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第1回群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会の議事録

更新日:2018年4月26日 印刷ページ表示

1 期日

平成30年3月16日(金曜日)

2 場所

県庁29階 第1特別会議室

3 出席者

(1)群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会委員

(※ 順不同。各委員の所属と役職は第1回検討会開催当時のものである。)

  • 片野清明会長(群馬県社会福祉協議会 会長)
  • 杉田安啓委員((公社)群馬県身体障害者福祉団体連合会 副会長・高崎市身体障害者団体連合会 会長)
  • 江村恵子委員((一社)群馬県手をつなぐ育成会 会長)
  • 吉田英子委員(群馬県重症心身障害児(者)を守る会 会長)
  • 中島穣委員((公社)群馬県知的障害者福祉協会 会長)
  • 真下宗司委員(群馬県身体障害者施設協議会 会長)
  • 吉邑玲子委員(群馬県精神障害者家族会連合会 会長)
  • 高森勉委員(群馬県自閉症協会 会長)
  • 樺澤洋委員(群馬県視覚障害者福祉協会 副会長)
  • 早川健一委員((一社)群馬県聴覚障害者連盟 理事長)
  • 田辺頼之委員代理(群馬県せきずい損傷者協会 事務局・細野直久副会長の代理として出席)
  • 片山和也委員((特非)群馬県精神障害者社会復帰協議会 理事)
  • 町田毅委員代理(群馬県難病団体連絡協議会 財務委員長・水沼文男会長の代理として出席)
  • 船津久美委員(群馬県特別支援学校PTA協議会 会員・群馬大学教育学部附属特別支援学校PTA会長)
  • 井上政道委員(群馬県民生委員児童委員協議会 副会長)
  • 五十嵐亮二委員(群馬県経営者協会 常務理事)
  • 高草木悟委員(日本労働組合総連合会・群馬県連合会 事務局長)
  • 大倉朋子委員(前橋地方法務局人権擁護課 課長)
  • 青木宣雄委員(群馬県人権擁護委員連合会 委員)
  • 山本聡委員(群馬弁護士会 弁護士)
  • 堤順一委員(群馬県市長会・太田市福祉こども部 副部長)
  • 小林啓一委員(群馬県健康福祉部障害政策課 課長)
  • 宮下貴之委員(群馬県産業経済部労働政策課 補佐・障害者就労支援係長)
  • 佐藤隆行委員(群馬県生活文化スポーツ部人権男女・多文化共生課 補佐・人権同和係長)
  • 春田晋委員(群馬県教育委員会事務局義務教育課 補佐・教科指導係長)
  • 高橋玲委員(群馬県教育委員会事務局特別支援教育課 補佐・指導係長)

※欠席した委員

  • 鈴木利定委員(群馬医療福祉大学 学長・学校法人昌賢学園 理事長)
  • 佐藤好美委員(群馬県町村会・昭和村保健福祉課 課長)

(2)事務局

川原武男健康福祉部長、都丸要障害政策課専門官、関根智子障害政策課社会参加推進係長、田中さやか障害政策課社会参加推進係主任、清水香里障害政策課社会参加推進係主事

4 議事の概要

(1)開会

  • 午後2時5分、開会
  • 県の情報公開制度に基づき、検討会を公開とすることを説明
  • 取材者は4社であることを報告
  • 検討内容の概要を県のホームページ等で公開することを説明
  • 議事録作成のため、会議の内容を録音することを説明

(2)あいさつ

群馬県健康福祉部長 川原武男
群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会会長 片野清明

(3)自己紹介

各委員が、所属と名前を自己紹介した。

(4)議事(議事進行は片野会長)

議事の進行に先立ち、片野会長から次のとおり説明した。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 本日の検討会は、お互いの意見を戦わせる場ではなく、委員のみなさまから幅広く色々な思いや御意見を頂戴する場にしたいと考えている。事前に提出された御意見も含め、本日は一つ一つの御意見への回答は基本的には行わない予定である。本日いただいた御意見については、第1回検討会終了後、第2回検討会までの間に、事務局で内容を精査して検討し、第2回検討会でお示しする「条例の素案」と「条例の素案に係る県としての考え」をもって、回答にかえさせていただきたいと考えている。

 以上の説明の後、議事を開始した。

ア 検討の進め方と日程について
イ 障害者差別解消法の概要について
ウ 条例制定の背景と目的について

 資料1、資料2、資料3に基づき、事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)から一括して説明した。

エ 条例に対する全般的な意見について

 群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)の構成(たたき台)に対して、検討会委員から会議開催前に提出された意見について、事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)から説明を行った。

障害政策課社会参加推進係 関根係長

 群馬県手をつなぐ育成会江村委員からいただいた御意見を紹介する。

 『平成28年4月に施行になり、ようやく群馬でも差別解消条例の検討が行われるということで、障害者団体としては全力で取組に協力していかなければならないと考えている。広く行政・企業・県民に周知されるまでには時間が必要となると思う。確かな条例となるように連携して、進んでまいりたいと思う。
質問として、「合理的配慮」の定義の中で、本人が必要としていないような過剰な配慮は合理的でないと学んだ。この件に関しては、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において」と記してあるので、この中に含まれるということでよいか。』との御質問をいただいた。これについては、その通りである。この中に含まれているということになる。

 『二つ目の質問として、その実施に伴う負担が過重でないときは、ということについて、「過重な負担」を理由として配慮を断る場合は、配慮を求めた本人にその理由を説明する義務があると学んだ。条例ではどこの部分で触れているか。』との御質問をいただいた。条例の中で特にこのことについては規定しない予定であるが、条例を運用して行く中で、示していく必要がある事項であると考えている。

 次に、群馬県視覚障害者福祉協会樺澤委員からいただいた御意見について紹介する。

『資料に目を通した。この通りである。具体例があった方がよい。
お願いとして、厚生労働省の意見が通らない、市町村に意見が通らない、福祉を担当する公務員のみなさんが、この県条例をよく読んで理解をしていただくことが必要だ。
 合理的配慮をしてください。
 合理的配慮へと柔軟な対応。与え側と受け側(障害者)の反対の言葉になっている。福祉を担当する側の人が優しさを持って対応していただかないと無理がある。偏見を考えて欲しい。』との御意見をいただいた。具体例があった方がよいというだが、条例を運用していく中で、具体例を示していくようにしたいと考えている。

 次に、群馬県聴覚障害者連盟早川委員からの御意見を紹介する。

 『財政上の措置として、施策に必要な財政上の措置を「講ずるよう努める」という部分を、「講ずるものとする」と変えて欲しい。
 理由として、合理的配慮の必要時にすぐ対応できるように。現在の施設でも合理的配慮が不足している。設備、情報保障、コミュニケーション保障で対応できる環境をすぐ整備するため、予算を講じてほしい。』との御意見をいただいた。必要な配慮ができるよう予算の確保に努めていきたいと考えている。条文の書きぶりについては、関係部署とも協議の上、検討させていただく。

 次に、群馬弁護士会山本委員からいただいた御意見を紹介する。

 『障害者基本法の策定に当たって第4条(何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の件利益を侵害する行為をしてはならない)が規定されたにもかかわらず、その後、障害者差別解消法が制定されるに到ったという背景には、基本法ができたにもかかわらず、いまだ障害者に対する差別が消えないという残念な現実があると考えている。
 同法の成立や他都道府県における条例制定を受け、群馬県において差別解消条例が牽制日程に上ったことは、群馬県の障害者差別解消に向けた意欲を示すものであり、歓迎すべきことと受け止めている。
 一方で、障害者差別の形態には、わざわざ不当な取扱いをするという積極的な差別類型と、配慮を要する者に対して理由なく配慮をしないという消極的な差別類型とがあり、単に、「差別解消の実現を目指す」といっても、実効的な方策を具体化していくためには、積極類型の行為を控えるというだけでなく、従来していなかったアクションが取られなければならない、という点で、より多くのエネルギーを必要とする事業であると考えている。
 今般、こうした難事業を方向付ける本条例の検討会委員となる機会をいただいたことにつき、私で務まるのだろうかとの逡巡は尽きるところはない。しかしながら、群馬県において、差別解消に向けた実効的な施策のバイブルともなるべき本条例の検討に、法的な観点から関与できることは、一弁護士としては望外の光栄でもある。
 群馬県における障害者差別解消の実現に向け、微力を尽くしてまいる所存だ。』との御意見をいただいている。

 次に、連合群馬高草木委員からいただいた御意見を紹介する。

 『たたき台にはないが、以下の3点について、追記の可否の検討をお願いする。
 (ア)「身体障害者補助犬」(盲導犬・介助犬・聴導犬)の施策における、不足している補助犬の育成について、国と協力し積極的に推進する。
 (イ)補助犬利用者に対する配慮を社会に浸透・定着させるための積極的な啓発・広報による周知の実施。
 (ウ)日常生活自立支援事業にかかる生活支援員や成年後見制度を担う後見人を育成するための取り組み。
 少し具体的な内容ではありますが、ご検討をお願いする。との御意見をいただいた。(ア)と(イ)については、同様の規定がある徳島県の条文を参考に当県でも規定できるかどうか検討させていただきたいと思うが、具体的な取組は、身体障害者補助犬法に基づき進める事を基本とするべきであると考えている。また、(ウ)については、本条例では規定をせず、障害者プランなど個別の計画や施策の中での対応を考えて参りたいと考えている。

 この他、山本委員から、各項目について細かい御意見をたくさんいただいているが、それについては、第2回までの検討事項とさせていただきたいと思う。皆様もお時間のあるときに御一読いただきまして、何か御意見があれば、第2回の検討までに、御意見をお願いしたい。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 予め寄せていただいた意見について紹介があり、考え方の説明があった。
 ところで、各委員に予めだいぶ膨大な資料が届けられて確認するだけも大変であったと思う。自分も中味を見たが、意見を寄せていただいた委員には本当にありがとうございました。
 次第ではこの後、「総則部分」「施策部分」と意見をそれぞれ分けて伺うようになっているが、事前に寄せられた意見についても、事務局から一括で説明がされたので、「全般」「総則」「施策」にこだわらずに、全体として、差別障害条例の検討の場に御出席いただいた皆様から、それぞれの思いの丈を発言していただけたらと考える。また、意見を寄せられた委員も更に加えての御意見があろうかと思うし、意見を寄せられなかった委員はこの場で発言しようということであったと思うので、よろしくお願いする。
 予め条例構成のたたき台が示されているが、事務局で改めてこのたたき台を細かく説明する事になると、時間が取られてしまうということもあり、通常のこういった検討会と異なり、事務局からの説明は行わない。予め御覧をいただいていることを前提とした議論となるが、たたき台の1ページは、条例案の目的から始まって、項目の最後の差別解消地域協議会まで、項目ごとにポイントを掲載したものがある。こういったものも改めて御確認いただきながら、御発言をお願いしたい。いかがか。

高森委員(群馬県自閉症協会)

 差別解消条例について、何名かの方々から合理的配慮についての御意見をお聞かせいただいたが、私どもが関連する自閉スペクトラム症や発達障害という障害の特性上、スペクトラムというだけあって、障害の特性が非常に多岐にわたっているので、まず、障害そのものをどう理解していただくかということが、非常に重要になってくると考えている。群馬県でも自閉スペクトラム症などの啓発活動を、4月2日の世界自閉症啓発デーを含む約1週間行うが、とにかくその障害の特性を広く理解していただくことが、とても大切なのだと思う。それから、その障害の特性に対して、どう支援をすることで、その障害の困難さが本人にとって緩和できるかというところを見極められる支援者が多くいないと、それが障害によるものなのだというところそのものを、なかなかお示しできない。そういう意味では、これはどの障害でも同じだと思うが、その特性を見極めて支援できる人の育成というところも、そういった専門家の育成が急務だということを、前面に出していただくとありがたいと思う。

樺澤委員(群馬県視覚障害者福祉協会)

 障害というのは、知らない人がたくさんいる。自分もかつてサラリーマンの時は障害者のことを知らなかった。また、知る必要性がなかった。自分で視覚障害者になってから、ようやく障害というものを少し理解してきたが、まだ色々なもの、例えば権利条約にしても、障害者でもまだ権利条約を知らない人もいる。日本ではたぶん、1990年から2000年まで、国連に障害者に関する事が入るために準備していた。まだ、障害者の権利などは間もない。前は、障害者は取りこぼし政策をされていた。日本では何も話をしなくてもいいのかなと思っていた。日本では、くさい物にはふたをしろという考え方があって、その考えをまだ引きずっているのだと思う。自分のことでいえば、こんなことをいうと何だが、サラリーマンの時は、自分は警備会社にいたので、よく警察の人や消防の人や警備会社の人と話をしたが、結果的には、その時に言うと大変なことになるから言えなかったが、そういう忙しい職業に就いている人にとっては、ちょっと仕事に差し支えるくらいの形になってしまう。そういったことがあるので、障害者差別という言葉はとても難しい。偏見というのはとてもある。差別というのはとても難しい言葉である。今、老人、介護保険はケアマネさん、自分たちのような障害者は相談員さんに対応してもらっているが、こんなことを言って県の方には申し訳ないが、ケアマネさんや相談員さんが勉強不足だ。本当に分からない。障害には知的の人もいれば視覚障害者の人もいれば、聴覚障害者の人もいるが、相談員で専門に分かる人がいない。障害者も65歳になると介護保険に一部移る。するとケアマネさんが障害者のことを全然分からないという事が出てきている。そういうことがもう少し、ケアマネさんしかり、相談員さんしかり、専門の人を作っていただけた方がいいかと思う。

江村委員(群馬県手をつなぐ育成会)

 このような条例をみなさんで検討するということで、非常にありがたく思う。そして県の施策にも入っている障害者の地域生活支援拠点は、その施策に関しても、ある意味この条例は非常に関わりのあるものであると思うので、充実した条例になるよう努めてまいりたいと思う。少し違う話になるが、地域的なお話をさせていただこう思う。以前、相模原の事件があり、皆さまも御存じのとおり悲惨な事件であり、私にとっては非常に、忘れられない事件であり、それがまだ自分の中で解決できないこともあるが、ただ、立ち止まっていても仕方がないので、前に進もうということで、私が住んでいる地域で、去年から子どもと障害者を対象にスポーツを通して学ぼうということで、「みんなで遊ぼう」という交流会を始めた。今年で2回目になるが、今年は手助けしてくれているスポーツ協会の人がいらして、人権の方にも加わっていただいて、4団体で開催することができた。小さな町なので大した数にはならないが、延べ130人の方に参加していただいた。私から、こういう事件があって、もう二度と起こして欲しくないので、若い方を障害者と少し慣れ親しんでもらう場を作って欲しいとお願いしたところ、賛同いただき、交流の場を作ってくださった。継続で実行してくださるということなので、非常によいことだと思う。しかしやはり子どもだけではなくて、地域の皆さまをこれから巻き込んでいきたい。これから障害者は地域で生活していかなければならないという課題があるので、積極的にそういった事業を、うちの地域だけではなく、他の地域でも広めていただければ、ということは非常に感じているところである。一緒にかかわるということが、知るという機会になり、差別の解消になると思う。差別解消条例ということで、確かにたくさんのいろんな文言が出てくるが、実際にできあがり周知されていくには、差別解消条例を学ぶ場というものが必要と思う。関わりを持つ機会を作るということも非常に大切になってくると思う。それからもう1点、この条例は障害者のことを色々と知ってほしいということで作られる条例だが、それをお願いする側にもやはり閉ざしたものがあるのではないか。今まで整われた環境になかったので、条例ができても、果たしてそれで心開いてみなさんの方に心を開いていけるかなという不安がある。今まで条例がなかった時代の中で生活してきた人達が高齢になってきている。その方達に、地域の人達とのふれあいの大切さを伝えているところだが、すぐには理解いただけない状況にあると思う。やはり私ども障害者の側からも、心開くものがないといけないのではないかというのを、この条例を通して感じた。そのことで、双方が分かりあえるような条例にならないといけないのではないかと感じた。

真下委員(群馬県身体障害者施設協議会)

 先ほど人材の話でスキルがないとおっしゃっていたが、行政と我々施設というのは人材を作るところであるので、非常に申し訳ないと今感じている。障害の種別は、知的障害者福祉協会もあるが、我々の協議会は身体障害。身体障害というのは非常に幅広くて、非常に難しいところではある。重度の障害もあったり、発達障害もあったり、非常に言われているところである。それをできるだけ理解してもらうことがやはり一番大切だと今の意見で思った。我々と行政で組みながら人材を作っていかなければいけないと反省していることころである。この条例を進めていく中で、我が事丸ごと共生社会の実現、ここのところが一番ポイントだと思う。高齢の障害者もいるし、子どもの障害者もいて、障害者は限定されないし、大人の障害者で地域で生活している生活困窮の人も多くいる。そう考えると、共生社会の中で全てが網羅されるのは我々の障害のところだと思う。今、共生社会の実現ということで医療と介護の連携をやっているが、これは老人だけである。我々には話がない。それが非常に課題ではないかと思う。我々は、高齢の障害者であれ子どもの障害者であれ、全部見るので、そこを一緒になって次の共生社会を進めていかなければいけない。この条例を契機に、そこのところに踏み込んでいくことが非常に大切なことではないかと思う。

中島委員(群馬県知的障害者福祉協会)

 この差別解消条例というのは、我々事業者にとっては、とても大事な条例だと思う。私どもの協会でも、群馬でも条例を作ってくださいと何度かお願いした立場である。私たちの、行政の方々に関わる上でのルールブックではないが、私たちの立ち位置を示すものになるのではないかと思う。今の世の中、福祉人材が不足しており、なかなか人が集まってこないが、本当に福祉のふの字も知らないような方が入ってくることがある。そのような職員が、例えば知的障害を持った方にどのような支援をするかを知らないと、虐待などにつながってしまったり、誤解を与えるような言動となってしまったりすることがある。そのようなところから、私たち自身が立ち位置を考えて身を起こしていかないと、広がっていかないものだと感じているので、そのようなハンドブック的なものになると非常にいいと思う。差別解消条例をいち早く制定したのが千葉県という資料があったが、この条例を千葉で作るときに堂本知事が一生懸命話をしているのを聞いたことがあるが、障害者のために作る差別解消条例ではなくて、私たち自身のために作る条例、そんなような考え方で是非やって欲しいと思う。

早川委員(群馬県聴覚障害者連盟)

 手話言語条例があり、それから障害者差別解消法というのがある。手話言語条例は、言葉がとても大事、言語は大事だというものである。差別解消条例は、社会を変えるために必要な条例だと思っている。ろう者としては、学校で、口話教育で、話をするだけの教育、手話は禁止だった時代があるので、先生から、口話だけ、口の形だけで教育を受けた時代がある。でも読み取れない。ただ分からないと進まないので分かったふりをしているという癖がある。そのような聞こえない方がいる。分からないと先生から怒られてしまうので、我慢して分かったふりをして、忍耐強くしてきた方達がいる。知的障害の方に接したことがあるが、非常に大変かと思う。見える障害者と見えない障害者との差がやはりあると思う。見える障害の方というのは、手立てが考えられるかと思うが、見えない障害だと、どうやって手助けしたらいいのか、手立てしたらいいのかが見えない、分からないと思う。そのため、なかなか聴覚障害者の理解が進んでいかない、分かってもらいにくい面がある。であるから、条例を作っていただく場合には、行政だけではなくて、県民全ての方に理解をしていただくため、お互いに理解を進めていくために、必要なものだと思っている。県民の人も障害者のことを学ぶことが非常に大事になってくると思う。行政は勉強しているが、県民の方は知らない方が多いと思う。子どもの学校で、障害者にどのくらいの種類があるとかというようなことを学ぶ場もない。もし学校でそういったことを学ぶ機会があれば、社会も変わってくるのではないかと思っている。

吉邑委員(群馬県精神障害者家族会連合会)

 今お話があったが、外から見える障害と見えない障害がある。私たちの場合は中途障害になるので、生まれつきではないという苦労がある。いつ誰がなるかわからないというような事が前提になるかと思うが、やはりこういう条例で、お互いに理解をする、障害者も健常者もお互いに理解をするということがとでも大事で、条例に限らず色々な動きが必要だと思っている。最近非常に思っていることは、私たちの障害、精神の病気は、原因が分からなかったり、個人により非常に差があったりして、ドクターも非常に色々な方がいらして、よくなることが非常に難しい病気になる。そうすると家族としては非常に理不尽な思いをする。治療を受けていても色々理不尽な思いをし、入院させてもよくなるかならないか分からないような、そういう理不尽な思いをいっぱい抱えて、私たち家族会の役員は活動している。その理不尽な思いが問題提起となり、種となって、活動に向かっているという、何ともつらい思いがあって活動しているのが現状だ。その中で、少しでも活動の中でよしとするのは、自分のことだけでなく他の方の役に立つことができている、それが自分たちの役割であると感じる、というところまで来ないと役員ができない。障害者の団体の方々みなさんがそうだと思うが、その中で活動している。やはり人材育成、専門職の方、その理不尽な思いの中にはそれもとても重要な内容になる。そんなことで、今回の条例はとてもありがたいと思っているし、この病気は特にそうだが、私たちの中の内なる偏見というのも破らないと、人にも分かってもらえないし、家族崩壊ということも見られるので、やはり事件になったりもしている。であるから啓発活動も必要だと私たち家族会も思っているということで、今回条例はとてもありがたいと思うし、私たちも勉強していかなければならないと思っている。

吉田委員(群馬県重症心身障害児(者)を守る会)

 重い障害を身体も知的にも持つ子どもや大人の方は幅広くあり、見てわかりやすいといえば、そうかもしれないが、なかなか外出しにくいという方が多い。差別解消条例を検討していく中で、社会に向けての差別ももちろんだが、私たち親の立場で言うと、重い障害を持っていると、その子どもは分からないだろうと思っている親もいる。言葉で話せなくても、コミュニケーションが取りにくくても分かっている。人権があるし、尊厳を持っている。やはり家族としても、人としての根本的な差別をなくしてほしいので、差別解消条例からはズレてしまうかもしれないが、家族が障害受容できるように、まずは初期から家族支援を行うことが大事だと思う。家族支援と社会に向けて発信することで進めていただけるようにお願いする。

片山委員(群馬県精神障害者社会復帰協議会)

 精神障害者社会復帰協議会では地域で生活している障害をお持ちの方、主に精神障害をお持ちの方の支援をさせていただいている。自分も現場で働いている身で、職員の育成などのお話もあり、まだまだ不十分な部分もあると思う。実際当事者の方と触れあうというか支援させていただく中で、やはり差別行為を目にしてきたのはすごくあり、その時にすごく寂しい気持ちにもなるし、怒りといった部分も見えてくる。ピアサポート事業という当事者の活動がある。仲間同士の活動だが、どんどん活躍できているという実感がある。この条例により、よりいっそう活躍ができると期待させていただいている部分もある。ただピアサポートの仲間という部分だと、精神障害の方だけとなる。仲間というのはたぶんそういうところだけではなくて、全市民だと思う。自分も市民の中に入ると思うが、みんなで考えていければいいと思い、考えていかなければいけない部分だと思うので、今後も学習を繰り返しながらやっていきたいと思う。

町田委員代理(群馬県難病団体連絡協議会)

 指定難病の方も障害者と国の方でなったが、実際はなっただけで、具体的な国の方の身体障害者としての取扱いよりは弱いと感じている。ここでいう話ではないと思うが、例えば病気で重くなれば当然通院する回数も多くなる。そこが実際に就労している企業の方には敬遠される。国の方に求める意見になるが、指定難病も障害者の雇用率に含めるような施策を国の方で作らないと、国の方が逆に差別を作っているような、そのように感じないこともないわけで、県の方でそういった障害者の雇用率の中に指定難病を含めるのは難しい問題だと思うが、こういったことが、難病団体としては、今、切実に考えていることだ。

船津委員(群馬県特別支援学校PTA協議会)

 私たちの子ども達は、今、特別支援学校の小学部、中学部、高等部へそれぞれ通学している。これから、学校生活を終えた後の自立にむけて、どう生きていけるかという大きな目標に向かって、毎日学校で支援をしてもらっている。でも、子ども達はそれぞれ個性がある。その個性の中で長所を伸ばしていき、ちょっと欠けている部分は親として、あるいは特別支援学校の先生、そして関わっていただいている福祉団体の支援者の方にサポートしてもらって、毎日を楽しく過ごしていけるように努力している現在かと思う。でもその中で、いずれ自立するために、移動支援等福祉の支援を受けながら、休日等活動の場を広げたいと思っているが、そういう場所も少なかったり、支援する方が少なかったりして、希望するところが立て込んでしまうと、なかなか順番が回ってこない、というのが現状である。いかに社会で楽しく過ごしていけるか、親としても心配なところだ。やはりたくさんの方に理解してもらって、社会に出たときに、楽しく過ごしていけるように、みんなで子ども達を育てていきたいと思っているのが現状だ。

杉田委員(群馬県身体障害者福祉団体連合会)

 意見票を出してくださいとあったので、条例構成のたたき台を斜め読みさせていただいた。その時に考えたこと、思いついたことだが、実際に障害者で職員の採用試験を何回か受けて、筆記は2回ほど受かっているが落ちている。これはどういうことか調べてくれといわれたが、そんなことは個人的にはできないので、他の方に伺ってくださいと言ったが、障害を持つことで、そういった差別を受けると感じたので、早くこういう条例ができればいいと思う。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例制定が差別解消、偏見除去の契機になるような御発言をいただいたし、内なる偏見という言葉もあり、そういったものの克服の話もあった、また、当事者団体のみなさんからの重ねての御発言をいただきたいと思うが、その前に、色々なお立場の委員がいらっしゃるので、連合群馬の高草木委員からはだいぶ具体的な御意見をいただいているが、当事者団体を少し離れた立場の御意見をいただければと思うが、いかがか。

田辺委員代理(群馬県せきずい損傷者協会)

 社会に出て行くという話があった。我々もそうだが車いすの人、歩いている人、それぞれが、なぜ出て行けないかというが、店に段差があるなどで入り難いというのがある。バリアフリー法を群馬県でもう少し強調していただきたいという思いがある。出かけようにも駐車場の問題がある。思いやり駐車場の整備が、進んでいない状態で、停滞している状態だと思う。加えて、福祉の関係の方から聞いた話だが、思いやり駐車場の利用者の中でも妊婦さんは期限を切って利用証を出しているということであったが、実際は期限が過ぎても返してもらっていないということがあるらしい。妊婦さんが期限の切れたものをそのまま使って思いやり駐車場に駐車しているというのが現実だということが多いというような話を聞いた。福祉では連絡しているという話を聞いて、返納されていないことが多いとの話を聞いた。私たちが車いすでスーパーに行って買い物したり公共施設にいったりすると、障害者でない方が思いやり駐車場に駐車している。もっと罰則化を群馬県で初めてみたらどうかと思う。店側に要求をできるような条例を作っていただけないかと思う。そうすればみなさんが、色々な人が出歩きやすい社会、顔を出しやすい、なんでも買い物できる、欲しいものが買えるようになるのではないかと思う。なぜ障害者が出ていけないかというと、みなさんが言った偏見や、見られるのが嫌だとか、そういうのもあるとは思うが、やはり堂々と出て行って、私はこうだということをアピールしていくことがいる。駐車場についても、今は身体障害者でない方のマナーだとかモラルだとか言っているが、それを守ってもらえないのであれば、条例で何とかした方がいいのではないか。罰則規定であるとか、店側にお願いをするなど、そういうことをやってもらいたいと思う。せきずい損傷者協会でも話し合ったりしているが、最後は結局その人のマナーとかいうことになってしまうので、それではちょっと違うと思う。何かできないかと思う。思いやり駐車場も、障害が重い方もいれば軽い方もいるもで、差別になってしまうかもしれないが、やはり区別をして、思いやり駐車場の運営をした方がいいかと思う。

高草木委員(日本労働組合総連合会群馬県連合会)

 連合は障害者差別の政策を持っていて、その中から3点ほど抜粋して意見させていただいた。しかしながら、先程から各委員からお話がでているように、差別をもっと上のレベルで考えると、大括りでは、やはり人権問題なのだろうと考える。社会というのは色々な人がいる中で成り立っているものなので、皆平等だという視点を持つことが非常に大事なのだと、支え合い助け合いと、連合はよく言っているが、多くの人が作っている社会を多くの人間で支えていく、このことが大事であると思っている。労働組合として、この検討会の中で、支え合い助け合う社会を作るためにお役に立てればということで本日参加させていただいた。

五十嵐委員(群馬県経営者協会)

 当団体は事業主団体であるが、事業主団体の場合には二つの側面がある。お客様としての障害者のみなさんとどのように対応するかということと、障害者をどのように雇用していくかという、二つの側面がある。もっぱら私どもは、連合の高草木委員と一緒に雇用の方を中心にやっている団体である。今、障害者雇用というのは非常に大きい問題として取りざたされているが、中央の大手だと、例えばダイバーシティであるとかCSRであるとか、そういった観点から積極的に取り組んでいる事が多いかと思うが、地方の中小にくると、どうしても経営者の考え方が非常に大きく影響してしまうので、その辺の啓蒙活動を地道に続けていかないといけないと思っている。総論はそうだよねと、だけど各論となるとちょっとうちは、というところもなきにしもあらずなので、各論レベルでブレイクするような、教育もそうであるし、冒頭にもお話のあった専門家の育成、支援をしてくださるような専門家をたくさん作っていただけると、障害者雇用にも繋がっていくと思っている。いずれにしても、どなたかがおっしゃっていたように、知らなすぎるというのが大きいと思うので、是非その辺をしっかりと教育していただきたいと思っている。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 山本弁護士からは色々な観点から予め御意見をいただいたが、この場での御発言をお願いできればと思う。

山本委員(群馬弁護士会)

 この検討会は条例を作るというところなので、あるべき共生社会の実現に向けて、何か一つバイブルになるようなものを作るという観点ことから申し上げさせていただこうと思う。多数の委員さんのお話の中に、「理解を深めていく」、「まずは理解をしていくことだ」ということがあった。人権の問題と福祉の制度自体という二つは、啓発・普及をしていくべきものとして具体的にはっきりしていると思う。この条例はあくまで基本的な条例という事ではあるかと思うので、これから制定されて運用されていく中で、日々ブラッシュアップされて、運用指針の中で、その個々の具体的な動きが策定されれば、それはそれでよいと思う。ただやはり、大きな方向性として、間違いのないところについては、規定ができた方がよいと考える。条例のたたき台にある「啓発を進めていく」というのにはもちろん反対はない。その中味として、例えば、「障害者あるいはその障害ということ自体についての理解」、あるいは「人権」であるとか、「福祉」、こういったものについての理解を深めていくという、ある意味、細かな施策に結び付くような具体的な対象というのが盛り込めたならば、よりよいのではないかと思う。もちろんこの条例に、例えば何々の制度について何単位の報酬とか細かなことを盛り込むのは不可能であるが、その方向性が示せるものがいいと思う。差別解消法は差別を解消するための啓発という大きなことを言っているが、実は方向性というのが示しきれていないかもしれないという思いがあり、群馬オリジナルを盛り込んでしまってもいいのではないか。
 もう1点、今、労組の方、それから経済団体の方からお話があった。そして当事者の皆様から、地域の中での実際の話があった。これをやっていく中では、要は、今まで差別的なこと、あるいは差別がなされていた社会の側で、周りの人達にこうしなさい、ああししなさい、改善しなさいと、これを求めることはもちろん大切だが、それをさせていくための具体的な支援、例えば、事業主さんにバリアフリーをやるように、これはもちろんやった方がいいに決まっている、ただ、そのためにはもちろんお金もかかる、場合によってはその工事をする間にはお休みをして直したりをしなければならない。結局、実際の具体的な支援策が出てこないと、これはかけ声で終わってしまう。積極的に差別的な行動をするのはやめればいいだけの話なので、法律が求めているように法的義務とすることも当然だろう。一方、合理的配慮をしないこと自体が法的義務に直ちに反するのだということになったら、たぶんその条例というのは、みんなが逃げて回るだけの条例になってしまうのではないか。そこは努力義務とするかどうかという話にもつながるが、「何かをやってください、これが役割ですよ」と言う場合には、それができるような財政的な、あるいは技術的な、そういった支援策というのがセットで考えられなければ現実的でない。これが、今回私がお出しした中でいうと、資料4の8ページ、9ページであるとか、5ページにある聴覚障害者連盟の早川委員からも、財政上の措置を「講ずるよう努める」では弱いという意見があったが、努めるだけにとどまらないような提案をさせていただいた次第である。事業主さん、我々弁護士の世界でもそうだが、障害をお持ちのお客様はたくさんいらっしゃる。エレベーターもあるし、概ね、95%までは車いすの方でも、一人でお越しいただけるが、本当に一番大事な入り口の一歩のところで、2段、階段がある。でも、階段を直すとなるとやはりお金がかかる。そういったことの支援もまた行政の役割なのではないか。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 予めいただいた意見の補足的な説明をお話いただいた。
 現場で民生委員活動を通じて障害のある方との接触の機会も多い井上委員はいかがか。

井上委員(群馬県民生委員児童委員協議会)

 先日、全体研修を沼田市で行い、その中で、発達障害者の講演を安田先生にしていただいて、1時間半ぐらい講演していただいた。その中にいても、やはり民生委員でも、やはり障害者というのを理解できない方が正直なところたくさんいた。安田先生の講演を聴いて、なるほど、こういう障害者の方がたくさんいて、大変な思いをしていることをつくづく感じたと、アンケートの中にもそういう言葉が何枚か入っていた。私はスキー場に手伝いに行っているが、そこで一人障害者の方がノロウィルスに罹った。病院に行ってすぐにノロウィルスと分かり、そのまま治るまで家にいてくれということになった。周りの人が、その人がどこかからノロウイルスを持ってきて撒いたような雰囲気になったので、いやそうではないだろうと、もっと原因があるのではないかと言った。会社としてはその人一人だけが原因ではないと分かっているのだけれど、周りの人がそういうことを言っているので、そうではない、原因はもっと他にあるのではないかといったら、その人よりも前に罹っている人がいた。障害者だということで、その人のせいにするのは絶対にいけないことだと強く言った。私ども民生委員は、受け止め、支え、それをつなぐ義務があり、それが基本的であるが、普段の障害者の方々の見守り活動の中でも、そういったことを行政につなぐことが、やはり一番大事だと思っている。みなさんの意見を聴いていても、私どもの意見どうこうを言うよりも、やはりつなぐのが大事である。そういうことで、みなさんに今後とも御協力をいただければと思う。それから先ほど御意見があったように、雇用に対しては、大勢の方が働けるような場所づくりを考えていただければと思う。沼田方面では農家が多い。農家では意外と手伝いとか、そういった雇用対策ができるのではないかと思う。そういうことにも是非県でも力を入れて協力していただければと思う。私どもは見守り活動なので、是非そういうことはみなさん何かあったらつないでいきたいと思うので、今後ともよろしくお願いする。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 本当に色々な観点からの御意見をいただいた。先ほども申し上げたが、理解の促進、障害の特性に応じての理解が必要だろうという事から始まり、内なる偏見の克服という話もあり、具体的にはバリアフリーの観点の御指摘もあった。
予め送った条例構成のたたき台を離れて、本当に大所、高所、あるいは色々な角度からお話をいただいたと思う。またそういった御意見でもかまわないし、まだ言い足りなかったところもあるだろうし、あるいはたたき台や具体的な意見等もいただけたらと思う。2巡目の御意見として、その当たりのところを御発言いかがか。

江村委員(群馬県手をつなぐ育成会)

 先ほどの発言の中で、移動支援の関係で、移動支援が待機待ちで困るということをお話をされていたと思うが、私は仕事をして15年になるが、障害者の移動支援に関わっている。15年というのは長い月日で、この間に、どれだけの人が離職されたかというのが自分には分かる。サポーターさんと一緒に障害者が地域に出て行く、そして、みなさんと同じように買い物をしたりお食事をしたり、色々な御希望に添った支援をさせていただいている。最初の頃は、すごく世間の目が気になったが、移動支援が利用され始めて、周りの方々の優しさが感じられるようになってきた。移動支援をスムーズにできる方もいらっしゃれば、大変な方もいる。出て非常にパニックになったりする方もいらっしゃり、そういった場合にはちょっと困る事もあるが、そういう方もできるだけ機会を作って出ていただいて、社会参加していただくということが大切だと思う。本人の余暇活動だが、その一端としてみなさんに見ていただくという機会が増えていることは確かである。その目も、以前と比べると、みなさん温かくなってきていると実感として思える。こういう条例を持ちながら、さらにそれがもっともっと温かいものになってくれればと感じているところである。そして実際、やはり移動支援スタッフは足りない。支援費制度の頃から移動支援を始めていて、その支援費は何年かで崩壊してしまい今は制度が変わってきているが、移動支援を受けられる人もいれば受けられない人もいる。受けられない人に関しては、私は、地域のみなさんで寄り集まって、手をつなぐ育成会で、いろんな行事をしながらそこに参加して、みなさんと触れあう場を作るようにはしている。できればもう少し、人材育成をお願いしたい。

青木委員(群馬県人権擁護委員連合会)

 群馬県の人権擁護委員連合会の高齢者・障害者委員会ということで、この上部団体に新潟、長野、山梨、静岡を含めた関東都県で構成する関東ブロックの連合会がある。この会の中で、障害者差別解消法ができたので各連合会の中に障害者委員会を作ろうという動きがあり、群馬県では一昨年27年度にこの委員会を立ち上げた。関東ブロックで各県の色々な取組を聞くが、その中でまだ、県単位で高齢者・障害者委員会そのものを立ち上げていないというような県もあり、各県バラバラな対応の中で、群馬県の対応としては非常に進んでいるのではないかと改めて認識している。今回のたたき台の資料についても、これだけのものを作るのにどれだけのマンパワーが係わったのかということに関しても、非常に敬意を表したいと感じているし、私たちの県の連合会の中でも、お見えになっている委員の方々についても、特別支援学校の方であるとか、県のネットワーク事業に通じて障害者と一緒にスポーツをしたりであるとか、そいう事業も一緒になってやっており、色々な意味で啓発事業に私達も携わらせていただいている現状である。私たちの使命とするのは、いわゆる相談と啓発、この二つに重点をおいて今活動している。その中で、去年あたりから障害者と一緒にスポーツをしている。私も経験したことのなかったボッチャだとかいったものも経験させてもらっている。先程来、皆様から出ているように、一般の人に色々なことを知ってもらうことがまず第一ではないかと感じている。この資料についてもよくここまで作り上げたと、どれだけ時間がかかったのかと想像するだけでも、群馬県はまだ進んでいる方ではないかとの認識を持った。

真下委員(群馬県身体障害者施設協議会)

 先ほど移動手段の話も少し出たが、障害者が市民に県民に理解を深めていくためには、やはり社会参加だと思う。その辺が非常に重要かと思うが、社会参加をして健常者、障害ということではなく、社会参加する中で、やはり平等というか、そういう部分がだんだん広がっていかないと、これは進んでいかないかと思う。先ほど、移動支援の話が出ていたが、こういう障害がある人が移動支援のサービスが使えます、というのが今のルールである。法律の中で。そうすると使える人と使えない人がいる。また、この移動支援というのは市町村の事業である。普通の障害のサービスではない。市町村によって変わってくる。これは市町村の判断によって、この人は利用できる、この人は利用できない、となる。基準はあるが。そうするとそこは差別ではないのかということ、そこが群馬県がしっかりと考えていかなければいけないところではないか。市町村によって、予算のある問題で、予算がないのに出せないという話になっていく。ただやはり、本当は外出したい。でも移動支援が使えない。施設に行くと、たとえばうちの施設では年に2回か3回くらい外出のサービスをしましょうということになっている。ところが移動支援が使える人は月に20時間とか30時間とかなっているので、使える。その差は大きい。その条件は障害の程度で色々あるが、それによって出てくる。制度ができれば必ず狭間ができて、その狭間を埋めていくのは我々のボランティアイズムとかそういう部分をしっかり考えていかなければ、埋まっていかない。必ず制度を作らないと進んでいかないので、制度の狭間に落ちた人を誰が助けるかという、そういう部分をみんなで考えていかなければならないし、いい制度を作っても絶対落ちる人は必ずいる。我々全市民がそういう部分で考えてボランティアイズムで出していくような社会を作っていかなければいけないと思う。

高森委員(群馬県自閉症協会)

 県で開催されている他の会議の中でも、福祉サービスの地域差があるということは常々、課題に挙がっていると思うが、もちろん、それは先ほどのお話のように予算のついて回ることなので、致し方ない部分はあるかと思っているが、やはりそこはこの条例を制定するに当たってはものすごく重要になってくるのかなという気はする。障害というその理由のところでいうと、発達障害の中では、いわゆる手帳は出ないが軽度の発達障害であるという診断を下される場合がある。そうなると、例えば企業の問題で、1~2年前にあったのだが、一般就労で会社に入って、たまたま社内の会合で実は自分はこうなのだと自分の特性をカミングアウトしたら、それを理由に退職させられた、ということがあった。実際にこれはどこまで県の部署として話がいっているか分からないが、そういったお話が私どものところに入ってきて、それっていかがなものかと。ただ、そのケースを思い出した時に、その当事者が手帳を持っていない、となった時に、その障害という定義そのものが、いわゆる手帳を持っている人だけに当てはめるものなのか、そうではなく、というところを踏まえた時に、どこまでそれが、例えばペナルティーを設けた時に該当するのかとか、そういったことにも繋がってくるのかなと少し心配なところとしてある。それから教育の部分でいえば、特別支援教育において、ものすごく先生方が頑張っていらっしゃって、個別の指導計画、支援計画を作られてやってはいるとは思う。ただ、作成まではいっているが、それがそのお子さんそのものに全て行き渡っているのかどうかという、その質のところをどう担保するかという問題が今度出てきている。例えば、集団行動できない子に何でみんな一緒にできないのといってしまったら、これは障害を理由で集団行動できないことが障害だが、要は指導の中でみんなと一緒にやるということが入ってしまうと、これはなかなか難しいだろう。そういう意味で逆に学校の先生達が教育指導をしにくいような内容になってしまうと、これまた組織の問題がすごく難しくなるのかなということを考えると、現状と本来めざすべきところというところの、整合性をきちんと取って、ある程度段階的に、例えば決めごとを作っていくとか、そういったことをしていかないと、本当に現場は困る。それから施設がらみでいうと、例えば入所施設がある中で、受け入れやすい障害種別などもたぶんあると思う。そういった中で、やはり過去の事例で、うちは入所者さんの中では自閉症は見られないとか、そういったケースもあった。そうすると自閉症という障害があるから断られるというケースが実際に出てくるのだろうが、とはいえ、支援すべきスキルがない中で、これが盾になって受けなければいけないとなった時には、どちらも苦しい思いをするだけになってしまうだろう。いわゆる自閉症、発達障害を支援するスキルが発展途上のところで無理して入所を受けてしまうことで現場の方の混乱も招くであろうし、元々いる入所者さんが混乱を招くであろうし、そういったことが起こるのではないかというところでは、当事者側の心配として起こるのではないかという気がした。

樺澤委員(群馬県視覚障害者福祉協会)

 NPO福祉法人ガンダムというのを持っている。視覚障害者専門の事業所である。障害者が社会に関わるのに、家にいてはできない、どうしても外に出て行かなければならない。そうすると、東京と地方でも違うが、前橋市内と元宮城村とか富士見村とか粕川村とかでは、カップラーメン一つ買うのにも高くなる。どういうことかというと、そこに交通費がかかるからである。遠い人が中心に集まるのには、もう少し工夫が必要だと思う。何が必要かというと、当団体も有償運送というので、障害者を乗せることもあるが、この有償運送がちょっと面倒であるし、ハードルが高い。そうすると今福祉をやっているところは、しょうがないから隠れて連れて行ってしまおうとか、同行援護を有償運送を取らないで行う。そういうところがどんどん出てきてしまっている。制度として、もともと有償運送というのは国土交通省と福祉の方で、しょうがないので作ったもの。東京の方はもちろん電車なんかは待っていれば次の電車がすぐ来るが、地方はどうしようもないので、有償運送を作ったのだと思うが、やはりそこに高いハードルがあって、もう少し有償運送とかのハードルを低くしてもらって、そうすると障害者の方が、例えば外に出るのに20時間もらっているとすると、田舎の方、元の宮城や粕川や富士見から前橋市内に出てくると、電車を待つ時間で2時間か3時間かかる。ただし、車で来れば、私も新前橋の福祉センターによく来るが、40分で済む。もう一つは、有償運送がしっかりできすぎていてハードルが高いので、それが問題であると思っている。それと小学校4年生に福祉の勉強があるが、私も小学校へ何かできることはできないかと聞いたら、点字など色々なことを話してくれということで、4年間くらいいったことがある。ただし子どもの教育を通して理解してもらわないと、なかなか進まないので、福祉団体の人もどこかへ出かけていって、小学校の福祉に行くとか、理解してもらうとか、両方の形があったら上手くいくような感じもしている。お互いに、障害者も社会の人に近づく、必要な人は障害者に近づいてもらう、この両方が必要かと思っている。もしみなさんが賛同していただければありがたい。

町田委員代理(群馬県難病団体連絡協議会)

 当団体は病気の患者団体であるが、障害者団体もそういった団体を組織する目的は同じかと思う。やはり患者なり障害者が自分たちの要望をきちんと行政に届けて実現していただくということが差別解消にもなるかと思う。そういった観点で、患者団体として、県から補助金をいただきながら色々な事業をしているところである。平成17年までは補助金の使い道としてその団体の運営に使ってもいいとなっていた。平成18年からは事業に関わる補助金というふうに県の要綱が変わった。これは私たちだけではなく障害者団体もそうだと思うが、具体的な弱者、病気を抱えた人達が集まって、自分たちの病気をよく知ることが非常に大切で、医療講演会を開いたり、患者さんからの相談にも応じている。こういった患者団体なり障害者団体を運営する場合、場合によれば部屋を借りたり、駐車場を借りたりと、色々な点で運営に関わる部分についても使えるような補助金にしていただかないと、なかなか運営が大変になっている。県の責務として条文に書くかどうかは、そうした患者団体、障害者団体に対する県の財政的な支援なども、言葉は難しいかと思うが、それとなく分かるような条文に入れていただければありがたい。現在の要綱についても見直しをしていただければと思う。今日の趣旨とは多少ズレると思うが、よろしくお願いする。

早川委員(群馬県聴覚障害者連盟)

 防災に関して、建物など目で見て分かる防災設備がやはり少ない。聞こえないので音による防災の放送など、そういったものが多いかと思うが、聞こえないので、目で見て、例えば赤いランプがつくとか、危険だということが目で見て分かる防災システムができるといい。そういった整備をしていただけるようにお願いしたい。耳が聞こえなくて車いすの人もいるが、講演を聴きたいときに階段を上らなくてはいけないとか、スロープがないという場合もある。そういった場合はみなさんで支援していただく必要があって、すごく大変な思いをする。車いすを持ち上げるのに3人、4人くらい必要だと思う。人を呼ぶというのが心労というか、大変になってくると思う。であるので、建物の中の整備ということを、色々なバリアフリーが十分にできるような設備整備をお願いしたい。

山本委員(群馬弁護士会)

 今の、特に当事者の団体の方からきわめて具体的な、例えばバリアフリーのこと、耳でしか分からない防災の情報を何とかしてほしいといったこと、そういったたくさんの、要望事項、具体的な施策というものの御提案があった。これをどのようにこの条例の中に捉えていくかというと、その合理的配慮の一つ一つの例だと思う。この条例を作って何かが終わりではなくて、この合理的配慮のマニュアルの中の具体的な弾として出す候補になっていくのだという意味で、単にここでこのような色々な御意見が出ましたというだけではなく、整理をして行政の方から何か示す、条例が通った暁には、例えば、このようなものがありますよ、「合理的配慮ハンドブック」、みたいなもので、是非、具体的な弾として、出していただきたい、という要望を出したい。
 先ほどどなたか合理的配慮について、過重な負担を理由として配慮を断る場合には、配慮を求めた本人にその理由を説明する義務があると学んだとあったが、これはたぶん条文も同じことを想定していると思うが、要は、過重な負担があるから合理的配慮がとれないのだという事の説明責任について、これが過重な負担であるということを、合理的配慮をしない側が証明ができなければ、やはりやらなければダメだということになる。であるから、そこは、先ほど県からも説明があったが、文言が仮になかったとしても、「運用上改善していく」ではなくて、「説明は、しない側が負わなければいけない」ということになる。そういう意味で、事業者さん達、あるいは県の方も大変なことになると思う。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 ここで、第1回検討会を一区切りさせていただきたい。全体の御意見を私なりに受け止めると、条例制定を契機にして、差別解消の取組が進むという、そういう意味で、あるいは障害者の理解が促進されるという意味で、条例制定に意義があるというのが、全体的な受け止めであったと思う。それを踏まえた上で、理解の促進のための具体的な方法として、障害のある方をよく知る、あるいは、その障害の特性を知るという話もあったし、また、逆に障害をお持ちの方、あるいはそれを支援する方で、内なる偏見、あるいは心を開くような取組というのも必要だろうという御指摘もあったと思う。いずれにしても条例制定を契機にして、単に条例を制定してそのままにするのではなく、具体的な方向を打ち出し、更には条例制定後の取組を大切にしてほしいという、山本委員の総括的な話もあった。最後に、健康福祉部長から一言お願いする。

健康福祉部 川原部長

あいさつ

ここで、進行を片野会長から障害政策課社会参加推進係関根係長に移した。

障害政策課社会参加推進係 関根係長

 委員の皆様、大変お疲れさまでした。また、貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。最後に、次回第2回検討会までの予定を説明させていただく。第2回検討会は、5月17日(木曜日)に開催する予定である。開催1ヶ月前を目処に、開催通知を送付する。なお、先ほど、片野会長からも御案内したが、本日いただいた御意見については、この後、第2回検討会までの間に、事務局で内容を精査して検討し、第2回検討会でお示しする「条例の素案」と「条例の素案に係る県としての考え」をもって、回答に代えさせていただきたいと考えている。また、本日いただいた御意見の概要は、知事まで報告する予定である。第2回検討会でお示しする「条例の素案」については、第2回検討会の開催1週間前までには、みなさまのお手元に届くようにし、可能であれば、今回同様、事前に意見票を頂戴したいと考えている。

(5)閉会

午後4時5分、閉会

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