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令和5年度第51回群馬県公共事業再評価委員会議事録
開催日時
令和5年9月8日(金曜日) 10時00分~12時10分
開催場所
県庁舎29階 第1特別会議室
議案討議
(議長)
対象議案は県3事業、組合1事業となっている。
各議事について執行部からの説明が終わった後に、発言をお願いしたい。
討議事業 県事業 第1号議案 中関地区
【議案書により説明】
【質疑・応答】
(委員)
砂防事業は便益の評価が難しいと思うが、まずどれくらいの土塊が崩壊するのか。また、人家等の評価対象地域のまちの変化について、便益にどのように反映するのか。
(群馬県)
地すべりの土塊については、地すべりブロックの範囲をまず地形図から想定し、現地踏査によりその範囲を特定する。その後、ボーリング調査からすべりの深さを特定し、土塊移動を想定している。そして、その被害から人家や生活施設等を守る便益と、その対策工事の費用を比較するものがB/Cの考え方である。地すべりの便益は多岐に渡り、お住まいの方の人命や生活への影響の全てを貨幣換算することは難しい面もあるが、全国や本県でも人命が失われる事例が生じており、現在お住まいの人家の有無の調査・計上が重要であると考えている。
(委員)
横ボーリング工が大幅に増加しているが、モニタリング結果により事業内容の修正を行ったということか。
(群馬県)
当初計画では集水井工を計画していたが、ボーリング調査の結果、地すべり面が当初の想定よりも浅かったため、効率的、経済的な工法として横ボーリング工に変更した。
(委員)
新たな地すべり活動の確認や進行に伴う事業内容の変更・追加が生じているが、工事の影響で地すべりが生じたということはないか。また、事業前の調査や設計は妥当であったか。
(群馬県)
新たな地すべりについては、観測結果により降雨による地下水位の上昇が誘因と考えている。工事内容は地下水位を低下させて地すべりブロックの安全性を向上させるものであり、工事の影響によるものではない。
新たな地すべりが発生した範囲については、地形状況等から当初の段階で地すべりの可能性があると考えており、その後の調査で新たな活動が確認されたため追加の対策工事を行ったものであり、当初の設計は妥当であると考えている。
(群馬県)
本日ご欠席の委員から、薬液注入が必要になった理由の確認と、今回の計画変更が「当初の安全率等の変更を伴わない単なる工種変更」なのか「新たな地すべり発生によりブロック全体の安全率が低下したことによる増工」なのか、というご質問があった。
薬液注入については工種変更によるものではなく、集水井工の施工時に軟弱地盤が確認されたため、増工したものである。
また、集水井工から横ボーリング工への工種変更については地すべり面が当初の想定よりも浅かったことから、新たな対策範囲の増工については新たな地すべりが発生した範囲の安全率が低下したことから、それぞれ必要なものとして行っている。
(委員)
「議案一覧」については、総合的に評価を行うという主旨からすると、費用便益比のみを示すことは誤解を生みやすいため、示すべきではないと思われる。
また、今後金利が上昇することが予想されており、費用便益比だけでなく、内部収益率も示すべきと考えるがどうか。
(群馬県)
次回以降の資料では、「議案一覧」におけるB/Cの表記は削除したい。
内部収益率については、国土交通省の技術指針では、評価指標としてB/Cと同列に経済的内部収益率が示されている。一方、個別事業の費用便益分析マニュアルでは、内部収益率は“用いることができる”“参考までに算出する”とされている。今後、国の動向等も踏まえながら検討していきたい。
(委員)
B/Cの算出にあたり、国のマニュアル案について、県はどのような考え方でどのように適用したのか。
また、将来の人口減少や消滅・限界集落の状況について、どのように考慮しているか。
(群馬県)
国のマニュアルに示されている評価項目のうち、確実に貨幣換算が可能な項目について計上し、費用便益分析を行っている。便益の計測項目については、資産被害抑止効果、人身被害抑止効果、稼働被害抑止効果、事後的被害抑止効果、精神的被害抑止効果のうち、貨幣換算が可能である項目を計上している。
また将来人口について、国勢調査を基に地域の人口を想定しているが、集落の減少予測が困難なため、将来の人口や集落の状況については考慮していない。
(委員)
地すべり工事の対策工法を説明してほしい。
(群馬県)
地すべり対策工法には、地下水位を下げるための集水井工や横ボーリング工などの抑制工と、アンカーや鋼管杭で土塊を止める抑止工がある。
(議長)
それでは、第1号議案「中関地区」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第1号議案「中関地区」については、以上とする。
討議事業 県事業 第2号議案 生須地区
【議案書により説明】
【質疑・応答】
(委員)
B/Cの値は、事業評価を行う際の参考基準という扱いでよいか。
(群馬県)
B/Cが1を超えていれば事業継続と判断するものではなく、議論のベースとして最低限B/Cは1を超えているという主旨で取り扱っていただきたい。
(委員)
事業費が減額となっているが、これはG1ブロックの土塊崩落があったことによるものか。また、G2ブロックで横ボーリング工が大幅に増加したのは詳細な調査によるものか。
(群馬県)
G1ブロックについては、土塊崩落が発生し、地すべりの要因となりうる土塊の一部が消失したため、頭部排土工に計画変更を行い、事業費が減額となった。
G2ブロックについては、当初の想定よりも地すべり面が浅いことが判明したため、効率的、経済的な工法に変更した。
(委員)
意見であるが、土木事業の事業費の増額規模は、県民にとっては大きな金額であるため、事業計画の確度を高める点に留意してほしい。
(委員)
移動土塊量について、定量的に示していただきたい。
(群馬県)
今後は定量的に示すように努めたい。
(委員)
要望であるが、資料に掲載されている図面や地図について、方位を統一する、スケールバーを表示するなどの対応をお願いしたい。
(群馬県)
承知した。
(議長)
それでは、第2号議案「生須地区」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第2号議案「生須地区」については、以上とする。
討議事業 県事業 第3号議案 吾嬬山線
【議案書により説明】
【質疑・応答】
(委員)
県から林野庁の算出プログラムに変更した理由を教えてほしい。また、県と林野庁の算出プログラムではB/Cの値が大きく異なるため、その違いについてご説明いただきたい。
(群馬県)
全国的な評価基準に合わせるため、令和元年度から県独自の算出プログラムに代わり、林野庁の算出プログラムを採用している。
算出プログラムの変更により、「木材生産等山村振興便益」及び「森林の公益的便益」が大きく変わっている。「木材生産等山村振興便益」については、林業従事者が就労し、雇用が生まれることによる便益が対象外となったため、減額となっている。また「森林の公益的便益」については、評価対象となる森林整備区域の拡大により、便益が増加している。
(委員)
林野庁の算出プログラムの適用に対する県の考え方はどうか。
(群馬県)
林野庁の算出プログラムは、林道の利用区域を対象に、間伐を計画しているエリアだけでなく、皆伐・再造林を計画しているエリアも評価対象区域に含んでいる。
本県においては50年生以上の森林が8~9割を占めており、これらを利用することが重要であると考えている。皆伐という森林の利用の部分を、林野庁の算出プログラムは評価対象としていることから、より実態に近い算出プログラムとなっている。今後も引き続き林野庁の算出プログラムを使用していきたい。
(議長)
それでは、第3号議案「吾嬬山線」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第3号議案「吾嬬山線」については、以上とする。
討議事業 市町村等事業(組合事業) 第4号議案 尾島東部地区
【議案書により説明】
【質疑・応答】
(委員)
区画道路の幅員減少による地価・地代への影響はないか。また、先に移転した住民への不公平感は生じていないか。
(太田市)
費用便益分析での地価・地代については、地区をブロックに分け、ブロックごとに算出している。区画道路の幅員減少を行った場合、地価・地代の値は減少する。
住民への影響について、個々の画地については同一の換地規定に基づき変更を行っているため、不公平感は生じていないと考えている。また計画変更の際には、地権者で構成される理事会や総代会での承認を受けるなど、地権者の理解を得ながら変更を行っている。
(委員)
B/Cの値は1.02であるが、B/Cの誤差はどれくらいか。
(太田市)
感度分析において、誤差は地価±10%を想定しており、変動幅は0.92~1.13なる。
(委員)
誤差がマイナス側に転ぶとB/Cは1を下回ることになる。そうならないようなまちづくりが必要であり、対策を講じて費用を回収してほしい。
(議長)
便益を増やすための計測方法やアイデアはあるか。
(委員)
商業施設に貸して地代を稼ぐ、直ちに保留地を売り出して人に住んでもらうなど、にぎやかなまちをつくることが重要である。
(議長)
事業期間の延伸が5年と長いが、期間短縮は可能か。
(太田市)
粘り強い交渉を行いながら、地区のみなさまがいち早く良い居住環境の中で生活できるよう努力していきたい。
(議長)
それでは、第4号議案「尾島東部地区」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第4号議案「尾島東部地区」については、以上とする。
(議長)
議案については以上となるが、何か意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
これで議案討議を終了する。
今回の資料のうち委員名簿については、非公表とさせていただく。
そのほかに公表を差し控える資料はあるか。
【特になしの声】
(議長)
それでは、群馬県公共事業再評価委員会運営要領第5条に基づき、今回の委員会資料等の公表については、委員の意見を踏まえ事務局で判断いただければと思う。
以上で、「議事」は終了した。進行を、事務局に返す。
(事務局)
委員の皆様には、長時間にわたりご議論を頂きありがとうございました。
以上をもちまして閉会とします。
閉会(12時10分)