕・時間的な余裕・精神的な余裕の3つのうち、どれかのバランスが崩れると、どんどん他の部分もバランスが崩れていってしまうのかなと思っている。説明いただいたような取組をしていただくことも大切だが、それと同時に今の日本では賃金が低いということがよく言われているので、こういったことに関しても、県や国として何か取り組んで頂きたいなと思う。

●委員

 国による実態調査では、低所得世帯であるとかひとり親家庭であるといった方など、どちらかというと弱者、生活困窮の状況にある方々、――もちろん高齢者や障害者等もあると思うが、――このような方々が、孤独感を感じている割合が高いといった結果が出ていた。

 先ほど、なかなか情報にたどり着けないとのお話もあったが、支援する方たちがまず知ることが大事なことかと思う。国も、重点計画の中では「つながりサポーター」を大きな柱としている。群馬県でも、いろんな関係者で「つながりサポーター」の枠組を作って、研修を受けていただき、そういった資源をしっかりと把握していただくなど、色々な方が「つながりサポーター」になり、繋げていくというのが、1つの目標かなと考えている。

●委員

 孤独・孤立対策推進法が施行されて、皆さん一生懸命にこれから立ち上げようという場面だが、私たちにとっては、まだ、大きな問題としてしか捉えられていない。会としては、今まさに困っている方からの問い合わせをただいており、先週も県外の学校に行ったら合理的配慮が受けられなかったという相談をいただいた。

 この孤独・孤立の問題は、たくさんの機関が繋がって、皆様が同じ目線で、こういった方々を支援していくことが非常に大切であると思う。また、当事者に声を上げてもらうことも非常に大切なことだが、支援者側から言ってもなかなか難しい。

 ただ、いつでも相談できる窓口を要しておくということは必要なのかなとじている。当事者団体として、発達障害や知的障害、いろんな方が生きづらさを感じていることを実感する今日この頃ではあるが、相談に乗ってくれる窓口が1つあるだけで、不安が払拭される。そうすることで深刻化を防ぐことができる、というのは、最近感じたところ。

●委員

 私も1年半くらい前に、発達障害について、小学校区くらいの地域ごとに活動されている御様子を伺った。なかなか小さな区域での活動のため見えてこないという中で、手をつなぐ育成会の参画団体としてネットワークを構築していただいて、本当に地区ごとに一生懸命やってくださっていた。また、そんな中で「発達障害関係でも色々な相談機関があり、市町村でも色々な相談機関があるのにもかかわらず、結局はどこ行っても、『うちでは対応できません』ということで非常に困った。そういう思いを他の家族にさせたくない」というエピソードを聞いて驚いた。ただ、ネットワークを構築することによって、今年度では県の方でも、発達障害支援に係るピアサポーター事業をようやく予算化していただくなど、繋がることによって大きな力になるんだなということを少し感じたところ。

 このようなこともあり、このPFでもそういった形で、市町村、県、そして全国という形で繋がっていくのかなというふうに期待させていただいている。

●委員

 各ボランティア団体については、本当に現場レベルで色々対応をしてもらっており、また、それぞれ連携を取っているところ。

 先ほどの説明では、甘楽町、みどり市、上野村だけがPFや地域協議会に取り組むという状況の中、ネットワークを構築するにしても、それらをまとめてくれる組織・枠汲みというものがなかなかできてない、というような状況じゃないかと思う。

 県社協も含めた各社会福祉協議会において、検討体制も含め、もう少し積極的にイニシアチブをとって、進めていただければと思う。

●委員

 イニシアチブを取るのは市町村行政か市町村社協なのか、というところは少し議論があるのかもしれないが、県社協の立場とすると、PFの登録会員となっているのが17市町村社協のみであることに関しては、当然、全35市町村社協となってもらわなければ困るので、今後しっかりと進めていきたい。

 ただ、単に会員になっただけではだめで、しっかりとボランティア団体の情報などをPFで共有していただければと思っている。各ボランティア団体は地区ごとに活動されているので、そういった情報を県域でも載せていると、他の団体がモデルとして参考にできたり、関心も高まったりするかと思うので、まず、県の段階で情報を集約し、その上で市町村の段階でもPFができていけば、使いやすいポータルサイトになっていくのかと思う。

●委員

 孤独・孤立に悩む方の一番近い窓口というか、ファーストコンタクトをとる場所というのは、やはり役場・役所のようなところであり、一番身近で支援に関わってくるものと思う。吉岡町では、PFという形ではないが、縦割りをなるべく廃し、それぞれの支援関係部署が集まって、連携をしながら対応していこうという組織づくりを心がけている。

 ただ、実際のところでは、支援方法や対応などを協議しても、結局、支援を必要とする方が頼るのは、1つの窓口。もっと言えば一人の担当者にばかり頼ってくる。色々な機関が声を掛け、アプローチをしても、結局、その人が頼りやすいところ、話しやすいところ、そういったところにばかりSOSを出していく。

 例えば1人の支援が必要な方に対して、本当に色々な支援者から、「こういった支援がありますよ」「こういうプログラムがありますよ」ということを伝えても、結局その方が、特定の1人の職員に頼り切っている。その特定の1人にだけ、本音を話して、すがってくるというような、そういったケースが非常に多いなという印象を持っている。

 その方との相性も当然あるのだとは思うが、もう1つ突っ込んだことを言ってしまうと、やはり金銭的支援に繋がりたいというか、先ほど経済的困窮、貧困の問題が話題に挙がったが、やはり皆さん共通して抱えているのはお金の問題。「生活が苦しい」「生活費が足りない」「お金が欲しい」と訴える方が多く、そういった方々は皆さん共通して、生きづらさを抱えている。社会の中でうまく立ち回ることができない、仕事が長続きしない、家族とも縁が切れてしまった、お知り合いがいない、よくしてくれたり支援してくれたりする方もいない等々…。

 すると、当然お金に困り、役所に相談に来ると。こういった中で、「仕事を見つけませんか」とか「こういった地域の繋がりがあるので、参加しませんか」とか、色々なサポートを用意して、こちらから支援を呼びかけても、結局、訴える先は生活保護とか、やはりお金の支援ばかりになってしまって、その担当のところにばかりやってくる。それが悪いということではないが、他の支援には見向きもしないというような、そういった実情がある。

 孤独・孤立に悩んでるといっても、やはり問題の中心は、「お金に困っている」「お金が一番の重要事項」「お金を何とかして欲しい」というところにあり、そのことで頭の中が占められている方が多いな、という印象がある。逆に、お金にゆとりがあれば、孤独・孤立感を感じずに、そういったことはもう全部解消できるのか、という錯覚さえ覚えてしまうほど。

 実際に、会って話をすると、二言目には、「生活が苦しい」「お金がない」と言われる。「寂しい」とか「誰かと繋がりたい」とか「友達が欲しい」とか「家族とのヨリを戻したい」とか、そういったことを言われることもあるが、やっぱり最後はお金の話に戻ってしまう。

 このような実感から、結局、生活困窮対策が、一番重要なのかなという感じがしているので、こういったPFが機能する方も当然いらっしゃると思うが、実態としてはお金に執着する方が多い中で、生活困窮者対して、このPFがどこまで実効性があるのか、機能するものなのかと、正直感じた。

●委員

 日本全体で見ても、国、県、市町村あるいは団体、民間、色々な相談窓口があり、相談方法も電話相談、SNS、メール等色々な手段が用意されている。

 そんな中、どこに相談していいかわからないという問題と、特定の方が特定のところにいつも頼ってしまうという問題、あとは、窓口がワンストップではないという問題に関して、これらをどのように調整していくかということが、今後の大きな課題かと思う。

 市町村には、国から色々な制度が縦割りの形で降りてきて、それぞれで委員会だとか協議会、事業などが立ち上がるのだが、そこの兼ね合いも大事なのかなと思っている。「午前に地域共生社会の会議が開催され、午後には同じ顔触れで、生活困窮者会議を実施する」というような実態は、かなりある。

 先ほど、県内市町村における「地域協議会」がなかなか進んでいないという話があったが、「そうだろうな」とは感じた。県外の市町村では、「地域協議会」を単独で設置するのではなく、他の協議体を活用して「地域協議会」扱いとしている事例もあるので、そういった進め方も必要なのかなと思う。

●委員

 孤独・孤立が原因となって起こる問題が非常に多分野にわたり、それぞれの問題に対してそれぞれ窓口があると思うが、やはり繋がるため窓口みたいなものが必要だと思った。

 まず、孤独・孤立を感じない状態にすることが一番望ましい訳だが、現代では、核家族化であったり高齢化であったり、そういう状況の中で「孤独・孤立を感じない状態」というのは、なかなか難しいのかな思う。

 薬物依存の問題で、最近ではOTC薬――オーバー・ザ・カウンターと言って、処方せんが無くとも自分で選んで買える医薬品を用いた、若い人によるオーバードーズが問題となっている話を聞く。そういったものの取り締まりはもちろん必要だが、その一方で、危険薬物の使用やオーバードーズの原因になるものを無くすため、孤独・孤立を感じない状態というのを、なるべく作る社会が必要だと思う。

●委員

 先月策定された国の重点計画において、いきなり「オーバードーズ」という言葉が出てきたが、「若い人たちによる医薬品の過剰摂取の原因の1つに孤独・孤立がある」というのが、今回の重点計画での位置付け。

 国において大きな社会問題になってるという点について、個人的にはあまり認識してなかったので、「オーバードーズ」という言葉が突然出てきた印象を受けていたが、こういった新たな課題にも、やはり孤独・孤立が関わっているのかという感想を持った。

●委員

 孤独・孤立に関することが話題になる前からの取組であるが、地域の高齢者の見守りをしている。近年、地域の人たちが、独居老人等が増えてきてるので、当初、町社協から、見回りをして欲しいと要請を受けて始まったが、今も活動を続けている。この取組が、孤独・孤立対策に少しでも繋がるんじゃないかなと思って実施しているところ

 先日、PF設立総会があったとのことだが、PFの件について町社協に聞いてみたところ、みなかみ町では参加してないと伺い、詳細を聞くことができずに今日に至っている。

 少しでも、独りでいる人たちの、孤独や孤立を無くせるよう手助けができればいいかなと思い、今も取組を続けている。

●委員

 やはりコロナ禍で、高齢者においても、繋がりが薄くなってきており、高齢者自体は増えているが、老人クラブの会員が右肩下がりになっているという課題がある。

 前回も話が出たが、老人クラブの色々な高齢者の集いの場に集まれる人は、元々、孤独・孤立の状態にはない元気な方で、どっちかというとそういった場に集まれない人が、厳しい状況にある。そういった方たちをどのように外に連れ出すか、ということが課題。

●委員

 民生委員は、地域住民と行政・社協とのつなぎ役として活動している。私たちも、地域の見守りが活動の中心となっている。

 見守りでは、特に独居高齢者が中心なのだが、民生委員による訪問を嫌がる方もいて、民生委員が訪問しなくなってしまうケースもある。その結果、孤独・孤立になってしまうのかというところはわからないが、対応が難しいと感じるところ。

 また、「孤独・孤立」というと独居の方を考えがちだが、訪問を行う中では、高齢者が家庭内で孤独・孤立化している傾向もある。こういった高齢者への対応についても、だんだん難しくなってくるのではないかと思っている。

 高崎市では、高齢者支援センターという機関があるのだが、そこでは地域のことを色々把握しているので、そういった機関と連携して対応していくのが良い解決方法かなと思う。

 また、統計的にも、独居世帯が増えており、今後も増加が確実に見込まれている。私たちの活動指針である「民生委員信条」の中に「地域の実情を把握することに努めます」というものがあるのだが、集合住宅やアパートが増えており、そういった取組もだんだん難しくなってきている。地区の区長さんや町内会の役員さんなどと協力して、これからもなるべく孤独・孤立の状況に陥る方が少なくなるよう、取組を進めていきたいと思う。

●委員

 孤独・孤立問題については、冒頭の県の資料でもあるように、これからますます深刻化して増えていくという想定になると思う。少子高齢化、核家族化、単身世帯の増加、あとは生涯未婚率が増え、だんだん単身世帯が増えているので、そういった中で、より深刻化してくるのではないかという思いがある。

 民生委員さんにおかれても、本人が独りを好んでおり、「望まない」孤独・孤立ではないという状況であれば、なかなか外見上では分かりにくくアクセスしづらい。このことも非常に大きな課題かなと思う。

 また、各団体が色々な活動をされているが、福祉全般にわたる大きな課題として、会員の高齢化や参加者の減少が挙げられる。今後、様々な支援団体が、行政からの支援も含めて、どのように持続可能な形で活動続けていけるか、ということが重要ではないかと感じているところ。

 孤独・独立の問題は、地域共生社会の理念である「誰1人取り残されない」という部分と共通している。社協としても、この問題をしっかりと捉えていかないと、20年、30年先の社会で存在価値が無くなってしまう、というくらいの危機感を持っていかなければならないと思っている。

 皆様にはPFの会員なっていただいて御意見をいただき、この機会にぜひ、「今後、こういった事業を取り組んだらいいのでは」とか「こういったことをやらなければ駄目だよ」とか、「こういったことが足りないのでは」といったことを、要望の形でも結構ですので、社協に対して、あるいは行政に対して、お寄せいただければと思っている。

●委員

 PFの構成団体が見えてきて、会員制によりその輪を広げていくという姿は見えてきたが、このPFが社会資源の中でどういう位置付けになるのか、ということのイメージがなされていない点が気になっている。最前線で活動していて実際にこのPFが繋がれるのかとか、本当に困ってる人とPFが直接繋がるのか繋がらないのかとか、このPFの位置付けが、まだわからないところがある。

 また、資料にある「つながりサポーター」というのは、認知症対策で言うとこの「オレンジサポーター」みたいなものなのか。(事務局:オレンジサポーターを参考にしたと伺っている。先進自治体である鳥取市の取組がベースとなっていると思われ、わかりやすいマニュアルも国により整備されている。)中央共同募金会の取組で「つながりワーカー」の養成というものも実施されているのだが、この「つながりサポーター」の広げ方を、戦略的にやっていかないとなかなか進まないと思う。PFがおそらくその中心になるのかと思うので、PFの役割をもう少し、時系列ごとの戦略や社会資源としての位置付けといったものを、面的・時間的に整理されると理解しやすいのかと思う。

●委員

 たしかに、PFの見せ方の部分では、もう少し具体的にイメージが沸くような形がいいかと思われる。孤独・孤立については、なかなか掴みどころがない部分があるため、何か事業展開しながら、拡大していくのが必要かなと思う。

 鳥取県がモデル事業としても進めている「つながりサポーター」については、国においても研修が始まったところ。個人的には、本県内には約500の社会福祉法人があるため、社会福祉法人による地域貢献として各法人でサポーターが養成されればいいなという思いがある。

 こういった取組を拡大すると正に、「誰1人取り残されない」といった地域づくりができてくるのかなと思っている。国の補助制度などがあれば進みやすい部分があろうかと思うが、状況はどうか?(事務局:国において今年度から本格実施するとの話であるが、今は、制度設計や養成講座の協力機関の調整をしてる段階と聞かれている。冒頭説明した標準テキストが公開されているので、ご確認いただければ。)

 YouTubeなどでは、全国官民連携プラットフォームの枠組で、PF設立総会で来県した大空幸星さんや、本県にもよく来ていただいている大西連さんが講師を務めた動画なども配信されている。国がカリキュラム等も含めて作ってる段階であれば、本県でも準備を進めて参りたい。

 また、前回の審議会で「困っている人が声を出せる社会である必要がある。ただ、地域が変わっていかなければ、声を出せない」という話があった。その御発言に私も感銘受けたのだが、そういった取組を進めなければいけないと感じている。

 ただ、おそらく孤独・孤立の状況にある方は、声を出せない状況だからこそ、孤独・孤立なのでは、とも思う。声を出せる状況というのは、やはり、「どこかに繋がっている」、「繋がりが周りにできている」、「孤独・孤立であっても、繋がるところがある」ということではないだろうか。あるいは、「支援者が繋がりを作る」という形もあるのかと思うので、実効的な取組になるよう、今後、こういったことを中心にしっかりと取り組みたい。

●委員

 やはり「声を出せる」ということは、その人が前を向いて、生きていきたいという思いの表れだと思う。だが、そこに至らない方々が、本当に大変な状況なのが現状だと思う。

 そういった方を、家族が一生懸命にケアしている現状があるのだが、そこに、民間企業がある程度フォローしていくような体制ができないのかといつも思う。このため、民間企業によるPFへの参入についても、拡大していくことが非常に大切かと思う。

●委員

 企業によるPFへの参画については、今後、PFに期待される大きな役割かなと思っている。その意味は2つあり、1つは、多くの方が企業に属してるわけであるから、企業自身が、自企業の従業員に対して孤独・孤立を防ぐ役割を担ってもらいたいというものと、もう1つは、企業の持ってる色々な支援ノウハウについて、現代社会において孤独・孤立対策のネットワークを作っていくには欠かせないというもの。今後、ぜひPFへの参画いただける民間企業をしっかり増やしていきたい。

 委員の皆様ももちろん、幅広い団体・企業にぜひ会員として参画いただき、声を上げていただくことで、よりきめ細やかなネットワークが構築できれば、群馬県として効果的な他県に誇れる対策ができるのかなと思う。

5 結論

議事 「孤独・孤立対策」に関する意見交換等について

 孤独・孤立対策推進法(以下、「法」という)が令和6年4月1日に施行されたことを受け、その概要及びポイント並びに群馬県におけるこれまでの取組とこれからの取組等について事務局から説明し、各委員による意見交換を行った。