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令和3年度第49回群馬県公共事業再評価委員会議事録
開催日時
令和3年12月27日(月曜日) 13時30分~15時10分
開催場所
県議会庁舎3階 303委員会室
議案審議
(議長)
対象議案は県3事業、市町村1事業となっている。
各議事について執行部からの説明が終わった後に、発言をお願いしたい。
審議事業 県事業 第1号議案 一級河川 大川
【議案書により説明】
質疑・応答
(委員)
約40億円と大幅な増額をしているが、設計と施工に関する具体的な変更内容について詳細に教えてほしい。
(群馬県)
事業着手時点では、大川の合流先であり改修が完了していない石田川本川の現況流下能力を考慮して、計画規模1/10の流下断面による暫定形での整備としていましたが、その後、石田川本川の改修が完了し、下流域の流下能力が確保できたことから、目標とする計画規模1/30の流下断面の整備が可能となりました。
そのため、近年の台風等の被害を踏まえ早期に対応する必要があると考え、暫定形の土羽護岸からブロック積み護岸に変更することとし、それに伴い、構造物関係の工事費等が新たに追加になったことから、事業費が増額となったものです。
(委員)
計画規模が1/10から1/30に変わったのは何故か。
(群馬県)
大川を先に整備すると合流先である石田川本川が氾濫してしまうため、1/10の暫定形で整備を進めていましたが、石田川本川の整備が完了したことから、近年の台風等の被害を踏まえ、計画規模1/10から1/30へ切り替えて施工を進めるためです。
(委員)
計画の段階で、石田川本川の流下能力が高くなれば、計画規模1/30になりそうだと分かっていたということか。
(群馬県)
そうです。
(委員)
計画規模1/10とは何か。
(群馬県)
1年間に10パーセントの確率で発生する洪水規模のことです。
(委員)
護岸の工法については、ブロック積み以外は検討していないのか。
(群馬県)
最も安価となるブロック積みとしています。
(委員)
便益の算定にあたり、どのような氾濫シミュレーションをしているのか、また前提条件は何か説明してほしい。
(群馬県)
氾濫シミュレーション及び資産の把握等については国の「治水経済マニュアル」(令和2年4月)に従っています。
氾濫シミュレーションの主な条件としては、河道条件は河川整備計画策定時の平成14年の現況河道、地盤高は国土地理院の数値地図50メートル標高メッシュデータを使用しています。浸水深は不等流計算で算定し、氾濫計算は100メートルメッシュを使用しています。便益算定に使用する延床面積、世帯数、農地面積等は、国勢調査等の最新の統計メッシュデータから算出しています。
(委員)
具体的にどの箇所で氾濫しているのか。
(群馬県)
上流の屈点部分と下流端において浸水氾濫が増えています。
(委員)
この結果は妥当か。
(群馬県)
妥当です。
(委員)
どの施設がどのくらい浸水しているか委員会内で判断できるデータが欲しい。
区画整理区域内の事業費は費用に計上されているのか。
(群馬県)
区画整理区域内の河川事業に関する費用は、今回の費用便益分析に計上しています。
(委員)
石田川の改修が完成するまでに、暫定形での整備を行った後、完成形での整備を行うとしていたものが、暫定整備の途中で完成形の整備に切り替えるということは、本来であれば減額となるのではないかと思うが、増額として事業再評価を受けるのは普通か。暫定事業と本事業なので、比較するものが間違っているように思えるが。
(群馬県)
5年前に事業再評価した時点では、1/10の暫定形での計画で事業を進めており、今回、計画規模を1/30に変更し費用が増額したことについて、御審議いただくということで妥当と考えています。
(議長)
それでは、第1号議案「一級河川 大川」の対応方針を決めたい。原案としては、「事業継続」となっている。原案どおり決定してよいか。
【異議なしの声】
(議長)
それでは原案どおり決定する。
審議事業 県事業 第2号議案 一級河川 聖川
【議案書により説明】
質疑・応答
(委員)
便益の算定にあたり、どのような氾濫シミュレーションをしているのか、また前提条件は何か説明してほしい。
(群馬県)
氾濫シミュレーション及び資産の把握等については国の「治水経済マニュアル」(令和2年4月)に従っています。
氾濫シミュレーションの主な条件としては、河道条件は河川整備計画策定時の平成14年の現況河道、地盤高は国土地理院の数値地図50メートル標高メッシュデータを使用しています。浸水深は不等流計算で算定し、氾濫計算は100メートルメッシュを使用しています。便益算定に使用する延床面積、世帯数、農地面積等は、国勢調査等の最新の統計メッシュデータから算出しています。
(委員)
堤防決壊はどこで起きているか。
(群馬県)
聖川は掘込河道であり、堤防はないため、破堤ではなく、溢水による流下型の氾濫形態をもって氾濫影響を計算しています。
細谷駅上流部と聖中橋上流箇所が氾濫しやすい箇所となっています。
(委員)
中流部と上流部とはどこか。
(群馬県)
東部伊勢崎線から上流を上流部、下流が中流部としています。
(委員)
費用便益分析について、中流部と上流部を合算してと書かれているが、中流部だけだと費用便益分析の結果はどうなるのか。
(群馬県)
当初から1連の区間ということで、中流部と上流部を合算して算定しているため、中流部のみの算定はしていません。
(委員)
それは何故か。
(群馬県)
区間によって、河川沿線の状況は住宅や農地等様々であり、区間で分けると、適正な分析ができないことから、区間毎に分けることはせず、1連区間で算定しています。
(委員)
中流部のみではB/Cが出ないからではないか。道路事業では区間で考えるが、この考え方で妥当か。
(群馬県)
河川事業では1連区間での算定が基本です。
(委員)
区間毎の費用便益分析結果はないのか。
(群馬県)
確認のうえ、後日説明します。
(委員)
用地買収等の理由で、事業期間が10年延びているということだが、現在の進捗について伺いたい。
(群馬県)
用地買収の了解を得るのに長期間要していますが、早期取得を目指して、用地交渉等を進めていく予定です。
(委員)
今後、令和12年度から大幅に完成年度が延びることはないか
(群馬県)
ありません。
(委員)
コストだけでなく景観への配慮や、環境、親水性、豊かな住環境の創出ということが必要だと思う。外部の委員の意見も聞くのは、数字だけで判断できないものが判断できるという意味もあるのではないか。B/Cだけでなく、そのような点も議論ができるように、調書の様式や委員会のあり方も含めて検討してはどうか。
(群馬県)
群馬県では環境に配慮した川づくりをする方針を出しており、それに基づく事業を行っています。また景観に配慮した公共事業にも取り組んでいますが、調書はコストを中心とした画一的は内容となっていることから、意見も踏まえて検討します。
(委員)
国のマニュアルでも、工夫した上で、様々な便益について含めることが可能となっている。マニュアルに基づく便益以外の定性的な便益についても、金額換算して費用便益分析を行っている事例もあるので、検討しても良いと思う。
(委員)
自然環境や歴史的埋蔵物等への配慮、森林の伐採を必要最小限にするなど、事業実施にあたり配慮していることについては、文章で示してもらうだけで、県民の方にとって説得力のある資料になると思う。
(群馬県)
群馬県では景観に配慮した公共事業にも取り組んでいます。委員の御指摘のとおり、設計の思想等も記載できるように調書を工夫します。
(委員)
中流部の完成後に上流部を着手するのか。
(群馬県)
そうです。
(議長)
それでは、第2号議案「一級河川 聖川」の対応方針を決めたい。原案としては、「事業継続」となっている。原案どおり決定してよいか。
【異議なしの声】
(議長)
それでは原案どおり決定する。
審議事業 県事業 第3号議案 片品川支川 夏保沢
【議案書により説明】
質疑・応答
(委員)
事業の長期化の理由となっている、林野庁の森林整備事業の内容を教えてほしい。
(群馬県)
林業の成長産業化を推進するため、優良木材の育林を目的とした、個人に対する補助金制度です。森林の間伐を地元の森林組合に委託して実施しています。
(委員)
砂防事業の必要性は分かるが、森林整備した箇所を、また伐採するということには違和感がある。この事業は間伐か。
(群馬県)
間伐です。平成24年度に間伐されたものです。事業における調査に入った際には、既に6年経過しており普通の山林と区別ができませんでした。砂防事業を事業化する際は森林関係部局との事前調整を図るのですが、今回は、過去の森林整備事業の状況が把握できませんでした。
(委員)
砂防堰堤の整備にあたっては、間伐したエリアの伐採が必要なのか。
(群馬県)
伐採範囲については必要最小限としており、砂防堰堤の整備箇所及び堆砂敷について伐採することとしています。
(委員)
保全対象の人家が86戸となっているが、将来的には相当人口が減るため、住民に移転してもらった方が安全であり、保全対象に避難所があることもどうかと思うので、まちづくりから見直した方が良いのではないか。
(群馬県)
本事業は、現在、地域に住んでいる方の安全を守るものと考えています。
(委員)
砂防事業とまちづくりとは一体で考えるべきと思うがいかがか。
(群馬県)
本事業の保全対象は昔からの集落が対象となっており、まちづくりと一体に考えるといことは難しい面があると考えています。
(議長)
それでは、第3号議案「片品川支川 夏保沢」の対応方針を決めたい。原案としては、「事業継続」となっている。原案どおり決定してよいか。
【異議なしの声】
(議長)
それでは原案どおり決定する。
市町村事業 第4号議案 町道 下原西谷線
【議案書により説明】
質疑・応答
(委員)
将来交通需要予想の結果について、「現状」「整備あり」「整備なし」の場合ごとに教えてほしい。また将来交通需要予測の方法について教えてほしい。
(甘楽町)
対象路線は新規箇所のため現状交通量はありません。整備した場合のアクセス道路の予測交通量は954台/日となります。その他の周辺道路について、並行する「国道254号バイパス」は「整備なし」の場合が23,200台/日、「整備あり」の場合が22,900台/日となります。隣接する吉井ICは「整備なし」の場合が2,555台/日、「整備あり」の場合が2,049台/日となります。富岡ICは「整備なし」の場合が2,170台/日、「整備あり」の場合が1,805台/日となります。
(委員)
それぞれのインターチェンジの交通量は、アクセス道路の上下方向の1日あたりの交通量か。
(甘楽町)
そうです。
(委員)
将来交通需要予測については、どのように計算したのか。
(甘楽町)
国の費用便益分析マニュアル(平成30年2月)に基づき、「分割・転換率併用配分法」により将来交通需要予測を行いました。
分割配分だけでは、所要時間の最短経路にのみ配分する形になるため、目的地やインターの位置あるいは料金等によって利用道路が選択される転換率配分方式を併用したものを採用しています。
(委員)
本事業は、(仮称)甘楽PAスマートインターチェンジを利用する954台のために整備するということか。
(甘楽町)
周辺において工業団地の造成を県の企業局や町で行っており、計画策定以降、すでに4社、約10ヘクタールの企業進出等もあります。実際には、これらの効果もあり、便益が増加すると考えています。
(委員)
盛土部の横断図について、支持層の浅層混合処理工法と合わせてCBRを上げるという工法だと思うが、上り線、下り線それぞれの盛土材の変更箇所については、いずれも標準断面図のような形になるのか。
(甘楽町)
盛土部の横断図については、上り線、下り線で形に違いはありますが、それぞれ中間的な断面を記載しています。
(委員)
路体材の下は自然地盤になると思うが、強度に問題はないか。
(甘楽町)
NEXCO東日本が表土を排除した上で、施工することとしています。
(議長)
それでは第4号議案「町道 下原西谷線」の対応方針を決めたい。原案としては、「事業継続」となっている。原案どおり決定してよいか。
【異議なしの声】
(議長)
それでは原案どおり決定する。
(議長)
これで議案審議を終了する。
群馬県公共事業再評価委員会運営要領第14条により、名簿以外に公表を差し控える資料はあるか。
【特になしの声】
(議長)
それでは、委員会資料のうち、公表を差し控える資料は「なし」とする。
以上で、「議事」は終了した。進行を、事務局に返す。
(事務局)
以上をもちまして閉会とします。
委員の皆様には、長時間にわたり御審議を頂きありがとうございました。
閉会
(15時10分)