本文
令和4年度第2回社会福祉審議会議事概要
1 開催日時
令和4年11月14日(月曜日)午後3時から午後4時
2 場所
群馬会館 第1会議室
3 出席者
(1)委員
上原正男委員、江村恵子委員、大川美知子委員、川原武男委員、田尻洋子委員、戸澤由美恵委員、永井勇一郎委員、信澤真由美委員、星野久子委員、峰岸嘉尚委員(五十音順)
(2)事務局
健康福祉部長ほか10名
4 審議事項
(1)『群馬県福祉プラン(R2年度~R6年度)』の自己評価・進捗管理(令和3年度)に関する御意見について
令和4年度第1回群馬県社会福祉審議会(書面開催)において各委員から寄せられた意見等について、事務局から説明を行った。
主な質疑等
●委員
「成年後見制度の中核機関整備」と「災害時の要配慮者支援」の2つは、地域共生社会を進める上での大きな柱になってくるものであると考えている。
成年後見制度については、全国的な問題であるが、制度が利用しにくいという課題がある。群馬県においても利用が遅れていると感じている。
そのような中で、市町村における中核機関の設置は県の大きな柱として積極的に取り組まれている。成年後見制度については、いかがか。
●委員
全国手をつなぐ育成会からは、成年後見制度は使いづらいという声が会員から寄せられている話を伺った。国でも、成年後見制度を抜本的に変えるというのではなくて、成年後見制度を使いやすくするための審議会が開かれており、今後、状況も変わっていくかと思う。
●委員
かねてから、制度を利用しづらいという声が挙げられてきたが、国の方でもようやく動きが出てきたということかと思う。成年後見制度については、県、県社協、家庭裁判所の3者で連携して動いているところ。
利用のしづらさについては、私自身も家庭裁判所に伝えている。例えば、利用者の金銭的負担がわかりにくい点、後見人の変更が容易ではない点などがハードルが高いと思う。
一方で、本県では、「日常生活自立支援事業」の利用件数が全国的に見ても多く、これは市町村社会福祉協議会(以下、「市町村社協」)が取り組む、1時間あたり1200円で利用できる、世帯によっては補助があったり無料で利用できたりする制度なのだが、市町村からは、「(成年後見制度を利用するのではなく、)日常生活自立支援事業をすればいいのでは」といった声も聞かれ、本来、成年後見制度で支援していく必要がある方が、こちらの事業の利用に留まっているといった実感もある。
成年後見制度を利用できる環境を整備することにより、このような状況を解消し、必要な方が成年後見制度を受けられるようにできればと思う。
●委員
私自身は専門ではないのだが、中核機関の設置が進まないことは憂慮している。担当に確認したところ、設置が進まないのは人材が中々いないためだろうか、という話を聞いた。
中核機関が設置されたところについては、さらに、活動する人材の養成について、社会福祉士会でも取り組んでいくと聞いている。
●委員
吉岡町では吉岡町社会福祉協議会に成年後見支援センターを設置している。
地域包括支援センターの訪問活動等により制度活用が必要になりそうな高齢者の方や障害者の方にアプローチしてもらっているが、実際の利用には結び付きづらい。原因としては、ハードルの高さによる利便性の低さが挙げられる。
虐待等による市町村長申立てについては、毎年事例があり、そちらについては比較的利用が堅調だが、一般の方が利用するのは、まだまだ敷居が高い。
●委員
吉岡町では取組が進んでいる印象だが、市町村によっては、成年後見制度に対する必要性について「うちの自治体には、まだ該当者はいない」と認識している様子のところもある。
また、成年後見制度の取組を行えば行うだけ市町村の持ち出しが増えてしまうため、国にもう少し予算を拡充して貰わないと、市町村が力を入れていくにつれて支出が増えてしまうといった構図になってしまう現状がある、という話も聞く。
●委員
資産のある方の成年後見をするのはいいが、資産のない方の成年後見は大変。資産のある方の成年後見は民間でもしてくれるが、(資産のない方の成年後見制度利用については、)行政がどこまでやってくれるかというのは、なかなか心配。
後見人になる人のスキルの上げることも必要だし、費用的な問題、行政が積極的に(費用を)出すのならいいが、委任だけやるとなったら大変だなという感じがする。もっと行政が積極的に資産のない人にも(制度利用に係る費用を出すべき)。
私も今アパートを貸しているが、もし入居者が亡くなったら後片付けを誰もしてくれない。成年後見が何もできていない。そういった場合に誰が片づけをするのかとなると、家主という話になるが、家主は何年も家賃をもらっていない。追い出すようなこともできないので(入居を)させてたのだが、成年後見も名前だけはいいのだが、その辺の充実ももっと検証していかないと、制度がよくならないと思う。特に貧困対策として対応するする場合には、(被支援者を)知ってる人も手を引くので。
●委員
資産の多い方に関しては成年後見をする場合に報酬がそれなりにつくが、資産が無い方に関しては、報酬が少なくなってしまう。また、資産が無い方のほうが困難事例が多いことが明らかになっており、資産の多い方の後見を請け負った方が割がいいのではないか、という話が出てきてしまう。
そういった点について、制度的にどうなのか、というのはよく聞く話だが、県ではこのあたりの改正の見通しについて何か耳にしているか。
○事務局
制度そのものについては、法務省の所管であり、先ほど委員からのお話にもあったとおり将来的な見直しについて審議会で検討を始めたところと伺っている。
私ども福祉分野でできることとしては、使いやすい制度が整った際、住民の方が利用したいと思ったときにすぐ利用できるよう、各市町村に中核機関の設置を促し、いつでも相談が受けられるような体制整備に努めたい。
●委員
要支援者に関する避難計画について、要支援者名簿については、県内で100%できているが、個別避難計画については、完成しているところが、35市町村中4市町村ほどと遅れている。
併せて、色々な障害をお持ちの方に対する、障害の内容に応じた支援などが、災害福祉支援を進める中で課題と考えているがいかがか。
●委員
どこの施設も避難計画を立ててやっていると思う。私がいるのは児童が入所する施設なので自ら避難できるが、高齢者などの施設では、その施設の職員だけでは厳しい。周りの人やあるいは場合によっては行政の力でないとかなり厳しいものがあると思う。施設同士で協定を結んでいるという話も聞く。
●委員
今、県社協では、社会福祉法人連絡会を作って、子ども、高齢、障害の分野に関わらず施設が災害時に連携する取組を進めている。
高齢者の施設については、そういった意味では進んでいる状況にあると思っているがいかがか。
●委員
実は、今までは災害に対しての訓練というのはあまり実施しておらず、火災などを想定して実施していたのだが、施設のBCPを策定するに当たり、どうしても(外への)避難ができないので、施設内を危険度に応じて区分けして、どうするのかというところから組み立てている。
施設から出る、ということができないので、施設内でどうするのか、例えば浸水被害であれば上階に避難する等、施設が安全な避難場所に成り得る、という考えでプランを立てている状況。
●委員
地域に暮らす障害者は、地域の住民と一緒に避難する形になる。
昨日、高崎市で水害を想定した住民の避難訓練があった。コロナの関係で実施できていなかったが、災害に起きた時にどうするか、地域で防災について活発に考えていく中で、避難が困難な方はどうするのか、ということについても地域の方に考えてもらうのが一つの方法かと思う。実際に訓練をすることが非常に重要と思う。
●委員
来月、県社協でも災害福祉支援ネットワークの協議会で、福祉避難所のことについて、これまでは施設関係団体だけであったが、今回は当事者団体を交えて取り組む予定。それぞれの障害の特性に応じた避難訓練などを行っていければと思う。
個別避難計画については、中々厳しいとは思うが、榛東村や片品村では市町村社協を中心に、小さな地域ごとにマップを作成して、それを積み上げていくという形で取り組み、大きな成果を上げている。
聞けば、個別避難計画の策定は非常に大変とのことで、名簿を作るだけでなく、常時更新していかなければならないということで、大きい自治体ほど大変。正に、地域共生社会を進める中で、誰ひとり取り残さないという意味では、非常に重要な取組になってくるのだと思う。
(2)『群馬県福祉プラン(R2年度~R6年度)』の一部変更(案)について
令和4年度第1回群馬県社会福祉審議会(書面開催)において各委員から寄せられた意見質疑及び担当所属からの回答等について、事務局から説明を行った。
主な質疑等
●委員
「LGBTQ支援は本プランの『社会的配慮を必要とする人への支援』に含まれていると理解してよいですか?」と質問していたところ、「本プランにおける『社会的配慮を必要とする人への支援』の表現は、社会福祉に関わる各分野への言及に留まり、LGBTQ支援は含まれていない」との回答であったが、LGBTQ等のマイノリティ支援のことを考えたときに、本人による性的違和感の受容やカミングアウトを受けた保護者等の受容などは、障害の受容に似ているし、社会の受け止めといった観点からすれば、外国人支援と近いところがあり、また、社会的配慮が必要な方が13人に1人はいると言われているところ。
すぐの対応でなく、また当事者たちの声を聴く必要もあるのだと思うが、少なくとも(LGBTQ等のマイノリティの方たちは、)「社会的配慮を必要とする人」の範疇に十分入っていると思う。福祉的な意味で、そのような方たちのことも見てほしい。
○事務局
担当所属による回答について補足したい。
本プランの策定経過を確認したところ、策定に当たってこの点を議論した経過が窺えず、「含まれている」と断言するだけの裏付けがない状況であった。本プランにおいて、この視点を入れるかどうかについては、委員の皆様を含めて、次期計画の策定時にきちんと議論する中で明確化していくのがよいかと思うが、現状としては、このような経過から「含まれていない」と回答させていただいた。
●委員
プラン策定以降、色々な課題が出てきているが、それをどのように組み込んでいくのかということについては、今後検討していくと行くことでよいか。(↠異議なし)
●委員
孤独・孤立対策については、すごく大事なことと考えている。生まれてから大人になるまで、孤独だったり孤立したりということは絶対よくないと思っている。
子どもであればいじめのこと等、青年期であれば引きこもり等、高齢者であれば独り暮らし等、そういった方たちが地域で孤立しているのはよくない。やはり周りの助けが必要。
本人たちが発信するのを待つのではなくて、行政とすれば、困っている人に手を差し伸べることが必要と思う。おせっかいかもしれないが、そういった取り組みが大事だと思う。
私は児童の施設にいるが、どうしても「福祉が必要だろうな」と思ってしまう子がいる。そういう子に対して、支援が終わったから「はい、さようなら」ではなく、次の福祉に繋いでいくシステムが必要だと思う。
高齢者でも「どうしてこの人が今まで福祉に関わってこないで生活して来たんだろう」という人がいる。福祉の制度の網に引っかからなかった人がどうしてもおり、そういった方の孤独・孤立については、何とかしてほしい。
●委員
様々な問題が孤独・孤立と関わってくる。しかし、国も担当室を設けたが、なかなか具体的な対策が見えてこない。今後、見えてくるのかなと思う。
孤独・孤立をどう捉え、どう支援していくのかが、まさに誰一人取り残さない、ということになるのだと思う。今後、福祉の中でどのように支援していくのかが、大きく問われているのだと思う。
●委員
孤独・孤立に関して、内閣府は、福祉というよりは、NPO法人等の市民活動系の団体とやり取りしている印象。その中で、「第三の居場所」の取組について内閣府が支援している話が福祉の分野にも聞こえてくるが、もう少し具体的なものが見えてきた段階で、(本プランでも)きちんと作っていかなければ。
●委員
国としても福祉の枠を超えて色々な分野で、色々な形で連携してということが狙いとなってくるので、少し時間が必要かなとは思う。
●委員
ヤングケアラーなどは結果として学校の中で孤立をしてしまう状況から、実態が見えてくる。その中でも、孤独・孤立の気付き・ケアが被支援者に対して必要。
繊細な施策はもちろん、発見した時の対応のところで関わる方たちに対する研修といったものもゆくゆくは必要になってくるのではないかと思う。
●委員
ヤングケアラーについては、先ほど事務局からの説明にもあったように、部局横断的に市町村を巻き込んで包括的に検討することが必要と思うが、これについてはいかがか。
●委員
高齢化が進むと孤独・孤立はもっと増えていくことと思うので、大きな問題になると思う。
ヤングケアラーの文脈においても孤独・孤立の問題はあると思うが、一番の問題は、ヤングケアラー自身がヤングケアラーだと自覚していないところにあるような気がする。そのため、早期の発見の意義が大きく、本人にとっては学校が唯一の寄りかかるところであったりするので、スクールソーシャルワーカーや卒業生などの存在が、本人にとってはすごくありがたいものなのではないかと思う。
●委員
ヤングケアラーについては、本人もそうだが、ご家族や周りも気づきにくいところがある。孤独・孤立も、自分で認識している人は少なく気づかないうちに孤立してしまうということもあるのだと思う。
●委員
私は中山間地に住んでいるのだが、住民もほとんど年寄りばかりになってきて、廃屋ができたりというような状況である。行政の方で面倒が見られるところは、手を差し伸べてもらえるとありがたい。
●委員
空き家対策は、山間地だけでなく町中においても、誰が住んでいるのか、住んでいないのか分からない厳しい状況がある。
●委員
SOSの出し方に関する教育を全小中学校の8割で実施しているとのことだが、子どもには4つの権利があるが、それが教育されていないのではないかと思う。特に群馬県のインターネットを見ても、人権教育については出てくるが、こどもの権利に関する教育がされていない。
他の県や他県の市町村では、子ども条例というものをだいぶ作っているが、群馬県はない。児童虐待条例は令和3年にできたが、子どもの権利条例ができていない。
子どもの権利を教えることについて学校の先生がどれくらい知っているかというと、教員の3割が子どもの権利の内容を知らない。理解している教員でもその半数は子どもの権利の教育を知らないというのが現状。子ども関係団体が実施したアンケート結果によれば、先生がまず知らない、(生徒に)教育をするとなるとどうすればいいか分からない。このような教育はまず先生に子どもの教育をすること。それをどうするのか、というところからスタートしないとできない。学校指導要領の中で具体的に示されてないということが言われている。
それなので、学校で子どもの権利について教育していかないと、その子どもは子どもの権利を知らないで大人になってしまうので連鎖してしまうため、どこかで断ち切らなければいけない。そうすれば、今、群馬県では社会的養護のもとにいる子どもが500人いるが、これを減らすことができると思う、
なので、まず権利を(教育)して、権利を守ってやる。それを第三者が認識してくれば、子どもの虐待についても、どういう対応をするんだというのが出来てくるので、一回教育したからおしまいというものではないので、ずっと継続することによって子どもが大人になり、というのは、親から虐待を受けた子どもは、また子どもに虐待してるんですね、それの連鎖を断ち切らなきゃいけない。その辺のマニュアルが色々できている県もあるが、群馬県はネットでは見当たらないので、人権教育というのは謳っているが、子どもの権利教育について歌ってないのではないか。この際、群馬県はどのように子どもの権利条約に基づく教育がされているのか、関係者にお聞きしたい。
○児童福祉・青少年課長
「群馬県虐待から子どもの生命と権利を県民全体で守る条例」が令和3年4月から施行されているが、この中でも当然、子どもの最善の利益を確保するために、権利擁護は重要であることが位置づけられている。
この条例については、まだ施行から1年しか経過していないが、学校関係にも周知を図っていきたい。また、学校等から「出前なんでも講座」による要請があれば、こちらから出向いて積極的に趣旨を説明させていただいている。
●委員
「こども家庭庁」ができるから子どもの権利の問題(のことを議論する、)ではなくて、私が調べたところ、札幌市が平成21年に「子どもの最善の利益を実現するために~子どもの権利に関する指導の手引=実践編=」作っているので、国が動いたからではなくて、積極的に子どもの権利の人権教育を、全体の人権教育の中でいいと思うのだが、子どもの権利教育をきちんとしていただきたい。
それと、虐待の条例もどのように周知されているのか。子どもの権利を主張する、要するに虐待(防止)のためにどのような啓蒙をしている、県民が努力しなければいけないということも書いてあり、市町村(が努力しなければいけないこと)も書いてある。県はどのように住民に周知しているのか教えていただければありがたい。
○児童福祉・青少年課長
ホームページでの周知やリーフレットの配布を行っている。また、毎年11月が「児童虐待防止推進月間」となっており、そのような折には、例えば周知活動として県内商業施設でリーフレットやティッシュの配布等している。また、繰り返しとなるが「出前なんでも講座」にテーマとして掲げ、色々なところに出向き講座を実施させていただいている。
たしかに、不十分ではないかと言われるとそうかもしれないが、引き続き周知に努めて参りたい。
●委員
事件が起きると周知を徹底するが、事件が起きないとなかなか(周知しない)。
一般の人がどの程度知っているのか。関係者だけが作っている計画ではなく、住民が知るということが大切なので、計画全体についてもリーフレットを出すとか4ページくらいの概要版を作るよう意見を出したが、そういうものを積極的に出すことによって地域福祉施策を周知することも必要ではないか。その中で子どもの権利というものもあるということを(周知)していかないと。今日出席されている皆さんに知らない人はいないと思うが、知らない人が知ることができるようにしていかないと、(知っている人が)増えていかない。それをすることが必要。
国は色々事件があると色々な対策を考えるが、事件が起きる前に周知をされたい。
●委員
今の話に限らず、本プランでは色々な施策が取り込まれているが、果たして「成年後見」の制度について県民の方がどこまで知っているか、あるいは「ヤングケアラー」について、子ども自身がどこまで知っているのか。いろいろな部分で事件が起こる前に県民に周知するということは、プランに期待される一つ大きな役割かと思う。
今後、このプランを県民にどう浸透させていくか。例えば、県民向けの調査を実施する際に、新たに認知度を調査する項目を設けるといったことができればいいと思う。
また、ヤングケアラーをはじめ、色々な問題で学校現場に期待が寄せられているが、負担のある中でどこまでお願いできるものなのか。部活動を地域に移行して負担を少なくしようとしている中で、果たして、どこまで実効性があるのか。確かに、学校が一番子どものことが分かり、指導しやすい部分もあるだろうが、全てが学校というのはどうだろうか。
●委員
スクールソーシャルワーカーを活用されたい。
スクールソーシャルワーカーの方も話していたが、やはり学校の先生が一番子どもに向き合っており、すぐ異変に気付いてもらえる。それを、どんな小さなことでもスクールソーシャルワーカーに繋いでもらえば、スクールソーシャルワーカーは動くことができる。
学校現場ですべて担うのではなく、ちょっとどこかへ繋ぐということを気にしていただければいいと思う。
●委員
予算の関係もあり、スクールソーシャルワーカーについては、専属で各学校にいるという形ではなく、何校かを掛け持ちしているのが現状である。
常にスクールソーシャルワーカーが学校にいる形でないと、担任の先生がすべてその場で目を配って支援をして、という形になってしまい、残念ながら厳しいかと思う。ぜひスクールソーシャルワーカーの配置について、教育委員会へ要望していってもらえれば。
●委員
「重層的支援体制整備事業」について、地域共生社会に向けて進められているが、現在4市町村が実施している。これが多いのか少ないのか、という話もあるが、「重層的支援体制整備事業」は手上げ方式であるため、市町村とすれば、「包括的支援体制」が整備できるのであれば、同事業を実施しなくてもいい、という話がある。
私などは、同じようなことを実施するのであれば、国から補助してもらえる「重層的支援体制整備事業」を活用する方が良いのでは、という思いがあるが、なかなか現実的でないことは承知している。
吉岡町では、まだ本事業やその準備事業も実施していないと思うが、何か課題があるようなら、ぜひ伺いたい。
●委員
地域共生社会の実現のため、縦割りの弊害を無くして、各福祉分野による多面的・重層的な支援が構築できる。
吉岡町では、生活困窮者、引きこもり・不登校、ヤングケアラーといった様々な問題に対して、行政側でできるアプローチとして、地域の子ども食堂や生活困窮世帯に対するリモート学習支援事業を立ち上げた。
学校の教育現場で生徒の個人情報を出すといったことは難しいと思うので、子どもあるいは保護者に対して、「学校以外にも頼れる場所がある」というアプローチをして、受け皿として支援している。支援の中で、例えば困窮している状況が聞かれれば、フードサポートや子ども食堂に結び付けたりしている。また、そういった取組をする団体などを募集して、町がマッチングを行い繋いでいる。そのような形で、複合的な福祉支援と支援が必要な方が繋がれるよう支援している。
来年度、吉岡町ではボランティアポイントをデジタル化して実施する。町の全てのボランティアに対してポイントを付けて、様々な事業活動を地域で行っている方に対して、ポイント事業を始める予定。行政にできることには限界があるので、まずは、制度の狭間にあるような地域課題に対して、地域のボランティアをどんどん注ぎ込んで支援していく。来年度はそういった包括的な支援の枠組を作っていこうと考えている。
●委員
色々と取組が進められている様子が窺えたが、前回の社会福祉審議会でも触れられたように、あえて「重層的支援体制整備事業」を活用しなくても「包括的な支援体制」を構築する支援手法もあるということかと思う。
●委員
この取組は、国から市町村に実施するよう要請されたものと思うが、安易に市町村社協に委託するのは(良くないのでは)。
これは、安上がりに済ませる要請であって、専門性を要するもので他に委託する機関がないというような話であれば別だが、何でもかんでも市町村社協に委託するとなると、市町村社協が手いっぱいの中で、ただやっている形態だけがとられるだけになってしまい、本当に住民のためにやっているのかという点を疑っている。
安上がりに、簡単に委託しますとなると、何かにつけて市町村社協に委託するということになってしまうので、十分に、できるのかできないのか見極めて、できないものについては委託しないという認識をもって、実のあるものにならなければいけないと思っている。
●委員
「重層的支援体制整備事業」については、市町村行政と市町村社協が連携していくのであれば、行政が主体的に実施していくものであり、地域の状況によって市町村社協が委託を受けられるのか、あるいは受けられないのか、という検討もあろうかと思う。
個人的には、「ぜひ市町村社協を巻き込んで実施してほしい」といった話をさせていただいているが、地域によっては難しい部分もあるかと思うので、ケースバイケースではある。
支援主体としては、先ほど話に挙がったNPOや、民間企業を含めた色々な団体が考えられるところ、市町村社協にとっては競争相手が増えることとなるが、それについては切磋琢磨していただき、ともあれ、これまで福祉分野だけでやってきた部分に、民間企業のノウハウが入れて横断的に支援するのは、「重層的支援体制整備事業」において重要なものと思う。
5 結論
「群馬県福祉プラン(令和2年度~令和6年度)」の一部変更案を、事務局案のとおり決定した。