本文
平成24年度第30回群馬県環境審議会議事録
開催日時
平成25年3月21日(木曜日)10時00分~11時30分
開催場所
県庁7階 審議会室
出席者の状況
- 委員 18名出席 4名欠席(定足数11名)
- 事務局(県)環境森林部長 環境政策課長、環境保全課長、廃棄物・リサイクル課長、不法投棄主監、自然環境課長ほか
- 参考人等 なし
- 傍聴人 なし
審議の概要と審議結果
- 開会
- あいさつ 山口環境森林部長、鵜飼環境審議会会長
- 定足数の確認 委員18名の出席があり、定足数11名を満たしていることを確認した。
- 議事
(1)審議事項
群馬県土砂等の埋立て等の規制に関する条例(案)について
群馬県土砂等の埋立て等の規制に関する条例(案)の概要について、廃棄物・リサイクル課長及び不法投棄主監から説明がなされ、審議の結果を踏まえて、一部文言の追加を検討した上で、知事あて答申することが了承された。
(2)その他
群馬県の生活環境を保全する条例施行規則における特定指定物質の取扱量の考え方及びPM2.5に関する本県の対応状況について
群馬県の生活環境を保全する条例施行規則における特定指定物質の取扱量の考え方及びPM2.5に関する本県の対応状況について、環境保全課長から説明がなされた。
第30回群馬県環境審議会審議概要
審議事項
群馬県土砂等の埋立て等の規制に関する条例(案)について
委員
- この条例を適用した場合に、年間で何件が特定事業に該当するのか。
- 特定事業の実施者と土砂の排出者が同じ場合と異なる場合があると思うが、一般的にどちらが多いのか。
- 他県の条例では、土砂の安全性を特定事業の許可の段階で確認しているが、群馬県は、特定事業の許可を受けた後、事前届出の段階で土砂の安全性を確認することとした理由を教えていただきたい。
- 土砂の安全の確認方法を教えていただきたい。(27項目全てについて検査を行う必要があるのか、事業に実施中にどのくらいの頻度で検査を実施するのか等)
不法投棄主監
- 栃木県は、同じ3000平方メートル以上の規定であるが、大谷石等の採掘による穴が多いという事情があって、平成23年度には23件の該当があったと聞いている。群馬県は、今までに土砂の埋め立てに関する規定が無かったため、実態を正確につかんでいないが、10件まではいかないのではないかと考えている。
- 特定事業の許可を受ける者が土砂の排出者と同一か、否かについては、3000平方メートル以上の大規模の事案であるということを考えると、土砂を埋め立てる専門業者が許可を申請する場合が多いと思われる。
- 3000平方メートル以上という大規模の埋立てになるので、そこの持ち込まれる土砂は、いろいろな所から持ち込まれるケースが多く、許可の時点で全ての持ち込まれる土砂の安全性を確認できないと思われる。そのため、まず初めに災害が起きないような埋立ての方法について許可を取って、土砂搬入の際に事前届出により安全性を確認する制度とした。
- サンプリング等は、別途施行規則で定める予定であるが、検査項目は27項目全てとしたいと考えている。ただし、公共事業の場合も同様の検査項目とするのかなどの運用は現在検討中である。埋立地の安全確認のための土砂の分析試験は、例えば半年間等、一定期間を定めて定期的に実施していただくことを考えている。
委員
- 資料1の1頁【4.土砂等の埋立て等を行う者の責務】について、「生活環境保全のための配慮を求めます。」と記載してありますが、「自然環境保全」を加えていただきたい。理由は、自然公園法、自然環境保全法及びその他県の条例等に規定される以外の場所である小規模な湿地や雑木林等において、絶滅危惧種がかなり存在しているためである。
- 埋め立てを行う土砂等について審査を行うということであるが、埋め立てられる土地の審査は行わないのか。また、自然公園法、都市計画法に規定される場所であれば、これらの法律が上位となるのか。
- 3000平方メートルがボーダーラインということだが、この規模の事業を行う場合には、アセス法等に該当する事例が相当数でてくるのか。
- 資料1の2頁【7.土砂基準に適合しない埋立て等の一般禁止】(2)について、「現状を保全するために必要な措置を命じます。」とあるが、現状とは、元の状況に戻すという意味なのか、それとも、現在の状況を保全して、その後の検証なり捜査等に影響を及ぼさないようにするという意味なのか。
不法投棄主監
- 【4.土砂等の埋立て等を行う者の責務】に「自然環境保全」を追記するのかは、検討させていただきたい。
- 特定事業が他の法令等にも該当する場合は、その法令の規定に応じた対応をしていただき、また、併せて当条例に対しても対応していただくことになる。どちらかの法令に対応をすればよいということではなく、並列で進めていくことになる。
- 当条例に該当する事業でアセス法に該当するものは、ほとんど無いと思われる。
- 【7.土砂基準に適合しない埋立て等の一般禁止】(2)の「現状の保全」は、「元あるべき状況に戻す」という意味もあるし、「現在の状況を保全する」という意味もあるので、個々の状況によって判断することになる。
委員
- 特定事業を土砂の総量ではなく、埋立ての面積で規定する理由を教えていただきたい。例えば、深く掘削したり、高く盛土したりする場合は、土砂の埋立て量が多くても特定事業に該当しない場合があるのではないか。
- 複数箇所で土砂の埋め立てを行う場合は、総面積で判断するのか、それとも個別に判断するのか。
不法投棄主監
- 特定事業を土砂の総量で規制した場合に、既に埋め立てられた土砂を定量的に把握することが困難であるため、埋立て面積による規定とした。
- 複数箇所で埋立てを行う場合は、その複数の箇所が離れていても一体として機能している場合は、総面積で3000平方メートル以上であれば特定事業に該当すると判断する。あるいは、その複数箇所が明らかに個別のものであるという判断であれば、個々の箇所ごとの面積で判断する。今後、複数箇所で埋立てを行う場合の一体性に関する指針を作成したいと考えている。
委員
- 他県では多くの市町村で土砂条例が制定されているのに対して、県内では4市町村のみということだが、これは県の土砂条例が制定されていなかったことが原因なのか、それとも、本県と他県との自然状況などの違いが原因なのか。
- 3000平方メートル以下の事業が規制されるのが、4市町村のみというのが気がかりである。県としての今後の対応を伺いたい。
不法投棄主監
- 茨城県は、市町村の土砂条例の制定が先行し、その後大規模な事業に対して県が条例を制定している。また、栃木県は、県が先行して土砂条例を制定し、その後市町村が制定している。他県で市町村の条例制定が進んだという主な経緯は、首都圏から比較的近い場所から順に、土砂が持ち込まれたということがある。そういった事例が多い市町村から条例制定が進んだと思われる。
- 今後は、3000平方メートル以下の事案について、市町村に条例を制定してもらえるように要請したいと考えている。
委員
- 条例又は施行規則において、周辺住民の意見を聴く手続を規定しているのか。
- 土地所有者と特定事業者が同一人である場合に、事業を行う区域から排出された土砂を自分が所有している土地に埋立てを行う場合は、許可の除外行為に該当するのか。
- 資料6頁【13.地位の承継】について、合併により設立された法人は問題ないと思うが、分割により当該許可等に係る特定事業の全部を継承した法人は特定承継人となるため、これを認めてしまうと、事業者が次々と分割していってしまうのではないか。
不法投棄主監
- 周辺住民の意見を聴く手続の規定は、条例や施行規則で規定していないが、周辺住民に対して、実施している事業内容を積極的に情報発信していくことや、県の許可制度において、適切に土砂の埋立てを行っていることを通じて、周辺住民の不安を払拭していきたいと考えている。
- 土地所有者と特定事業者が同一人である場合、工事で発生した土砂をその工事区域内で埋立てを行う場合は、条例の対象外となるが、別の場所で発生した土砂を自分の土地に搬入する場合は、条例の対象となる。
- 相続、合併又は分割は、譲受はないという想定で考えている。譲受を行う場合は、【13.地位の継承】に該当しないため、新たに許可を受けることになる。
委員
- 特定事業の該当要件は、埋立て面積による規定としているが、容積(深さ)の影響が大きいと思われるので、面積と容積の両方を特定事業の該当要件とした方がよいのではないか。
- 当条例は土砂のサンプリングが重要と思われるので、有効な土砂のサンプリング案を検討していただきたい。
不法投棄主監
- 面積と容積の両方を特定事業の該当要件とすることは、今までの議論の中では技術的に困難であるという結果であったが、例えば、搬入する土砂の量に応じて土砂の分析試験を行うなど、現場での土砂の安全性の確認の際に容量という概念を持ち込みたいと考えている。
- サンプリングの方法等は、適正なものとなるよう十分検討したい。
委員
- 3~4年前の大規模土地開発審議会において、吉井町の埋立て案件の審議中に、事業者の不法行為が発覚し許可を出さなかったという経緯があり、当条例は必要なものと理解している。ただし、搬入土砂の安全確認の方法は、過剰過ぎると事業者の負担となるため、例えば、半導体工場の跡地の土砂を搬入する場合、原野の土砂を搬入する場合など、その土地の履歴に応じた検査項目を導入して、過剰な規制にならないようにバランスを考慮していただきたい。
委員
- 特定事業の定義は、土砂等の埋立て等を行う区域以外の場所から排出された土砂等の埋立てを行う事業であって、面積が3000平方メートル以上であるものとしているが、その区域の考え方を教えていただきたい。
不法投棄主監
- 区域の明確な定義は現在検討中であるが、基本的には1つの工事現場というイメージで考えている。
会長
- ここで委員の皆様にご承認を得たいと思うが、1点、大森委員から【4.土砂等の埋立て等を行う者の責務】について、「自然環境保全」の文言を追加した方がよいのではないかという意見があったので、この件に関しては、事務局と会長とで検討させていただくことを前提として、「群馬県土砂等の埋立て等の規制に関する条例」については、案のとおりとすることでよろしいか。
委員
- 異議なし
その他
群馬県の生活環境を保全する条例施行規則における特定指定物質の取扱量の考え方について
委員
- 化学物質が0.5トン流出した時に、水道水の水質基準が守られているかが重要だと思う。今回の事故では、浄水場におけるホルムアルデヒド濃度の最高値が1リットル当たり0.154ミリグラムで、水道水の水質基準の約2倍の値であったため、0.5トンという規制では不十分だと思う。最悪の状態を考えた時には、2分の1から10分の1程度で考えるのが妥当と思うので、特定指定物質の年間取引量を0.3トン以上とする方がよいと思う。
- 特定指定物質の年間取引量を0.5トン以上とした場合の対象事業者数は、どのくらいを想定しているか。
環境保全課長
- 今回の条例制定に伴い事業者に義務を課すことになるが、義務を課すにあたり根拠を示す必要がある。現状では国で示した放出量の推計値0.6~4トンが根拠になると考えている。しかしながら、特定指定物質の年間取引量を0.5トン以上とした場合に、今回のような事故が防止できるとは言い切れないため、特定指定物質の取引量の規制は、条例制定後にデータを蓄積して検証を行い、他の根拠が見いだせれば見直したいと考えている。また、条例の対象とならない事業者に対しても、化学物質の適正管理を行うよう県として指導して行きたいと考えている。
- 特定指定物質の年間取引量を0.5トン以上とした場合の対象事業者数は、200程度と推定される。
委員
最初は厳しい基準で、その後データが蓄積された段階で規制を緩和する方がリスク軽減にはなると思うがどうか。
環境保全課長
県としては、国の推計値を根拠として0.5トン以上と規定することにより、同様な事故の未然防止になると考えているが、万が一、そうでない時には基準の裾下げを検討したいと考えている。
会長
今回の事故は、短期間に0.6~4トンのヘキサメチレンテトラミンが流出したもので、当条例で規定している0.5トンは年間の取扱量であるため、そこを勘案してよいのではないかと思う。
副会長
水質部会での議論を紹介すると、0.5トンは今回考えられる最も安全側の数値であるということ、年間取扱量であるため安全係数が入っていること、取扱量の小さい事業者まで対象とすることは非常に負担となること、埼玉県の条例でも0.5トン以上という基準であること等を考慮して、水質部会としては、特定指定物質の取扱量を0.5トン以上とすることが適当であるという結論に至った。
委員
0.5トンは年間取扱量であるため、年間に分散すれば小さい数値となるとおおよそ想像できるが、場合によっては、取扱量が一時期に集中する事業者もあり得ると思うので懸念している。
会長
年間取扱量の基準についは、今後施行状況を踏まえて、十分に検証していくということでよろしいか。
委員
異議なし。
PM2.5に関する本県の対応状況について
委員
- PM2.5について、現在3測定局で監視を行っており、環境基準の2倍を超えた場合には全県に注意報を発令するということであるが、全県に注意報を発令する際には県民に誤解を与えないように十分注意していただきたい。
- 東京都では、マップ上にPM2.5の濃度が色分けされていて、自分の住んでいる場所がどのくらいの濃度なのか一目で分かるようになっている。群馬県においても、このように県民に分かりやすく公表するよう検討していただきたい。
委員
平成23年度の前橋測定局におけるPM2.5の測定結果では、10月と11月で日平均値が高い値となっており、また、環境基準値を越えた日数も多くなっている。これは、稲わらの焼却が影響しているという衛生環境研究所の報告もあり、一概に中国からの影響だけではなく、身近な所にも発生源があるということも併せて公表することで、農家の方も焼却を自粛していただくことにつながると思う。今後、衛生環境研究所の調査で発生源の分析が進められることを期待している。いたずらに恐れることもだめであるが、自分たちも発生源となるかもしれないということを併せて考えることが必要だと思う。