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令和5年度 第3回群馬県観光審議会結果概要
1 開催日時
令和6年2月2日(金曜日) 13時30分 ~ 15時30分
群馬県庁29階 295会議室
2 概要
(1)開会
略
(2)戦略セールス局長挨拶
略
(3)会長挨拶
略
(4)議事
報告事項
群馬県観光振興計画原案に関する意見募集(パブリック・コメント)の実施結果について
配布資料(群馬県観光振興計画原案に関する意見募集(パブリック・コメント)の実施結果)により、事務局より説明。略
審議事項
次期群馬県観光振興計画原案に係る意見交換
配布資料(群馬県観光振興計画 原案)により、事務局より説明。略
【A委員】
- 計画に掲載の群馬県のKpiで、目標値が基準値の倍近くになっているものが2項目ある。1つは「延べ宿泊者数(外国人)」、それから「リトリート認識度」である。
- 2つの項目の課題を達成する姿がなかなか見えにくい。
- このままの状態でリトリート認知度を高めていくことは難しいのではないか。「リトリート」という言葉を群馬県の観光戦略のメインに持ってくることは悪くないと思うが、もっと浸透しやすい形にしてはどうか。
- 例えば、「群馬に来れば元気になって帰ることができる。これがリトリートの本質である。」といった意味合いのある言葉をかませながら、ストーリー化とデザイン化を図っていく。
- インバウンドの取組については、今後、日本全体ではインバウンドは増加傾向にあるのだと思うが、地域間競争が激しくなる中、群馬県がきちんとインバウンドを取り込めるのかどうかというところを精査して考えていかないといけない。
- 先日、中国の内陸の方から来られた経営者と焚き火を囲む機会があった。中国本国では焚き火は一律禁止ということで、焚き火を囲むことが非常に新鮮だというようなことがあった。
- そういった感覚をもう少し掘り下げていかないと、単に「インバウンドの取組」と言ってもイメージが湧かない。
【会長】
リトリートという言葉に関しては、観光審議会でも度々、一般県民に対するもっと具体的なイメージが必要ではないかと議論してきた。今回、3回目の審議会であるが、また同じ議題が出てくるというところで、この具体的なイメージについての県の考え方に進展があったかどうか、事務局から後ほど取りまとめて御説明いただきたい。
【B委員】
- リトリートという言葉が抽象的で、いろいろな要素を含んでいるため、何々リトリートといったように少し絞っていく必要があると思う。
- 計画の第4章には、リトリートの聖地になるための具体的な取組ということで記載されているが、この記載だけでは具体的にはなっていないので、これからもっと具体化していく必要があると思う。
- 群馬県の魅力は、首都圏から近いことから心身共に疲れた時に気軽に足を運ぶことができるアクセスのよさであると感じている。
- そういった魅力も含めて、リトリートに関しては何か上手く表現ができるとよいのではないかと思う。
- リトリートの聖地は結果論であって、旅行に行くとなった際に、リトリートの聖地だから行こうというふうには思わないと思う。計画にも記載されているようなローカルガストロノミーやアドベンチャーツーリズム等のいろいろなツーリズムがあって、結果的にリトリートに繋がるという形でもよいのではないか。
- それと、観光産業における労働力について、今本当に労働力が不足している。外国人を雇用して何とか回さなければいけないような状況である。
- 人口も減少しているので、スケールダウンして単価を上げていくというのは当然のことで、働く人を何とか確保するという流れの中で、付加価値を上げていかないといけない。
- そういった時に、例えば海外でよくある事例だが、お客様にも食事づくりに参加していただき、その対価もいただくといったプログラム等は、その施設にとってもお客様にとっても喜ばれるものであるので、そういったプログラムの造成等の具体的なイメージができる施策があるとよいと感じた。
- 温泉文化について、ユネスコ無形文化遺産登録についてはまだ先となってしまったが、まだまだ気運を盛り上げていかないといけない。
- 九州では過去に長期滞在型観光を目指した実証実験が長湯温泉等で行われていたが、そういった取組や、地方税を財源とした取組についても検討を行っていく必要があるのではないかと感じた。
【会長】
- 旅館事業者としては、本当に大きくうなずくような御意見をいただいた。
- 1月1日の能登半島地震の影響もあって、お客様の観光しようという気が落ち込んでいる時期だと思う。
- そういった意味で、御意見をいただいたようなプログラム等を地域が作ったり、受入れ体制を整えることの後押しになるような施策についても、リトリートを推進する中で検討していただきたい。
- 委員の発言に対し、補足説明等はあるか。
【藤田観光政策係長】
- 第4章の具体的な施策において、あまり具体性が無いという御意見をいただいた。当計画においては施策の大きな方向性を記載しているが、当計画に付随する形で、実施計画というものを策定予定であり、そこで細かい事業についてどのように進めていくのかを明記する予定である。
- 審議会委員様よりいただいた具体的な施策の提案等についても、実施計画に反映させていただきたいと考えている。
【C委員】
- 2点気づいたところで、1点目が「リトリート認知度」について、結局、認知度を上げても消費額に反映されないと意味がないため、認知度を上げた後にどうするのかを考える必要がある。
- 以前、九州のある都市の認知度を上げるための事業を一緒にやったことがあった。その都市が、東京圏における認知度を70%以上にするということでKpiを設定し、大手広告会社も入って大々的なプロモーションを行った。その結果、認知度は上がったものの、地元事業者の方々からは、認知度向上の効果についてはどうなのかといろいろ意見があった。
- 認知度を上げた後、次にどうするのかということについても施策を検討していただいたほうがよいと考える。
- 2点目は、観光人材育成について、今、新卒で観光産業に入る若者は少なく、新卒採用はなかなか厳しい。
- それは給与や先々の将来といった不安があるためだと思うが、若者が観光産業へ好意的なイメージを持ってもらうための種まきといった観点で、産学官連携を掲げてもよいのではないか。
- 実際、学生がインターンシップに行くための旅費を県側が負担するといった事例もあるため、「学」との連携は人材確保の具体的施策であると思う。
- 中核人材という点では、第二新卒や他業種からの転職も考えられる。最近は大学において、キャリア教育みたいな感じでシニア層や社会人教育にも力を入れているので、群馬県として、スタートアップ等で連携できたらよいと思った。
【会長】
雇用の問題や人手不足の問題は県でも取り上げられているが、委員の意見に対し、県側から補足等はあるか。
【藤田観光政策係長】
- Kpiに設定する「リトリート認知度」について、基準値の30.8%を60.0%まで引上げる目標であるが、認知度と言ってもいくつか種類がある。単純に知っているという状況、知っていて更に好意を持っているという状況、知っていてそれが購買意欲に繋がっているという状況等である。そして、広報を行う際には、どういった層にどんな効果を狙って広報するのかといったターゲットを立てて実施するという形になると思う。
- 今の群馬県の状況からすると、いきなりリトリートを売り込むような広報を行うのではなく、まずは群馬県と言えばリトリートといった純粋想起に繋げるべく、単純な認知度を引上げることを想定している。
- ただ、それだけでは次に繋がらないため、ある程度の認知度を達成してきたら、次の好意的な認知や購買認知に繋げるための戦略を段階的にやっていきたい。
- 2つ目の人材育成について、インターンシップ等を組み合わせながら、学校等と連携した人材確保を検討していくというのは非常に重要だと思う。
- 昨年に実施した有識者ヒアリングでも、大学の実習で群馬県の観光地を訪れて、実際に体験していただきながら観光について学んでいただくといった取組等の話も伺ったことから、学校との連携についても取り組んでいけるように検討したい。
【D委員】
- 交流人口と関係人口に係るパブリックコメントに関して、段階を経て実質的に関係人口が増えていくという形の方が観光の維持という観点から考えたときには真っ当だと思うので、戦略3に区分するというのは同意見である。
- 28ページの3つのねらいと29ページのバックキャスティングからの戦略も非常にわかりやすくなったので、皆で共有する総合戦略として非常によくなったのではないかと思う。
- リトリートの聖地を押し出す際に、リトリートという言葉がわかりにくいということは確かにそうだが、そこはもう有無を言わさずにリトリートなんだと突き進むというのも1つの方法ではないかと思う。
- ただ、その場合に何をするべきかというと、まずは県内における気運醸成が大事である。
- リトリートという言葉の普及啓発を、外向けではなく、中からやっていく。例えば、SDGsがこれだけ広がったのは、大人たちが一生懸命覚えたのではなく、実は子供たちが覚えて、そこから親へと広がっていったという背景があるので、例えば、子供たちに群馬県にはこれだけ豊かなものがあって、すごくリラックスできるということをリトリートというんだといったようなことを学校教育で伝えるとか副読本で伝えることで、群馬と言えばリトリートなんだと東京から来た人たちに言ってしまうぐらいになるのは1つ方法なのではないかと思う。
- それから、リトリートという言葉が、例えば令和9年までにどのくらいの作用を持って、社会の気運として残っているかということも慎重に考えたほうがよい。
- 今はコロナ禍が開けて、みんながようやくしっかりと自分を取り戻したいと思っているので、リトリートという言葉がすごく上がってきているが、3年後にその言葉がどのように変化するのかというところも慎重に見ながら、この言葉を育てていくのがよいと思う。
- おそらく、時代的にはこれから「リジェネラティブ」という言葉に変わっていくと思う。サスティナブルの次に来るのがリジェネラティブで、蘇るとか再生という価値感であるが、熊野古道はリジェネラティブでこれから押していくということで、群馬県のリトリートも、要は自分を蘇らせるとか再起動させるということも含めていくのであれば、このリジェネラティブという言葉をリトリートの下に来る形でもよいと思うので、若い世代に接触させていってもよいのではないかと思う。
- リトリートについて、より具体的なところでの提案で、要はしっかりと儲けたほうがよいと思う。儲からなかったらやる意味がなく、単なるお人好しでリトリートを進め、迎える側や組織が疲弊し、経済効果もなく、ただ同然の入湯料で温泉に入って日帰りで帰る人だけを増やしても仕方がない。
- いかにしてリトリートで儲けるかということを戦略的に考える必要がある。
- 具体的には、例えば、アウトドアアクティビティ等は付加価値が高い。
- これからは、人は経験して成長することにますますお金をかけていくと思うので、付加価値が高く、それ相応の単価設定のサービス等をどう作っていくかということを意識して取り組んでいくのがよいと思う。
【新木リトリート推進係長】
- リトリートを普及させるにあたり、今まで情報発信のターゲットとして首都圏に住んでいる若い世代に対し、SNSやYouTube等を使って周知広報に注力してきた。その結果として、多少ではあるが、ターゲット世代に届き始めているが、御意見のとおり、まずは、受入れ側である県内事業者や県民の方、観光に関わる関わらないを問わず、群馬県内での普及が重要であることについて、今まさに感じているところである。
- 県外向けの情報発信だけでなく、県内への情報発信や普及啓発により県内においてリトリートをしっかりと理解していただくことが大事であると考えている。
- そのための手段として、県内向けのPR事業も検討してはいるが、御意見をいただいように、教育の場における理解促進については非常によいアイデアだと思うことから、今後の施策に反映させていきたいと思う。
- 儲かる仕組みづくりに関して、まず我々がリトリートに関する認知を高め、受入側の気運醸成を促進し、事業者がリトリートの需要が高いことを実感できれば、民間からの具体的なサービスの提供に繋がることから、そういったところに結びつけられるよう施策を検討して参りたい。
【D委員】
- 海外では本当に物価が高く、ラーメンが3,500円くらいだったりする。ただ、それを当たり前のように若いアジアのカップル等が喜んで食べているという現状を捉えておいた方がよい。そうでないと、国内でこれは高過ぎるといった感覚で言ってしまうと、結果的に観光産業は疲弊していってしまう。高付加価値をつけて、それぞれがしっかりと稼げる形というのを考えていく必要がある。
- 今、日本は世界からするとお得な観光地みたいになってしまっているので、それを挽回するいいタイミングがこのリトリートという言葉ではないかと思った。
【E委員】
- 全体的な部分では、都道府県の計画は大きな流れを考える際にどこもありがちなテーマになってしまう傾向があるが、群馬県の目指す姿は非常に特徴的なテーマで設定されていて、その地域でどう過ごしてもらいたいかというところを明確にしたうえで、具体的な戦略の流れの中に落とし込んでいることは素晴らしいと思った。
- 教育面もそうだが、住民の方が「この地域はリトリートという観点で見るとこういう部分が価値だよね」ということをちゃんと言える、そしてそれを誇りに思うことが非常に重要ではないかと思う。
- 25ページの全体的な目指すべき方向性のところで、「平準化」と書いてあるが、これを一般の方が見たときに、何を平準化するのか分かりにくいと思う。例えば、これがエリア、季節、時間といったどこを平準化するのかということを補足で書かれているとよいと思った。
- 従業員の労働環境の改善の部分について、例えば32ページで、「観光人材の育成・確保」とあるが、人材の育成・確保はすごく重要で、そのためにどのような施策を打ったらよいのかということも非常に重要である。
- ただ、一方で、観光事業者や従事者が、その地域に長くいていただくことも重要である。観光産業に従事する人に来てもらうことばかりに注力してしまって、実際に来てもらったものの労働環境が悪く辞めてしまうこともあるため、「育成・確保」と同時に、ちゃんと定着していただくことが重要である。この「定着」という言葉をしっかりと明記してはどうか。
- 29ページのリトリートのロードマップで、2030年に向けて作られているのはすばらしいと思う。ここで、2027年の姿の部分で、基本戦略3を進めた結果、「群馬県がリトリートの聖地として認知され、リトリートのために訪れる旅行者が増加している」とあるが、旅行者に満足してもらうことが非常に重要だと思うので、来てもらった後にちゃんと満足してもらえたのかというところもしっかり意識することが大切である。
【F委員】
- 群馬県の「リトリート」というブランドについては、みなかみ町でも「オアシス」という言葉使ってブランド化を図っているので似ている部分がある。
- リトリートは「癒し」といった広い意味があるのでいろいろに使えるメリットがある。ただ一方で、少しわかりづらい部分もある。
- 癒しのリトリートやアドベンチャーリトリート、メディカルリトリート等のいろいろな使い方があるため、具体的にどういったコンテンツを作っていくのかというところが重要になってくる。
- 旅行者には、来ていただいて、満足して帰っていただくことが重要であるため、キラーコンテンツや魅力的なコンテンツを作ることが一番重要であると思う。
- 群馬県には多様な温泉施設や食事施設、アウトドア施設等、いろいろなものが揃っているが、今まであまりうまくコラボレーションできていなかった。もう少し全体的にそういったコラボレーションができれば、もっと相乗効果が出せると思うし、群馬県におけるリトリートをもっと浸透させることができると思う。
- 一般の外国人がリトリートで思い浮かぶところは、一番はバリ島だと思うが、群馬県がそこと戦うのは難しいので、群馬県独自の強みを活かした商品づくりを進め、欧米向けのメッセージを発信していかないといけないと思う。
- 人材の確保・育成の部分については、事業者はみんな苦しんでいるところである。
- みなかみ町において、外国人労働者の方によく言われるのが、住む場所がない、遊ぶところが少ないといった単純な課題であったりすることから、そういった実態の改善をしないでDX等を進めたところで、労働者は定着しないと思う。労働力については、実態等を掘り下げて分析して、その対策を考えたほうがよいと思う。
【篠原インバウンド推進係長】
- コンテンツの部分については非常に重要なものだと考える。
- 当計画に掲げる長期滞在を目指す際に、宿泊するだけでなく、滞在中に楽しむためのコンテンツが当然必要になってくるため、満足いただけるコンテンツを造成することについては御意見のとおりだと思う。
- 日本はこれまでずっとデフレが続く中で、安さという部分が日本の魅力として写っていた時代が続いてきてしまったのではないかと思っている。
- 近年は、新型コロナの影響であったり、原材料費の高騰といった背景から、値上げというものに対する許容感も高まっている。
- また、インバウンドが急速に回復している中で、単価を上げていきやすい環境にもなりつつあると感じる。
- こうした中で、付加価値を高め、価値に見合う対価をしっかりいただける、そういったコンテンツが増えるよう、行政としてもしっかり取り組んでいきたいと考える。
- 旅行される方というのは宿泊したり、コンテンツを体験したり、あるいは、そこで食事といった過ごし方をされるので、県内の多様な関係事業者の方々が上手くコラボレーションできるような仕組みやそれを促すような取組を県としてもこれから考えていきたい。
【会長】
インバウンドのターゲット国について、今、群馬県に一番興味を持っている地域はどこか。そのようなデータはあるか。
【篠原インバウンド推進係長】
- 全ての国にアンケートを取ったわけではないが、数字だけで見ると、日本全体では、韓国がトップで、台湾、中国、香港等の旅行者が多い。
- 群馬県においては、台湾からの観光客が一番多いといった特徴がある。ただ、計画の中では、ターゲット国を限定しないで柔軟に対応できるような表記にしている。
- 計画期間である4年間の中で、群馬県として、例えば今のところはこういったところを目指しているといったことを地域の方々と共有することができれば、群馬県全体としては同じ方向を向いて取り組むことができることから、例えば、別で作成する実施計画に反映させるなど、上手く県内の皆さんと共有できるような方法を模索していきたいと思う。
【G委員】
- 膨大な資料で、群馬県が観光にすごく力を入れていくといったことがすごく伝わってきた。
- リトリートの認知度調査について、この調査自体がリトリートの認知度を深めるためのツールになるのではないかと思った。特に、設問6に「リトリートを目的に群馬を旅行するとしたらどんな過ごし方をしたいか」とあって、その選択肢から、群馬県でのリトリートとはこういった過ごし方ができるといったイメージを持つことができたので、こういった設問がリトリート認知度に直接繋がってくるのではないかと感じた。
- 以前、群馬県がリトリートのモデルプランを造成したが申込みがなく、でもその後にプランの見直しを行ったところ、お客様の申込みに繋がったということが話題になったが、リトリートの自由度を増したところに、今後、群馬県のリトリートが広がっていくヒントがあるのではないかと思った。
- 群馬県は首都圏から近くて1泊でも十分に楽しめるというところに魅力があるのだが、群馬県で連泊してもらうためには、宿泊しないと体験できないようなコンテンツ、例えば、朝取り野菜の収穫体験や朝日を見に行くような登山といった前日から群馬県に来ないと体験できないようなプランの造成みたいなことも面白いのではないかと思った。
- インバウンド需要について、自社で雇用している外国人の方にディズニーランドに行こうかと話をしたところ、それよりもスキー場でスキーをしたいと言っていたので、もしかしたら、リゾートで遊ぶよりも雪に触れるといった体験ができることの方が価値がある場合もあることから、そういった需要を踏まえ、体験型コンテンツを組み合わせた長期滞在の仕組みも面白いと思う。
- 群馬県の温泉地はそれぞれに効能等で特色があると聞いたことから、例えば、この温泉とこの温泉を巡るとこういった効果があるといったモデルコースがあって、車で送迎していただけるようなプランがあれば、1度の旅行で2ヶ所の温泉を楽しめるといったものも個人的にはすごくよいと思う。そういったプラン造成も含めて今後の展開に期待している。
【新木リトリート推進係長】
- リトリートの宿泊プランの件については、昨年度から各地域で検討会を重ね、今年度の上期にモデルプランを造成して商品化した。
- リトリートは、ゆっくりと自由な時間を過ごしてもうらというのが本来の形だと思うが、群馬県の魅力を伝えたいという思いが強すぎて、プランにいろんな要素を詰め込んでしまい落ち着きのない形になってしまった。
- 見直しを行った新たなリトリートプランについては、こちらで過ごし方を決めるものではなく、来られた方がいろいろな過ごし方の中から自由に選ぶことができる形に変えたところ、少しずつ需要も高まってきたことから、今後も、各地域の方々と一緒によりよいプランの検討を進めていきたいと考えている。
- また、群馬県の多彩な温泉を巡ることについて、温泉地を転泊する長期滞在プランといった形についても検討を進めていきたい。
【会長】
- 補足になるが、群馬県の各温泉地の泉質を掛け合わせると、こういった効果があるということを説明したリーフレットをすこし前に県で作成されていたと思うが、そういったリーフレットも活用してリトリートの推進に繋がれば更によいと思う。
- また、温泉地を巡るにあたっては二次交通の問題があることから、この計画の目指すべき方向性のところで、「旅行環境が整っている」ということは、この巡るということについてもよりよい環境になっていることを期待することから、こちらについても計画的に対応いただければと思う。
【H委員】
- 二次交通に関しては、公共交通を使って群馬県内の観光地を上手く巡ることは現状では難しいと感じている。
- この課題については、有識者ヒアリングでもテーマにあがったMaaSであったり、多様なモビリティ等の活用ができれば、周遊や転泊といったことにも繋がってくるのではないかと思う。
- コンテンツ造成については、各観光地が個別にコンテンツを造成するというのもあるかもしれないが、地域が連携して相乗効果を発揮できるような取組ができればもっとよいのではないかと思う。
- 前回、ワーケーションの推進をお願いしたところであるが、ワーケーションでは日中は仕事をしているため、日中を過ごすためのコンテンツとは別の検討が必要で、そう考えたときに、ではどうしたらその需要が高まるのかという部分で、もっと真剣に検討いただいてもよいのではないかと思う。
- 産業界も、ワーケーションをやってみたものの、いまいちだったというところもあるかもしれないが、業界への働きかけも含めて、ワーケーションをどう活用していくのかといった検討を深めていただきたいと思う。
- Kpiについて、31ページに記載があるが、「長期滞在観光の推進」を図る指標として「宿泊者1人当たりの宿泊日数」を、基準値1月20日泊から1.37泊にすると掲げられている。数値目標としては明確であるが、この1月20日泊が1.37泊に増えたところで、どういう状況になっているのかといったイメージができない。この数値が表す状況についてはどう解釈したらよいか。
- 満足度について、当計画は行政側の取組が中心となっていて、その部分については網羅的に作られているが、実際には、群馬県を訪れた方がどれだけ満足して帰られるかということに究極的にはかかっていると思う。
- 群馬県に初めて訪れる旅行者をどんどん増やしていくという戦略もあるかもしれないが、群馬に来てよかったと言ってもらえるような、そして再来訪に繋がるような取組というのが大事であると考えるが、そこが計画から読み解けず、この満足度の向上が置き去りにされてしまっていることが気になった点である。
【藤田観光政策係長】
- Kpiについて、「宿泊者1人当たりの宿泊日数」については、観光庁が実施している宿泊旅行統計調査を用いて数値を算出している。
- この調査は、国が宿泊事業者に対し直接調査を実施しているものであり、その特徴として、連泊すると数値は伸びるものの、転泊については複数泊としての数値に反映されないといった性質があり、非常に伸びづらい数字になっている。
- 1月20日泊を1.37泊にする目標については、国の観光立国推進基本計画に掲げる数値目標を上回る伸び率で試算したものである。
- 1月20日泊という数値の具体的なイメージとして、全国順位は全国42位である。これを1.37泊にすることで全国33位まで伸びるという試算である。
- なかなか早期に全国上位を目指すことは難しいが、2030年には全国で20位台を目指すといった将来推計も立てたうえで進めていき、段階的に全国上位を目指していく。
- ただ、Kpiについては現在調整中であり、委員の御意見のとおり、県民の方にはわかりづらい指標であることから、例えば、複数泊を延ばす観点から、2泊以上の宿泊者を何人以上にするといったKpiについても現在検討している。
- リピーターの話についても貴重な御意見をいただいたことから、内部で検討させていただきたい。
【会長】
リピーターという観点で、委員より御意見をいただきたいがどうか。
【B委員】
- 例えば旅館業界においては、3つの比率を高めないと生き残れないと言われている。それは、1つはリピート率、2つ目は連泊比率、3番目がインバウンド比率である。
- リピート率については、例えば会員制度を設けて、会員はお得に宿泊できたり、その会員となったお客様が別のお客様を紹介していただくようなことにも繋がる。
- 当初リトリートが3泊という縛りがあったので少しやりずらい感じがあったが、自由度が高まり、2泊という形であれば、既に「温泉保養プラン」として2泊で出しているものもあることから、そういった需要はあるのではないかと思う。
- ラグジュアリーで高付加価値なものというのは当然必要ではあるが、一方で、そこまで豪華でなくてよいので1人でゆっくりしたいという需要もある。リトリートにはいろいろな入り口があるので、その地域や施設の特色を活かして、リピート率を上げていく必要があると思う。
【A委員】
- リピート率は現場においてもすごく大事にしている。
- リピーターもインバウンドもそうだが、どういったコンテンツがどんな客層に響くのかというところを慎重に考える必要がある。
- 事業者としては事業の根幹を崩すようなコンテンツは作りたくないので、しっかりと整合性のあるものを整備していきたい。
- 客単価の向上による労働環境向上への還元については当然考えるのだが、マーケットのニーズが強いという実感もあまり持てない状況下において、経営サイドとしてはどこが落としどころなのかというのは悩みどころである。
【G委員】
自社が運営する食堂において、季節毎に野菜を購入しに訪れていただいているお客様が継続的にリピートしていただけている印象がある。また、平日には近隣で働いてる方々が繰り返し利用いただいているような実感はある。
【I委員】
- リトリートをSDGsのように、教育の現場から子どもに浸透させていくというのはすごくよいのではないかと感じた。
- 観光人材の育成の部分で、今の学生達が企業に就職する際に、やりがいや社会貢献を重要視しているという話を聞くので、リトリートの考え方を学生達にしっかりと理解してもらい、地域に誇りを持っていただくことが、観光人材の育成にも繋がるのではないかと思った。
- この審議会委員に就いて3年目になるが、これまでずっとリトリートの定着について議論を行ってきたが、リトリートのターゲットをきちんと見据えて、どんなエリアにどういったプロモーションを行えばお客さんに響くのかといったマーケティングの部分をしっかり行っていく必要性を感じている。
- 今の若者は、SNSやインスタグラムで自分が信じるインフルエンサーの意見が消費行動に直結したりするので、そういったブランディングも重要であると思う。
- リトリートが分かりにくいということであれば、前回の審議会で、現代はストレス社会であるのでリトリートが必要とされているという意見があったことから、ストレス社会の処方箋として、群馬県へ旅行に行くことで具体的にこういった効果があるといった切り口でリトリートを説明していくのも1つの手段ではないかと思った。
【藤田観光政策係長】
SDGsのようにリトリートを身近なところで学んでいけるような形で定着を図っていくという御意見については、ぜひ参考にさせていただきながら、関係部局等とも連携して検討させていただきたいと思う。
【新木リトリート推進係長】
- 教育に関わる部分でいうと、群馬県では前橋国際大学において毎年1コマ時間をいただき、観光行政に関する講義を行っている。
- 前橋国際大学には県外から来ている学生もいることから、群馬県のことをまだまだ知らない学生に、少しでも観光に興味を持っていただけるような講義を行っている。
- 教育に関しては、そういった大学との連携や、御意見いただいた義務教育の現場における普及啓発等も検討していきたいと考えている。
【J委員】
- 資料については分かりやすくまとまっていると思う。ただ、これから県民の方に発信していく際に、資料中にカタカナが多く、「リトリートの聖地」「クリエイティブの発信源」「レジリエンスの拠点」といった響きはよいのだが、日本語でも伝わるようにしたほうがよいと感じた。
- 言葉というのはブームにも左右されることから、リトリートという言葉がこれからどうなるのかというところについて検討していく必要があると思った。
- 新しい挑戦をする際に全員一致で納得して始められるというのは非常に難しく、今後もリトリートに対して反対の意見はあると思う。ただ、やると決めたら腹を決めてやるしかない。
- 昨年、長野県で森林浴のインバウンドツアーを企画したが、世界に森林はたくさんあるが、日本が森林浴発祥の地で、そして長野県に来てもらうということを伝えたときに、なぜ日本なのか、そしてなぜ長野なのかと問われた。そこに対して、どう答えるのかということはとても大事であった。
- リトリートについても同様で、日本全国に自然はたくさんあって、温泉、自然、食、伝統文化等は他県も有しているものである。そこに対し、なぜ群馬県なのかということをちゃんと言語化しないといけないと思う。
- 計画の20ページに群馬県の強み・弱みをしっかり整理していてわかりやすく拝見させていただいたが、ターゲットによってもこの強みと弱みは変わってくる印象を持った。
- 例えば、海外旅行に行った時に、外国人向けのサービスがあったとして、自分とフランス人が同じ外国人として一緒に扱われて大丈夫かというと、文化も異なるのでそこは分けて欲しいし、分ける必要があると思う。ターゲットを絞るとはそういうことだと思う。
- 自身がツアーを企画した時に、温泉にも行ったのだが、温泉が好きな人もいれば、好きではない人もいた。日本人も好みが分かれるが、好きな人は何が好きで、好きではない人は何が好きではないのかということを分析する必要がある。
- 文化の違いで言うと、タトゥー問題もあるので、そういった発信も必要だと思う。
- 人手不足と教育について、今は全国各地で人手が不足しているため、人はいなくなるものとして何ができるかを考えていく必要がある。人で補うのではなく、テクノロジーを使うとか、サービスを工夫する。ただ、人を集めることも欠かせないため、若者や外国人がそこで働くことが面白いと思えるような工夫と働くことの魅力をちゃんと伝えていくということが国内向けには大事であると思った。
- 日本のホスピタリティは素晴らしいと海外から評価されるが、それゆえに完璧を求める姿勢がすごく高い。ただ、おもてなしばかりを考えて環境整備を疎かにしてしまうと、そもそも人が来ない状況に陥ってしまう。
- まずは不自由のない環境整備が必要で、次に快適に過ごせるような環境を作り、リピートしたくなるようなサービスを向上させていくといった、順番にサービス等を構築させていくことが必要であると思う。
- 人がいなくてもできるようなサービスとコンテンツを造成ができれば、どこの県も勝てるような気がする。そこに対して早く手を打ったほうがよいと思う。
- インバウンド対応に係る人材育成について、語学の問題については、アプリさえあれば意外と大丈夫だと思う。それよりも、文化を知る教育がとても大事だと思う。
- 例えば食事に関して、ベジタリアンへの対応で、日本においてはアレルギー対応と一緒にされてしまうことがある。しかし、ベジタリアンはアレルギーとは違い、和食の人もいれば洋食の人もいるようにベジタリアンもいる、そういった文化の違いを教育を通じて学んでいくことが必要ではないかと思った。
- 最後に、有識者ヒアリングの動画を共有していただいたが、全部ダウンロードすると膨大な量なので、動画をアップロードする等の工夫をしていただけると助かる。
【篠原インバウンド推進係長】
- インバウンドに関して、ターゲット国であったり、そのセグメントというのをどこまで細かく設定するべきかというのはなかなか悩ましいところではあるが、その国の旅行者の特性や何を求めているのかというところをしっかり知ったうえで、それに対するコンテンツを提供していく必要があるということを改めて認識したところである。
- インバウンドのターゲットについて、県として細かく設定するべきなのか、あるいは、各事業者が自分の施設の特性を踏まえてターゲットを絞りやすくするために情報提供やサポートを行っていくべきかなども含め、いただいた御意見を踏まえながら、県の施策を検討していきたいと思う。
【K委員】
- この計画の期間は4年間と長いようで、ただ、これだけ膨大な課題がある中で、ロードマップに沿って進めていくのだとすると、かなり駆け足でないと難しい部分が見え隠れしているのではないかというのが率直な意見である。
- 長期滞在化をねらいとした場合、例えば、旅行に行くことを考えた際に、行った先でどんなことをしたいかという中身の検討があって、それを行うためには必然的に何泊必要かといった旅の構成を考える人というのは少なくないはずである。
- そういった中で、群馬県の魅力として温泉、自然、食、伝統文化を打ち出したとき、旅を組み立てていくうえでの自由度を高くしてあげると、1泊では足りない、1回では周りきれないので連泊やリピーターに結びつきやすくなるのではないかと感じた。
- 体験に関して、子供がいる家庭では、親は子供にできるだけ学びのある体験をしてほしいと思うし、子どもにとっても体験することで面白さを感じたり興味が広がると思う。
- 例えば、旅館の仕事を子供達がお手伝いするといった体験等は思い出づくりにもなるし、もしかしたら人手不足の解消にも繋がったりするのではないか。
- 過去に伊香保温泉の旅館業の方に、源泉を引くパイプの清掃を体験型にしてはどうかと提案させていただいたことがあった。その地域にとっては日常であることが、旅行者にとっては非日常であり、パイプの清掃を子供が体験すれば、自分が掃除したパイプを通ってこの温泉が出るんだという実感から温泉を楽しむきっかけになったりする。そういったアイデアをもっていろいろなことを提案できれば、旅行者の旅の自由度が高まると思う。
- ユニバーサルツーリズムに関して、障害者の方が旅行する際には、家族でゆっくりと過ごす旅行に結びつきやすい。そして、旅行する側としては完璧なバリアフリー対応を求めているわけではなく、少し手助けをしていただいたり、声をかけていただいたりすることが非常によい印象に繋がり、リピーターになったり、口コミで広がったりする。
- 群馬県の魅力として挙げられている温泉、自然等は日本各地にあるという話が出たが、ではなぜ群馬県なのかと言われた時に、群馬県はとにかく人が温かくて、自分の故郷に来たように癒されるので、ゆっくりしたいと感じた時には群馬県が一番いいよと言ってもらえるような、そんなリトリートの聖地に群馬県はなれるのではないかと信じている。
- それと、労働力不足について、障害者の雇用というのも考えていただく必要があると思う。
- 例えば、知的障害の方や発達障害の方で高崎の支援学校等でベットメイキングといったことを学ばれている方もいるが、本当に手を抜かずにきれいにやってくださる生徒さんがたくさんいる。
- 障害者を雇うことも事業における1つの戦略として捉えていただきたい。
- 現在はロボット技術や通信技術の発達により、障害者でもできる仕事の幅が広がっていることから、群馬県において障害者の就労への取組が盛んになれば、それが世界に向けても情報発信できるとてもよい取組になると思う。
- ユニバーサルツーリズムの促進を目指すうえでは、どうしも二次交通の問題があり、この計画に沿って4年間で進めていくとなると非常に難しい部分もたくさんあると思う。ただ、難しいからやらないではなく、少しずつでも取り組んでいただきたいと思う。
- 障害者もその家族や友人の方も一緒に楽しむ場を増やしていただき、誰が来ても楽しむことができるということを積極的にPRしていただきたいと思う。
【会長】
いろいろなツーリズムがあると思うが、今回の審議会においては説明が少なかったことから事務局で検討しているものがあれば補足していただきたい。
【青木次長】
- 来年度の当初予算における主要事業としては大きく3つあり、1つはリトリート、2つ目がインバウンド、それから新規の施策としてペットツーリズムの推進というものを掲げている。
- 今までペットを有している家族が旅行に行きにくいということから、ペット連れでも楽しめる施設等を調査して、それをホームページ等で発信したり、ペットと一緒に体験できるようなコンテンツの造成、ペットとの共生の推進のための調査研究等を進めていきたいと考えている。
- ユニバーサルツーリズムについても、現在、ユニバーサルツーリズム相談窓口を設けて、電話相談に対応したり、宿泊施設に関する対応状況等を発信しているが、今後は飲食店等における対応状況等も情報発信を行う予定である。
- 群馬県が掲げるリトリートについて、なぜ群馬県なのかといった他県との差別化をしっかりと図っていき、リトリートの聖地の実現に向けて取り組んで参りたいと考えている。
(4)その他
意見なし