本文
平成24年度第28回群馬県環境審議会議事録
開催日時
平成24年10月26日(金曜日)10時00分~11時50分
開催場所
県庁7階 審議会室
出席者の状況
- 委員 17名出席 5名欠席(定足数11名)
- 事務局(県) 環境森林部長、環境政策課長、環境保全課長、廃棄物・リサイクル課長、自然環境課長、ほか
- 参考人等 なし
- 傍聴人 なし
審議の概要と審議結果
- 開会
- あいさつ 山口環境森林部長
- 定足数の確認 委員17名の出席があり、定足数11名を満たしていることを確認した。
- 議事
- 会長及び副会長の選出について
委員の互選により、会長には鵜飼委員、副会長には角田委員及び西薗委員が選任された。 - 部会に属する委員及び部会長の指名について
鵜飼会長が環境基本計画部会及び水質部会に属する委員及び部会長を指名した。 - 説明事項
- 環境審議会水質部会における審議状況等について
利根川水系の浄水場内で発生したホルムアルデヒドによる利水障害について、水質部会での審議状況について、環境保全課長から説明がなされた。 - 群馬県廃棄物処理施設等事前協議規程の一部改正について
群馬県廃棄物処理施設等事前協議規程改正案の概要について、廃棄物・リサイクル課長から説明がなされた。 - 環境影響評価法の一部改正等に伴う群馬県の対応方針(案)について
環境影響評価法の一部改正等に伴う群馬県の対応方針(案)について、環境政策課長から説明がなされた。
- 環境審議会水質部会における審議状況等について
- その他
- 会長及び副会長の選出について
- 閉会
第28回群馬県環境審議会概要
環境審議会水質部会における審議状況等について
【会長】
簡単に今までの経緯を説明すると、今年の5月に群馬県内の廃棄物処理業者がヘキサメチレンテトラミンを利根川に大量に排出してしまった。これ自体は有害物質ではないが、下流の浄水場で塩素消毒時に有害物質であるホルムアルデヒドが生成されてしまった。
今後こういったことが起こらないように県独自の対策を取りまとめ、それを環境審議会の水質部会において審議し、その結果を踏まえて、群馬県の生活環境を保全する条例を改正する予定である。
【委員】
今回の事件は、埼玉県の業者が原因者であるので、条例改正案作成に当たり埼玉県と情報交換を行っているのか。
【環境保全課長】
埼玉県との情報交換を行いながら条例改正案の作成を進めているが、埼玉県は条例の改正を行わず、指導要綱を作成して対応すると聞いている。
【委員】
今回の事故は非常に衝撃だったが、ある意味、水道の水質管理がしっかりされているということが、逆に認識されたということでもあり、県の対応も適切に行われたと思う。事業者に対しても、このような化学物質があるということを知らしめて廃棄物を委託処理を行う場合にも、慎重な配慮が必要であるということが浸透したと思う。これをよい教訓として、対策を制度化できたらよいと思う。
それから、ヘキサメチレンテトラミンだけでなく、家庭の中にもいろいろな化学物質が日常的に使われている。私が最近気になっているものは、トリクロサンという殺菌剤で、制汗スプレーや薬用石鹸などに使われている。これは残留性があり、河川に流れて環境に影響を及ぼしているのではないかと気がかりである。これは代表例だが、そういったものについて情報収集して、一体どのくらいの量が使われているのか、今後情報があったら教えてほしい。
【委員】
ホルムアルデヒド生成能が疑われる85物質を取り扱う県内の事業者に対して、立入検査を実施したということだが、その状況を教えてほしい。
【環境保全課長】
ホルムアルデヒド生成能が疑われる85物質を年間1トン以上取り扱う事業者は、現在群馬県内に55事業者ある。
今年の7月に県と水質汚濁防止法政令市と手分けして立入り調査を実施し、注意喚起、現場確認、今後の対策の確認などを行った。立入り調査の結果、55事業者での85物質の合計取扱量は、年間約2万4千トンから2万5千トンであった。
今回の事故でヘキサメチレンテトラミンが利根川に流出した量は約10トンであるが、厚生労働省で、今回と同規模の事故となりうるヘキサメチレンテトラミン流出量を推計したところ、0.6トンから4トンという試算結果であった。この試算結果と比べて年間取扱量の約2万5千トンというのは非常に大きな数量であるため、事業者に対して今後の管理の徹底を図って行きたいと考えている。
【委員】
各事業所におけるホルムアルデヒド生成能が疑われる85物質の搬入と搬出の管理状況は適正だったのか。
【環境保全課長】
立入検査を行った55事業者では、ホルムアルデヒド生成能が疑われる85物質を廃棄物としてではなく、製造過程の原料として使用しているため、入庫と使用は適正に管理されていた。
それから、立入検査の際には、万が一事故が発生した場合に化学物質が直接河川に流出する構造になっていないかどうかを特に注意して指導を行った。
【委員】
ヘキサメチレンテトラミンは、水質汚濁防止法の指定物質に追加されたが、水道水源二法の特別措置では規制されていないのか。
【環境保全課長】
今回の事故では、ヘキサメチレンテトラミンが大量に利根川に流出して水道水に影響を及ぼしたことから、水質汚濁防止法の指定物質に指定された。これが少量の物質が恒常的に流れ出して水道水に影響を及ぼした場合には、水質汚濁防止法で指定物質ではなく有害物質として規定することになる。
水道水源二法は、有害物質に限らず恒常的に川に流出し、川の中の濃度が一定以上になった時に水道水に影響及ぼす物質を対象とした法律であり、今回の事故のように一度に大量の物質が流出することを想定していないため、ヘキサメチレンテトラミンは水道水源二法の規制対象とならなかった。
【水質部会長】
環境審議会の答申にしたがって、県として適切に対応していると思う。
来年1月には水質部会において、条例施行規則・管理指針(案)を審議する予定である。群馬県の生活環境を保全する条例の改正にあたっては、事業者の負担が過度にならないような観点が重要だと思うので、そういった観点に立って専門家の方々に議論いただきたいと考えている。
群馬県廃棄物処理施設等事前協議規程の一部改正について
【委員】
17頁5の長期化を防止するため、事前協議手続を定めることは良いことだと思うが、17頁1の最終処分場の集中を抑えるため、他の最終処分場の敷地境界から1キロメート以内の計画について立地規制することは、逆にいうと最終処分場の分散化になってしまうと思う。
また、この1キロメートルという規制を行うことにより、最終処分場の適地であって、更に地元住民が立地について同意している地域まで排除されてしまうのではないのか。
【廃棄物・リサイクル課長】
18頁の最終処分場等の設置状況図のとおり、ほとんど接するくらいに隣接している地域もある。廃棄物処理法上は問題ないものとして設置されるが、こういった地域の皆様のことを考慮すると、ある程度の間隔をとって過度な集中は排除していくべきであると考えている。
【会長】
1キロメートルという規制は、最終処分場を造る場所がなくなるほどの規制ではないという考えか。
【廃棄物・リサイクル課長】
1キロメートルという規制を行うことにより、最終処分場が県内に全く立地できなくなるという状況には至らないと考えている。
【委員】
例えば、埼玉県寄居町にある彩の国資源循環工場では、あえて最終処分場を集中させいる。適地があれば逆に集中して立地するということも一つの考え方だと思う。
【廃棄物・リサイクル課長】
確かに一箇所に集中させるという考え方もあるが、18頁の最終処分場等の設置状況図のような地域のことを考えると、県としては特定の地域に過度に集中して最終処分場が設置されるような事態を避けることが必要であると考えている。
【委員】
意見としてだが、地元住民が最終処分場の設置に反対している場所は、立地規制を行うのはよいと思うが、地元住民が最終処分場の設置に同意している場所は、県が規制をかける必要はないと思う。
【委員】
20頁「事前協議規程における立地基準」の四に「絶滅野生動植物の生息地等保護区」とあるが、「絶滅危惧野生動植物の生息地等保護区」という意味なのか。
また、この保護区というのは、絶滅危惧野生動植物の生息地という意味なのか。
それから、地元住民の方が最終処分場の立地に同意されている地域は、規制の対象外とするという考え方もあるが、一方で絶滅危惧種あるいは一定の生態系において最後の砦であるような場所に最終処分場が集中した場合には、住民の同意があったとしても行政で何らかの規制を行うべきだと思う。
【廃棄物・リサイクル課長】
「絶滅危惧野生動植物の生息地等保護区」という意味である。
【委員】
20頁「事前協議規程における立地基準」の四では、自然環境保全地域等の境界から100メートル以上距離を設けることとしているが、境界から100メートルという距離が適正であるのか。
また、同頁の六では、社会福祉施設等の方々が外出したときに、誤って最終処分場の中に進入しないかと考えた時に、施設境界から20メートルという距離が適正であるのか。
【廃棄物・リサイクル課長】
現状では、自然環境保全地域等からどのくらい距離を設けるのかという規定はない。そのため、100メートルという距離をとることによって、自然環境保全地域等への影響はある程度は防げるのではないかと考えてこのような規定とした。
社会福祉施設等の敷地から20メートル以上距離を設けるというのは、騒音・振動を主眼に考えている。騒音・振動についても、基準に則って影響がないよう最終処分場を計画しているが、突発的に大きな音がした場合に社会福祉施設等に来所されている方には影響があると思われるため、減衰距離として20メートル以上距離をとれば影響はないだろうと考えている。また、最終処分場側の管理として塀や防護柵等立ち入れないような設備を設けるため、社会福祉施設等の来所者が誤って最終処分場に進入することはないと考えている。
【委員】
最終処分場の設置の際には、地下水汚染に注意が必要である。単に100メートル以上距離を設けるだけではなく、地下水への影響を調査する必要があると思う。
【廃棄物・リサイクル課長】
20頁の二において、公共用水道や簡易水道等の水源施設の境界から500メートル以上の距離をとる規定を設けている。それによって地下水への影響は抑えられると考えている。
また、法律の規定に則って設置される最終処分場は、地下水への影響や周辺の生活環境に及ぼす影響は少ないという前提で許可となり、設置をしている。今回はそれに上乗せする規制となるので、影響は更に軽減されると考えている。
【会長】
最終処分場の設置にあたり現地調査や住民説明会を開催するが、もしその段階で問題があれば、既存の最終処分場から500メートル以上の距離があったとしても規制されるのか。
【廃棄物・リサイクル課長】
現地調査を実施した結果、考慮するべき事項があれは、必要に応じて規制を検討することになる。
【委員】
既存の最終処分場から1キロメートル以上離すという規定を設けるのは、近隣住民への配慮という理由だけなのか。
【廃棄物・リサイクル課長】
最終処分場は法律に則って許可されていれば、法律上は周辺の生活環境に支障をきたすことはないものとして設置される。一方で、法律上は問題ないとしても、最終処分場が過度に集中している状況では、周辺住民の方が不安に思われる場合もあることから、周辺住民の方を配慮してこの規定を設けたいと考えている。
【委員】
既存の最終処分場から1キロメートル以上離すという規定を設ける理由は、もし事故が起きたときに、1キロメートル以上離れていないとどの最終処分場で原因が発生したのか分からないためではないのか。
【廃棄物・リサイクル課長】
何らかの事故があった場合にはその原因を調査するもので、今回の規制はそういった趣旨ではない。
環境影響評価法の一部改正等に伴う群馬県の対応方針(案)について
【委員】
29頁の自動車専用道の規模要件について、現状の高速道路は4車線がほとんどだが、新潟県や長野県などの交通量の少ない一部の高速道路では、対面通行の2車線の区間がある。今後も交通量が少ない箇所は対面交通の2車線の高速道路ということが考えられるのではないか。
【環境政策課長】
高速道路については、車線に関係なく全てのものが環境影響評価法の対象となるので、環境影響評価法の規程に基づき環境アセスメントの手続を行うことになる。
また、県内に2車線の自動車専用道が建設される可能性もあるが、県道、市町村道等の一般的な道路については、群馬県環境影響評価条例における該当規模要件が4車線で10キロメートル以上となっているため、自動車専用道についても同様に4車線とすることを考えている。
【委員】
自動車専用道路については、一般道路と棲み分けをして環境影響評価条例の該当規模要件を2車線とすることも検討してもよいのではないか。
【環境政策課長】
パブリックコメントの意見等を参考に今後検討したい。
その他
【委員】
平成24年版環境白書が発行されたが、循環型社会づくりのところで、群馬県の一般廃棄物の発生量が非常に多いという部分について、もう少し危機感を持って記述していただきたいと思う。
平成22年度の一般廃棄物総量は、山口県が1位で、大阪府が2位、群馬県が3位となっている。生活系廃棄物だけでみると、山口県が1位で、群馬県が2位となる。山口県の平成22年度は、水害による災害廃棄物が加わっての突発的なものなので、生活系廃棄物は群馬県が実質1位となる。そのことをもっとひろく県民にアピールする必要があると思う。確かに群馬県の一般廃棄物は減少傾向ではあるが、もう少し思い切った県の姿勢がほしいと思う。
また、環境フェスティバルが11月3日に開催されるが、「水、よみがえれ!キャンペーン」も同じ日に開催され、しかも高崎と伊勢崎という分散開催となる。それから11月3日は、県民マラソンも開催される。このように県の大きなイベントがある日に、なぜ環境フェスティバルをぶつけたのか疑問である。
環境と水を同じ会場で盛り上げてやるのであればよいと思うが、事前の調整がされておらず分散開催するということは非常に残念に思う。次年度には考慮してほしい。
【廃棄物・リサイクル課長】
一般廃棄物の排出量の件について、環境白書の文面から県としての意気込みが伝わらなかったとすれば、誠に申し訳ないと思うが、意気込みや危機感は持っている
今年は市町村と協力して3R推進会議を立ち上げた。その中で、群馬県はどうしてゴミが減らないのか、あるいはどうしてゴミが多いのか、逆に言えばどうしたらゴミが減るのかということを調査している。その結果を踏まえて市町村と協力して対策に取り組んで行きたいという意欲は強くもっているつもりでいたが、そのあたりが県民の皆様に十分伝わっていない面もあったと思うので、群馬県の現状をもっとしっかり知ってもらうように今以上にしっかり取り組んで行きたいと考えている。