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【tsulunos PLUS(ツルノスプラス)3月号】話題の県民ツルノヒト 上州人はばたく
アーティスト 片山 真理(かたやま まり)さん
私の作品は群馬から生まれてきたもの 群馬の人ならきっと分かるはず
群馬を拠点に活動する、アーティスト・片山真理さん。
全国、世界を舞台に活躍する片山さんの創作活動の原点は群馬に広がる景色でした。
片山真理さん
PROFILE
1987年群馬県出身。2012年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。幼少の頃より裁縫に親しむ。先天性の四肢疾患により9歳で両足を切断。以後、手縫いの作品や装飾を施した義足を使用しセルフポートレートを制作。2011年より「ハイヒールプロジェクト」をスタートし、歌手やモデルとしてハイヒールを履き、ステージに立つ。主な展示に2019年「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ」(ヴェネチア、イタリア)、「Broken Heart(ブロークンハート)」(White Rainbow(ホワイトレインボー)、ロンドン,イギリス)、2017 年「無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol.14」( 東京都写真美術館、東京、日本 )、「帰途-on the way home-(オンザウェイホーム)」(群馬県立近代美術館、群馬、日本)、2016年「六本木クロッシング 2016 展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京、日本)、2013年「あいちトリエンナーレ 2013」(納屋橋会場、愛知、日本)など。主な出版物に2019年「GIFT(ギフト)」United Vagabonds(ユナイテッドヴァガボンズ)がある。2019年第35回写真の町東川賞新人作家賞、2020年第45回木村伊兵衛写真賞を受賞。
娘が誇れるアーティストになりたい。母になって初めてできた覚悟。
家族の影響で、子どもの頃からアートは身近な存在でした。でも、アーティストになろうとはまったく考えていませんでした。ただ、つくりたいからつくる、それだけです。周りの勧めもあって、大学では美学を学び、東京藝術大学にも進学しました。世界的なアートイベントに招待されたり、大きな賞もいただきました。でも「私はアーティストです」と自信を持っては言えなかった。そんな私を変えたのは出産。娘が見てかっこいいアーティストになりたい、と思うようになりました。
100%の自分を出すために帰郷。何より群馬が大好きです。
藝大卒業後、帰郷しました。私ができることを100%でやるためには群馬がよかったんです。というか、何よりも群馬が好き。私の作品を見て「真理さんの作品はヨーロッパ的ですね」と言われたことがあるんですけど、実は100%群馬(笑)。移動で使う東武鉄道の「特急りょうもう号」から見える群馬の自然や街並みを眺めていると、自分の作品も影響を受けているなあと思います。そういう感覚って群馬の人しか分からないかもしれないですね。
ムダなことなんて一つもない。できる経験は全てした方がいい。
若い時はいろいろと悩むことも多いと思います。私もそうでした。好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、不得意なことは、人それぞれ違いますよね。私はできないことを悲しむより、できることを100%やると決めています。自分の経験で言えば、人生でムダなことなんて一つもない。経験できることは全部やった方がいい。これまでやってきたこと全てが、今の私を作っています。高校でやっていた簿記は、確定申告に役立っています(笑)。インプットしたものしかアウトプットされません。だまされたと思って、全部やってみてほしいです。
25 days in tatsumachi studio / Suzuki Pharmacy Optical #002, 2015 Copyright:Mari Katayama. Courtesy of Akio Nagasawa Gallery
on the way home #001, 2016 ?Mari Katayama. Courtesy of Akio Nagasawa Gallery
私のぐんまプライド
群馬県立近代美術館
アートに興味を持った小さい頃、何度も足を運びました。最近あらためて見たのですが、私も少なからず影響を受けていることに気づきました。自分の原点の一つです。
インフォメーション
現在、太田市美術館・図書館で開催されている開館3周年記念展「HOME/TOWN(ホームタウン)」に、片山真理さんの作品が出品中。詩人・清水房之丞(しみずふさのじょう)、写真家・吉江淳(よしえあつし)、そして美術家・片山真理、太田にゆかりのある三人による、ホームタウンをテーマにした展覧会。5月30日(日曜日)まで。