本文
個人情報保護審議会諮問事件第39号
1 件名
「僕が〇〇電機の株主総会の事前質問書を本年6月に提出したがどのような相談を受けたか判る文書」の個人情報の存否を明らかにしない決定に対する審査請求
2 諮問庁・処分庁
公安委員会、警察本部長
3 開示等決定内容及び理由
(1)決定内容
平成27年4月8日 個人情報の存否を明らかにしない決定
(2)処分の理由
- 条例第13条第4号該当 特定の法人が警察に対して相談したか否かという情報は、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。
- 条例第13条第7号該当 開示請求に係る個人情報に対応する相談が、警察に対してなされたか否かという情報は、開示することにより警察における相談業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある。
- 条例第15条該当 本件個人情報においては、当該個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、上記非開示情報を開示するのと同じ結果を生じさせることとなるため、条例第15条の規定により個人情報の存否を明らかにしないで請求を拒否する。
4 不服申立て
(1)申立年月日
平成27年4月22日
(2)趣旨
存否の有無を明らかにして警視庁の様な対応せよ。
(3)理由
本日、決定書を受け取りましたが警視庁ではフランクに話しており千葉県では対面している。
5 諮問年月日
平成27年8月19日
6 審議会の判断
(1)結論
群馬県警察本部長の決定は、群馬県個人情報保護条例の解釈及び運用を誤ったものではなく、妥当であると認められる。
(2)判断の理由
判断に当たっての基本的な考え方について
条例は、第1条に規定されているとおり、個人情報の適正な取扱いの確保に関し必要な事項を定めるとともに、県の実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める権利を明らかにすることにより、県政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益の保護及び県民に信頼される公正で民主的な県政の推進を目的として制定されたものである。よって、自己情報の開示請求に対する決定を行うに当たっては、原則開示の理念のもとに制度の解釈及び運用がなされなければならない。
しかしながら、この自己情報の開示請求権も絶対無制限な権利ではなく、条例には他の法益との衡量により制限される場合も規定されている。
本件請求個人情報について
本件開示請求の趣旨は、「僕が〇〇電機の株主総会の事前質問書を本年6月に提出したがどのような相談を受けたか判る文書」(以下「本件請求個人情報」という。)の開示を求めるものであり、請求人がいう相談とは、○○電機(企業名)が、株主総会の事前質問書に関して処分庁に相談した記録を指すものと解される。
条例の定めについて
条例第13条第7号は、「県の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する個人情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき」を非開示とすることを規定している。
また、条例第15条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる」と規定している。
本件個人情報の存否応答拒否の妥当性について
県民等が警察に対して相談することについては、相談の有無を含めてその秘密が守られるという前提で成り立っており、開示請求に係る個人情報に対応する相談が存在しているか否かを答えるだけで、相談者の秘密保持を原則とした相談者との信頼関係が損なわれ、今後、相談をちゅうちょするなど、相談業務に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることが認められる。そのため、本件個人情報は、条例第13条第7号の非開示情報に該当し、条例第15条に基づき、当該個人情報の存否を明らかにしないで、本件請求を拒否した処分庁の決定は妥当であると認められる。
結論
以上のことから、本件処分について、条例第13条第7号の非開示情報に該当すると認められるため、同条第4号該当性について判断するまでもなく、「1 審議会の結論」のとおり判断する。
7 答申年月日
平成28年1月20日(個審第254号)