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利根川中流圏域河川整備計画(変更)

更新日:2015年6月25日 印刷ページ表示

 河川法第16条の2に基づき、利根川中流圏域の一級河川において今後30年間に行う整備の具体的な内容を、平成20年6月に定めました。
 本ページは、平成25年に「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画【大臣管理区間】」が策定されたことを受け、利根川【県管理区間】においても下流の大臣管理区間と整合を図り、洪水を安全に流下させることを目標とした河川改修を計画し、学識経験者、地域住民及び関係市町長の意見を聞いて、策定済みの上記河川整備計画の一部を変更し、平成27年6月に国の認可を受けた計画を掲載しているものです。
 なお、適宣その内容について点検を行い、必要に応じて変更するものとします。

利根川中流圏域河川整備計画(変更) (平成27年6月23日認可)(PDF:8.71MB)

目次

第1章 圏域の概況

第2章 河川の現況と課題

  • 第1節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項
  • 第2節 河川の適正な利用と正常流量の確保に関する事項
  • 第3節 河川環境の整備と保全に関する事項

第3章 河川整備計画の目標に関する事項

  • 第1節 計画対象区間及び計画対象期間
  • 第2節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項
  • 第3節 河川の適正な利用と正常流量の確保に関する事項
  • 第4節 河川環境の整備と保全に関する事項

第4章 河川整備の実施に関する事項

  • 第1節 河川工事の目的及び種類
  • 第2節 河川工事の施行場所及び設置される河川管理施設の機能の概要
  • 第3節 河川の維持の目的、種類及び施行の場所

第5章 河川情報の提供、地域や関係機関との連携等に関する事項

  • 第1節 河川情報の提供に関する事項
  • 第2節 地域や関係機関との連携等に関する事項

第1章 圏域の概況

 利根川中流圏域は、基本的に赤城山南麓部から利根川右岸までの圏域であり、前橋市、高崎市の一部、伊勢崎市、太田市の一部(旧尾島町、旧新田町、旧藪塚本町)、桐生市の一部(旧新里村)、みどり市の一部(旧笠懸町、旧大間々町)、玉村町の一部、吉岡町の一部の6市2町で構成されている。
 圏域内を流れる河川としては、利根川及び支川の早川、広瀬川、藤川、端気川など38河川、流路延長364キロメートル、流域面積497平方キロメートルである。
 利根川中流圏域の地形は、上流域が山地、中下流域が平野に区分される。上流域の山地部は、切頭円錐形の大型成層火山で、広大な裾野の広がりをもつ二重式火山の赤城山の南面裾野域である。山頂の火口湖から流出する粕川をはじめ放射状に山腹を流下する河川は裾野を刻んで、なだらかな山麓扇状地形を形成している。
 一方、中下流域の平野部は圏域の大半を占め、群馬県では比較的面積の少ない平野部にあって、利根川低地に区分される。利根川低地は、赤城山麓末端を画すかのように渋川から前橋、伊勢崎を通って邑楽郡千代田町方面に達する。扇状地性低地としての部分が多く、構成する堆積物は礫に富み、前橋付近では各地にかつては中州であったところの微高地形が点在する。
 気候は、“カラッ風と雷”といわれるように内陸性の気候で、年間平均気温は14度前後であり、夏季と冬季の気温差が大きい。また、年平均降水量は1,200ミリメートル前後であり、全国平均の約1,700ミリメートルを下回る。
 自然環境に恵まれた本圏域は、四季の変化に富み、湧水や河川の水に恵まれて、旧石器時代から多くの人々が生活を営んできた地域である。岩宿遺跡、大室古墳群(前二子古墳、後二子古墳)など、原始古代の遺跡は他の地域に抜きん出た分布を示しており、赤城山は圏域の地域形成のシンボル的存在となってきた。
 古代末期から、本圏域でも広域かんがい用水の新たな開発が進み、利根川から引水する現在の広桃用水の前身となる堀や、女堀が、また渡良瀬川から引水する新田掘が開削され、それらは時代とともに改修、整備され、かんがい水系の基幹をなしてきたが、1900年代後半になって大正用水、群馬用水などもつくられた。
 利根川中流圏域の赤城山を中心とした山地部は多くの動植物が生育、生息している貴重な自然環境を有する地区であり、特別天然記念物のカモシカなど多くの重要種が確認されている。
 利根川中流圏域を構成する前橋市、高崎市の一部、伊勢崎市、太田市の一部(旧尾島町、旧新田町、旧藪塚本町)、桐生市の一部(旧新里村)、みどり市の一部(旧笠懸町、旧大間々町)、玉村町の一部、吉岡町の一部を合わせた人口は、約57万人と県内でも人口集積の高い地域で、県全体の約28パーセントを占めている。特に、前橋市は県庁所在地として県内有数の人口集中都市である。
 さらに国道17号上武道路、国道354号東毛広域幹線道路玉村伊勢崎バイパス及び高崎玉村バイパス、前橋市特定商業集積事業、前橋市中心市街地活性化事業、伊勢崎駅周辺総合開発事業などの都市基盤、産業基盤の建設整備が行われており、群馬県の拠点都市地域として広域的に発展が見込まれ、高次都市機能の集積、産業施設の立地促進及び圏域の定住性の向上が予想される。

第2章 河川の現況と課題

第1節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項

 利根川中流圏域における過去の大きな水害は、昭和22年、23年、24年、34年、41年、57年、61年、平成元年、14年、15年、17年に発生している。なかでも昭和22年のカスリーン台風は、当地域だけでなく群馬県全域で未曾有の大災害をもたらした。また、昭和57年9月の台風18号においても大きな被害が発生している。最近では平成14年の7月に床上浸水を伴う水害が連続して発生している。
 利根川中流圏域における治水事業は、広瀬川、その支川粕川(下流)、赤城白川については改修をほぼ完了している。また粕川の支川西桂川、山伏川についても改修を行い完了している。粕川(上流)については昭和55年より中小河川改修事業として着手され、平成21年に完了している。
 韮川は、昭和37年に小規模河川改修事業として最下流部(広瀬川合流)の改修に着手し、昭和39年より放水路、昭和44年より中流部、昭和47年より上流部の改修に着手し、現在までに完了している。なお、昭和58年より最下流部と放水路の間の改修が進められている。大川は昭和50年より改修事業が進められ完了している。荒砥川の支川神沢川は、昭和35年~43年、57年~60年までの期間に改修が進められ、宮川は昭和50年より改修が進められた。桃ノ木川については、昭和32年より改修が進められ、平成24年に完了している。
 桃ノ木川の支川寺沢川は平成8年より改修が進められている。藤沢川は昭和63年より改修が進められ、平成22年に完了している。
 竜の口川は、平成8年より改修中である。早川は、昭和46年から中小河川改修事業として改修が進められ完了している。
 河川改修の進捗に伴って大きな洪水被害は減少してきたが、男井戸川などの各支川の未改修区間においては、小規模ながら氾濫が頻発し、また内水被害が発生している。
 利根川中流圏域では今後も都市化が見込まれており、洪水被害軽減のために圏域全体を見据えた治水対策が必要である。
 また、これまで整備してきた治水施設の機能を長期にかつ確実に発揮するよう必要に応じて対策を行う必要がある。

第2節 河川の適正な利用と正常流量の確保に関する事項

 利根川中流圏域の多くの河川は、農業用水として利用されている。広瀬川の支川は、ほぼ北から南に放射状に流下して広瀬川に合流している。圏域の河川の平常時の流況は、利根川から取水する広桃用水を主な水源とする広瀬川からの用水供給が多い夏季においては比較的良好であるが、用水供給が減少する冬季においてはあまり良くない状況である。
 本圏域は群馬県の発展の一翼を担う主要な地域であり、人口は今後しばらくの間はほぼ横這いで推移することが予想され、また引き続き工業団地への新たな企業進出も期待されているところである。さらに、本圏域は農業の盛んな地域であり、農地は減少傾向にあるが、営農形態の変化により水利用のあり方も変わってきている。

第3節 河川環境の整備と保全に関する事項

 圏域の上流域山地部の河川は、侵食運搬作用が活発なため砂礫の堆積が少なく比較的大きな転石がみられる。流域は、アカマツ、クロマツなどの植林地が主体となっている。
 圏域の大半を占める中下流域の平野部では河床の勾配が小さくなり、河床材料は礫質、砂質主体になり、自然河川では州の形成がみられるようになる。広瀬川や早川などの利根川合流付近では安定した流路が形成される。流域は、住宅地・耕作地が主体となっている。
 河川の水質については、環境、利水状況に応じて類型指定し、その類型ごとに環境基準が定められている。利根川中流圏域の河川では利根川、早川、広瀬川、桃ノ木川、荒砥川、粕川の6河川に水質測定地点があり、生物化学的酸素要求量(BOD)(75パーセント値)で評価すると、広瀬川、桃ノ木川及び早川下流はB類型、その他はA類型に指定されている。その基準の達成状況は、荒砥川、粕川、早川下流で環境基準値を達成していない状況にある。
 特に粕川と早川下流は、流域の汚水処理人口普及率が低いため、生活雑排水等の流入により、水質が改善されない状況となっていると考えられる。
 圏域の河川には、泥底の止水域を好むコイや、石礫底の流水域を好むオイカワ、ウグイ、アユなどが生息し釣り場として利用されている。この他、カマツカ、シマドジョウ、ヤマメ、カジカなどの重要種も確認されており、秋季には産卵のために遡上してきたサケも確認することができる。
 また、これらの魚類のほかにも、開けた静水域に生息し水辺の草むらに営巣するカルガモ、水辺や川原で採餌するセキレイ類などの鳥類も生息している。植物については、ヨシやオギなどの抽水植物が広く分布するとともに、ミゾコウジュ、カワヂシャ、ミコシガヤなどの重要種も一部で生息が確認されている。
 このように動植物の生息、生育、繁殖には多種多様な環境が必要であるため、動植物の生息、生育、繁殖に配慮した環境の整備、保全が必要である。
 生活環境としては、赤城高原、県立赤城森林公園や県立赤城ふれあいの森、県立敷島公園、桃ノ木川や広瀬川、粕川沿いのサイクリングロード、スポーツセンターなどの施設が整備されイベント、レクリエーションなど人々の憩いの場として広く利用されている。
 また、粕川と鏑木川の合流点付近には「赤堀ほたるの里公園」があり、近年ホタルが観測できない年があるが、ホタルが生息できるような環境作りに関係団体の協力を得て対応する。

第3章 河川整備計画の目標に関する事項

第1節 計画対象区間及び計画対象期間

 計画対象区間は、利根川中流圏域内河川において、県が管理する一級河川すべてとする。
 計画対象期間は、利根川中流圏域内の一連の河川事業の完成によって効果が期待できる今後概ね30年間とする。

第2節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項

 利根川中流圏域の河川においては、沿川の人口、資産の状況、現況の流下能力、河道形態、災害の発生状況等や群馬県の他河川とのバランスを考慮して、目標とする治水安全度を設定することとし、韮川、男井戸川及び寺沢川は概ね10年に1回程度、竜の口川は概ね5年に1回程度発生すると予想される洪水による氾濫を防止することを目標とする。
 なお、利根川の本計画対象区間は、人口、資産が集中する前橋市、高崎市、伊勢崎市などを流下する主要河川であることから、下流の大臣管理区間における利根川水系利根川江戸川河川整備計画【大臣管理区間】と整合を図り、洪水を安全に流下させることを目標とする。
 利根川中流圏域内に発生する内水による家屋の浸水については、関係する市町と連携を図って被害の軽減に努める。
 これまで整備してきた治水施設を調査、点検し、必要な対策を実施することにより、その機能の向上を目指すとともに、適切な時期に適切な整備を実施することで、長期にわたり施設の有効活用を図る。
 なお、社会状況、災害の発生状況等に応じて、適宜見直しを行うこととする。

第3節 河川の適正な利用と正常流量の確保に関する事項

 利根川中流圏域の河川において水質、動植物の生息、生育、繁殖に配慮した水環境の保全のため、かつ、河川の水利用が支障なく行われるために、最低限維持する流量の具体的数値については、広桃用水等の用水供給に影響されることから、各用水の取水量や取水系統を考慮し、河川においては水位、流量や流域内の降雨などの河川情報を観測収集し、必要な時期に最低限必要な流量を維持するよう努める。

第4節 河川環境の整備と保全に関する事項

 水質が良好な河川や茂った河畔林の多い河川など、自然が豊かで多くの動植物が生息、生育、繁殖している地域については、自然環境を保全し、自然を活かした水辺環境の整備を行う。
 河岸保全のためコンクリートによる護岸整備を行う場合でも、瀬や淵の保全や川の流れを固定化しないようにするなど河川の自然の営みを取り入れた川づくりの考え方により、動植物が生息、生育、繁殖できるような水辺環境の整備に努める。
 市街地を流れる河川や近傍に公園などの人々が集まる施設がある河川では、地域の方々の意見をふまえ、気軽に人々が川に親しむことのできる水辺空間の整備を行うとともに、生態系に配慮し、動植物の生息、生育、繁殖に適した環境の保全、整備に努める。
 上記の整備にあたっては、特に重要種の生息、生育、繁殖が確認されている場合、専門家の意見を聴くなどして動植物の生息、生育、繁殖に適した環境の保全、整備に努める。
 河川の水質や河川空間の保全、改善に取り組むとともに、下水道、環境部局などの関係機関及び地域住民との連携を図る。
 水辺景観の保全、利用推進の観点から、河川の豊かな水量を保持するため、農業や発電等の利水者と十分な連絡調整を図る。
 地域の暮らしや歴史、文化との調和、多様な河川風景に配慮し、沿川と調和した河川景観の保全、形成に努める。

第4章 河川整備の実施に関する事項

第1節 河川工事の目的及び種類

 本整備計画の目標は、洪水による災害の発生の防止または軽減、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持、河川環境の整備と保全としている。
 河川整備計画の目標を達成するための方策として、次のとおり河川の整備を効果的かつ経済的に実施する。
 なお、工事の実施にあたっては、河川の水利用の現状を調査し、支障なく適正な水利用が行えるよう、また水辺の環境に配慮し、人々が川に親しむことができるよう考慮する。

第2節 河川工事の施行場所及び設置される河川管理施設の機能の概要

 河川工事の施行場所及び設置される河川管理施設の機能の概要は次のとおり。

(1)洪水を安全に流下させるための対策

 以下の河川において河道改修を実施し流下能力向上を図る。

整備を予定する区間
河川名 整備を予定する区間 延長
韮川 諏訪橋から作橋まで 約520メートル
男井戸川

粕川合流地点からJR両毛線交差部上流まで

約1,890メートル
寺沢川 清水橋から泉下橋まで 約980メートル
竜の口川 行人山橋から行人山交流橋上流170メートルまで 約250メートル
利根川 直轄管理界から新坂東橋付近まで 約23,700メートル
韮川

 韮川は、前橋市広瀬町の吉原堰で広瀬川から分流し、伊勢崎市南西部を途中で韮川放水路、大川を分流させ、広瀬川へ合流する一級河川である。
 諏訪橋から作橋までの未改修区間は断面が狭小であり、頻繁に護岸天端付近まで水位上昇してしまうことから、度々、浸水被害が生じている。
 このため、河道拡幅を実施することにより、概ね10年に1回程度発生すると予想される洪水を安全に流下させる。
 改修断面は下流の改修済み断面との整合を考慮して5部勾配の護岸とし、河床部を極力広く確保するとともに、環境に配慮したブロックを用いた整備を行う。
 また、本川には洪水時に機能する分水堰などがあり、これらの施設についても機能向上を図っていく。
 なお、諏訪橋から下流と韮川放水路は改修済みである。

  • 施行区間諏訪橋(市道)~作橋(市道)
  • 延長L=520メートル
  • 整備内容護岸工、掘削工
男井戸川

 男井戸川は、伊勢崎市の宅地化の進む田園地帯を流れる河川であるが、未改修の用水河川であり、現況断面が狭小なため、小規模な出水でも河川周辺の住宅や道路、小学校などで浸水被害が発生している。
 このため、河道拡幅と調節池を実施することにより、概ね10年に1回程度発生すると予想される洪水を安全に流下させる。
 改修断面は沿川の宅地化により制約を受けることから5部勾配の護岸とするが、環境に配慮したブロックなどを用いて景観に配慮した整備を行う。
 なお、各横断面の河岸勾配については、箇所ごとの特性にあわせて定めることとし、地域住民との協働により周辺の景観や生活環境との調和に配慮した整備をする。

  • 施行区間粕川合流地点~JR両毛線交差部上流
  • 延長L=1,890メートル
  • 整備内容築堤工、護岸工、掘削工、調節池
寺沢川

 寺沢川は、前橋市大胡町から流下して桃ノ木川に合流する一級河川である。
 寺沢川の中流域では、文教施設等の集積を図る学園都市整備区域があり、県立高校等の移転や高等職業訓練校などが開校しており、また、上流域においては国道17号バイパス(上武国道)が整備されていることから、沿川の治水安全度を向上することが急務となっている。
 このため、河道拡幅と築堤を実施することにより、概ね10年に1回程度発生すると予想される洪水を安全に流下させる。
 改修断面は親水性、植物の生育に配慮し、2割勾配の護岸とする。法面はジオテキスタイルに覆土した護岸を基本として植物の生育を促し、水際は捨て石や寄せ土を用いて多様な流れをつくり出す工夫をし、生態系に配慮した整備を行う。

  • 施行区間清水橋(市道)~泉下橋(県道)
  • 延長L=980メートル
  • 整備内容築堤工、護岸工、掘削工
竜の口川

 竜の口川は、前橋市北部の赤城山南面中腹部に源を発し、前橋市内で桃ノ木川に合流する一級河川である。
 昭和56年7月には前橋市内において甚大な被害が発生したことから、沿川の治水安全度を向上させることが急務となっている。
 このため、既設護岸を利用しながら河道拡幅を実施することにより、概ね5年に1回程度発生すると予想される洪水を安全に流下させる。
 改修断面は5部勾配の護岸とし、環境に配慮したブロックなどを用いて極力、植物の生育に配慮した整備を行う。
 なお、本整備区間下流の桃ノ木川合流点までの区間は1期工区として、平成元年までに改修済みである。
 また、行人山橋下流までの区間は平成25年までに改修済みである。

  • 施行区間行人山橋(市道)~行人山交流橋(市道)上流170メートル
  • 延長L=250メートル
  • 整備内容護岸工、掘削工
利根川

 利根川は、大水上山を水源として関東地方を北から東へ流れ、太平洋に注ぐ一級河川である。
 本圏域対象区間は、下流区間(管理境界~昭和大橋上流付近)において全体的に左右両岸で流下能力が不足しており、一連の区間での河川改修を実施していく。
 また、上流区間(昭和大橋上流付近~新坂東橋付近)では概ね流下能力は確保されているが、一部区間で左岸及び右岸で流下能力が不足している区間があることから、下流から上流に向かって部分的な河川改修を実施していく。
 なお、計画区間下流は大臣管理区間となっていることから、大臣管理区間と整合を図り河川改修を実施するが、下流区間の整備状況との整合や事業効果の早期発現のため河道目標流量を毎秒6,000立方メートル(一次改修)で全区間を整備した後に、河道目標流量を毎秒8,000立方メートル(二次改修)での整備を段階的に実施していく。
 また、計画区間には蛇行区間が多数存在することから、水衝部での洗掘や侵食対策を検討し、要対策区間において護岸工、根固工、水制工等を整備していく。
 改修にあたっては、良好な河畔林を極力保全し、自然を活かした水辺環境の整備を行うとともに、親水性にも配慮した河岸整備を行う。

  • 施行区間直轄管理界~新坂東橋付近
  • 延長L=23,700メートル
  • 整備内容築堤工、護岸工、掘削工

(2)堤防の浸透対策

 これまで実施してきた堤防点検結果を踏まえ、背後地の資産状況等を勘案し、堤防の浸透破壊や法面すべり破壊等への対策工事を実施する。また、今後堤防点検により対策が必要とされた堤防についても同様に浸透対策を実施する。

堤防浸透対策箇所
河川名 整備を予定する区間 延長
桃ノ木川 簗場大橋から笂井橋まで左岸 約2,430メートル
桃ノ木川 大国橋下流から赤城白川合流部まで右岸 約1,390メートル
韮川 島北橋上流から恵比寿橋付近まで右岸 約840メートル
利根川 藤川合流部付近から端気川合流部付近まで右岸 約3,300メートル
荒砥川 御蔵橋付近左岸 約720メートル
荒砥川 田村橋付近右岸 約520メートル
広瀬川 須永橋上流から落合橋まで右岸 約1,540メートル
広瀬川 落合橋から新川橋まで右岸 約470メートル
広瀬川 宮子大橋上流から須永橋上流まで右岸 約1,340メートル

(3)長寿命化対策

 三又堰水門や大川排水機場等の河川管理施設について、適切に点検、巡視等を行い、施設の状態把握に努め、必要に応じて補修・更新を行い長寿命化を図る。

第3節 河川の維持の目的、種類及び施行の場所

 河道に堆積した土砂や草木の繁茂などの影響により河川管理上支障となる場合は、河川環境に配慮しつつ、堆積土の除去、立木の伐採、草刈りなどの必要な対策を行う。
 堤防の変状や異常、損傷を早期に発見することを目的として、適切に堤防点検や巡視等を実施する。堤防が不等沈下、法崩れ、ひび割れ等により弱体化した場合は、堤防の嵩上げや腹付けなどの必要な対策を実施し、対策が必要な場合は浸透破壊や法面のすべり破壊等への対策工事を実施することで、堤防の機能が維持されるよう努める。
 護岸の亀裂など河川管理施設の異常を早期に発見するため、定期的な河川の巡視を行うとともに、異常を発見した場合には、速やかに修繕などの必要な対策を行う。なお、修繕、改築等を行う場合にも、河川環境の回復、保全に努める。
 取水堰や橋梁などの占用施設で、河床及び河岸の洗掘や断面の阻害など河川管理上支障となるものについては、施設管理者と調整し適切な処置に努める。また、施設の新築や改築にあたっては、施設管理者に対して、治水上の影響、河川環境の保全について指導する。
 地域住民と協力して河川環境の保全を行うため、草刈りや河川清掃などの河川愛護活動を積極的に支援する。また、環境調査や保全活動の情報を共有するなどして、地域との協働による環境保全に努める。

第5章 河川情報の提供、地域や関係機関との連携等に関する事項

第1節 河川情報の提供に関する事項

 河川整備目標の実現までには、長期間を要すること、また、計画を上回る規模の降雨が発生する可能性もあるため、降雨の状況や河川水位の情報をリアルタイムで収集し、関係機関や地域の住民に提供することにより、水防活動等の対策の支援を迅速に行い洪水被害の軽減を図る。
 インターネット、パンフレット、イベントの開催等により、河川に関する様々な情報の提供を行い、河川整備に関し広く理解を得られるように努める。
 洪水時の住民の的確な避難行動につながるよう、市町による洪水ハザードマップ作成支援のため、浸水想定区域図の作成、更新を行う。
 住民の防災意識の向上を図るため大きな洪水の記録を残し、周知を図るとともに、地域に伝わる歴史的な治水の技術や水防の知恵が継承されるように努める。

第2節 地域や関係機関との連携等に関する事項

(1)常時の連携

 河川整備の実施にあたっては、国の河川事業や圏域市町の排水事業等の関連事業と連携を図る。
 洪水時の連携を強化するため、防災情報伝達演習や重要水防箇所の点検などを関係機関と実施する。
 圏域全体を視野に入れて適正な河川の管理を行うため、開発行為や土地利用について流域市町や関係機関と連携を図る。
 良好な河川環境を保全して行くためには、住民の理解と協力がなくてはならないことから、地域住民との連携、協力体制の確立に努める。
 油等の流出による水質事故が発生した時は、事故状況の把握、関係機関への連絡、被害の拡大防止措置、河川や水質の監視、事故処理などを迅速に原因者や関係機関と協力して行う。

(2)洪水時の連携

 流域住民の避難判断や防災対策に資するため、防災関係機関(国、市町、報道機関、消防、警察等)との連携を強化し、防災情報の共有や情報伝達体制の充実に努める。

(3)渇水時の連携

 渇水対策が必要となる場合は、利根川水系渇水対策連絡協議会等を通じ、関係水利使用者による円滑な協議が行われるよう、情報提供に努めるなど、関係機関と連携して被害の軽減に努める。

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