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令和4年度第1回文化振興指針及び文化振興基金部会(通算7回目)の概要
1 開催日時
令和4年6月27日(月曜日)10時00分~11時50分
2 場所
群馬会館 2階 第6会議室
3 出席者
委員 4名
事務局 4名
4 議事内容
1-1 魅せる群馬の文化発信プラン-第2次群馬県文化振興指針-令和3年度評価について
【プロジェクト1】
(委員)
今年3月に2020年度分を評価したばかりであり、部会の意見はほとんど同じになる。
(委員)
基本的に2020年度と2021年度のポイントは連続していると思う。2020年度評価をベースに、気になる内容があれば意見として追加したい。
(委員)
群馬交響楽団の活用発信は、担当課評価を踏まえてC評価としたい。上毛かるたは、担当課・前年度もC評価のため、今回も同様の評価とする。温泉文化はC、食文化はAの担当課評価である。食文化の指標であるすき焼きアクションについては、2020年度でも、本当に県民に浸透しているといえるのか疑問が挙がっていたが、結論としてはC評価に落ち着いた。
【プロジェクト2】
(委員)
東国文化の魅力発信は、Dの担当課評価(2020年度はC評価)担当課としては、副読本デジタル版の活用方法等の周知不足の反省があり、厳しめの評価となったが、この評価は概ね妥当と考える。基本的には担当課の評価を踏まえて、D評価で提案したい。今はデジタル移行の過渡期であり、移行後の取組(周知等)を検討する段階にきている。時代の変化を感じている。
上野三碑の魅力発信は、Cの担当課評価(2020年度もC評価)偲ぶ毛の国群馬の魅力発信は、調査結果を反映した展示パネルの改修や紹介動画の公開等により、担当課評価はB。その他については、基本的な取組は実施したが、顕著な成果ではないという見解であった。
なお、2020年度では、文化財保存事業等で優れた成果が認められたとこともあり、部会の評価はBとした。今回は担当課評価も低いため、C評価でよいのではないか。
(委員)
8番「文化財保存事業費補助特別枠」と9番「古墳・金井東裏遺跡情報発信事業」について、来年度の方向性としては「縮小・一部廃止・統合」としているが、今後はどういう対応になるのか。予算減少や制約が増えるなどの影響はあるのか。
(文化振興課)
統合の意味合いで記載しているが、予算は減ると思われる。
(委員)
一定の成果が認められて継続するのなら、予算減少の幅は少ない方が望ましいが、問題を回収しつつ、事業を効果的に実施するための統合であればよい。必要なリソースが確保できればよい。
(委員)
関心層に対する周知は、冊子販売等である程度行われたという評価かもしれない。これらの遺跡が話題になってから数年経過したので縮小する方向と思われる。
【プロジェクト3】
(委員)
世界遺産の保存と活用は、担当課評価は全てC。資産の保存整備が進むとともに、情報発信力の強化により、各資産の周遊促進を図った。また、世界遺産センターの来場者数について、新型コロナウイルス感染症禍により目標値には届かなかったが昨年実績を上回ったとのこと。
2020年度の部会評価においては、世界遺産に登録された理由・歴史的意義の説明が必要であり、未だ認知度の低さの問題がある等の指摘があった。2021年度においても、基本的な意見は変わっていないと考え、C評価としたい。
(委員)
13番「世界遺産・ぐんま絹遺産の普及啓発等」の実績に、来場者に対するウェブアンケートの実施とあるが、実施してどのような課題が出てきたか。
(文化振興課)
遺産周辺のアメニティ(お土産屋等の施設)が少ないことに関する意見があった。また、ガイドボランティアの説明については、評価が高かった。
(委員)
富岡は上信電鉄駅近くのレンガ倉庫が最近リニューアルして、魅力的な施設になった。街中も変わってきている場所はあるが、まだ課題は多いのかもしれない。
(文化振興課)
2次交通の悪さに関する意見は、思いのほか得られなかった。来場者をアンケート対象者としたためと思われる。
(委員)
来場者は結局車で来ているので、来ていない人達から意見が吸い取れるとよい。
(委員)
周辺の温泉旅館・ホテルが、施設-遺産間のシャトルバスを出す等様々な工夫をしている。ただ、客層が違うため、温泉に来た人達が遺産に興味を持つかというと、必ずしもそうでない。マスマーケットに馴染まない施設である。難しいところではあるが、来場者をリピーターにする視点を深掘りするのもありかもしれない。
(文化振興課)
学生からは、交通費が高いという意見も多く聞く。
(委員)
一般的にはそうだが、マニアックな人は全然そんなことは考えない。そもそも興味のない人達に、行かない理由を尋ねると、値段や時間等の問題を答えるが、元々興味のある事柄には、関係なくお金をかけている。やはり一般論で聞いてしまうと、必ずそのような回答になってしまう。
(委員)
特定関心層に訴える戦略の方がよいのかもしれない。
(委員)
マーケットにおける2:8の原則がある(8割の人は買わないため、残り2割の層をターゲットとするもの)。一般的なマスマーケット調査も大事だが、ミスリードな結果になる可能性もあるので、まずはファンになりそうな人を把握することが重要である。
(委員)
何年か前に、フリーミアムの概念が流行った。一般的には無料で利用できるが、一部のマニアックな強い関心を持つ層には、有料でより良いサービスを提供する仕組みである(フリーとプレミアムの両立)興味のある層は価格によらず強い関心を持つのが、フリーミアムの戦略である。
(委員)
文化財に関する支出を調査すると、少しはお金が集まるが、中央値と平均値がすごく乖離していることが分かる。大半の人の金額は少額だが、一部の層はかなりお金を出してもよいと思ってくれる。
(委員)
次の指針に向けて、一つの課題なのかもしれない。
【プロジェクト4】
(委員)
県民芸術祭の充実・展開は、Cの担当者評価(2020年度も同様の評価)2020年度比では、DSR参加者数が1.8倍だったが、新型コロナウイルス感染症禍での運営ということでC評価になっている。デジタル化への対応について、今後も検討してほしい旨を含めてC評価とする。
【プロジェクト6】
(委員)
伝統文化継承事業は、Cの担当者評価。2020年度を上回る採択件数であり、潜在的な事由が顕在化してきたとの評価であったが、目標は達成出来なかったための評価となった。
群馬の文化支援事業も、意欲的に活動する団体に対して支援したということで、C評価となっている。
【プロジェクト7】
(委員)
2020年度の評価時に多くの意見が出た。26番「外国人の参画の促進」については、文化の観点から言えば、現在の評価項目が異なるのではないかと改めて感じた。総評としてはC評価でよい。
1-2 魅せる群馬の文化発信プラン-第2次群馬県文化振興指針-に関する意見交換について
(委員)
よく出来ていると思う反面、文化的財産や魅力の説明が省略された表現になっている気がする。策定時から堅苦しいことはやめようという意見を言い続けて、総論としていいものができたとは思ってはいるが、様々な項目において、その魅力や財産価値を伝える表現に改良する余地があると思う。関心を持たない層に内容が伝わらない恐れをなくしたい。
(委員)
行政指針としてはよくできていると思う。民間企業のような選択と集中は難しく、網羅的な内容にせざるを得ない。他県に比べても柔らかい表現であり、群馬の魅力を色々な意味で発信している。
東京から見ると、群馬はやはり温泉だという印象が強い。関東地方で自治体の仕事をしていても、結構群馬は文化的だという意見がある。例えば、群馬交響楽団や世界遺産もあり、埴輪の王国でもある。歴史的な権力・財力、最新テクノロジーが出る地域というイメージがあった。県民としては見慣れたものであっても、県外から見ると価値のあるものがある。
審議会での評価は、時間も人数も限られているため、メタ評価(=担当所属の評価を元にした評価)で実施している。もったいないと思うのは、成果がどうしても数字だけに陥りやすい点である(入場者数、登録団体数、補助金採択の団体数等)分かりやすいし、必要な指標ではあるが、もう一歩進んだ評価が出来るとよい。現場の人だからこそわかることがある。
資料2(所属作成の評価個票)は非常にビジネスライクな様式なので、追加コメントがあってもよいと思う。成果や社会的インパクトに繋がるような言葉を追加するとイメージも随分違う。
次回、もし同様の評価をするなら、もう少し定性的な分析を入れていただきたい。きちんと評価出来ているので、このやり方を改善しながら進めてほしい。
(委員)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束が見えない中、コロナ禍での実施であることを加味して評価する方法も検討したらよいのでは。
(委員)
2020年度評価時、垣内委員からも同様の指摘があった。この状況下でどれだけ頑張ったかを基礎とするなど、評価視点を見直すべきという意見をいただいた。
(委員)
これまでの指針は、満遍なく色んなものを支援していくスタンスであった。オーソドックスな作り方だが、今振り返るとスタティック(静態的)な感じを受ける。各分野の支援の必要性は納得いくが、区分毎の支援が何をどう変えていくことになるのか、うまくイメージできない。
次の指針策定時には、この5年間でどのような危機意識を持ち、何を変えていくのかを考え、イメージできるような骨組み(枠組み)にすると、評価も分かりやすくなる。スタンダードな数字だけではなく、現場で見えてくる気づき等を拾い上げる形で、各事業を確認していけるとよい。
1-3 第3次群馬県文化振興指針 骨子案について
(委員)
バックキャスト方式での検討は、非常にトレンドな手法。サステナブルなど、流行りの言葉がたくさん並んでいるが、基本的に最後は県民のリアルを充実させるところに目標があるのではないか。
・クリエイター
新しい価値を創出する人達という意味かもしれないが、必要性や実現可能性に疑問がある。
・文化と経済のマッチング
国のクールジャパンがうまくいかなかったように、かなり難しい分野である。稼げないけれども大事な文化を守ることから始まった文化政策にも関わらず、この政策目標だと、文化をツールに稼ぐ、非常に矮小な目的になってしまう。文化の大部分が排除されるイメージがあるので、このワーディングは考え直した方がよい。クラウドファンディングも含め、様々なリソースを使って支えていく必要があるのは確かである。
・SDGs
これまでも課題として追求されてきたことだが、背景にある動き、そのSDGsの動きを強めようとしているドライビングフォース(いろんな思惑の人)が存在するので、表面通り受け取るのは難しいのが現状である。
・官民共創
企業の参入もロジックが立たないと難しい。寄付よりは投資の方がまだ取り組みやすい。
ただ、一般の小口の寄付については、これまでコストがかかりすぎて実施出来なかったが、今はクリック1つで出来るので、大きな可能性を秘めている。ガバメントクラウドファンディングは実施されているが、意外に集まっている。支援の対象が明確でないと、お金が集まりづらい面はあるが、クラウドファンディング等、みんなで支える仕組みは絶対必要であると感じている。
(委員)
非常にありがたいご指摘がいただけたと思う。
(文化振興課)
小規模な自治体が、文化的資産を維持管理できるのか疑問である。支え合う仕組みはベストだが、今後少子高齢化が進んだ際、維持する対象を取捨選択する時代がきてしまうのではないか。今の若者世代が危機意識を持ってくれるのかも不透明であり、既存のコアなファンもかなり目減りしていくのではないか。
(委員)
人口は圧倒的に減っていく。75歳以上は外出する機会が大幅に減る。劇場、ミュージアムや文化財において、75歳以上の来場者は総人口に占める比率よりもはるかに少ない人数である。ローカルな地域だけで充足させるのは無理である。
また、保存会等の維持も難しくなっている。観光客等、地域外から来る人達との関わりを増やしていくことは可能だと思うので、DXで検討していく部分と思う。若い世代で、寄付はできないけれども行動(清掃ボランティア等)で協力したいという人は一定数いる。他の自治体で、若者のボランティアの受け皿構築を、行政がサポートする動きも少しずつ出てきている。
(委員)
・「稼ぐ」の文言
国内に残った文化に幾ら投資しても、すぐにお金は稼げない。言葉の内実が、様々な形でお金を集めてくるという広い意味であるとよい。
・クリエイター
クリエイティブインダストリーは非常にローペイかつ生産性が上がらない分野である。参入障壁がないので誰でも入れるが、スキルが熟練しないため、生産性も給与も低いままになる。ただ、PC関係だけは伸びており、生産性も高い。クリエイターとは誰を想定しているのか。システムエンジニアリングやデータサイエンティスト等を想定しているのであれば政策目標に合致するが、パフォーマーや作家も含めて考えているとしたら、両立が難しいと思う。
(文化振興課)
県の総合計画に始動人(一流の人の育成)の概念がある。tsukulun等を活用したPC分野のクリエイター育成も想定しているが、伝統文化の担い手の減少も非常に課題にしているので、その分野の人達も育てていかないといけない。幅広なニュアンスを含んだ言葉である。新産業に対応できる人材を育てたい。
(委員)
過去に他県でゲーム等デジタル関係のアーティストを育てる取組を実施した。優秀な人材が育ったが、その後優秀な人ほど東京に行ってしまったので、このプロジェクトは10年ぐらい実施した後、終了した。キャパシティビルディングが非常に大事である。ヨーロッパでは、基本的な人づくりのために、文化を使うという考え方が非常に強い。
(委員)
理念を伝えるためにも、言葉を考え直す必要があるかもしれない。この言葉を使っているがゆえに誤解される可能性が高い。
(委員)
妄想に近い考え方で、20年後の文化がどうなっているかを考えていけるとよい。メインタイトルだけでなく、サブタイトルにも、第3次群馬県文化振興指針という文字がない方がいいような気がする。ワクワク感と親しみを出していきたい。
第2次振興指針では、真面目に文化の大切さを訴えているけれども、真面目で堅苦しいイメージが感じられる。文化的なことは格好よくて自由で、経済も回せて…というポジティブな印象が与えられるとよい。
机上の空論の部分もあるかもしれないが、行き詰まった現代の雰囲気から、若い世代の人がワクワクするような感じにすることが必要。指針の内容は他人事であるような考え方を払拭できるかもしれない。
(委員)
ワクワク感の見せ方は一番行政的には難しいと思うが、考えていってほしい。
(委員)
中之条ビエンナーレが一つの成功事例である。普段温泉に来ないアート好きな若い方たちが興味を持ち、イベントがきっかけで温泉にも来てくれたりする。クリエイティブな部分と豊かな幸せな暮らしについて、理想として掲げたいところだと思うが、なかなか両立は難しい。四国徳島の上勝町、官民一体・SDGsの視点で町おこしした好事例なので、調べたら面白いかと思う。
(委員)
新しい取組を始めたいという文化振興課の心意気はかいたい。例えば県民芸術祭について、出品者の努力は高く評価はするが、新陳代謝が進んでいない現状がすごく気になっていた。新しいシーンを作り出すための取組を指針で提案していくのは、大きな意味があると感じる。その時に「クリエイター」という言葉が誤解を生みかねないなら、何か他の言葉でもよい気がする。政策目標が、豊かなアイディアを創出する人を作ることがねらいなら、それがうまく伝わるようにしたい。
また「稼ぐ」も気になる。特に、文化遺産の保護等に取り組んできた方々は、この言葉を前にすると違和感を抱いてしまう可能性がある。政策目標の内実は、文化支援を持続的にしていくためにどうしたらよいか、ということではないか。経済や投資等の言葉を盛り込むと、せっかくの意図が誤解されかねない。
そして「ボーダレスな地域創造」も、この文言だけ見るとわかりづらい。ジャンルを超える・既存の枠にとらわれないという意味だと思うが、別の表現がないか。
あと、先程のワクワク感について、今までの沈滞ムードを変えていくことが伝わるような、文言を作り出せればいいなと思う。無理難題かもしれないがご検討いただきたい。
(委員)
Z世代に焦点をあてたい気持ちはよくわかるが、現実の文化の担い手は中高年である。この世代が今まで文化をサポートしてきた面が大きいので、彼らが指針を自分たちのものでないと感じてしまうのはよくない。組み立てを工夫し、新しい芽出しも追加するスタイルはどうか。折衷案が現実路線だと考える。
また、文化活動は、お金と時間的裁量がないとできない。社会的な活動で精一杯の人達は、関わることが難しい。絶対数でいうとZ世代はとても少ないので、焦点化しすぎるのはよくない。
「ボーダレス」はデジタルの使用により、地理的な制約がなくなるという意味と捉えていた。アクセスがよくても頻繁に来県することは難しいので、デジタルでつながる方法を進めていくのはどうか。つながることが出来れば、お金も使ってくれるので、支援の部分にも関わってくる。多様なステークホルダーが様々な形でサポートする仕組みを目指していくという内容で、目標を考えていったらどうか。また、群馬スタイルが指す内容も問われそうな気がする。
(文化振興課)
経済が縮小していく中で、若者が何をどう夢見ていくのか、スマホの中だけに夢をもってしまうことを危惧している。リアルでない方に向かってしまうのは悲しい。
(委員)
結構リアルは大事。人に会ったり、誰かと繋がったり、リアルの相対的な価値は上がってきていると思う。
(委員)
学生の様子を見ていると、今だからこそ出かけるという傾向がある。予想以上に県外に出て、色々なものを見ることを楽しんでいる。金銭的な余裕がなくても、自分が興味のあることについてはお金を出している。
資料
- 次第 (PDF:49KB)
- 資料1 魅せる群馬の文化発信プラン-第2次群馬県文化振興指針-評価シート一覧(令和3年度分)
- 資料2 魅せる群馬の文化発信プラン-第2次群馬県文化振興指針-評価シート個票
- 資料3 第3次群馬県文化振興指針 策定概要
(資料は未確定の内容が含まれるため非公開とする)