本文
個人情報保護審議会諮問事件第24号
1 件名
「群馬県警察本部監察官室及び安全相談室(●●警部を含む)と、伊勢崎警察署生活安全課及び警務課の保有する請求者の個人情報(相談したことが分かる文書)」の個人情報部分開示決定に対する審査請求
2 諮問庁・処分庁
公安委員会、警察本部長
3 開示等決定内容及び理由
(1)決定内容
平成23年3月4日 個人情報部分開示決定
(2)非開示理由
■「相談業務報告書」中の、氏名欄及び決裁欄にある警部補以下の職にある職員の氏名及び印影
・条例第13条第3号
開示することにより個人の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認めて実施機関が定める職にある職員の氏名であるため
■「相談報告書」中の、氏名欄の職員番号
・条例第13条第3号
開示請求者以外の個人に関する情報であって、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報であるため(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報を含む。)
■「相談報告書」中の、種別欄、相談概要欄及び処理結果備考欄の記載事項の一部
・条例第13条第7号
開示することにより、今後の相談受理事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため
4 不服申立て
(1)申立年月日
平成23年4月11日
(2)趣旨
審査請求人の個人情報を追記して開示せよ。
(3)理由
処分庁の職員によると、本件開示請求に含まれているはずの伊勢崎警察署生活安全課警察安全相談員が記録すべき相談したことがわかる文書自体が存在しないという。
審査請求人は、度々電話で当該職員に相談しており、しかも平成19年5月28日付けで処分庁に対して情報開示した時点で、「階級が警部補以下であっても現に審査請求人がその名前を知っていること」という理由で審査請求人に対して当該職員の名字を開示しており、そのうち、証拠となる文書が存在する2点については明らかに追記して開示すべきである。
5 諮問年月日
平成23年5月11日受理
6 審議会の判断
(1)結論
群馬県警察本部長の決定は、群馬県個人情報保護条例の解釈及び運用を誤ったものではなく、妥当であると認められる。
(2)判断理由
ア 本件個人情報の特定について
審査請求人は、審査請求書において、処分庁は本件開示請求に含まれているはずの伊勢崎警察署生活安全課警察安全相談員が記録すべき相談したことがわかる文書自体が存在しないというが、審査請求人は、度々電話で当該職員に相談しており、証拠となる文書が存在する2点については明らかに追記して開示すべきであると主張する。
これに対し諮問庁は、理由説明書において、審査請求人の主張を「本件個人情報のほかに2件が存在するはずであるから追加して開示すべき」との趣旨と解し、処分庁が本件個人情報を特定した妥当性について主張するが、審査請求人は、意見書において、諮問庁は審査請求人の本件審査請求を誤認して諮問庁の言う「本件処分」以外に審査請求人の個人情報があるはずとしているが、審査請求人は当該個人情報が存在しないことは疑っておらず、本件審査請求の理由は証拠書類があるからであり、その証拠書類を処分庁の職員に示した以上は、追記して審査請求人に開示すべきであると述べている。
このことからすると、審査請求人の主張は、大要、処分庁の本件個人情報の特定について不服は申し立てておらず、審査請求人が証拠を示しているのだから新たに文書を作成し、それを開示すべきであるとの趣旨と判断される。
ところで、条例に基づく個人情報開示制度は、実施機関が保有する公文書に記録されている自己に関する個人情報について開示を求めるというものであり、開示請求の求めに応じて文書を作成するものではないことから、審査請求人の主張は認められない。
イ 条例第13条第3号該当性について
審査請求人は、平成19年5月28日付けの個人情報開示請求に対する決定では、警部補以下の職にある職員であっても審査請求人が相談受理担当者の姓を知っていることにより姓の部分は開示されたのに、本件処分で相談担当者の姓の部分が非開示とされたことに疑義を呈している。
当審議会は、平成23年3月29日付け個審第156号答申(以下「諮問事件第22号答申」という。)で、群馬県警察相談業務に関する訓令第7条第2項に基づき作成された相談業務報告書の氏名欄及び決裁欄にある警部補(同相当職を含む。)以下の職にある職員の氏名及び印影について、法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報とはいえないことから、条例第13条第3号ただし書イには該当せず、さらに、当該情報はその性質から同号ただし書ロに該当しないことは明らかであることから、非開示は妥当であると判断を示したところであるが、本件個人情報のうち、氏名欄及び決裁欄にある警部補(同相当職を含む。)以下の職にある職員の氏名及び印影について、条例第13条第3号該当性を判断するに当たり、さらに斟酌すべき事情は認められなかった。
したがって、当該情報は、諮問事件第22号答申と同様に、条例第13条第3号に該当し、非開示が妥当である。
ウ 結論
以上のことから、「(1) 審議会の結論」のとおり判断する。
なお、審査請求人はその他種々主張するが、当審議会の判断を左右するものではない。
7 答申年月日
平成23年11月8日(個審第164号)