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第1回群馬県感染症危機管理チーム会議議事録

更新日:2020年6月26日 印刷ページ表示

1.日時 令和2年3月16日(月曜日)19時00分~20時00分
2.場所 秘書課会議室
3.出席者 資料2「出席者名簿」のとおり
4.議題
(1)群馬県の新型コロナウイルス感染症患者発生状況について
(2)検査体制について
(3)今後の対策について

(1)群馬県の新型コロナウイルス感染症患者発生状況について

(保健予防課長)
資料により説明。

(2)検査体制について

(保健予防課長)
資料により説明。

(知事)
群馬県では無症状者のPCR検査は行っていない。県民の皆様に一番説明をしなければならないことは、誰でも検査を行うわけではないということである。検査の対象はどういう方であるべきなのか。先進医療国では軽症者の検査は行っていない。この点について先生方の意見をいただきたい。

(委員)
無症状の濃厚接触者は検査不要。症例定義を満たす患者を検査することが最優先である。無症状の濃厚接触者を検査しない分、検査体制に余力があれば、症例定義を緩めて有症状者の検査をすることでクラスターの早期発見につながるのでは。無症状ではウイルスの量が少なく、検査の結果が陰性であっても後に発症することはある。陰性という結果が間違った意味での安心感を与えることもある。

(委員)
大曲先生と同様の意見。また、PCR検査については検体採取の際の適切な防御が非常に重要。検査を行う際の精度管理も重要。

(知事)
検査を大量に行い大勢の方が陽性になった場合、医療現場は大混乱するのではないか。海外では医療崩壊とまではいかないが、患者が診察待ちでずっと並んでいる状況も起きているので、そのようなことも考慮しなくてはならないと思うがいかがか。

(委員)
そのとおりである。現状では陽性になると、医療的には入院治療が必要ない患者も、制度上入院せざるを得ない。それによって本当に入院が必要な方が入院できなくなることが起こり得る。検査をすることと入院の必要性を切り離して考える手もあるのではないか。

(委員)
当所では原則として1日20検体、1日2回検査すれば最大40検体の検査が可能。今月中に1台検査機械が増える予定。陰性の方が後に陽性になる「偽陰性」が出ることは問題。群馬県はまだ検査件数に余裕があるので、現状であれば有症状者の検査には十分対応できる。

(委員)
群馬大学でもPCR検査をできる体制を構築している。早ければ来週から自施設の検体であれば検査可能になる予定。

(3)今後の対策について

(知事)
群馬県では6例目の患者が出たことにより、特定の医療機関から4例発生した。国のクラスター対策班の基準は5人となっているが、県としては早い段階で対応するため対策班の派遣要請をすることになっている。また、現状では厚生労働省が示す帰国者接触者相談センターの目安は「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いていること」となっている。これは専門家の方々の知見に基づくものあるため、県としてもこのような方針としたい。このことについても、先生方の意見をいただきたい。

(委員)
新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」)と一番区別しなくてはならないのは風邪である。一般の風邪は症状のピークは発症から3日目で、4日目以降は徐々に良くなっていく。コロナは4日を超えても症状が治まらない。悪くもならず、良くもならない状況が続くため、風邪とは区別が付く。また、コロナの患者は症状が軽くても他の人にうつす。発症初日や2日目に医療機関を受診すると、そこで他の方にうつすことも起こる。よって発症から3日目までは、人にうつさないためにもしっかり休んでいただく。それで治ってしまえば風邪であり、治らない場合はコロナの可能性があるため、検査を検討していただく必要性が高い。

(委員)
一般の方が相談する目安としては適切である。医療機関が診療した結果、患者の様子に異変がある場合や重症である場合は弾力的に運営してほしい。また、「帰国者接触者相談センター」には限界があるので、相談窓口の枠を広げていただき、「一般向け」「帰国者接触者向け」「医療機関向け」のように窓口を分け、行政、医師会、医療機関が協力して運営できればよいのでは。

(知事)
相談体制の強化については大事な項目。コロナに関する緊急対策の補正予算に組み込めるか担当部局とも検討する。

(副知事)
今後の対策について補正予算も含めて検討しており、2点について先生方に意見をうかがいたい。家庭内感染を防ぎ、かつ医療機関に入院しない方法として、ホテル以上病院未満のステップダウンユニットがある。クラスター発生時の対策として、県内の旅館やホテル、空いている病棟を利用して、軽症者や無症状者への医療機能の充実が図れないか。また、無症状者や軽症者を自宅で経過観察する仕組みについても対応しなくてはならない。現状は医師がなかなか休めない状況。4例目の患者(医師)が無理をして診療を続けた結果、濃厚接触者が増えてしまった。医師が休みやすい仕組みを考えなければならない。1つは、地域で連携し、医師が体調を崩した場合は、代わりに別の医師が患者を受入れる仕組み。または、未発生地域の医師がリモート診療を行う仕組み。

(委員)
ステップダウンユニットについては、場所が設定できて、人員が配置できれば1つの手段である。ダイヤモンドプリンセスの乗客を大学のキャンパスに移したのがいい例である。武漢からの帰国者が埼玉県や千葉県に滞在した経験を担当者に聞いてみるのも参考になるのでは。考慮すべきなのは、医師と看護師の人数が限られる中で、多くの患者を管理しなければならないことである。流行が拡大した際に行政の負担になるようであれば、ステップダウンユニットを維持すべきかどうかを決断しなければならない。維持しないのであれば家庭に患者を引き受けていただくしかない。コロナの流行は長く続くと思われる。個人的には数年続くと考えている。その間、医師が精神的にも肉体的にも健康を保ちながら働いていただく体制作りは長期的に見て非常に重要。輪番制度や定期的に休暇を取れる体制などが求められる。大事なのは風邪を引いたときにすぐに休めて、他の医師に代わってもらえる環境作りが重要である。

(委員)
中間施設はなかなか難しい面がある。ホテルとはいえ、慣れない場所に急に住むよりは家で過ごすことを望むこともあるので十分な検討が必要。現在は、患者は特殊な病床(陰圧個室等)に入院しているが、患者が増えた場合、一般病床を使うことになるのでこちらについても検討が必要。風邪症状が出てからコロナの感染を否定するまでに2週間かかる。医師が皆、年に1、2回程度風邪を引いたとして、その度休んでしまうと医療体制が回っていかない。リモート診療については、どの程度診療が可能なのかまだ分かっていない。医師会としては、発熱者を診るような外来(発熱外来)を地域に作り、医師が交代で勤務し、発熱者が医療機関にこない状況を作った方が良いのではと考えている。その際医師は個人防護具を着用の上診療する。地域ごとによく相談して、県も協力いただき、適切な診療体制を作っていくことが必要。

(知事)
先日の記者会見の中で、4例目の医師の方が体調を崩されて、熱が出ていながら診療を続けたことに関して、あえて「遺憾」と言わせていただいた。今後同じことが起きたら、我々にとって最後の砦である医療機関への信頼が失われ、医療機関を受診したらうつってしまうと県民に思われてしまう。体調が悪ければやはり医師は休むべき。それで医療体制が回らないということであれば相当工夫が必要。ステップダウンユニットについてはスタッフの確保が難しい。医師と看護師以外の一般職員も個人防護具を着るとなると、その点についても対策が必要。

(委員)
ステップダウンユニットについては、ホテルのような施設は必要な感染対策がとれるか心配である。まずは一般病床を使うことが現実的。体調不良の医師のサポート体制については、その医師の医療機関に別の医師が応援に行くのは難しい。該当の医療機関の患者を他の医療機関が受入れるサポートの方が現実的。

(委員)
軽症者の行き先について、人員的な問題からすぐにステップダウンユニットを考慮するのは難しいとすれば、軽症であっても地域の基幹病院、大病院に行かねばならない現状を変えるほうがいい。感染症外来協力医療機関ではなくても、感染症を診療できる大きな病院もあるのでそのような医療機関で患者を受入れられればいい。重症度に応じた病院の役割分担をすることによって、軽症者を受入れられるのではないか。医師のサポートについて、医療機関は今120%の力を使っていると思う。医師が普段とは違う医療機関に行くのは難しい。一方で、患者を地域の医療圏全体で受け止めるというクッションの役割を、各二次医療圏が行うようなシステムの構築が優先される。入院については、患者数が増えてきたときには感染症外来協力医療機関以外でも考えざるを得ない。陽性であることが分かっている患者の受入れであれば、感染管理をした上で対応しやすい。

(知事)
市中感染が広がれば感染経路の特定は意味が無くなるかもしれないが、現時点ではクラスターを抑えるために感染経路を調査している。しかし、1例目の保育士の方と4例目の医師の方が重症で聞き取りができないため、調査が進みにくい。発症前の断片的な行動歴は分かっているがこれを公表すると風評被害になるため公表できない。県民は感染源が分からずフラストレーションが溜まっている。感染経路を追うことは医療関係者でなくてもできると思うが、なにかいい方法はないだろうか。そもそも感染経路の特定は考えなくてもいいのだろうか。

(委員)
群馬県の状況であれば、クラスターの連鎖を防ぐためには、感染源の調査はやっていくべきだと思う。コロナは8割の患者が他の人にはうつさないが、残りの2割はクラスターになり得る。クラスターを作らないことが非常に重要なので、エネルギーは必要だが調査は必要。

(委員)
調査の上で患者や疑い例の方に話を聞いていると、対応が両極端に分かれている。クルーズ船の患者を受入れていた頃は、感染経路の特定に真剣になって詳細に行動歴を伝えてくれる方もいた。最近は行動歴の調査に抵抗を感じている方が増えてきた。また、検査結果を待つ間、自宅に帰ることを嫌がる方もいる。陽性であることが分かった段階で自宅にいてしまうと、近隣の方から口をきいてもらえなくなるのではないかという不安があったとのこと。

(知事)
保健所がすべての調査を行うのは難しい。県庁内にも人員を回せる部署があれば、保健所へ手伝いにいくとか、そのような仕組みがあれば保健所が機能するということであれば教えてほしい。

(委員)
大変ありがたい提案。調査の最初は保健所の職員が行う。その後、詳細な行動歴を聞き取るためには面と向かって一対一で調査し、患者と信頼関係を築くことが大切。

(委員)
国立感染症研究所では、全国規模でゲノム解析と疫学調査を行っている。各自治体から検体を集め、ある自治体のウイルス株と、別の自治体の株が類似しているかどうかの解析を行っている。ある自治体の株が既知のクラスターの株と近いものあれば、そのクラスターと何かしら関係があったかもしれないということは言える。リスクコミュニケーションについて、患者の個人情報、行動歴の取扱いは各自治体で苦慮していることは承知している。住民への情報提供と、患者の社会生活及び差別問題との両立という観点から、「濃厚接触者が正確に追えている(把握できている)場合は細かい行動歴を発表しない」という方針を考慮すべき。ただ、医療機関にはもう少し詳しい行動歴を伝達していただくことで、受診された方の話を聞く際に役立てるとよいのではないか。

(副知事)
群馬県では県主催のイベント、研修等を自粛している。感染防護策を組むことによって少しずつイベントや研修を再開し、経済活動や通常の生活に戻していく舵取りも始めなくてはならない。4月に学校を再開するかが大きな判断になる。コロナが数年続くとすると、このような防護策をすればイベント等をできるというスタンダードを作らなくてはならない。知事からは前向きな話も出していかないと、自粛疲れも出てくるだろう。

(委員)
おそらく来週にはどういう行事にリスクが高く、どういう行事にリスクが低いかといった専門的な見解が発表される。それを見ていただくと参考になるだろう。私見とすると、クラスター対策班からリスクが高い状況が示されている、狭い空間で、空気が淀んでいて、人が手が届く範囲にいて会話をしているような場はリスクが高いことが分かっている。そのような状況にならないよう場を作っていくことが考えられる対応。人が離れて座るとか屋外で空気が流れているとか。リスクが低そうな行事から立ち上げていくのがよいのでは。

(委員)
全国から人が集まるようなイベントは危険。逆に群馬県内の特定の地域に活動が限られた人たちのイベントであれば現時点ではリスクが低い。県全域で統一的にというよりは地区別に考える必要がある。

(委員)
感染の追跡ができる条件を整えたイベントであれば万が一感染が起きたときも迅速に対応できるのでは。

(委員)
イベント中に大声を出さない、症状があれば入場しないというようにリスクを管理できれば自粛を解除していってもよいのでは。

(委員)
手指消毒用アルコールの設置が必要。保健所から主催者に使い方を案内することはできる。

(知事)
来週に政府の方針が発表されるのであれば、本日の意見も踏まえて改めて我々としても方針を出して、リスクの低いものについては再開していきたい。本日は大変ありがとうございました。

資料

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