本文
第2回群馬県行政改革評価・推進委員会の概要
1 開催日時
平成22年11月19日(金曜日)10時00分~11時55分
2 場所
群馬県庁 第2特別会議室
3 出席者
8名(佐藤委員長、荒木委員、猪熊委員、小川委員、桐谷委員、鴻上委員、田中委員、間仁田委員)
(1名欠席)
4 議事概要
(1) 新行政改革大綱(案)について
- 新行政改革大綱(案)(資料1)及び実施計画「具体的な取組」(資料2)について事務局から説明後、討議
事務局説明
事務局
今回提示する案は、まだ庁内でも議論途中のものであり、本委員会からも様々な意見をいただいてよりよいものにしていきたい。
前回の委員会で示した骨子案からの主な変更点
骨子案からの主な変更点
前回骨子案 |
今回大綱案 |
---|---|
「目標3 県民と協働して仕事の仕方を改革する。」 |
「目標1 県民のための県政の推進」と表現を修正して最初に掲げ、「1 新行政改革大綱の目的」の中にも明記した。 |
「目標2「地方分権推進県・ぐんま」をつくる。」 |
住民主体の地域づくりのための取組であるとの観点から、目標1「(4)地方分権推進県・ぐんまづくり」として、目標1の中に統合した。 |
「目標1 より簡素で効率的・効果的な行財政体制を確立する。」 |
「目標2 時代の変化に的確に対応した県政の推進」と表現を修正し、県庁内の業務改善、組織・定員管理に関係する項目を集約した。 |
目標1中、【具体的な取組の例】「4 財政基盤の強化(歳入増の取組など)」 |
新たに「目標3 持続可能な県政の推進」を目標として掲げ、財政基盤の強化に関係する項目を抜き出した。 |
4 目標実現のための「具体的な取組」中、「(1)「具体的な取組」設定の視点」の「○3「社会や時代の変化に迅速に対応する」という視点」 |
「◎目標達成のための視点」中、「○3「社会や時代の変化に柔軟に対応する」という視点」に修正した。(前回委員会意見を踏まえ、○6との違いを明確にするため「迅速」を「柔軟」に修正) |
同上中、「○5「コスト意識」の視点」、「○6「スピード感」の視点」 |
同上中、「○5「コスト意識」をもって職務にあたる、という視点」、「○6「スピード感」をもって職務にあたる、という視点」に修正した。(前回委員会意見を踏まえ、○3との違いを明確にするため○6を修正し、同じ表現に○5も修正) |
|
本文ではなく参考資料として文末に移動した。(「【参考1】これまでの行政改革の取組と成果」、「【参考2】社会経済状況の変化と厳しい財政環境に関する資料」に修正。課題2、課題3については個別の「具体的な改革」の中で記載) |
※ 「1 新行政改革大綱の目的」の中の「県」という単語について、「県民」の意味を含まずに使っているのは違和感があるとの意見があったが、一般的に「地方自治体の組織」としての「県」を表す単語としても使用されていることから、修正しなかった。
具体的な改革
個々の「具体的な改革」の内容を大綱本文に直接書き込んだ。これらの改革項目は、現行の「県政運営の改革方針 実施計画」の193項目に新たな課題として取り上げた10項目を加えたものから検討をスタートし、今回提示の45項目まで絞り込んだものである。
まだ検討途中のものであり、さらに修正が必要と考えている。なお、庁内ワーキングループでは次のような問題点が指摘されている。
- 中身が体系立っておらず、樹形図のような形で整理できない。
- 大きな内容のものと小さな内容のものとが並列されている。
- 改革とは言えない通常業務としての施策推進的なものがまだ残っている。
- 改革の重要度で順序立てられておらず、個別の取組の箇条書きになっている。
実施計画「具体的な取組」(資料2)
作成様式を改革19(公用車の管理方法の見直し)の例で説明する。
改革ごとに、「1 背景・課題」、「2 取組内容」を記載するとともに、「3 推進期間満了時の実現すべき成果(目標)」と「4 数値目標」を明確に記載する。
骨子案からの修正について
猪熊委員
「1 新行政改革大綱の目的」中の「県」という単語の使い方については、文章の中で「県民」という単語が先に出てくる形に修正されており、県民のための県政であることが分かりやすくなった。また、「◎ 目標達成のための視点」の○3も「迅速」を「柔軟」に修正したことで分かりやすくなった。
PFIや市場化テストなどは、具体的な内容が今後示されるのか。
事務局
実施計画で示すこととしている。ただし、「PFIや市場化テストを今後このように進めていく」という内容になると考えている。対象とする具体的な施設名や業務名を明記する段階までには至っていない。
現状分析に基づく目標設定、評価が可能な目標設定について
猪熊委員
PDCAのCAができていない部分があるのだと思う。PDCAサイクルが単回で終わってしまっているのであれば、回し続けていくための意識改革が必要である。
また、公営企業改革の枠に入らないことかもしれないが、県立病院に関して、研修医制度見直しによる県内医療体制のアンバランス等に対して、群馬大学とのかかわり等、地域医療の充実に関する改革も必要ではないか。
事務局
医療体制の整備については、県全体の政策体系の中で、医療計画を別に立てて推進している。また、今後の方向性については、現在並行して検討している県の次期総合計画の中で、地域医療格差是正や医師確保等の課題を検討している。
PDCAサイクルについては、目標2(3)の中に「改革27 目標管理による業務改善」を掲げ、意識してサイクルを回し続けられるように絶えずチェックしていきたい。県庁の仕事は、Planは作るがCheckとActionが足りないとの指摘がある。CAをしっかりやって次のPlanにつなげていく部分が弱いのでサイクルが回っていかない。そこをしっかりやって回していくように職員の意識を変えて、実際の仕事で実践することが大事だと考えている。
田中委員
CAの部分が弱いということも事実だが、その前段としてPlan自体にも問題があるのではないか。すなわち、Planの段階で、あとでCheckができるような目標がはっきり示されていないから明確なCheckができなくなる。行動計画では、Checkができる明確な目標を立てる必要がある。言葉は悪いが「後で責任をとらなくてもよい」、結果を対比しなくてよいPlanになっているからCheckが結果として軽んじられたり、しにくくなったりしているのではないか。
事務局
「○○を推進します」といったあいまいな表現が多いのは確かである。
佐藤委員長
行革に限らず様々な計画において、評価制度についての職員の意識が不十分であることが多い。
また、「推進」、「充実」、「活性化」といった言葉のみで、きちっとCheckできない計画が多い。5年後、10年後にどういう状態になっていたら「活性化」したと言えるかがしっかり議論されていない。何のデータもなく「活性化する」との言葉だけだと、主観的な評価にならざるを得ない。
さらに、最近は数値目標を立てることも多くなったが、手元にデータがあるもので設定しただけといったようなものもあり、その数値が成果を適切に測ることのできる指標なのかもよく検討する必要がある。
本委員会も評価を目的の一つとしており、評価を見据えた大綱のあり方を議論する必要がある。
前回の委員会でも意見を述べたが、「課題」は示されているが「問題」という言葉をあまり使っていない。何が「問題」なのかが明確に示されないと、なぜ危機感を持って行政改革に取り組む必要があるのか、外部との協働が必要なのかが分からない。「課題」として「○○が求められる」、「○○が必要である」と羅列されているだけで、どこを目指しているのかが明確でない。
鴻上委員
資料2の実施計画の例として示されている「公用車の管理方法の見直し」の「具体的な取組」でも、改革の内容として「トータルの内部管理経費の削減を図る」とあるが、現状分析を記載する項目がない。内部管理経費の分析がなく、何がどのくらい悪い状態にあるかが出てこない。そして成果を計測する数値目標は、短絡的に「台数」の削減になってしまっている。
この実施計画のページが非常に重要である。現状分析をして問題を把握し、それに基づき目標を設定することが必要である。
事務局
職員には「間違ったことはしていない」と言いたい気持ちがあり、それが改善を妨げる要因にもなっている。
例えば、「公用車の管理方法の見直し」では、実際に出張の際の予約では空きがなかったのに、当日の地下駐車場には使われていない車が多く残っているという現状があるが、そこには触れていない。また、なぜ台数を減らすのかも出ていない。そこが書かれていかないと実効性がなくなる。
この例では数値目標として漠然と7%程度の台数削減を掲げているが、無理に数値を示すのではなく、例えば何年度には具体的に何をするというような形で手順を目標にするのはどうか。
田中委員
数値目標でなくても、後でCheckできる目標であれば問題ないと思う。
また、別の観点での疑問であるが、例えば「公用車の管理方法の見直し」であれば、3年もかかることなのか。すぐにできることではないか。計画期間に無理に合わせる必要はないので、もっと積極的に、早くできるものは前倒しで計画化すべきである。
事務局
必ずしも25年度までかかるということでなく、中には23年度に達成される項目があってもよいと考えている。
間仁田委員
様式に当てはめてしまって25年度に終わる形で計画化してしまっているものがないか再確認が必要である。
評価という面から考えれば、必ずしも数値目標でなくても、いつまでにどういうことができたか、どういう行動が確実にできるようになったかで評価できる部分もあると思う。
業務改善に向けた職員の意識改革について
間仁田委員
「改革27 目標管理による業務改善」に関連して、職員の「目標管理シート」を週ごとあるいは月ごとにチェックするなどの基準はあるか。
事務局
半期ごと(上半期・下半期)に、上司と担当者との間でチェックを行っている。
間仁田委員
目標を立ててから半年後のチェックでは、業務改善のPDCAを回していくには期間が長すぎるのではないか。最低でも四半期に1度は必要と考える。
事務局
目標設定は前年度に行う当該年度の予算編成から始まる一連の流れの中で上司と議論しながら個々人が自分の分掌事務について立てている。進捗状況や成果の確認、業務の振り返りは、目標管理シートを用いて行うのは半期のスパンだが、日常的な業務を進める中で随時行われている。
鴻上委員
目標管理の結果は昇給に反映していないのか。
事務局
昇給に反映させないとしっかりできていかない面もあるとは思うが、現在は管理職についてのみボーナスの勤勉手当に反映させており、全職員に対する制度にはなっていない。
佐藤委員長
目標管理シートは公表しているか。
事務局
現在公表はしていないが、様式の公表は可能と考える。
佐藤委員長
個々人のシートまで公表する必要はないが、様式については公表した方がよい。民間の取組などを参考とした意見を外部からもらうこともできる。
小川委員
目標管理は試行的な面があるようだが、そうしたこと自体がスピードが遅いと感じる。今までの行政運営に大きくメスを入れていかないと変わらない。まずは「やる」ことにして職員の教育を進めていく必要がある。目標管理は、上司による面接を通じた職員の意識改革のツールにもなる。スピーディーな展開が必要である。
佐藤委員長
「改革26 職員の意識改革による業務改善」に挙げられている「業務改善のヒント」の内容を見ると、新採職員研修用の資料かと思うような内容が書かれており、改革としてあえてこれを掲げなければならないような状況があるとすれば問題である。また、これにどう実効性を持たせるかも課題である。
事務局
恥ずかしいことであるが、きちんとできていない職員がいることも事実である。職員アンケート等で100%の職員が完全実施と回答できるようになるまで徹底していきたいと考えている。
佐藤委員長
できているかどうかを尋ねるだけでなく、できるようになるための工夫も必要である。
事務局
民間であれば朝礼等で指示をして徹底するような内容だと思うが、県にはそうした文化がない。上司との間で、個々具体の仕事の内容や進め方に関して議論はするが、仕事の仕方の一般論を議論することはほとんどない。残業の問題についても同様である。
小川委員
企業だと安全衛生委員会として1か月に1回は労使で会議を持つので、そうした場で交通事故防止や風紀保持、啓発バッチの着用なども話し合っている。職員個々に取組を意識させる方法が必要である。
事務局
内容の適否は別として、例えば、「月1回は朝礼や会議を行う」といった具体的な行動を目標として立てたらどうか。
佐藤委員長
朝礼が適切かどうかは別として、努力目標として示すのか、導入義務として示すのかによってもだいぶ違う。総務課には他の所属に強制する権限はないかもしれないが、大綱としてトップダウン的にやらせないと進まない。
鴻上委員
「業務改善のヒント」に書かれているような行動ができない理由は何か。また、そうした行動ができないことによって具体的な問題が生じているのか。
事務局
多くの職員ができていないということではないが、所属内でちょっとした注意を払えば防止できるような会計上のミス等が事務監査で毎年指摘されているような実態がある。100%の職員ができていると言えるまで徹底していきたい。
鴻上委員
重要なことが職員間で情報共有され県民サービスがきちっと行われているのであれば問題はない。県民の顧客満足度を測るのであれば意味はあるが、やったかやらなかったかだけを職員にアンケートするのは無意味である。
猪熊委員
大きな目標として目標1から3をしっかり立てた上で、それらに対して個々人が目標を立てていく時には、手段等の選択に自由度を持たせて柔軟性を確保しておくことが必要であり、その際の最低限のルールが「業務改善のヒント」になるのではないか。
目標管理についても、人事評価とリンクしているので細分化されがちだが、県の目標を個々人の目標までブレイクダウンしていく際には、最低限の守るべきルールを定めた上でできるだけ手段等の選択の自由を認めるような柔軟な運営が大事である。
荒木委員
どう職員のモチベーションを上げていくかが課題だと思う。俗な言い方だが、動かない人を動かすには「にんじんをぶら下げる」か、「尻をけとばす」しかない。目標管理の面接の回数を増やしても給料に直接かかわらないのであれば効果は限られる。きちっとやるべきことをやるかやらないかが評価に反映され手取りに反映するからやるという面もある。給料への反映ができないとすれば、「けとばす」しかない。例えば、事業仕分けのような形で、個々の職員の仕事内容について外部から指摘されるようなことがないと意識は変わらないのではないか。
桐谷委員
「役所仕事」というと「非能率的」の意味で使われる。この大綱でも改革31で「効率的・機能的な組織の構築」が目標とされている。優秀な者を職員に採用していると思うので、個々人の意識を高めることが必要である。
鴻上委員
給料反映が難しいとすれば、顧客満足度を指標にするのも1つの方法ではないか。
目標と具体的な改革項目とのギャップについて
鴻上委員
顧客満足度に直結するのは、目標1の「(2) 県民サービスの更なる向上のための改革」ということになるが、この部分の具体的な改革項目は3つしかない。ここが県行政としてやるべきことを示す部分になると思うので、県民が何を求めているかを分析し、なすべき項目の取捨選択を行う必要がある。
佐藤委員長
(2)だけでなく、他の目標についても小見出しと具体的な改革項目の内容とのギャップが大きい。例えば、同じ目標1の「(3) 県民との協働の仕組みづくりと実践」も、個々の項目を見ると個別の取組の羅列になっている。
小見出しで大きな目標を掲げているが、中身を見ると小さな内容の項目がいくつか挙げられているだけなので、「これだけか」という意見が出てくるのだと思う。
網羅的に出した項目を絞り込み、それらを目標ごとにくくるために小見出しを考えたのだと思うが、ボトムアップによる項目出しと、目標からトップダウンで見たときのくくり方とをすり合わせる作業がもう少し必要である。
ただし、どのくらいの項目数が適当なのかの判断は難しい。あれもこれもと項目を加えていくと、総花的になってどこを重点的に進めたいかが見えなくなってしまうので注意が必要である。
事務局
小見出しと個別項目との間のギャップは、修正する必要があると考えている。
前回の計画が総花的であったこと、また、本来は総合計画等で設定すべき政策推進に関する項目も含まれていたことから、これまでの検討作業では、行政改革として取り組むべき項目に絞り込んだ上で、さらに重点として何をやるべきか取捨選択してきた。一方で、全体的な課題から見て必要な対応を目標として掲げているので、内容的にギャップが生じてしまっており、整合性を取る必要がある。
その他
佐藤委員長
予定の終了時間が近づいてきたので、前回委員会後に決めた委員間で意見交換する方法により意見を出してもらいたい。事務局からも情報提供をお願いしたい。
また、事務局には、前回も指摘したが、委員会資料はできるだけ早く委員に配付してもらいたい。修正点についても新旧対照表があると理解しやすいので、次回から配慮してほしい。さらに、今回の議事概要をまとめる際には、パブリックコメントで意見が出やすくなるよう、事務局からの資料説明内容も記述してほしい。
(2) 今後の日程について
- 今後のスケジュール(資料3)について事務局から説明後、質疑
田中委員
次回委員会で、パブリックコメントや職員アンケートの結果は示されるのか。
事務局
速報としての集計は可能である。
佐藤委員長
本委員会として内容修正の意見が出せるリミットはいつか。
事務局
1月中は内容修正は可能である。
小川委員
県議会のかかわりはどうか。
事務局
県議会の議決を要するのは計画期間が5年以上の重要計画であり本大綱は3年計画であることから議決対象ではないが、所管の常任委員会に内容説明を行い、意見をいただくことを予定している。
佐藤委員長
次回委員会の議題等は委員長に一任願いたい。
(3) その他
- 参考として、「事務・事業仕分け検討会」の実施結果(資料4)について事務局から説明後、質疑が行われた。
- 次回日程は1月中下旬とし、別途日程調整を行うことについて事務局から説明した。
佐藤委員長
現状分析をしっかりした上で「問題」を明らかにし、その「問題」に対する「課題」を「いつまでにこうする」という具体的な形で示してほしい。
(以上)