本文
個人情報保護審議会諮問事件第19号
1 件名
「(略)被害届」の個人情報開示請求拒否決定に対する審査請求の件
2 諮問庁・処分庁
公安委員会・警察本部長
3 開示等決定年月日、内容及び理由
(1)平成21年8月5日 個人情報開示請求拒否決定
(2)理由
条例第29条第2項第2号該当
刑事訴訟に関する書類及び押収物に記載されている個人情報であり、刑事訴訟法第53条の2第2項の規定により、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第4章の規定を受けないこととされている個人情報であることから、条例第2章第2節(個人情報の開示、訂正及び利用停止)の適用を受けないため。
4 不服申立て
(1)申立年月日 平成21年10月2日
(2)趣旨
本件処分について不服であるので、審査請求をする。
(3)理由
本件個人情報(被害届)は、請求人を冤罪事件の被疑者・被告人として恣意逮捕・拘禁していた証拠であるが、本件個人情報の写しと称する文書が、当時の担当検察官の手から、被告弁護人の請求に対応する形で、被告人であった請求人の手元にも届いている。当該虚偽の有印私文書は、第一審の裁判官によって故意誤判の重要な証拠とされたが、かかる、いわゆる「やらせ」の舞台裏・馬脚は、第二審の判決書において、「この件については有罪の証明が無い、無罪」との表記で明確・明快に確認されている。
したがって、本件請求は、本来の意味・定義のそれではなく、無実の請求人を獄に落とし込んだ虚偽の被害届が現在の私の手元にあるそれと同じものか、それとも別のものかの照合・確認を目的にしただけのものであり、処分庁は、自己の公正・公平さを裏付けるためにも、これは自ら進んで開示するのが当然のものである。
5 諮問年月日
平成21年11月18日
6 審議会の判断
(1)結論
県警察本部長の決定は、条例の解釈及び運用を誤ったものではなく、妥当であると認められる。
(2)判断理由
- 条例第29条第2項第2号について
条例第29条第2項第2号は、個別の法令の規定により、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第4章(開示、訂正及び利用停止)の規定の適用を受けないこととされる個人情報については、当該各法令との整合性の観点から、条例においても開示請求等の規定を適用除外することを定めたものである。
本号に関連して、刑訴法第53条の2第2項では、「訴訟に関する書類」については、保護法第4章(開示請求権等)の規定は適用しない旨を規定しているため、「訴訟に関する書類」は、条例に基づく開示請求等の規定の適用が除外されることとなる。 - 本件個人情報の条例第29条第2項第2号(適用除外)該当性について
刑訴法第53条の2第2項の「訴訟に関する書類」とは、被疑事件又は被告事件に関して作成された書類であり、手続関係書類であるか証拠書類であるかを問わないし、意思表示的文書と報告的文書のいずれも含まれると一般に解されている。
これを踏まえて検討すると、本件請求はその請求内容や請求人が意見書で述べていることからも明らかであるとおり、請求人が刑事被告人として起訴された事件の端緒となった被害届の開示を求めるというものであるから、当該被害届は被疑事件又は被告事件に関して作成された書類であると認められ、「訴訟に関する書類」に該当すると判断される。
したがって、処分庁が本件個人情報を刑訴法第53条の2第2項に規定する「訴訟に関する書類」に該当すると判断し、条例第29条第2項第2号の規定に基づく適用除外として本件処分を行ったことは妥当であると認められる。
7 答申年月日
平成22年3月24日(個審第137号)