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第7回ぐんま子ども・若者未来県民会議会議結果の概要
1. 日時
2023(令和5)年3月9日(木曜日)13時00分~14時30分
2. 場所
県庁29階第1特別会議室
3. 出席者数
委員16名、事務局等8名(計24名)
4. あいさつ
(上原生活こども部長)
日頃から、皆様にはそれぞれの立場で子ども・若者支援をいただき感謝申し上げる。先日令和4年の人口動態統計の速報値が発表されたが、全国の出生数が想定を上回るスピードで減少しており、80万人を割ることとなった。県の出生数も戦後最少を記録する見込みである。コロナの影響もあったが、それ以上に何か課題があるのではないかと考えている。国においても次元の異なる少子化対策を検討しており、6月には大きな方針が出る予定である。県としてもそういった状況も踏まえ、来年度の予算を検討してきたところである。
県では、子ども・若者未来ビジョン2020において、計画的に子ども・若者施策を進めているところである。この会議でもこれまで意見をいただいてきているが、さらにどのように取り組んでいけば子どもが健やかに成長して、それをしっかりと若者が受け止めて、次世代を育むことができるのかについて、意見をいただきたい。前回会議で説明したヤングケアラー支援についても、来年度は次のステップに事業を進めて参りたいと考えている。限られた時間ではあるが、活発な意見交換をお願いしたい。
5. 議事及び会議結果
(1)令和5年度当初予算案の概要について
(事務局)
令和5年度群馬県当初予算案の概要について説明。
(2)こども家庭庁の概要及び次期計画策定について
(事務局)
4月に施行される「こども基本法」及び4月に設置されるこども家庭庁の概要について説明。また、県の次期計画策定のスケジュール等について説明。
(会長)
事務局からの説明について、皆様からご意見を伺いたい。なお、ヤングケアラー及びケアリーバー支援については、この後の意見交換で意見をいただくので、それ以外についてご意見いただければと思う。
(委員)
今国会の首相施政方針演説において、次元の異なる少子化対策を実現することが表明され、子育て政策が最重要政策に位置づけられている。国県ともに結婚後の出産・子育て支援は充実しつつあると思うが、出会いの場の創出、結婚支援についてはあまり意識していないことを懸念している。県内の各町村長も同様の問題意識がある。
(会長)
少子化については、未婚化、晩婚化も要因とも言われているが、県の方では来年度の施策について何か考えはあるか。
(事務局)
県で行う結婚支援については、結婚を応援する社会的機運醸成を目的として、結婚応援パスポート事業を実施している。また、実際の出会いの場の提供については、民間団体に婚活イベントを実施していただき、県がその周知をする等、連携して行っている。その他各市町村において、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用し新婚世帯への支援などを実施しているところであり、こういった施策の周知も行っている。引き続き同様に取り組んでいきたいと考えている。
(会長)
これまでの施策の継続だけではなくて、新たな大きな施策として構築されることを期待しているということだが、財源の問題等もあるかと思う。各市町村それぞれ趣向を凝らして支援策を行っているが、新たに検討する場合には、例えば他県での事例や、出会いの創出というと今の若者はオンラインを活用したものもかなり増えていると思うので、そういった点を踏まえて、今後に期待をするという意見であると考える。
(委員)
次期計画策定に当たっての県民意識調査の実施内容について、規模や対象者の年齢等、現時点で分かるものがあれば教えてほしい。子育てに関する設問だけではなく、先程委員から意見のあった出会いの場など、結婚支援に関する意識についても調査する必要があるのかと考えた。
(事務局)
この調査は計画策定に合わせて5年に1度行っているものである。具体的な調査項目や内容についてはこれから設計を行う予定であるが、前回も子育て支援だけではなく、結婚に対する意識についても調査項目としている。前回調査項目をベースとして、どういったものを追加するか検討したいと考えている。
(会長)
5年前とは大分状況も変わってくると思うので、調査の内容についても抜本的に検討し直すというような形で構築してもらえればと思う。今秋頃実施予定とのことなので、8月上旬の県民会議で意見を聴くのか。
(事務局)
調査を実施するにあたり、書面照会になるかと考えているが、事前に委員の皆様から意見をいただきたいと考えている。
(会長)
貴重で重要な調査なので、いろいろな意見を踏まえて今後の施策に活用できるような調査にしていただきたい。
(委員)
出産・子育て応援交付金について、伴走型相談支援の充実とあるが、これまでも妊娠出産包括支援事業で、連絡票を活用した医療機関と行政との連携をしてきた。今年度、県母子保健係を中心にこの連絡票の改訂が行われた。連絡票の活用について意識の統一を図り連携の強化を目的として、行政や病院、診療所等に勤務する保健師・助産師の合同研修会を県との共催で初めて実施した。地域での活動においては、コロナ禍で実践が不足している職員もおり、地域の関係者で情報交換ができ大変に有意義であった。伴走型支援事業を続けていくためには職員のスキルが求められるため、研修はますます重要になってくると思うので、これからも続けてお願いしたい。
(委員)
県当初予算案のなかに、小児医療センターのプランを策定しているというものがある。これは要望であるが、子どもが入院した際の付き添いの保護者の支援サービスを検討いただきたい。現行では付き添いの保護者の食事は、売店などで子どもの世話の合間に用意するなど、苦慮されている。入院が長期化した場合、付き添い保護者の健康面にも影響がでてくるため、ケアできるような仕組みができると良いと考える。
最近「子育て罰」という言葉が出てきている。子どもを産めば産むほど負担が増えるといった意味。産む時には出産一時金などそれなりのサポートがあるが、例えば子どもが3人以上になると、車にチャイルドシートを3つ付けなければならず、大きな車に買い替える必要が生じる。自分で何とかする問題ではあるのだが、全ての負担が家庭に来ていて、所得を上げるために仕事を増やすと時間的なゆとりがなくなり、育児に精神的な余裕もなくなる、といった良くないサイクルができてしまう。所得面でのゆとりや周りのサポートが受けられる環境にない場合には、本当に大変なのだということが育児中の母親同士の会話からも感じている。出産時だけではなく、子どもが小中学校に進んでいく際にも何らかの支援があるとよいと考える。
婚活について、そもそも結婚する意思がない人を婚活に意識を向けるのは非常に難しい。最近大学生と話していて、婚活の場というより、同じ興味や趣味を持つ人が集まる場がたくさんあると良いと感じた。例えばアウトドアや手芸など、いろいろな種類の集まりの場を作り、そういった団体に行政がなんらかのサポートをすれば、町も活気づき、自然と若者同士が同じ場で過ごせるのではと思った。
(会長)
小児医療センターについての指摘は、そういった検討も含めて進めていくのではと考えている。
小中高と継続した子育て支援もなかなか難しいかと思うが、医療費の無料化は、もともと群馬県で医療サービスを受けている方は意識していないが、実は群馬県は全国でトップクラスを走っていて、今度は高校生に拡大していくということである。間接的に少子化対策に繋がっていると思う。
婚活支援については、就職すると、なかなか若者だけで集まる機会は少なくなる部分もあるので、趣味や同じ目標で集まる機会を作っていくのはよいと感じた。
(委員)
高校生の医療費無料化について。高校生も、この時期には花粉症が辛かったり、慢性疾患の場合もある。全県的に医療費無料化を進めるのはありがたい。群馬県は医療機関の窓口での支払いを求めないため、とても助かる制度となっている。
小児医療センターについては、かなり前から要望しているが、小児科で課題になっているのは、子ども達が成人になる時に、成人科の医師との連携を取るということである。小児科から成人科に移るときに受け手の医師が見つからないという課題もあった。そういったことも考慮して整備を進めていただけるとありがたい。また、先程指摘のあった付き添いの保護者の負担解消も重要である。
(副会長)
小児医療センターの再整備マスタープランについて。生まれた時にいろいろな障害を持って来た子どもの場合、療育に乗せやすい方向性をつくっていくことと、母親を支える支援をしっかり作ることによって、母子関係を丁寧に構築できるようなこともプランの中に入るのではないかと思った。いろいろな状況の中で子育てをしている母親を見ていると、小児医療センターで子ども達を一生懸命育てているお母さん達の支援も非常に重要であると思う。
(会長)
小児医療センターの再整備については、関係者の皆さんの御協力をいただいて、順調に進むことを期待している。
(3)ぐんま子ども・若者未来ビジョン2020の推進について(意見交換)
(事務局)
ヤングケアラー、ケアリーバー支援の取組について説明。
(会長)
ただ今説明のあったヤングケアラーとケアリーバーの支援についての意見、または子ども・若者を取り巻く幅広い意見をお願いしたい。
(委員)
調査の結果からみると、ヤングケアラーとされる小学6年生は500人弱はいると推測する。意味を取り違えて小さな兄弟のお世話について答えている子もいるかもしれないが、これだけの数の子どもが答えていると考えると、大変な生活をしているのではないかと思う。高校生の場合は、信憑性のある数字ではないかと考える。進学や就職等進路に影響があると考えられるので、直ちに支援の手を差し伸べなければならないと考える。
相談窓口の設置については、相談者が、敷居が高いと感じないよう、工夫が必要である。どのようにコーディネーターのところに繋げていくか、具体的な考えがあれば教えてほしい。
(事務局)
今の子ども達はSNSを使っているので、SNSで子ども達と繋がるネットワークを構築するというのも考えている。困ったから相談するというところではなく、相談がなくても繋がっていられるようなネットワークも考えている。難しい部分もあるが、相談しやすい体制を作って参りたい。実際に子どもと接している学校の先生や民生委員、児童委員の方々とコーディネーターの連携もしっかり作って、そこから相談を受けるような体制も考えている。
(委員)
このアンケートを受けた当事者の子どもは、救ってもらえるのではないかと期待していると思う。SNSネットワークや連携体制の構築を直ちに進めて、フォローしていただきたい。
(会長)
市町村の相談窓口がまだ用意されてない状況のなかで、学校や民生委員が把握しても、統一的に情報を一元化しているところがない状況であると思う。国では各市町村の情報を一元化する部署を設けるモデル事業をこれから始めようとしていると聞く。そういったところで積極的にモデル事業を展開いただければと思う。
(委員)
調査の速報値について、割合の問題ではなく、何人いるというレベルでの取組が必要なのではないかと感じる。実際は難しいところがあると思うが、一学年で500人いるという、インパクトのある数字が出てくる。この割合を減らしていくということが、実際にケアをしなくてすむ環境を整えていくということになる訳である。現実としては今ケアしている子を何とか支援をするということから手をつけなければいけないが、それをするためには何人という数字で把握していけるような調査を継続してやっていく必要がある。例えば家族がどういう構成・状況で、どの程度世話を担っているのか等、細かく確認していくことで、支援対象が絞れてくるのではないか。また、学校調査が55%しか回答してもらえていないのは課題であると感じた。
ケアリーバーの人数であるが、年齢や年度によってばらつきがあると思うが、18歳になって退所する人数はどのくらいいるのか。規模感が分かると対応が考えやすい。
また、ヤングケアラーコーディネーターの名称について、ヤングケアラー支援コーディネーター等の方が明確で分かりやすいと感じる。
(会長)
調査の数字(割合)だけが一人歩きしてしまうことは懸念される。調査票をみると、かなり詳細な調査となっている。今後いろいろな分析をする中で、委員から指摘のあったような分析も対応を検討してほしい。
(事務局)
ケアリーバーの数は、ここ数年少し長い時間を追って調べたところ、18歳で高校を卒業して自立する養護施設や里親に委託されている子どもの数はだいたい20人から30人である。また、退所後に今のアフターフォロー拠点に相談をされている方が、10代から30代位までいる。そう考えると300~400人位が支援の対象になるのではないかと推測している。
(委員)
児童養護施設で施設長をしている。ヤングケアラーとケアリーバー支援に多くの予算を付けていただき感謝申し上げる。児童養護施設から見ると、ヤングケアラーとケアリーバーは個別の問題ではなく、むしろ重なっているところがある。施設に入所してくる子ども達は料理が上手である。入所前の生活でヤングケアラーとして手伝いをしていたということが垣間見られる。児童養護施設に入所している子ども達に限定すると、何人という形でヤングケアラーは把握できる。そういったところから事業展開を考えることもできると考える。また、ケアリーバーについては、実際今も支援している。途中退所した子どもの中には、家事を担っており、勉強したくてもできない、施設にいた時の方が良かったという子もいる。コロナ禍では病気になっても頼るところがなく困っていたりする。そういった子ども達について、継続して自立支援をしていく必要がある。
(会長)
ケアリーバーについては以前からある課題ではあるが、今回事業化されたことは大きな前進と考える。
(委員)
ヤングケアラー調査についてはこれから詳細が出てくるところではあるが、家族の世話をしている回答者の中で、何らかの支援が届いているのかどうかは質問しているか。こういった調査は継続して行っていくのかとは思うが、実際に支援が行き届いているのか、また行き届くのかを把握、対応できるような内容であれば良いと考える。
(事務局)
委員ご指摘のとおり、自身がヤングケアラーで困っているという子どもがいた場合、確実に支援が届き改善されることが必要だと思っている。ただ、先ほどの説明にもあったとおり、ヤングケアラーという言葉自体も新しいもので、実際に細かい定義もまだ定まっていない。今回の実態調査では、確実に支援の対象者が存在しているということが明らかになった。今後は一番子どもと長い時間接する学校の先生やスクールソーシャルワーカーとの連携を強化する。ヤングケアラーを見つけるという今までにない視点を持った関わり方をしてもらえるのではないかと思っている。そして見つけた子どもについては確実に支援を届けていきたいと考えている。
(委員)
たらい回しにされそうなところにコーディネーターを設置したのはすごく良いと思った。人数はこれから補充していくということもあるかと思うが、取組自体が素晴らしいと感じる。また、どのように発見するかという議論は前回もあったが、コロナをきっかけに子供たちのランドセルにタブレットが入るようになった。そこに定期的に情報を流すことをしてもよいと思う。例えばそのタブレットに、ヤングケアラーという言葉を使わなくても、「家でこんなふうに過ごしている」「やりたくないのにやらなくてはいけないことがたくさんある」など、性的虐待なども含めて、こういうことは普通ではないんだよと、助けを求めていいことなんだよ、というのが子どもでも分かるようなに工夫が必要だと思うが、助けてと言える場所があるということについて、定期的にタブレットに情報が届いたり、返信できたりするようにすれば、親や周りに分からないように自分の力だけで声を出すことができるのではと思った。タブレットを勉強以外のところでも活用できるととても良いと思う。
(会長)
今回の調査では、高崎市はタブレットを活用したと聞いたがどうか。
(事務局)
高崎市は独自で調査済みであったたため、今回は対象外としたが、今回の調査については、タブレットでも紙でも答えられる形を取った。
(委員)
前橋市では通信機能付きでタブレットを配付しているが、市町村によって対応が違うと思う。
モデル校レベルだと思うが、学校に行って毎回ラフな質問、その日の気分のようなものを入力してデータを集めて分析するという試みを始めているので、そういった取組との連携も考えられるのではないか。
(事務局)
全市町村にタブレットは配付されている。ただし、活用の方法はそれぞれ異なっている。委員が話したとおり、簡単な選択肢でその日の気分を入力し、集計データを基に子ども達に対しての関わりをしていくモデル事業を始めている。ヤングケアラーについてもタブレットを活用するという良い意見をいただいたので、検討していきたい。
(委員)
青少年関係の会議で、ヤングケアラーがいるという情報を聞いた。ただ、当事者は苦痛ではなくて生きがいにしているという話であった。家族の手伝いとの違いはどこなのか、というのは調べていただきたい。会議でも、ヤングケアラーという言葉を初めて聞いたという状況であるので、子どもや周りの方にも周知できるとよいと思う。
(委員)
ヤングケアラーを見つけるのは難しいと感じている。例えば外国人の中学生が親の通訳のために受診の付き添いをしている。不登校の子どもが下の子どもの面倒を見る。子どもや周りも家族の手伝いをしているという認識で、ヤングケアラーという概念と結びついていなかった。ヤングケアラーというのは実際どんな子ども達であるのかの判断が難しい。子ども達もこれはちょっと頑張りすぎてて問題なんだということがわかるような仕組みも大切ではないかと考える。
子どものうつの研究で、中等度以上になると、自分からSOSを出さないという報告があり、出さないから問題ないのではなくて、周りが気づいてあげないと自分がうつ状態であることに気づかない。ヤングケアラーも同様で、自分では気づかないという可能性があるので、子ども達に周知する場合、これはヤングケアラーに入るのかもしれないという、例を示しながらやっていくとよいのではと感じた。
(委員)
外国籍の、家族の通訳代わりで学校にいく時間がない子どもを担当している。このアンケートにも答えさせていただいた。声を上げられず、それが当たり前で、家族のために頑張っていることなんだと、それを励みに当たり前のことのように日々学校に行かず生活している子どもも結構いると考えられる。私たち児童委員が地域に一番密着しているので、拾いきれない声をなるべく拾えるように活動して行きたいと思っている。そのためにはヤングケアラーの正しい理解と、ある程度の判断材料があり、こういうことをしている子どもがヤングケアラーだという定義づけと分かりやすい説明文があって、それを皆さんに周知できるような立場にいる、それができたらいいと私たちは願っている。不登校、児童虐待もそうだが、本当に困っている子どもや社会に出ても声を上げられない方は、おそらく自分から助けてという声が上げられないと思うので、見つけるとか探そうということではなく、何かいい方法があれば発信できるようなものを与えてあげたらいいと思う。SNSの利用という話もあったが、少し問題を抱えている家庭では、使える環境になかったり、活かせなかったりする方も結構いるので、その辺りも地域で協力し、有意義に使えるようにしてもらえたら、そういったところにも多少予算を使っていただけたらうれしい。取りこぼしてはいけない、気付かずにそのまま放っておいてはいけない方々がいるという気持ちで、民生委員児童委員連絡協議会全員で関わらせていただいている。
(会長)
特に主任児童委員は学校にも地域にも行政にも入れるという強みがあり、かなり期待されている。後方支援をお願いしたい。
(委員)
子どもを応援するということは、その家庭全体を応援しなければならない。結局は家庭に問題がある場合が多い。自身も早くに父を亡くし、家庭が苦しい状況にあったが、感情を外には絶対出さず、明るく振る舞っていた。誰にも相談はできなかった。
社会全体が、問題を抱えている家庭であると認識するだけではなく、周りから何かしら応援をしてあげるのだ、助け合うことが当たり前なのだというようになってくれればよい。
(委員)
こどもの権利委員会が主体となり、ケアリーバー支援の施設であるシェルターを設置している。自分が18歳の時を考えても、とても自活できるような力は付いていない。そういったことからケアする施設ないしサポートする必要があるということで、寄付により団体を立ち上げた。しかし児相との調整には時間を要し、本来業務もやりながらシェルター業務は無給で行うなど、持続して運営していくのが非常に大変だと聞いている。何らかの支援があるとよいと思う。
ヤングケアラーについては、弁護士として関わる事例はない。個人的な意見としては、小中学生については学校の先生が気付くというのが結構大きいと考える。しかし今、学校現場で教師に求められるものはコロナ対応やタブレットの導入、不登校対策、増加する発達障害の子どもへのケア等、非常に多岐にわたっており、パンク状態であるのが実感である。そのような状況で、ヤングケアラーに気付き、支援対応をするのは難しいのではないか。学校現場へのマンパワーが圧倒的に不足しているので、そこを手当てする必要がある。
障害児支援の面からは、家庭の状況によっては兄弟にケアの負担やしわ寄せが生じ、ヤングケアラーとなる可能性もある。そういった兄弟を支援するシブリングサポーターという視点も入れてもらえるとありがたい。
(事務局)
今回の予算の中で、自立支援担当者の配置については、ケアリーバー支援の施設であるシェルターも含まれている。
(会長)
スクールソーシャルワーカーが増員になっているが、まだまだ足りていない。現場の先生が対応するのはかなり厳しい。今後、継続的に拡充をしていただきたい。
(委員)
今後は、かつてヤングケアラーであった人の意見等を踏まえて施策に反映するという視点も重要であると思う。
(副会長)
ヤングケアラーの問題は、子どもは家族の事はなかなか言えないので、それをうまく引き出すコーディネーターの役割と、それを支援につなぐパイプラインをしっかり作ることが必要だと思う。しっかり繋ぎながら、ゆっくり気づく・見つける・辿り着くということがとても大事であると思った。ケアリーバーの場合は、18歳から自分の人生をどう考えていくかが課題になっていて、これからどういう風に生きていくかというところを掘り下げていくことが自立支援に繋がり、その子どもが大人になっていく過程にゆっくりと寄り添うことが支援計画の大事な柱になっていく、そういう支援を県でもしっかり考えていただきたいと思う。
(会長)
ヤングケアラー・ケアリーバー支援はともに困難な課題ではあるが、まさに誰一人取り残さない社会を実現していくための試金石となる取組である。これからも県の対応について、引き続きご意見をいただきたいと考える。