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大規模土地開発事業に係る規制等について
群馬県では、昭和40年代後半の列島改造ブームに伴い開発事業が急増しゴルフ場や別荘地が無秩序に開発される情勢にありました。
そこで、このような情勢に対処すべく「群馬県大規模土地開発事業の規制等に関する条例(大規模土地開発条例)」を昭和48年7月10日に全国に先駆け制定し、同年9月10日より施行し、大規模な土地開発事業の適正な誘導に努め、開発事業の施行に伴う各種災害の発生や開発に伴う公共施設の不備による各種弊害の発生を防止し、安全で良好な地域環境の確保と県土の秩序ある開発の推進を図っています。
1.大規模土地開発条例のポイント
- 5ヘクタール以上の一団の土地の開発事業(大規模土地開発事業)を行う者は、開発事業に係わる土地売買等の契約を締結する前に、また開発に必要な法令等の許認可手続の申請の前に知事と協議することとしています。(条例 第7条「事前協議」)
- 都市計画法、森林法及びその他の法令等の許認可を必要としない土地の区域(いわゆる規制白地区域)の開発に対する許可制度(承認)及び監督処分を行うこととしています。(条例第14条「承認」及び第27条「監督処分」)
2.大規模土地開発条例が適用される開発事業
- この条例における「大規模土地開発事業」とは、土地の区画形質の変更を伴う事業で当該事業に係る一団の土地の面積が5ヘクタール以上のものをいいます。(条例 第2条「定義」)
- 「区画形質の変更」とは、例えば土地の形状を傾斜地から平地に変更することや、森林や農地を掘削したり盛土を行い造成を行うこと及び土地の利用形態を変更(特に雨水の流出条件を変更)する等の開発事業をいいます。よって、単なる土地の分合筆による土地の権利区画の変更は対象となりません。
- 土地の形状変更の運用は、宅地造成及び特定盛土等規制法の土地の形質の変更と同様規模であり、事業地のうち一部でも生じていれば条例対象とします。
- 土地の質の変更の運用は、災害の発生、特に雨水の流出条件に重点を置き、流出条件が変わる利用形態の変更は条例対象とします。
- 「一団の土地」とは、次の3要件に全てに該当する場合に、一団の土地として扱います。他法令に基づく開発規制が適用される場合は、他法令の解釈も踏まえ、総合的に判断します。
- 主体の同一性:事業主等が同一である(同一と見なされる場合も含む)二つ以上の開発事業または開発区域がある場合は、それぞれを合わせた一体の土地を一団の土地として扱います。
- 物理的一体性:一体の土地として開発を行おうとするひとまとまりの土地のことをいい、その中に道路や水路があり分断されるとしても、開発事業に係る土地全体を一団の土地として扱います。
- 計画の一貫性:一連の開発事業計画のもとに時期、目的等について互いに密接な関連を有する二つ以上の開発事業または開発区域がある場合は、それぞれをあわせた一体の土地を一団の土地として扱います。
- 「区画形質の変更」とは、例えば土地の形状を傾斜地から平地に変更することや、森林や農地を掘削したり盛土を行い造成を行うこと及び土地の利用形態を変更(特に雨水の流出条件を変更)する等の開発事業をいいます。よって、単なる土地の分合筆による土地の権利区画の変更は対象となりません。
- 過去に大規模土地開発条例の適用を受けた大規模土地開発事業の事例
住宅造成、別荘地、工場、ゴルフ場、スキー場、レジャー施設、廃棄物処理施設、商業施設、太陽光発電施設等
3.大規模土地開発条例の手続の流れ
大規模土地開発条例に関する手続には必要に応じて行われる事前の相談の外に大きく分けて以下の3つの手続があります。
開発事業構想書の提示
「開発事業構想書(構想書)の提示」とは、事業者が最初に行う手続で開発事業を行う市町村に構想書を提示し、開発事業の受け入れの可否について検討してもらいます。
市町村が受入可能と判断した場合に限り、県は構想書の提示を受け付け、必要な指導を行います。
この構想書の提示は、「事業者名(法人登記事項証明書等を添付)」、「開発事業名称」、「目的」、「位置」、「区域」、「規模・地区別面積」(位置、区域、規模等は図面により明らかにしてください。)について、明らかにして行ってください。
事前協議
事前協議手続に先立ち、開発事業区域内の地権者同意を90%以上取得してください。
「大規模土地開発計画協議書(事前協議書)」は、県で受理し、群馬県土地利用対策会議(土地利用対策会議)で、各法令に照らして審査します。また、開発区域内の市町村に意見照会します。(事前協議書の記載の詳細については、下記連絡先に確認してください。)
土地利用対策会議の審査が終了すると、「群馬県大規模土地開発事業審議会(大規模審議会)」に諮問し、その答申を踏まえ、知事が当該開発事業計画に係る異議の有無を通知します。
なお、事前協議手続を終了したとしても、開発許可なり開発に関する権利が附与されるものではありません。
承認(許可制度)
承認手続に先立ち、開発事業区域内の100%の用地を取得してください。(借地等も含みます。)
他の法令等による開発の規制が適用されない区域が5ヘクタール以上ある場合、大規模開発条例に基づく「承認」が必要となります。
「大規模土地開発事業承認申請書(承認申請書)」は、県で受理し、土地利用対策会議で、承認基準に照らして審査します。また、開発区域内の市町村に意見照会します。(承認申請書の記載の詳細については、下記連絡先に確認してください。)
土地利用対策会議の審査が終了し、承認基準に適合していることが確認できたら、当該開発事業に関連する他法令の許可等と併せて「承認」となります。
4.大規模土地開発条例の承認が適用になる開発事業とは
大規模土地開発条例の「承認」が適用される大規模土地開発事業は、他の法令等による開発規制が適用されない区域(いわゆる規制白地区域)が開発区域内に5ヘクタール以上ある場合に他法令の開発規制を補完するする目的で適用されます。したがって、すべての大規模土地開発事業に対して「承認」が適用されるものではありません。
5.大規模土地開発条例の手続はいつだれが行うのか
5ヘクタール以上の一団の土地の開発事業を行おうとする者(開発事業を自ら行い又は行わせる者)は、開発事業予定区域の土地について、所有権その他土地を利用する権利の取得に係わる契約の締結前並びに開発を行うために必要な法令等の許認可手続を申請する前に知事に協議することとしています。(条例 第7条「事前協議」)
事前協議はなぜするのか
事前協議は、県土の保全と秩序ある開発を図るために行う行政指導方式による手続といえますが、一方で事業者の方にとっては、以下の利点があるといえます。
- 大規模土地開発事業を実施するにあたっては、関係する法令等の許認可やそれに伴う行政機関との協議、調整も多岐にわたります。このため事前協議手続を経ることで、こうした協議、調整の窓口を一本化して総合的な観点から審査、指導手続が進められるため、事業者の方の協議、調整手続が軽減されるともいえます。
- また、当該開発を行おうとする土地の売買契約の締結前に、その開発事業について事前に知事と協議することにより、その協議を通じて当該土地の開発の法的ないしは物理的な可能性が明らかになります。これにより開発が不可能と認められる土地の買収を防止するとともに、協議者が損失をこうむることのないようにするための措置であるともいえます。
6.大規模土地開発条例の手続はどれくらいかかるのか
- 手続に要する標準的な期間として、「開発構想書の提示」は2~3箇月、「事前協議」については6~9箇月となっています。
- 「承認」の標準処理期間は90日です。(群馬県行政手続条例により申請書を受理してから承認までの期間は規定されています。)
7.その他
- ここに記載した手続は、あくまで一般的な手続の流れとなります。
- 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が適用される廃棄物処理施設等の設置に係わる大規模土地開発事業は別途所定の手続を要します。