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令和3年度 第2回群馬県観光審議会結果概要

更新日:2022年4月7日 印刷ページ表示

日時:令和4年3月23日(水曜日)13時05分~15時10分
会場:ぐんま男女共同参画センター 中会議室

1 開会

2 主催者挨拶

3 戦略セールス局長挨拶

4 議事

  1. 報告事項
    事務局説明(配付資料により説明) 略
  2. 審議

5 意見交換

【会長】
今年度の審議会は、計画の策定が一段落していることから、今後の観光振興の方向性について皆さんから御意見をいただく場とし、前回の会議で二つのテーマを選定した。一つが「ワーケーション需要の創出・誘客について」、もう一つが「バリアフリー情報の発信について」ということで、事務局からもこれを踏まえた報告があった。

1,ワーケーション需要の創出・誘客について

【会長】
まず、「ワーケーション需要の創出・誘客について」である。事前意見をいただいた委員から、順次、お話を伺いたい。

【A委員】

  • 今後、ワーケーションの需要が全国で高まってきたときに、という前提でお話しさせていただくと、他地域との差別化を強化していくべきだと考える。事務局からの説明でも「リトリート推進」という形での差別化ということが言われていたが、「リトリート」というのは日本全体でもかなり挙げられている単語であると思うので、さらに一歩進めた形で訴求していく必要がある。一歩踏み込んだ言葉とかイメージで訴求していくことが効果的なのではないかと思う。
  • ワーケーターになる方は、テレワークができたりweb上での仕事の方が多い。webでの申込みフォームを拡充させるのと、ワーケーター同士のコミュニケーションも需要が高まってくると思うので申込みフォームでオンラインサロンを設けたり、利用者へのポイント還元など、コミュニケーションがとれるような使いやすいツールがあるといいと思う。
  • 前回の会議で、ワーママの需要を感じたので、女性活躍起用や保育園といったところへ直接アプローチしていくことや、シェアオフィスを利用している方への訴求、また県の取組みであれば湯けむりフォーラムなど意識が高い方が集まるところへ訴求していくのが効果的かと思う。
  • 県の支援としては、ワーケーションに協力的な地域をまとめ、目的別に検索できるようなWebページを作り、そこで露出してあげることや、予約ページの中で利用者にポイント付与する形で金銭的に補助することが考えられる。
    県の取組みに乗りたいが、そこまで行きつかない事業者や地域をフォローアップしてあげることもよいのではないか。
  • 需要を創出するような、企業への働きかけが前提となると思う。これと利用環境や仕組みなどの課題を解決することを並行していくことが必要。

【B委員】

  • 現状、観光庁の調査では、ワーケーションの認知度が8割、経験者が4%となっており、まだ広がりがない。企業における制度化がまだ少ないというのが実際である。ただ、リモートワークで、どこで働いてもよいですよという企業は確実に増えている。この層を入れていくと4%というのがどんどん上がってくるのではないかと思っている。もっと多くの方が観光地や宿泊施設でそれぞれの仕事をしているのではないか。
    また、企業にとってもワーケーションを新しい働き方として取り入れているところも多くなってきていて、4月から弊社もワーケーション制度が始まる。事前に申請をすることによって旅行先で仕事をすることが認められるようになるので、そのときにどのようなことが必要かというと、やはり行った先での仕事の環境の整備や、ワークスペースがしっかりしているということの周知だと考える。群馬県では、リトリートということも言われていたが、関東近県では温泉が一番の資源になってくるかと思うので、日頃の疲れを癒やすというところをプロモーションすることで誘致に繋がってくるのではと思う。
  • ワーケーションが企業にとって有益なものになっていないといけないわけで、先進的に実施している企業は人材育成や企業イノベーションにワーケーションを活用している。県の支援としては、そういったコンテンツの造成や、施設の情報のプラットフォームの構築、現地で受け入れるコンシェルジュの育成などに支援されるとよいのではないか。

【C委員】

  • ワーケーション自体、あまりニーズが高まってきていないというところがあるので、そもそもそこのハードルが高い。そこをどう乗り越えるかを考えた方がよい。これだけコロナが長引いてリモート環境が整っているにも関わらず、ワーケーションが普及しないということは、企業が制度化をしていないとか従業員に補助を出すという思考がないということである。弊社でも制度化されたが、お金を払って宿泊して仕事をするということが自己負担なので、誰も行かない。
    セキュリティー上、情報を外に持ち出すことに会社としては危機感を持っているので、旅行にパソコンを持っていくことは厳しいのではないかということで、自治体の考える方向性と企業の考える方向性がアンマッチを起こしているので、これをどう接続していくかというのは大きな課題だと考える。
  • ワーケーションが広まったときに群馬県としてどうするかというところでは、コンテンツ、リトリートや温泉というだけで他県と差別化するのは難しい。どちらかというと群馬県のコンテンツを見に行くというよりも、群馬に行ったら出会える人とか、例えばビジネスミーティングの場にするとか、コミュニティの機会を旅館などで作ってあげると、いろいろな会社の人が集まってそこでないと出会えない人と出会ったり、ビジネスのチャンスが広がるとか、そういうソフト面をしっかり作ってあげることで群馬県ならではのワーケーションの取組みをしていくのは面白いアイディアかなと考えている。
  • 県としてワーケーションに力を入れているということを知られていくことが大切なので、プロモーションのサポートをしていくのがよいと考えている。ポイント制度をゼロから立ち上げてもそのポイントに価値が感じられないと利用が促進されないので、制度を作るコスト的に大変かもしれない。JTB、リクルート、楽天など既存のプラットフォームを活用した方が立ち上げやすい。その中で、ワーケーションの宿泊のプランもたくさんあるという形でプロモーションしていくというのが、時間的には短く目標達成に向けて推進できると考える。
  • 企業側の制度設計へのアプローチをどう考えるかは重要である。ワーケーションという言葉が出回り、それが少し難しいと感じられている中で、言葉を変えて差別化していくのもよいと考えている。例えば、ビジネスのサポートができる群馬県、とかビジネスの出会いになる場所を作るとかチームビルディングの場として、県が何らかのコンテンツを提供するとか、また子どもがいる母親が仕事に集中できるよう子どもを預かって、働く人を支援するなどすることで差別化できるのでは。
    また、GoToトラベルが再開されれば、そこにあわせてワーケーションを打ち出していくのも短期的な戦略にはなるができるのではないか。

【D委員】

  • まずは、県の宿泊施設感染拡大防止対策等支援補助金により支援を受けていることに感謝申し上げる。群馬の女将全員からの感謝の声としてお伝えしたい。
  • ワーケーションについては、自治体や国でいろいろなトライアルをしているところであるが、なかなか需要がないという結果になっているように思う。需要の高まりを期待するものではあるが、県はワーケションの需要が高まるのはいつ頃になると考えているか。いつを目標に事業を進めているのか質問させていただきたい。目標があると、事業者も考えることができるかもしれない。
    雑誌などでワーケーションというと、リゾートに行って豪華な会議室があるというようなものが出ているが、実際の声としては、貸し切りができるかとか、金額が低めに行けるかとか、そういった質問が多いように感じる。自治体の考え方と企業の考え方のマッチングが課題のようにも思うので、県の考えを聞かせていただきたい。※注
  • ある程度の滞在日数があるのであれば、仕事の関係者だけで来る場合であればオンとオフをはっきりさせる、家族連れで来る場合であれば家族の過ごし方として何が楽しめるか、といったところを考えていくのが必要だと思う。
  • 県の支援として、まずは、地域の環境整備への助成、補助ではなく助成であることに意味がある。外に出てWi-Fiがどこでもつながる、奥四万湖や伊香保の石段で座って仕事ができるくらいになると、リトリート、転地療養として楽しみだと思う。後は、広告宣伝、プロモーションに力を入れていただきたい。DCの時のように大きな企業と連携してたくさんの人に来ていただいて、いろいろなぐんまの魅力を知っていただくということを考えていただきたい。
  • 今まで福利厚生として社員が旅館を利用するのを補助してきたということはあるが、一宿泊施設と旅行者の関係でなく、県としてのワーケーション推進と考えると、群馬県に来てくださる、ワーケーションで移動しようとする企業が、どの地域だったらその企業の仕事がしやすいかという各地域の特徴づくり、そういうことを考えていただくのが県の支援になるのかと思う。企業にとって仕事がしやすい、でも気分的にはリラックスして次の仕事に繋がる、そういうところがつくれるとよい。

【観光魅力創出課観光政策係長】

  • 委員からの御質問(※注)にお答えする。
    ニューノーマルという中で、これまでと同じやり方では生き残れないだろうということで「新たな観光スタイル」の構築を推進しており、その中の一つとしてワーケーションを考えている。ワーケーションだけではなかなか難しいと考えているが、平日の旅行や、宿泊数を増やすなど、ニューノーマルへの対応という全体の中で捉え、ワーケーションを定着させていきたい。

【E委員】

  • 弊社ではコロナで始まったリモートワークが4月から正式に制度化される。このときにワーケーションを取り入れるか検討されたが、導入しなかったというのが、まだ企業の実情である。ワーケーションを制度化している、制度化を検討している企業への売り込みが、まずは一番大切かと思う。ワーケーション制度が整ったときには、スマホなどでオフィスの環境がどうなっているのか、オフィス以外の環境がどうなっているのか、自分の環境がどうなっているのか、大人だけで行くのか子どもも行くのか、条件に応じていろいろな行き先を探せるようなwebサイトがあるとよいと思う。
  • ワーケーションに関しては各県がライバルになるので、県では、各地域でどのようなことをやっているのかの情報収集と、県内でもどこに行くのか、行き先のコーディネート、例えば未就学児がいるのであればここがお勧めであるとか、小学校の低学年がいるのであればこの地域とか、県内での差別化を考えてワーケーションを切り盛りしてあげると県内での差別化ができてよいと思う。あとは、ワーケーションがうまく進まないのは情報セキュリティーの問題が大きいので、Wi-Fiが繋がるだけでなくセキュリティーの確保への支援が必要だと思う。

【会長】
他の委員からもお話を伺いたい。

【F委員】

  • 弊社でも、昨年の10月から、社員の自社旅行商品を利用した私的な旅行中でもテレワークができる制度が構築されている。まず社員が、「ワーケーションをできるか」、「地域を体験してみる」ということで制度を作った。働き方についても具体的な例を提示していて、1泊2日で行った場合にはどうか、家族と行った場合にはどうか、というようにワーケーションの例を提示している。
  • 商品としての切り口は二つで、一つは個人向け、もう一つは法人向けと考えている。個人向けについては、旅行商品のようなところからワーケーションという形でやっていくのと、法人向けについては、体験してもらうことで会社の制度をどうするかやワーケーション自体を理解してもらうモニター体験プランでやっていく。個人向けか法人向けかでやり方も異なるが、ワーケーションを広げていくには、まずワーケーションを体験してみてもらうということと考えている。

【G委員】

  • 個人型か、法人型か、どこを狙っていくかでワーケーションは4つの類型に分けられる。企業が仕事の拠点を移すのか、地域と課題を解決していくのか、社員への福利厚生なのか、会議・研修の場を借りるということなのか、ニーズも分かれてくる。それをしっかり整理してやるべきだと思う。
  • 栃木県だとナスコンバレーといわれていて、那須高原に東京のデジタル系の企業、ITベンチャーなどを集めている。県や市が支援して、ニュース性がある話題になっている。また、山梨県では、芸能事務所のアミューズが廃業したホテルを本社にし、移転した。ニュース性のある取組みを期待したい。
  • 若い人は、オンラインと対面のハイブリッドで事業が進んでいる。今後も対面に戻ることはないと思う。学生の側が、もうオンラインでできるという感覚になっているし、オンラインの方が効果があがるというアンケート結果もあったりする。海外の大学の事例をみても、オンラインが当たり前になってくるのかなと。観光地にとって、オンライン化することのメリットは、宿泊施設に泊まりながら学生が授業を受けられるようになる。長野県のある町では、施設が東京の観光系の大学と連携して、この授業はこの町でやるというのがカリキュラムになっている。旅館やホテルに学生が泊まるので空室にしておくよりも良いし、労働力との相乗効果もある。若い人に限ってはそういうことに全く抵抗がないので、インフラさえ整えば問題ないと思う。
  • アイディアベースでの話になってしまうが、仕事で旅館やホテルとお付き合いする中で、今後は不動産賃貸の発想も必要になると思っている。ニューツーリズムの新たな需要に対応し、自治体の支援も入れて新たな事業体を作るというような発想が必要。一泊二食で来れば良いが、食事をワーケーションでの滞在にどのように対応させるかと考えたときに、地域のラーメン屋さんやとんかつ屋さんを紹介したり、精算をどうするかといった、オペレーションへの補助や予約などのアプリの開発などの投資への補助もあるとよい。

2,バリアフリー情報の発信について

【会長】
続いて、「バリアフリー情報の発信について」である。事前意見をいただいた委員から、順次、お話を伺いたい。

【A委員】

  • バリアフリーの情報を必要としている方以外の方にとってもバリアフリーになることは便利なことであるので、いろいろな接点を作っていくことが重要だと感じる。ホームページによる情報配信もそうだが、SNS、保持率の高いLINEみたいなもので気軽に相談できるようなコンテンツがあったらよいのではないか。
  • 現地の人たちが簡単に旅行者をお迎えできるようなツールであったり、相談に対応する統一の職種みたいなものがあると、負担にならずに御案内ができると思う。

【B委員】

  • 弊社ではユニバーサルツーリズムの推進ということで、障害のある方だけではなく国籍なども含めて障害のないツーリズムを目指し商品化を進めている。全国の支店では、各宿泊施設や観光施設でユニバーサルツーリズムにどのように対応しているか、データベースから把握でき、お客様に応じた提案をできるようにしている。
  • 県の観光公式サイト「ググっとぐんま」で、バリアフリーの対応状況をまとめてアップするのはどうか。
  • また、「Wheelog!」という、車椅子を使っている方が利用しているアプリがあり、こういった所での情報提供を県が支援するのはどうか。
  • 他県でも相談窓口を設置しているところがあり、群馬県でもコンシェルジュ的な立ち位置で窓口を設置し、しっかりと御案内できる形をとることができればよいと思う。

【C委員】

  • 弊社では、数年前に「バリアフリーじゃらん」というバリアフリーの施設を取り上げた雑誌を発行したことがある。また、「じゃらんnet」内でバリアフリーの宿泊施設の検索ができる導線を作っているので、必要な方が検索しやすいようにはなっている。
  • 病院や介護施設、障害者施設などへのプロモーションや、バリアフリー情報が集約された場所を設置していくことが必要である。
  • 障害者の方の団体旅行に添乗した経験があるが、流動食の用意や入浴の介助などは労力もかかるしリスクも高い。600人の団体であったが、受け入れた宿泊施設も大変そうだった。県の取組みとしては、受入れ側の宿の意向を確認する必要があるのと、流動食などの調理の知識と経験が必要になるのでそういった研修会などがあると、バリアフリーが進みやすいのではないか。

【D委員】

  • バリアフリーというと、足腰が弱い方のために全てフラットにすることをイメージしていたが、パラリンピックなどを見ている中で、いろいろな障害がある方に対してのバリアフリーということを改めて認識した。自身の宿泊施設ではバリアフリーというのを表面には謳っていないので、問い合わせがあったときに刻み食とか介助を受け入れたことがあったり、盲導犬の受入れもしたことがある。今、聴覚障害者の方が一度受け入れた方のネットワークから広がったのか来ていただいていて、館内の案内を丁寧にさせていただくというようなことをしている。
  • バリアフリーは考えていかなければならない問題ではあるが、施設の問題とか、障害が多様化する中で対応できるものとできないものがあったり、アレルギーの問題や宗教の問題、そういうことも含めてどこまで施設側が受け入れられるかというのが課題になっている。県で「ストップコロナ!対策認定制度」を設けたが、バリアフリーというものを推進していくということであれば、標準となる、皆がここなら大丈夫だと思えるような共通認識となる制度を考えていただくとよいと思う。
  • あとは、受け入れる側の心のバリアフリーである。ちょっと苦手、と感じるとみんな尻込みしてしまうが、とりあえず耳の聞こえない方でも喋りながら筆談をしてみればなんとかなるし、分からなければ聞いてきてくれる。そういった部分の講座など、受入れ側の心のハードルを下げる取組みも必要だと思う。

【E委員】

  • バリアと言っても、高齢なのか障害なのか、情報弱者なのか、色々あるので、ネットよりは一元的にどこかに窓口を定めて電話なり対面なりで対応するのがよいと思う。
  • 長崎県の相談窓口の事例を資料提供させていただいた。ワーケーションは各県がライバルになるが、バリアフリーに関しては、一元的な窓口があれば、他県との間でもこの間長崎に行ったから今度は群馬に、というような形での連携・情報共有ができるのではないかと思う。

【会長】
他の委員からもお話を伺いたい。

【H委員】

  • 自身の宿泊施設では、2019年度の国の補助金を使わせていただいて客室を3部屋リニューアルした。それに併せて大浴場の入口にスロープを作ったりバリアフリーに着目したリニューアルをしている。今年度も国の補助金で2部屋リニューアルし、バリアフリーにこだわったものではなかったが、どのような形がよいか考えた結果、バリアフリーを取り入れたものになっている。なぜそうなったかというと、「バリアって何だろう」というところからきていて、身体が不自由ということをマーケットとしてあてるならもっとやらないといけない。しかし、バリアということを心の部分まで、もっと広く捉えた場合、ちょっと心地いいとか不自由でなかったというくらいのところから入っていくのが旅館である。いろいろな方を受け入れようと巨大化していった旅館が、今度は個性を出そうと「ここまでやらなきゃ」ではなく「うちはここまでできますよ」とマーケットを区切っていっていい時代になっている。その方がお客様も自分の旅行に必要なものを選ぶことができる、自分で選べる、ということが明確化されてよいのではないか。そういった目的意識を持って客室の改装をしている。
  • 身体だけでなく心の不自由にまでマーケットを広げると、いろいろなことができると分かった。高齢のおじいちゃんおばあちゃんを連れてきたが何も不自由なく過ごせたとか、いつもの旅行にくらべて良さそうな反応だったというような、そういうのがよいのではないかと感じている。刻み食の対応などはそれぞれ旅館でやっていると思うし、アレルギーも栄養士がいるわけでもないのに工夫している。その中で、昨年、本当に喉が通らないお客様が、やっぱりお粥だけではさみしいということで、おかずを全て流動食にしてお出ししたことがあり、これはとても喜ばれた。同じものを食べられるということ、一緒に来ている旅行なので、そこに質を感じていただけた。その分の料金はきちんといただいた。旅館や日本の文化は「おもてなし」であるが、そこはしっかりお金をいただいていくということをやっていけばいい。視点、目的を広げるだけでいろいろなことができる。
  • 「Wheelog!」にも登録しているが、これは車椅子の人が実際に泊まってその方が動いて、ここは通れたとか、ここはこういうものを持っていった方がいいなど情報発信する場所である。なので、泊まっていただかないと施設を発信できない。健常者も発信できるが、車椅子を使っている方が発信するのと我々が発信するのとでは情報の質が全く違う。車椅子の方にお願いをして、依頼のあった旅館に行ってもらって発信してもらうということに県で助成してもらえるとよい。
  • 群馬県がバリアフリーに注目していることは他県でも分かっている。「石段街でなぜバリアフリーをやっているのか」と言われる。最初から、階段だからダメ、という考えを持っていない。階段だけれども、これなら車椅子の方でも楽しんでいただけますよという視点を持ってやっているというのは、身体が不自由な方にとってありがたいことだと言っていただけている。
  • ネットでの発信については、群馬県全体を一つの行き先と考えた場合に、何室バリアフリーの部屋があるのか、四万エリアだと何部屋、その中の何部屋がこの旅館、という情報があってあとは自由に選んでもらえる、というような、伝わりやすい情報のイントロを作ってもらえたらありがたい。

【I委員】

  • 接したことのない人のことは分からないし、分かろうとしてもそこまで視野が広がらなかったり、こうだろうと思い込んでしまったりというのがあるので、「こういうところで困った」「こういう声があったのでこういう対応をした」という一覧があって、地域のみんなが、コンビニやスーパーでも群馬県全体で取り組めるようなデータベースがあったら勉強になるなと、他の委員の話を聞きながら思った。
  • 自分の経験でも、小さい子どもを抱っこしてのビュッフェでどうしたらいいんだろう、セルフサービスのうどん屋でも困るし、といったことがある。お風呂に行って赤ちゃんを座らせる椅子がない、下に置くわけにも行かないし湯船に入れておくわけにもいかない、とか当事者はすごくいろいろなことを感じるのだけれど、誰にも言えずに、残念だなと思っている、そういったことが多いと思う。それが変わるだけでも宝になるなと思った。
  • 発達障害などで、いきなり大きな声で騒いでしまう、走り回ってしまうというような子がいたり、宿のお部屋に高そうな壺とか掛け軸があったりすると、壊したらどうしよう、となる。障子を破いてしまったらどうしようとか、そういったところがすごく気になる。何かあったら謝らなければいけない、いつも誤ってばかりのお母さんはどこにも行きたくなくなってしまうと思うので、どうやったら「ごめんなさい」となってしまう要素を排除できるか、おもてなしをやめてもらうことが逆におもてなしになることもあるのではないかと思ったりもする。その辺はターゲットであったりニーズであったり、どんな人がどんなことを求めていて、それに対応できますよとか、言ってもらえればやれますよとか、そういうのがあるだけでも「言っていいんだな」となるのでありがたいのではないかと思う。それから、急な体調不良だったりいろいろなことが旅先だと怒るので、その時にチェックアウトの時刻になると、特にひとり親だと困ってしまうことになる。そういった意味でも心のバリアフリー、大丈夫?と声をかけてもらえるだけでも違う、また来たいと思ってもらえる群馬県になれるのではないかと思う。

【J委員】

  • 経営する農園は、もともと農地に平らなところがないので、正直にいうとまだまだ受け入れる環境が整っていない。観光農園でフルーツ狩りなどをされているところはまた別かもしれないが、自分の地域は主に露地野菜なので、いままで産地としてある場所だったところに受け入れるのは難しいところもある。何年か前にハーフマラソンを始めたときに、5月のちょうど畑が忙しくなるときに道路を止めて農作業者が通れない時間があるだけで、行政がやりたいことと地元の人との間に確執が生まれてしまった。
  • 自社で農作業体験をやっているときに、家族連れが身体が弱くなった母親を畑に連れてきたいがよいかと聞かれたことがあり、うちとしては何もできないが付いていてもらえるならということで来てもらったことがある。車椅子を旦那さんが押して体験していただいたが、とても喜んでいただけた。はじめからできないと諦めるのではなく、どうしたらできるかなという視点も大事だと思った。
  • インドネシアから技能実習生を受け入れているが、帰るときに日本で何が楽しかったか聞くと、大抵スキーと答える。雪が身近でスキー場も近いので自社に来ている実習生を連れて行ってあげていて貴重な経験になっているが、彼らの友達はスキー場に行くことはできるがスキーのやり方を知らないので、スキー場で写真だけ撮って帰ってくる。そういった意味では、スキー場も多言語化していたり、スキー教室やスキー場でできるアクティビティなどを伝わるような形にできれば、バリアフリーも身体的な障害のイメージが強いが、多言語とか情報ということもバリアフリーにすることで、より多くの方に楽しんでいただくことができるのかなと思った。

【会長】

委員の皆様の活発な御議論に感謝する。
事務局におかれては、本日の議論を踏まえ、コロナ後を見据えた観光振興施策にしっかりと取組み、群馬県の観光を盛り上げていただくようお願いする。

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